いよいよ今年も終わりですね。
大晦日の東京は雲一つ無い晴天です。
部屋の中の陽だまりは、
暖房を入れなくても、
暑いくらいです。
下の二枚の写真は、
一年中変わらない、
昨夜のおバカコンビです。
小次郎が独り占めしていたところを、
マタキチに占領され、
「ニィタン、ボクも入れてよ~」と、
無理矢理侵入を迫る小次郎と、
迷惑そうなマタキチです。
小次郎もお尻の病を持っているのですが、
アタマの中はいつもお花畑、
幸せです。
来年も一年間、
変わらない光景が展開されると思います。
来年一年が、
幸せな年になりますように。彼らほどにはいかないでしょうけれど・・・

来年もよろしくニャー❀♪以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
皮肉に溢れたコメントに対して、
昨日の
Empirical Therapyを書きましたが、
医療者には本当にエビデンスが大切なのですね。
年の瀬にもエビデンスです。
来年もエビデンスで始まるのでしょうね。医者にとっては、
ヒトを殺しても罪に問われない、
唯一無二のありがたい鎧ですから当然です。
しかし治らない癌を宿した患者さんにとってのエビデンスとは、
買ってしまうと絶対に払い戻しができない、
「天国への片道切符」でしかありません。切符の購入と同時に乗り込んだその列車は、
途中下車は許されません。
いくら乗り心地が悪くても、
粛々と運行されて、
確実に目的地に、
ほぼ定刻通り到着してくれます。
勿論、往復切符ではありませんから、
最終地点から戻ることは叶いません。
今年も何十万人もの元気な乗客を乗せて運行され、
すでにその目的地点に到達していることと思います。
一時停車していた時に脱走したはずの患者さんが、
車掌に見つかったのか、
年末に再び乗り込んだと電話連絡をしてきたかたもいます。
治らない癌治療の場合、
エビデンスとは、
「死への通行手形」
「天国への片道切符」
それ以上でも以下でもありません。その当たり前の現実を知っていれば、
馬鹿げた切符を買わされる被害者は、
相当に減ると思いますが、
乗客が減ると、
製薬会社も、
抗癌剤治療を専門とする医者も困ります。
製薬会社もソレ専門の医者も、
暖かいお正月を迎えることができるのは、
何も知らない乗客が居て、
その運転手・罐炊きという仕事に就けるからです。
しかし多くの犠牲者を出したからこそ、
到着時刻が、
少しだけ遅れる傾向が得られてきたのも事実です。標準列車に乗って、
今年旅立たれた患者さんのお蔭で、
5年後10年後の乗客は、
もう少しだけ長い旅を楽しむことが可能になると思います。
しかしある計算方法によると、
治らない肺がんで、
1年間の延命が得られると仮定すると、
一人当たり8000万円の薬剤費が必要という試算が出ていました。
その数字を如何に考えたらイイのでしょうか。
しかし標準列車の愚かさに、
騙され続けるほど、
人間はバカではないと思います。近い将来、
エビデンスに縛られた、
人間性を無視するような治療は、
執行されない時代が来ると思います。
今年もあと1日、
休息を楽しまれて、
素敵なお正月を。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
12月26日の「年末年始とエビデンス」に対して、
医療者でしょうか、
エビデンス崇拝主義のかたから、
コメントがありました。
その無作法に対して、
釘を刺すコメントもありました。
ご配慮ありがとうございます。
年末年始の休暇を理由にエビデンスを曲げることは問題に感じます。
しかしそもそもエビデンスが無い低用量治療についてはどのようにお考えですか?
エビデンスがないので、
生存期間も全く予想できない結末をたどる(もしかしたら良いかもしれない)、
ということですか?エンピリックセラピーのような感じでしょうか
Empirical Therapy
「経験だけに頼る治療」とでも訳すのでしょうか。
過去にも同様のコメントが何回かありました。
何故「エビデンスを曲げることに問題を感じる」のか不思議ですが、
投稿者が医者であれば、
休日返上で「エビデンスだけに頼った治療」を、
自ら実践すれば良いだけの話であり、
もしそれを受ける立場の人間であれば、
医療機関に懇願すれば、
それを実行してくれる病院も幾つかは見つかると思います。
投稿者は「エビデンスだけに頼る治療」が大好きのようですが、「〇ヶ月経以内に半分の患者さんが死ぬ」しかも軽重差はあれど100%の確率で副作用に見舞われる、
という素敵なエビデンスにしがみつきたいと考える患者さんは、
どれだけ存在するのでしょうか。さらに現在の標準治療では、無治療の場合と比較したデータすら存在していない。というオマケも付いています。何も知らされることがない、
形骸化してしまっているインフォームドコンセントに騙されて、
望まない治療を受けさせられているだけではないでしょうか。
そもそも、その魅力的なエビデンスがある、
といっても、
「半分の患者さんは〇ヶ月」というだけで、
副作用で即死の患者さんが出ることも事実です。
それもエビデンスです。何回も提示している、
あの
生存曲線が、
治療の開始とほぼ同時に低下しはじめることは何を意味するのでしょうか。
即死の患者さんの存在です。
この治験では、
ほぼ全員が末期がん患者とは思えない、
自覚症状も無く普通の生活を送っているPS.0の状態であり、
多少の自覚症状はあるも、
普通の生活を送ることができるPS.1の患者さんも、
少し混ざった900人近い患者集団です。
元気だった手術不能の肺がん患者さんが、
その治療を受けると即死者も出る。今日から治療を開始した肺がんの患者さんの3割程度は、
来年の桜を見ることもできない。そのような有り難いエビデンスがある治療を、
どのくらいの患者さんが望まれるのでしょうか。
10年以上前にエビデンスがあるとされていた標準的抗癌剤治療を、
私自身執行していた時に、
自殺で亡くなられた患者さんがいます。
細胞毒満載の標準的抗癌剤治療には、
「自殺企図」という副作用もあります。そのグレード5は、
自殺の完遂・成功です。再発予防のための抗癌剤治療の場合、
製薬会社が作ったエビデンスが真実であれば、
終生の延命効果については不明ですが、
