先日免疫療法を行っている医師と話しをしました。
免疫療法の中で、
所謂リンパ球療法です。
ある患者さんで、
何処でそう解釈したのか知りませんが、
「梅澤は免疫療法、リンパ球療法に対して否定的だ」
と、言ってこられたかたがいますが、
そんなことはありません。
費用対効果を考えた場合、
すべての患者さんに対しては、
あまり積極的にお勧めできる治療では無いと考えているだけです。
しかし、費用対効果を考えても、
積極的に行ったほうが良い場面もあります。
そのような時に、
一番信頼して、
リンパ球療法をお願いしている医師と話しをしました。
ガン治療を行う、受けるときの
数字のマジックについてです。
その医師は、
費用対効果を考え、
あまりメリットが無いと考えるときには、
患者さんを説得して、
今そのリンパ球療法を受けてもあまり意味が無いことを患者さんに説明して、
治療を断っています。
あまり意味がないと思われるケースでも、
何でもかんでも治療を勧めるクリニックもあるようですが、
そことは一線を隔しています。
前置きが長くなりましたが、
一般的に早期ガンの再発確率は、
5%程度あります。
100人の早期ガン患者さんがいると、
5人は再発してくることになります。
そして、運が悪く
その5人の中に入ってしまうと、
多くの場合、
その再発したガンが治ってくれることは
ほとんど期待できません。
エビデンスで生存期間中央値○○カ月と決まっている、
標準的抗癌剤治療が待っているだけです。
その極めて乗り心地の悪い、
列車に乗せられると、
エビデンスどおり○○カ月後に
終着駅に到着してしまいます。
標準的抗癌剤治療という
乗り物酔い?の激しい列車に乗った患者さんは、
皆さん、すべてお墓まで連れて行ってもらえます。
「早期ガンだから良かった」
という患者さんがいますし、
私もかつて、
「早期ガンでラッキーでしたね」
などと患者さんを慰めていたこともありますが、
5%の患者さんが死に至るというのは、
尋常な数字ではありません。
放置すれば数ヵ月後に
ほぼ100%の確率で死亡する肺ガンの患者さんに使われる、
イレッサというクスリでは、
副作用により、
2%程度の死亡確率があります。
それを恐れて、
確実に数ヵ月後に死亡する道を選ぶ患者さんもいます。
標準的抗癌剤治療でも、
1~2%程度の治療関連死、
すなわち副作用死が出ることが知られています。
しかし、その死亡確率が怖くて治療を拒む患者さんは
あまり見ません。
医者が上手く説明しているのだと思います。
標準的抗癌剤治療のように辛くはないイレッサの2%は拒否し、
一般的に非常に辛く、
しかも僅かな延命効果しか期待できない治療の
1~2%の死亡率は受け入れる、
不思議な患者心理です。
5%の死亡確率はラッキーと考え、
100%の確率で亡くなる患者さんが
2%の死亡率が怖くて治療が受けられない。
理解に苦しむ患者心理です。
ナンとも不思議です。
10月22日の「患者心理」
で書いたように、
正常な状況判断ができなくなってしまっているのかも知れません。
大腸術後の再発予防の抗癌剤治療では、
○年後の再発確率が概ね5%低下するという治療があります。
その治療はけっしてラクではありません。
何時かも書きましたが、
再発確率が5%低下するということは、
40%の確率で再発することが予測される患者群で、
その確率が40 - 5 = 35% になるのではありません。
100人いれば40人の再発が予測されることろ、
40人の5% すなわち2人が減少して
再発が予想される人数は38人になる、
というだけです。
単純に言えば、
100人全員辛い思いをして、
2人がトクをする、
ということです。
一般的に、貧粗な5%という数字を説明する医者もあまりいないようですが、
たとえ5%と言われても、
その意味をあまり良く理解しないまま、
多くの患者さんは、
その治療を受けておられます。
早期ガンのラッキーな5%も同じです。
ラッキーだから
治療しない道を多くの患者さんは選びます。
ガン治療で「絶対」はありません。
すべて確率の世界です。
私は、目の前の患者さんの状態、
およびガンの動きだけを診て、
その確率には支配されないように
そして確率を患者さんの望む数字に近づけるよう、
努力しているつもりですが、
標準治療は、
すべて確率だけに支配される世界です。
すなわち博打です。
命を賭けた大博打です。
そして、副作用と戦わなければならない辛い博打です。
数字の持つ意味は、
シッカリと理解していないと、
ご自分の考えてる世界とまったく違った方向に連れて行かれてしまいます。
