何回も書いているとおり、
現在の日本では、
治らないガンに対して、
標準的に最大耐用量の抗癌剤を治療を使った、
けっしてラクではなく、
そして、延命効果もごく僅かしかない治療だけが、
勧められます。
それだけしかありません。
あとは似非治療に騙され、
命とお金を捨てるだけです。
11月3日の「治らないガン」でご紹介した、
国立がんセンターが研修医向けに出版しているマニュアル本でも、
すべてのガン(悪性疾患)を
A群からD群までの4群に分類して、
ごく僅かなA群に分類される、
急性白血病など以外は、
抗癌剤治療では治ることは無いB群以下のガンであると、
研修医に教育しています。
多くの患者さんが悩んでいる、
胃ガンや大腸ガン、一般的な肺ガンなどは、
C群に分類されています。
すなわち延命効果もあまり期待できない、
症状の緩和やQOLの改善も主目的となる。
と定義されています。
そのような種類のガンに対して、
標準治療が、
「最善の治療です」などと言う医者もいるようですが、
本当にそんなことを思っている医者はいないと思います。
ご自分の身内の患者であれば、
別の方策を講じるはずです。
しかし、視点を変えれば、
最善の治療になります。
医者の身を守るには最善、最強の治療です。
また、医者不足が叫ばれる中、
一人の医者にかかる重圧は、
患者さんには想像できないと思います。
診なければならない患者さんは無数にいます。
そんな状況下では、
身長と体重だけですべてが決まり、
あとは白血球と血小板、肝機能、腎機能などの、
客観的な数字だけ見れば、
誰でも、ロボットにでもできる標準治療は、
一番お手軽です。
しかも、エビデンスという、
医者を守る最強の鎧まで着せてくれます。
医者にとっては、
重要なのはエビデンスではなくコンビニエンスです。
したがって、
強烈な副作用を嫌い、
「抗癌剤を大きく減量して治療をして欲しい」
と患者さんが懇願しても、
標準から外れた治療では、
エビデンスはありませんし、
逐一、ガンと患者さんの状態を把握して、
使うクスリの量と種類、治療頻度を決めていかなければなりませんから、
手間がかかる上に、
医者を守る鎧もはずされた状態になります。
そんな治療は、
現在の忙しい医療現場では、
ほとんどの場合不可能であり、
患者さんの要求は直ちに却下されます。
そのときに、
『「一筆書きます」と主治医に言っても行ってもらえなかった』
と言われる患者さん、ご家族をよく見ます。
皆さん「書きます」と医者に言っただけで、
書いてはいません。
すべての責任の所在をハッキリとさせて、
それを文書にして、
署名捺印をした書類を実際に持っていって、
それを医者に手渡すのと、
「書きます」と口で言うだけでは、
まったく意味が違います。
忙しい医者からすれば、
それは迷惑に感じる人間も少なくないと思います。
また、大学病院などで、
「エビデンス以外の治療は行わない」
と多くは建前上だけですが、
ハッキリ謳っている病院では、
患者さん、ご家族がどんな行動をとっても、
無理かも知れません。
しかし実際に患者さん、ご家族が、
口だけではなく、
そこまで実際に行動されたなら、
動かざるを得ないという状況に追い込まれる病院・医者も、
少なくは無いはずです。
むしろそれを望んでいる医者もいるようにも思います。
ほとんどの医者は標準治療だけを先輩から習い、
それから外れた治療は、
ほとんど行ったことがありません。
科学者として、
自分の知らない治療を見てみたい、
という気持ちも何処かにあるはずです。
「そんな量では効かない」
「責任は持てない」
などと、
エビデンスが無いというだけで、
「根拠の無い推測」や、
「持つことなどできない責任論」を持ち出す医者も、
たくさんいるようですが、
それは、現実の日本の医療状況下では、
責任問題の関係から、
医者自身の身を守るためには、
実行することが不可能に近いことに対する言い訳に過ぎません。
患者さんには、
激しい副作用で辛い思いだけを与えて、
その上で○○か月以内に半分の患者さんは確実に死に至る、
というお粗末なエビデンスに裏打ちされた治療が、
最善ではないことは、
こころある医者ならば絶対に思っているはずです。
「体力のあるうちにガツンといきましょう」
などという言葉を、
患者さんを通してしばしば耳にします。
「ガツン」は、
その体力のある患者さんご自身の肉体にも、
「ガツン」とダメージを与えてくれます。
症状緩和、QOLが目的という、
本来の治療の姿からは大きく外れています。
医者はそれを承知で、
その虚しい治療を勧めます。
それは「何でも訴訟」になりつつある日本では、
医者にはそれが一番安全な治療であることが最大の原因だと思います。
そこに、
すべての治療への責任の所在が、
明確に記載された書類が一枚手渡されていたならば、
状況は大きく変わる可能性もあります。
「一筆書きます」
などと口で言っても、
現実には書類は存在していませんし、
面倒な治療などしたくなく、
むしろ書類など持ってこられると迷惑に感じる医者もいますから、
患者さんのために、
虚しいエビデンスに背くようには動かないと思います。
言葉はそれを発した瞬間に消えます。
証拠にはなり得ません。
一方、文書は永遠に残ります。
その差は歴然とあることをお忘れなく。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