僅かながら単位時間内での再発確率は減少し、
その時間内での生存確率は高くなるそうですから、そのエビデンスを信じてしがみつくことも悪くはないかも知れません。すべての治療は、
それを受ける患者さんの価値観で決められるべきですが、
高血圧や動脈硬化などの循環器疾患や、
糖尿病のような代謝疾患の場合のエビデンスは、
尊重されるべきところも多分にあると思います。
しかし手術不能の「治らない癌」の場合、
抗癌剤治療のエビデンスは、
「死への約束」でしかありません。約束された死に対して、
大きな副作用で、
生きている間の、
平穏な生活が奪われることを誰が望むのでしょうね。個性溢れる個々の患者さんを十把一絡げにして、
副作用死まで発生する、
同一治療に放り込むよりも、個々の患者さんの状況を診ながら治療を組み立てるほうが、
楽しく長生きできることは、
Empirical・経験的なことではなく、
自明の理です。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
本日は大塚北口診療所での最終診療日です。
(一般外来は年中無休です)
毎年ですが、
たくさんの忘れ得ぬ思い出が、
今年も残されました。
やっと一区切り終わったという感じです。
良い思い出は、
そのまま楽しく年越し。
良くないそれは、
重荷となってやはり年越し。
毎年毎年同じ繰り返しですが、
考えると自分自身、
大きく歳をとってきました。
今年は、
まったく原因不明のまま、
突然の緊急入院などで、
患者さんにも病院スタッフにも迷惑をかけるし、
次の一年を無事に過ごすことができるのか、
多少疑問に感じるときもあります。
哀しいことに人間は生まれてしまったからには、
いかなるかたちあろうと、
必ず死が訪れますし、
それが何時になるのかは、
神様にしか分かりません。ただ現在を、
未来に向かって、
楽しく生きていくことだけを考えて、
日々の時間を重ねるだけです。
治らない病と付き合っている患者さんでは、
それも生活を輝かせるアクセントになると思います。すでにそれに気付かれている患者さんも、
少なくありませんが、
まだのかたは、
「病を背負ったが故の幸福」もたくさんあるはずです。来年は是非、
その宝物を探してください。以上 文責 梅澤 充
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大塚北口診療所での私の診療は明日もありますが、
昨日の「年末年始とエビデンス」でも書いたとおり、
公立病院で治療を受けられている患者さんは、
明日からは、
文字通りの身体休めの休戦状態入っていることと思います。本日、標準的に大量の細胞毒の注入を受けてしまった患者さんでは、
寝正月になってしまうかたも少なくないと思いますが、初詣なんか行かないで、
寝ていてもお正月です。
身体を休めると同時に、
時間のあるこの年末年始、
現在の治療の継続が意味するところと、
ご自身が望まれている方向とが合致していることを、
再度確認してください。タイトに組まれたスケジュールに追いまくられると、
多くの患者さんでは、
強迫観念に縛られるかのように、
その予定通りに治療(儀式?)を受けなければいけない、
それが最善の道であり、
さらにそれが義務であるかのように錯覚してしまいます。しかし何回も書いているとおり、
治らない癌に対する多くの標準的抗癌剤治療は、
最善でも義務でもありません。
ある意味では、
標準治療は訴訟から免れるための、
医者の義務でもあり、
患者さんはそれに付き合わされているだけです。多くの患者さんにとっても、
ありがたい9連休です。
そして年末年始は、
離れて生活を送っているご家族とも、
ゆっくり話をすることができる、
良いチャンスだとも思います。
普段、離れて生活をしていて、
久しぶりに病を患う患者さんに会うと、
数か月前とは別人に変わっている姿に驚くこともあると思います。その原因の多くは、
経口食事摂取の不良、
すなわち栄養状態の悪化です。その姿を見てしまったら、
あまり長くは生きていることはできない、
と考えて、
シッカリ栄養摂取が可能になるような治療への変更や、
食事が楽しくなるような工夫をしてください。年に数回しか会わないご家族は、
毎日一緒に生活しているご家族には気が付かない、
別の「時間の目」を持っています。
その目は、
多くの他人の患者さんを毎日診て、
個々の患者さんには注目できない医者の目よりも、
遥かに正確だと思います。
本日の夕刻から、
すでに帰省ラッシュの渋滞がはじまるそうです。
万一病を抱えたご家族が待っている場合には、
ご実家に帰られたら、
先ず患者さんの顔色と仕草を、
シッカリと観察してください。その行為は、
患者さんに長く楽しい人生をもたらすと思います。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
フト気が付くと、
今年の年末年始のカレンダーでは、
12月28日土曜日から、
1月5日の日曜日にかけて、
日本のお役所や大手企業は9連休ですね。
土曜日は患者さんのニーズが高く、
休み難い大塚北口診療所では、
28日土曜日も、
1月4日にも診療があります。
それ以外の外来では、
私は休診ですが、
大塚北口診療所は年中無休です。
予期せぬ発熱や怪我、突然の病にはご利用ください。
僻んでいるのではありませんが、
公立病院では、
おそらく土日休みの暦どおりのお仕事だと思います。すなわち9連休中は、
「定時治療」「予定治療」はお休みではないでしょうか。毎週、隔週、3週間に1回の、
エビデンスに捕らわれて、
治療を続けてきた患者さんも、
休戦になることと思います。
日本ではクリスマス休暇を取る病院は多くはないようですが、
その代り、一年中、祝日・旗日が多く、
さらに年末年始・お盆と、
休日もけっこうたくさんあります。
その度にエビデンスが歪められているのではないでしょうか。「減量したら意味がない」が口癖の閻魔様も、
ご自身の休暇には忠実なのでしょうか。インターバルを延ばせば、
それは減量と同じことにもなりますが、
そこらへんのところは、
かなりファジーに扱ってくださるのですね。私自身、昨年の今頃は、
厳寒の北海道で、