以上 文責 梅澤 充
免疫療法の中で、
所謂リンパ球療法です。
ある患者さんで、
何処でそう解釈したのか知りませんが、
「梅澤は免疫療法、リンパ球療法に対して否定的だ」
と、言ってこられたかたがいますが、
そんなことはありません。
費用対効果を考えた場合、
すべての患者さんに対しては、
あまり積極的にお勧めできる治療では無いと考えているだけです。
しかし、費用対効果を考えても、
積極的に行ったほうが良い場面もあります。
そのような時に、
一番信頼して、
リンパ球療法をお願いしている医師と話しをしました。
ガン治療を行う、受けるときの
数字のマジックについてです。
その医師は、
費用対効果を考え、
あまりメリットが無いと考えるときには、
患者さんを説得して、
今そのリンパ球療法を受けてもあまり意味が無いことを患者さんに説明して、
治療を断っています。
あまり意味がないと思われるケースでも、
何でもかんでも治療を勧めるクリニックもあるようですが、
そことは一線を隔しています。
前置きが長くなりましたが、
一般的に早期ガンの再発確率は、
5%程度あります。
100人の早期ガン患者さんがいると、
5人は再発してくることになります。
そして、運が悪く
その5人の中に入ってしまうと、
多くの場合、
その再発したガンが治ってくれることは
ほとんど期待できません。
エビデンスで生存期間中央値○○カ月と決まっている、
標準的抗癌剤治療が待っているだけです。
その極めて乗り心地の悪い、
列車に乗せられると、
エビデンスどおり○○カ月後に
終着駅に到着してしまいます。
標準的抗癌剤治療という
乗り物酔い?の激しい列車に乗った患者さんは、
皆さん、すべてお墓まで連れて行ってもらえます。
「早期ガンだから良かった」
という患者さんがいますし、
私もかつて、
「早期ガンでラッキーでしたね」
などと患者さんを慰めていたこともありますが、
5%の患者さんが死に至るというのは、
尋常な数字ではありません。
放置すれば数ヵ月後に
ほぼ100%の確率で死亡する肺ガンの患者さんに使われる、
イレッサというクスリでは、
副作用により、
2%程度の死亡確率があります。
それを恐れて、
確実に数ヵ月後に死亡する道を選ぶ患者さんもいます。
標準的抗癌剤治療でも、
1~2%程度の治療関連死、
すなわち副作用死が出ることが知られています。
しかし、その死亡確率が怖くて治療を拒む患者さんは
あまり見ません。
医者が上手く説明しているのだと思います。
標準的抗癌剤治療のように辛くはないイレッサの2%は拒否し、
一般的に非常に辛く、
しかも僅かな延命効果しか期待できない治療の
1~2%の死亡率は受け入れる、
不思議な患者心理です。
5%の死亡確率はラッキーと考え、
100%の確率で亡くなる患者さんが
2%の死亡率が怖くて治療が受けられない。
理解に苦しむ患者心理です。
ナンとも不思議です。
10月22日の「患者心理」
で書いたように、
正常な状況判断ができなくなってしまっているのかも知れません。
大腸術後の再発予防の抗癌剤治療では、
○年後の再発確率が概ね5%低下するという治療があります。
その治療はけっしてラクではありません。
何時かも書きましたが、
再発確率が5%低下するということは、
40%の確率で再発することが予測される患者群で、
その確率が40 - 5 = 35% になるのではありません。
100人いれば40人の再発が予測されることろ、
40人の5% すなわち2人が減少して
再発が予想される人数は38人になる、
というだけです。
単純に言えば、
100人全員辛い思いをして、
2人がトクをする、
ということです。
一般的に、貧粗な5%という数字を説明する医者もあまりいないようですが、
たとえ5%と言われても、
その意味をあまり良く理解しないまま、
多くの患者さんは、
その治療を受けておられます。
早期ガンのラッキーな5%も同じです。
ラッキーだから
治療しない道を多くの患者さんは選びます。
ガン治療で「絶対」はありません。
すべて確率の世界です。
私は、目の前の患者さんの状態、
およびガンの動きだけを診て、
その確率には支配されないように
そして確率を患者さんの望む数字に近づけるよう、
努力しているつもりですが、
標準治療は、
すべて確率だけに支配される世界です。
すなわち博打です。
命を賭けた大博打です。
そして、副作用と戦わなければならない辛い博打です。
数字の持つ意味は、
シッカリと理解していないと、
ご自分の考えてる世界とまったく違った方向に連れて行かれてしまいます。
以上 文責 梅澤 充