現在の日本では、
治らないガンに対して、
標準的に最大耐用量の抗癌剤を治療を使った、
けっしてラクではなく、
そして、延命効果もごく僅かしかない治療だけが、
勧められます。
それだけしかありません。
あとは似非治療に騙され、
命とお金を捨てるだけです。
11月3日の「治らないガン」でご紹介した、
国立がんセンターが研修医向けに出版しているマニュアル本でも、
すべてのガン(悪性疾患)を
A群からD群までの4群に分類して、
ごく僅かなA群に分類される、
急性白血病など以外は、
抗癌剤治療では治ることは無いB群以下のガンであると、
研修医に教育しています。
多くの患者さんが悩んでいる、
胃ガンや大腸ガン、一般的な肺ガンなどは、
C群に分類されています。
すなわち延命効果もあまり期待できない、
症状の緩和やQOLの改善も主目的となる。
と定義されています。
そのような種類のガンに対して、
標準治療が、
「最善の治療です」などと言う医者もいるようですが、
本当にそんなことを思っている医者はいないと思います。
ご自分の身内の患者であれば、
別の方策を講じるはずです。
しかし、視点を変えれば、
最善の治療になります。
医者の身を守るには最善、最強の治療です。
また、医者不足が叫ばれる中、
一人の医者にかかる重圧は、
患者さんには想像できないと思います。
診なければならない患者さんは無数にいます。
そんな状況下では、
身長と体重だけですべてが決まり、
あとは白血球と血小板、肝機能、腎機能などの、
客観的な数字だけ見れば、
誰でも、ロボットにでもできる標準治療は、
一番お手軽です。
しかも、エビデンスという、
医者を守る最強の鎧まで着せてくれます。
医者にとっては、
重要なのはエビデンスではなくコンビニエンスです。
したがって、
強烈な副作用を嫌い、
「抗癌剤を大きく減量して治療をして欲しい」
と患者さんが懇願しても、
標準から外れた治療では、
エビデンスはありませんし、
逐一、ガンと患者さんの状態を把握して、
使うクスリの量と種類、治療頻度を決めていかなければなりませんから、
手間がかかる上に、
医者を守る鎧もはずされた状態になります。
そんな治療は、
現在の忙しい医療現場では、
ほとんどの場合不可能であり、
患者さんの要求は直ちに却下されます。
そのときに、
『「一筆書きます」と主治医に言っても行ってもらえなかった』
と言われる患者さん、ご家族をよく見ます。
皆さん「書きます」と医者に言っただけで、
書いてはいません。
すべての責任の所在をハッキリとさせて、
それを文書にして、
署名捺印をした書類を実際に持っていって、
それを医者に手渡すのと、
「書きます」と口で言うだけでは、
まったく意味が違います。
忙しい医者からすれば、
それは迷惑に感じる人間も少なくないと思います。
また、大学病院などで、
「エビデンス以外の治療は行わない」
と多くは建前上だけですが、
ハッキリ謳っている病院では、
患者さん、ご家族がどんな行動をとっても、
無理かも知れません。
しかし実際に患者さん、ご家族が、
口だけではなく、
そこまで実際に行動されたなら、
動かざるを得ないという状況に追い込まれる病院・医者も、
少なくは無いはずです。
むしろそれを望んでいる医者もいるようにも思います。
ほとんどの医者は標準治療だけを先輩から習い、
それから外れた治療は、
ほとんど行ったことがありません。
科学者として、
自分の知らない治療を見てみたい、
という気持ちも何処かにあるはずです。
「そんな量では効かない」
「責任は持てない」
などと、
エビデンスが無いというだけで、
「根拠の無い推測」や、
「持つことなどできない責任論」を持ち出す医者も、
たくさんいるようですが、
それは、現実の日本の医療状況下では、
責任問題の関係から、
医者自身の身を守るためには、
実行することが不可能に近いことに対する言い訳に過ぎません。
患者さんには、
激しい副作用で辛い思いだけを与えて、
その上で○○か月以内に半分の患者さんは確実に死に至る、
というお粗末なエビデンスに裏打ちされた治療が、
最善ではないことは、
こころある医者ならば絶対に思っているはずです。
「体力のあるうちにガツンといきましょう」
などという言葉を、
患者さんを通してしばしば耳にします。
「ガツン」は、
その体力のある患者さんご自身の肉体にも、
「ガツン」とダメージを与えてくれます。
症状緩和、QOLが目的という、
本来の治療の姿からは大きく外れています。
医者はそれを承知で、
その虚しい治療を勧めます。
それは「何でも訴訟」になりつつある日本では、
医者にはそれが一番安全な治療であることが最大の原因だと思います。
そこに、
すべての治療への責任の所在が、
明確に記載された書類が一枚手渡されていたならば、
状況は大きく変わる可能性もあります。
「一筆書きます」
などと口で言っても、
現実には書類は存在していませんし、
面倒な治療などしたくなく、
むしろ書類など持ってこられると迷惑に感じる医者もいますから、
患者さんのために、
虚しいエビデンスに背くようには動かないと思います。
言葉はそれを発した瞬間に消えます。
証拠にはなり得ません。
一方、文書は永遠に残ります。
その差は歴然とあることをお忘れなく。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。