地吹雪の中のドライブを楽しんでいましたが、
それはその時期、
大塚北口診療所でCTを最新鋭機に入れ替えるために、
CT室が工事のため使えない状態であったため、
勿怪の幸いとばかりに、
休みを取ることができたためです。
何回か書いているとおり、
昨年末に比べると、
一日あたりの外来患者さんの数は、
大きく減少しています。
それは飲む抗癌剤を多用して、
来院間隔を延ばしているからです。
飲む抗癌剤の最大のメリットは、
副作用がご自身で調節することができることです。同時に通院間隔が延びると、
患者さんも頻回な通院よりは、
のんびりとした生活が楽しめるようです。
それに私自身ラクになります。
エビデンスどおりの通院間隔に縛られている患者さんは、
今年のカレンダーは、
救世主かも知れません。でも本来、
通院間隔も、
ご自身で決めても良いのですけど、
日本人は真面目ですね。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
今年もあと7日で終わりです。
7回目の日の出とともに、
来年のお正月ですね。
今年も「余命〇ヶ月」宣告を受けた多くの患者さんが、
そんな数字は無視して、
来年を迎えることができます。
昨年に〇ヶ月だった患者さんもいます。
5年以上前に〇ヶ月宣告の患者さんもいます。
勿論、残念ながら力尽き、
年を越すことができなかった患者さんもおられます。
やはり1年を振り返ると、
哀しい別れのほうが、
強く印象に残っています。
今年に入り、
立て続けに膵癌に負けました。
勿論、標準時間は遥かにオーバーされていますが、
それでも、
治すどころか、
延命を得るのが精一杯です。
負けは、はじめからみえているので、
せめて治療での苦痛は最小限度に抑えて、
平穏な日常を楽しんでいただきましたが、
それでも結果に出遭うと、
哀しさだけが残されます。
他人の医者が思うのですから、
ご家族の心中は計り知れません。
がんという病では、
ご本人よりも、
残されたご家族様の苦悩のほうが、
遥かに大きいように感じます。
今年もあと1週間で終わりますが、
22日の冬至以降、
確実にお日様の出ている時間は延びています。
そして間もなく春も来ます。昨夜はハッピーな人もいたのでしょうけど、
ニワトリ君には最悪の厄日でした。明るいことだけを考えて、
楽しいお正月に向かってください。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
12月18日の「闇の中のがん治療」に対して、
以下のコメントがありました。
がん患者の腸穿孔って、起こしやすいのでしょうか?
どうして起こるのでしょうか?
私自身、卵巣がん、腹膜播種患者です。
緊急時、手術するのかしないのか、家族と相談しておかなくてはいけないですね。
以前、腹膜播種について今度詳しく説明を・・・
で、止まっている先生の説明もお待ちしています。
腹膜・腹膜播種については、
何回もそこそこ詳しく書いていますので、
探してみてください。
現在「ブログ内検索」の機能が上手く働いてくれないようです。
どうやってその機能を作ったのか、
その本人が現在まだ、
仕事復帰ができていませんので、
私には修理の仕方が分かりません。
以前、名無しの相談メールに対して、
「ブログに書いてあるから探してください」と返信したら、
「何月何日か教えないとは、なんと不親切な奴だ」と、
少々お門違いのお叱りを受けたこともありますが・・・
美味しいモノを食べたことは覚えていても、
その日付までは、
普通は覚えていません。
それはともかく、
腹膜の構造を、
文字で表現するのは、
相当に大変なことです。
以前のブログの文章もかなり工夫して書いています。
是非、探してみてください。
牛や豚などの解剖・解体をしたことがあるかたは、
その構造は簡単に理解できると思いますが、
ご自身のお腹の中の構造をシッカリ理解されているかたは、
多くはないと思います。医師免許を獲得するには、
学生時代に必ず人体解剖(勿論、死体)をしますので、
医者は理解していて、
本当に一目瞭然なのですが、
観ないと難しいです。
しかしYAHOOで「腹膜」を検索すると、
比較的分かり易い絵も出ていますので、
お知りになりたければ、
検索してみてください。
牛や豚は無理でも、
大きめのお魚のお腹の中も基本的に同じですので、
生のお魚を内蔵を壊さないように丁寧に開くと、
理解できると思います。
肝臓や胃袋や腸が出てきますが、
それらの臓器を包んでいる膜のすべてが腹膜です。
その腹膜にがん細胞が播かれた状態が腹膜播種です。小腸・大腸などの消化管の外壁にあたる腹膜にがんが存在していて、
そのがんが消化管の壁を破れば、
消化管穿孔が発生して、
細菌や胆汁に溢れた消化管内の胃液・腸液が、
腹腔内を汚染して、
細菌性あるいは胆汁性腹膜炎を引き起こし、
手術をしなければ命取りになります。
新鮮なお魚は、
お腹を開けても、
生臭くありません。
消化管を破けばそれが消化管穿孔であり、
即座に生臭くなります。お腹の中の構造をイメージすることができれば、
癌性腹膜炎=腹膜播種は、
容易に理解でき、
そして消化管穿孔発生の謎も分かると思います。
同時に腹腔内抗癌剤治療の理解にもつながります。
卵巣がんに対するアバスチンでは、
475例中22例の4.6%の頻度で、
消化管穿孔が発生するという集計データ報告もあります。アバスチンを使う以前の抗癌剤治療の回数、種類により、
その頻度に変化がありそうです。卵巣がんに対して、
アバスチンを気楽に、
しかし薬価の3倍くらいの値段で使っている施設もあるそうですが、
かなり慎重に使うべき薬剤です。
有名なイレッサは、
2%の致死確率で長い年月をかけた裁判がおこなわれました。
卵巣がんに限らず、
がんの腹膜播種と消化管穿孔、
腸閉塞は密接に関わっています。クリスマスの話題ではないですね。
Merry Christmas !!以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
一昨日の「年の瀬・続き」に対して、
意図は分かりませんが、
以下のコメントがありました。
日々の診療、お疲れ様です。
先生のところには忙しい外来の間などをぬうように
営業の人がこられたりしますか?
営業の方から様々な医学的情報を頂いたりするのでしょうか。
日々患者さんの予約状況は違いますので、
当日の朝、
製薬メーカーのMRという「営業の方」から、
「訪問したい」というアポが入り、
その日に空き時間帯があれば、
その時間帯に来てもらいます。
患者さんの予約時間がずれたりすると、
まだ患者さんが待合に残っているときに、
来てしまうことも時々あります。
何処の医療機関に行っても、
受付にも、
診察室にも、
治療室にも、
製薬メーカーや医療機器会社の名前の入ったティッシュやカレンダー、
ボールペンなどが見られると思います。「現金の札束」を持ってきてくれる「親切な」MRさん・営業の方はいませんが、
「販促品」といわれる、
薬剤の宣伝用品は頻繁に持ってきます。
そんなモノはドウでもイイのですが、
彼ら(女性もいます)が持ってきてくれる、
医療情報は極めて重要です。新たな副作用などが出た場合、
いち早くそれを報告する義務がMRさんには課せられています。勿論、自社製品に関する情報が多くなりますが、
他社の薬剤についてのデータも、
こちらから遠慮なく依頼して持ってきてもらいます。
一町医者では、
医療者向けネット配信のニュースソースもありますが、
学会の速報や、
ホットな論文をいち早く届けてくれるMRさんはありがたい存在です。
論文なども、
紙ではなく電子データ化して持ってきてもらっています。
正確な情報であれば、
その配達人は誰でもかまいません。
わざわざ「外来の間などをぬうように・・・」などは、
あまりありませんが、
必要な情報はこちらか、
携帯やメールでお願いしています。
それは極めて頻回です。
製薬メーカーのMRさんは、
たしかに「営業の方」でしょうけれども、
私は一医療者の仲間と思っています。少なくとも、
その会社の薬剤については、
医者よりも詳しい知識を持っているMRさんも少なくありません。
またMRさんは、
複数の医療機関を兼任していますので、
他の医療機関の情報を垣間見ることもできます。
分からない点、知らないことをイロイロと質問しても、
何も答えられないMR君もいます。
しかし、そのようなレベルの「営業の方」は、
即刻「出入り禁止」勧告を、
その上司に発行しますので、
少なくとも私のところへは、
二度と来なくなります。
それを数回繰り返して、
まったく来なくなった製薬メーカーもあります。
キーボードを
「seiyakugaisha」と叩くと、
「製薬会社」ですが、
ただ一文字「e」と「a」を打ち間違えて、
「saiyakugaisha」と入れると、
「災厄会社」になります。
病に苦しむ人間にとって、
大きな福音になるありがたいクスリを作ってくれるのも、
製薬会社であることは間違いないと思います。しかし、それを使う医者の手によって、
「災厄会社」にされてしまう、
哀しい側面も持っています。株式会社ですから、
利益の追求は当然の権利であり、
義務でもあるはずです。
それを病む人間のために、
上手に使いこなす使命があるはずの医者が、逆に、製薬会社に踊らされて、
患者さんに災厄をもたらしているのが、
現在の残念な標準的抗癌剤治療のような気がします。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
12月7日の「電磁波温熱療法」でも書きましたが、
がんに対する治療は幾通りもあります。
根治を目的にすることができるのであれば、
内視鏡手術なども含めて、
ガンを切除してしまう手術。
および放射線治療くらいしか、
確立された方法はありません。
幾通りもあるのは、
治らない癌に対しての治療です。
幾つもあるということは、
決定打が無いということを意味します。抗癌剤治療が専門の医者は、「抗癌剤治療しかありません」という言葉を簡単に使われるようですが、
そのときの「抗癌剤治療」のアタマには、
「標準的」という三文字が入ります。それは「標準的」にエビデンスどおりの時間で、
人生を終える。
ということと同義語です。しかも一般的には軽くはない副作用と、
大きな経済的、時間的損失を伴いながらです。
何回も書いているとおり、
現在、無治療と比較して、
標準的に辛い抗癌剤治療で、
延命効果があるのか否か、
もしあったとしても、
それがどの程度なのか、
まったく不明です。話しはチョッとだけ飛びますが、
昨夜はある地方都市の中核病院の外科医で、
手術後に切除不能の再発をきたした患者さんに対して、
大きく減量した抗癌剤治療に、
ハイパーサーミアを併用して、
副作用を極力抑えた治療で、
素晴らしい成績を上げておられる先生にお会いしました。
多くの実例を見せていただきました。大塚北口診療所よりも、
年齢が高い患者さんが多いようですが、
ハイパーサーミアは高齢者にも、
細胞毒とは違い、被害はほとんど伴うことなく、
安全にしかも健康保険で施行できて、
標準的時間で確実に死に至る、
細胞毒てんこ盛りの治療よりは、
遥かにお得です。現在日本では、
健康保険で実施可能な機械は、
100近くの医療機関で設置されています。
ネットなどで探せばご自宅近くでも実施しているかも知れません。
山手線大塚駅から徒歩1分もかからない、
大塚北口診療所でもおこなっています。
勿論、私の診療日以外の日にも実施しています。
他の施設で、
抗癌剤治療や放射線治療を受けながら、
ハイパーサーミアだけに通院している患者さんもいます。ハイパーサーミアは完全時間予約制で、
現在すべての枠の30%程度は空いているようです。
私の診療とは関係なく、
電話だけで予約を受け付けています。このページの左下の
「大塚北口診療所」から、
アクセスできます。
また、がん保険などの、
各種医療保険では、
ハイパーサーミア治療に対して、
特別な給付をしてくれるものもあるようです。
使い方次第では、
患部・身体だけではなく、
お財布も温まる可能性もあるようです。昨夜は十七夜くらいの美しい月が、
寒く輝くなか、
なんとなく暖かな気持ちで帰宅しました。
ただの飲み過ぎで暖かかったのではありません。
念のため。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
日頃の来院回数を減らしているツケが、
年末に回ってくるようです。
多くの患者さんが、
来年早々よりは、
年末に後片付けをしたいと考えるようです。
今年の診察日は、
本日を含めてあと4日。
年内は混みそうです。
今年最後の診療が終わると、
早々に旅行に行かれる患者さんも、
少なくないようです。
私ものんびりと行きたいですが、
がんを宿して、
それに対する治療中に、
長旅に出られる環境を作ることができることも、
大きな喜びです。
素敵な旅をお楽しみください。
そういえば、
ブルートレインが、
全廃になるそうですが、
旅の風情が無くなってしまいますね。
今年の春のお彼岸に青森まで新幹線で行きましたが、
アレは速いだけで、
車窓の景色を楽しむこともできず、
旅を楽しむ乗り物ではありませんね。
時間を買うのでしょうか。
来年になると、
また、余裕のある外来になると思います。
本日も時間がありません。
ブログは休診にします。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
今年も年明けに向けてカウントダウンがはじまりますね。
その前にダウンしちゃった知事さんもいましたが、
今年もたくさんの出来事がありました。
いろいろな患者さんにお会いしました。
そして大きな悲しみにもたくさん出会いました。
勿論、あり得ない喜びを持って、
一緒に来年を迎えることができる患者さんもたくさんいます。
毎年、毎年、年を越すことができるのは、
その喜びだけが支えです。
大塚北口診療所では最近は、
副作用のコントロールが患者さんご自身で可能な、
内服の抗癌剤を多用して、
来院回数を極力少なくしていますので、
1日当たりの診察患者数は、
昨年よりも大きく減少し、
私自身はかなりラクな生活をしております。
ただし今年の年末は、
診察予定日の日付の並びが悪く、
長い休みは取れずに、
旅行は断念しました。
一昨年は暖かい小笠原まで船で、
昨年は厳寒の北海道を船と車で旅を楽しみました。
今年はすでに北海道は2回行っているので、
石垣島あたりでのんびりを目論んでいたのですが、
カレンダーが許してくれませんでした。
治らない病を宿していても、
直ちに命が云々ではありませんので、
人生を楽しんでください。大塚北口診療所では、
抗癌剤治療中に海外旅行などに行かれるのは、
まったく普通のことです。
抗癌剤の点滴をおこなった当日に、
アフリカ行の飛行機に乗った患者さんには、
少々驚かされましたが、
彼は2週間ほどのアフリカ旅行から帰ってきたら、
腫瘍マーカーの数字が下がっていました???
ご本人に事情を訊くと、
「旅行中は規則正しい生活で、
飲む抗癌剤をいつもより、
キッチリと飲んでいた、
日本で仕事をしているときは、
ついつい忘れがちになっていた内服薬を、
シッカリと飲んでいた」ことが、
腫瘍マーカーを下げたようでした。
また副作用に対しては暖かい気候も幸いしたようです。
人生を楽しみながら、
病と付き合うというのも悪くはないと思います。
というより、
病があるからこそ時間が輝くように感じます。かなり時間に余裕ができた、
最近の大塚北口診療所ですが、
本日は年末で、
そこそこの忙しさです。
本日は終わりにします。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
「乳がんと受験生」に対して、
以下のコメントがありました。
再発乳がんの治療戦略を教えてください。
ファーストラインやセカンドライン、
それ以降などなど。
そんな質問に、
まともに答えていたら、
このブログ100日分でも足りないくらいの字数が必要であり、
現実的に回答不可能であることを、
よく知っている医者の嫌がらせか、
本当に何も知識の無い、
かなり悲しい患者さんからのコメントでしょう。
乳がんではホルモンレセプターの有無・多寡、
ハーツー蛋白の過剰発現の有無、
年齢や様々な遺伝子などなど、
数百通りの「ライン」が並んでいるでしょうね。
少なくとも吉野家のメニューよりは多いと思います。
乳がんに限らず、
再発がんでは、
エビデンスに則った「ガイドライン」なる、
文字通りの「生命線」が決められています。勿論、多くの種類のがんでは、
再発前は手術治療が第一選択であり、
(手術があるから再発があるのですが・・・)
その後の治療は、
再発予防では僅かながら、
再発確率の低下があるようなデータが出されていますが、
終生という長期間での延命効果は不明です。
さらに再発を認めた場合の治療戦略としての、
抗癌剤治療は、
「ファーストラインやセカンドライン、それ以降などなど」と、
癌に対して、さも攻撃的な言い方がされますが、じつは単純な防戦だけであり、
癌の侵攻による被害を少しでも食い止めるのが、
主目的であるのが現実です。しかし機械の目が長足の進歩を遂げている現在、
無治療と比較して、
それによる延命効果があるか否か、
あるいは延命効果があったとしても、
それがどの程度なのか、
まったく不明であるのが現実です。
「ファーストラインやセカンドライン、それ以降などなど」とは、
閻魔様が思案する拷問のメニューであり、
再発を観てしまった患者さんでは、
ミッドウェイ海戦後の日本軍のように、
防戦一方の戦局で、
勝利は無いことをシッカリと理解して、
多くの血を流す前に、
その「ライン」からは、
いち早く逃れて、
絶対に勝つことができない敵に見つからないように、
安全な防空壕に避難するべきだと考えます。真珠湾攻撃の夢を引きずると、
酷い目に遭わされます。
なお安全な防空壕の中で、
自爆用の爆弾を炸裂させる、
「ファーストラインやセカンドライン、それ以降などなど」は、
素人さんであれば、
一切考えないほうが無難です。どうしても知りたければ、
データがすべての××センターのような、
ブランド大病院で、
それを受けた結果も含めて、
セカンドオピニオンでもいただきに行って、
確認してください。
また各種の「ガイドライン」は、
医学部のある大学の内部の本屋や、
東京では紀伊国屋書店などに行けば、
私的出版社から書籍として発刊されていて、
一癌種5000円程度で買うこともできます。シッカリとその中身を見ることも、
悪くはないかも知れません。
閻魔様の内輪話も覗くことができます。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
かなり進行した状態で、
とりあえずの根治手術を受けられ、
その後の再発予防の抗癌剤治療を終えた患者さんが、
大塚北口診療所に来られていました。
それは珍しい状態ではありません。
一般的ながん治療の経過としては普通に観られることです。
残念なことに、
その種類の癌では手術後にお決まりの標準治療を執行しても、
そこまで進行した状態では、
治ることはほとんどありません。
患者さんは、
平均2年程度の無病気・経過観察期間を得られるだけです。
「治ったモドキ」の時間を楽しむだけです。
こころから「治って良かった」と思えるなら、
それはぬか喜びであっても、
再発が確認されるまでの至高の時間かも知れません。
「知らぬが仏」ということもあります。しかし、そうではなく、
ほぼ確実に再発をするであろう事実を知っている、
知識の豊富な患者さんもいます。
当然、再発リスクが極めて高い、
という事実を知っていれば、
少しでもそのリスクを下げたい、
あるいは再発を観るまでの時間を延ばしたい、
と考えるのが人情です。
乳がんのように、
5年にもわたり再発予防治療を続けるようなガンもありますが、
多くのがんでは、
半年から1年程度の標準的抗癌剤治療で、
「再発予防」が終わると、
すべての治療が終了して、
その先は何が待っているかいないのかも分からない、
真っ暗闇の世界です。
暗闇の中の道は、
天寿を全うするまで、
続いているのかも知れませんし、
一歩先は崖かも知れません。そもそも、再発予防だけではなく、
現在の標準的抗癌剤治療そのものが、
エビデンスという、
僅かに見える他人の残した足跡だけを頼りに、
真っ暗闇の中を、
粛々と進んでいくだけです。
その軌跡は突然の崖で終わっている足跡もあります。
それがエビデンスです。一昨日の「説明時間」でも書きましたが、
そんな状況にある実態など、
忙しい主治医から聞くことなどできません。
なんとなくエビデンスという、
大きな明かりの元を歩いている、
と勘違いさせられて、じつは何も見えない暗黒の道を歩かされていることは、
教えてもらえません。知識という明かりを持っている患者さんでは、
エビデンスなど無くても、
何らかの光が少しは見えてきます。
その明かりを頼りにすれば、
暗黒の道を歩むよりは、
少しは希望する方向に、
軌道修正することも可能です。やはりがん治療では、
知識が極めて重要です。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
乳がんは再発をきたしても、
その進行スピードは、
多くの場合とても緩徐です。
標準的に大量の細胞毒で、
おおきくQOLを落とすくらいなら、
無治療・放置のほうがまだマシなほど、
のんびりしているタイプのほうが一般的です。勿論、大塚北口診療所で、
再発乳ガンに対して、
無治療・放置という患者さんはいません。
普通の日常生活を失わないような治療はおこなっています。穏やかな進行と言っても、
局所再発で切除が可能な再発乳ガン以外では、
いくら厳しい治療(拷問?)を執行しても、
根治はほとんど期待できません。
皆さん気長にガンと付き合っていただいています。
そうような穏やかな経過を見せてくれる乳がんでも、
意外な大敵もいます。以前にも書いたことがありますが、
毎年、今くらいの季節から、
病態の悪化を見せる患者さんがいます。
その原因は、
どうもお子さんの受験にありそうです。
悪化の理由がハッキリしないときには、
患者さんにイロイロとしつこく話しを訊きます。
そのとき、
「じつは来年息子の受験で、
塾から帰ってくるのを待っていたり、
夜食を作ったり、
朝早く起きてお弁当作ったりと、
睡眠時間も短くなっている」という、
子供の受験に駆り出されている母親の姿があります。
当然、科学的な根拠・エビデンスはありませんが、
一町医者の拙い経験からは、
明らかに、
睡眠時間の短縮、
精神的な大きなストレスを、
がん細胞君たちはとても喜ぶようです。親御さんが、
お子さんの受験を心配するお気持ちは、
分からなくもありませんが、
親がいくら頑張ったって、
それがお子さんの合格につながるものではないと思います。
むしろ子供の目から見れば、
迷惑なプレッシャーだけかも知れません。
お母さんとご主人以上の成績を期待するのは、
無責任です。
第一、お子さんが一番願っているのは、
お母さんが元気でいてくれることではないでしょうか。がんを宿したお母さんが、
お子さんにしてあげられる最大の援助は、
季節柄インフルエンザなどのウィルスを、
家の中に持ち込まないことです。
東京では学業の神様をお祭りしてある湯島天神が有名で、
受験シーズンには、
大混雑するようです。
間違ってもそんなところには近付かないで、
ネットでお守りでも買ってあげることですね。
湯島天神のお守り、
アマゾンにあるかしら?ネット販売をしていたら、
チョッと笑っちゃいますね。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
患者さんやご家族とセカンドオピニオンなどで話をしていると、
すでに治療を開始されているかたでも、
「こんなに詳しく話しを聞くのははじめてだ」
「主治医はチョッと話をしただけで、それでお終い」
「質問もろくにできない」
などということはしばしば耳にします。
インフォームドコンセントなどという言葉が、
如何に危うい存在なのかよく分かります。病状、それに対する治療が如何なる意味を持つものか、
ほとんどの患者さんは理解されていません。
「抗癌剤治療しかありません」
と言われていても、
他の手段も十分に残されている患者さんも少なくありません。しかしそれは当然です。
制限時間内で多くの患者さんを、
診なければならない、
あの忙しい外来診療などで、
個々の患者さんに、
詳しい話などしている時間など、
物理的に作ることはできないのです。
あの忙しい大病院での患者数と医者の数を比較すれば、
すぐに分かると思います。
治療途中の経時検査が異常に少ない、
ほとんど行わないのも、
検査機器の数に対して、
入院・外来の患者数が、
あまりにも多過ぎるためです。ご自身が唯一無二の存在であるはずの、
個々の患者さんは、
その他大勢のうちの一人に過ぎません。
大病院では、
総合デパートのように、
何でも揃ってはいます。
しかし展示品が多いだけで、
一人の患者さんが買うことができる品物は、
限られていて、
しかもすべてエビデンスというブランド名の既製品だけです。魚売り場でも、
お刺身1人分だけ、
という注文はできません。
食べ過ぎでお腹を壊すことになっても、
一匹丸ごと買わなければなりません。
街の魚屋、八百屋、
総合デパートを、
上手く使うのが、
賢い消費者だと思います。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
本日の東京は、
一日中、
雲一つ無い、
真っ青な快晴でした。
部屋の中に居ると、
暖房無しでもポカポカ陽気でした。
日当たりでは暑いくらいでした。
そんななか、
二匹のバカ猫は、
一日中お日様を求めて、
部屋の中を少しずつ移動していきます。
彼らを観ていると、
日時計のようです。
醜い姿だけで、
顔は勘弁してと訴えているようですので、
のんびりと日向ぼっこをしている、
奴らの醜態だけお見せします。
主人に似たのか、
又吉は本当にデブ猫になってしまいました。
背後の小次郎(旧姓チョロ松)は、
一時期お尻を病んでいたましたが、それもすぐに忘れたおバカですし・・・お日様の温もりだけを求め、
他は何も考えない、
のんびりの一日も、
イイものですね。

以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
昨日の
「がん・標準的抗癌剤治療のウソ」で、
治ることなどないことが大前提の標準的抗癌剤治療で、
「希に治る患者さんもいる」
「時々、治る患者さんもいますよ」などと、
有り得ないウソを吹き込まれた患者さんは、
少なくありません。
私が今まで診てきた患者さんでも、
相当数に上りますので、
日本全国では、
かなりの数の患者さんが、
騙されて治療を受けているように思います。様々な理由があることは、
昨日書きましたが、
フト考えると、
何故、そんなあからさまなウソをつくのか、
不思議に感じました。
一つの理由は、
それを発した医者は、
ウソだとは思っていないのではないでしょうか。
標準的な抗癌剤治療により、
存在していたガンが、
一時的に見えなくなることは、
珍しい現象ではありません。
しかし「治った」のではありません。
いずれ確実に再発してきます。現在大塚北口診療所でおこなっている、
標準ではない、
副作用を最重要視した、
「効くはずがない」と言われるような量での抗癌剤治療でも、シッカリ見えていたガンが、
画像診断や腫瘍マーカー上、
消えてなくなることは珍しくありません。しかし治療を止めれば、
また姿を現します。
だから継続可能な治療でなければ、
長く治療を続ける、
すなわち長く生きていることはできません。
話しは逸れましたが、
医者は医学部を卒業して、
医師国家試験に合格すると、
紙切れ一枚の医師免許証を取得することができます。
紙切れ取得後には、
大規模な研修病院に派遣され、
その後、たくさんの病院を異動する運命が待っています。
所謂「転勤族」みたいな存在です。前の病院で標準的抗癌剤治療により、
「治った」と錯覚していた患者さんが、大学などの命令で、
他の病院に異動後に亡くなれても、
その事実は元の主治医には知らされません。そのような状況下であれば、
その医者のアタマの中では、
「治った」と錯覚したままで記憶に留まります。
それは私自身でも経験があります。
大学から派遣で勤務していた病院で、
1年間に6人の肺がん患者さんが、
外科に来られて、
5人が手術可能でした。
その後、私が在任中は再発も無く経過しましたが、
再び大学病院に戻されて、
1年後に再赴任した時には、
手術をした5人の患者さんは、
全員、再発して亡くなられていました。
手術不能だったお一人の患者さんだけが、
生存していました。
その事実は、
再赴任したから知ったのであり、
別の病院での勤務を命じられていたら、
私のアタマの中では、
手術をした5人の患者さんは、
終生生きていた、
「治った」と錯覚していたと思います。一般的に医者の異動では、
同じ病院に行く機会は、
そう多くはありませんから、
断片的な経験だけを考えると、
「治った」と錯覚しても、
けっして不思議ではありません。標準的抗癌剤治療で「治った」とは、
客観的に見れば大ウソですが、
個人の医者のアタマの中では、
本当に「治った」ままで、
時間が止まっているということも、
十分にあるような気がします。
しかし治ることはないことが事実・現実であり、
個々の患者さんは、
終生、医者の異動に付き合うのではなく、
病院と付き合うのですから、
主治医の勘違いに巻き込まれないようにご注意ください。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
昨日の「恫喝のがん標準治療」でも書きましたが、
標準的抗癌剤治療に引きずり込むために、
閻魔様は患者さんを散々恫喝します。治ることなど起こり得ず、
はじめから死ぬことが大前提の標準治療で、「希に治る患者さんもいる」などという、
とんでもないウソ、騙しの口上まで並べる閻魔様まで、
存在しているようです。そこまでしなければならない理由は、
多くの患者さんが、
抗癌剤に対して、
良いイメージなどあるはずがなく、
極めて恐ろしい毒薬という、
正しい認識をお持ちですから、
無治療の場合に起こり得る、
架空の筋書きを提示して、
恫喝でもしなければ、
多くの患者さんが逃げてしまうからです。
しかし、そうまでして、
標準治療に引きずり込もうと勧誘するには、
いろいろな理由があります。表向きの大義は、
「患者さんのため」でしょうけれども、
あのようなお粗末なエビデンスに対して、
本気でそう考えて、
「治療」などとは思えない、
拷問のような行為を執行しているとは、
到底、考えられません。
裏の事情は様々ありますが、
もう一つの大義は、
「医療の進歩のため」いう現実もあります。
たしかに膵癌のように、
極めて厳しい予後の病では、
「地獄への案内人FOLFIRINOX」などでも書きましたが、
高々10年ほど前まで、
発見されるや、
本当に平均半年程度しか生きていることができない、
まったく無力ともいうべき医療が、
平均(生存期間中央治値)11ヶ月を僅かながら超えた、
ということは、
人生を二倍近くにさせたのですから、
極めて大きな進歩だと思います。
過酷な副作用に対しては、
今後の課題として、
人柱を立て続けながら、
一歩一歩進化していくと思います。その「医療の進歩のため」、
そしてそれを実行する医者の育成のため、
という大義も、
大学病院や、その関連病院、××センターなどでは、
第一義におかれている可能性も十分にあります。その他にも、
大義とは言えない、
医者や製薬会社の様々な「思惑」もあります。
現実を知っている一医療者としては、
どれも悪とは言えない、
仕方がない実際だと思います。しかし個々の患者さんにとっては、
あまりありがたい現実ではないと感じます。
少なくとも、
目の前の主治医が、
自分のためではない、
まったく別の方向を見ているとしたら、
それは大きな悲劇です。
しかし残念ながら大規模病院では、
ご自身の視線と、
主治医の視線が一致していることは、
一般的にはありません。視線の先をシッカリと確認しないと、
標準治療の大きなウソに嵌ってしまいます。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
がん治療の有名ブランド病院などでは、
手術が可能であれば、
当然、外科医が手術を執刀します。
それが根治手術であれば、
そして手術後の再発予防の抗癌剤治療から逃れれば、
手術後の経過は外科医が診ます。
しかし不幸にして再発が確認された後は、
再手術が可能な場合を除き、
外科医の手を離れ、
腫瘍内科医のもとに出頭させられます。そこでは、
標準的抗癌剤治療を受けないと、「ああなる、こうなる、そして死に至る」と散々恫喝されます。その恫喝から逃げて来られる患者さんは、
しばしば見ます。
たしかに無治療で放置した場合には、
ほぼ確実にガンの悪化をみて、
再発が確認された当初は、
まったく感じなかった自覚症状が、
徐々に出はじめ、
全身に辛い症状が発現して、
やがて死に至ります。
その自覚症状が出て来ても、
「無治療・放置」で死に至るまで耐え抜くほどの、
強靭な精神力をお持ちの患者さんは多くはないと思います。いずれかの時期に、
インチキ治療や標準治療も含めて、
何らかの治療に逃げることになります。それが無治療・放置にした場合の現実ですが、
「抗癌剤治療を受けないと・・・」
という恫喝の文言には、「それを受けるとドウなるか」についての説明は、
多くの場合、
省略されているようです。「無治療ならば〇ヶ月以内に半分の患者さんが亡くなる」
「標準治療を受けたならば〇+αヶ月」というようなエビデンスについては、
説明されません。
当然そのαヶ月を得るために、
どれだけの苦痛を伴うかについては、
一切触れられないようです。じつは何度も書いているとおり、
「無治療ならば〇ヶ月」という言葉自体、
真実ではありません。「20年前の性能の悪い古い機械で発見された、
切除不能の治らない癌の場合」
という枕詞が無ければ、
「無治療 = 〇ヶ月」はウソです。標準治療に引きずり込むための、
騙しの口上です。
現在、無治療でのデータは存在していません。緩和ケアも20年前と比較にならないほど進化した現在、
さらに長足の進歩を遂げた、
鋭い機械の目で見つかってしまった、
治らないけれども微細な癌であれば、
おそらく〇ヶ月ではなく、
〇+βヶ月になっていると思います。
そして「β>α」という可能性も十分にあり得ます。
そのβヶ月を得るためには、
副作用はまったく無く、
お金もかかりません。多くの患者さんご家族は、
閻魔様の恫喝の前には、
一言も言えず、
ただひれ伏して、
大きな副作用の後の確実な死が待っている、
標準的抗癌剤治療を選択せざるを得なくなります。
しかし標準治療の実態を、
十分に確認してから、
ご自身の人生を決めてください。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
本日は久しぶりに忙しい外来でした。
本日もブログは休診にします。
ブヒィー
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
本日の大塚北口診療所での診療は休診でしたが、
休診日には、
雑用が殺到します。
時間がありません。
本日はブログも休診にします。
ポツポツとインフルエンザが発生しているようです。
予防はご自身しかできません。
ウガイ、手洗い、マスクをお忘れなく。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
昨日の「エビデンス」に対して、
以下のコメントがありました。
以前から先生も言われているように、
中には抗がん剤治療で治ると言われているグラフを見ると、9割以上のもあり、
それらの人は元気に過ごしている人が多いかなと思うので
受けるべきとは思いました。
ひやかしのコメントだとは思いますが、
正直、かなりビックリしました。治療開始直後から、
がんを宿しただけの罪で、
元気だった罪人が処刑されて死んでいく。
それでも受けるべきだと考えるとは、
人生を達観できた達人でしょうね。
未熟な私は、
親類縁者を含めて、
絶対に拒否します。
その処刑を受けてくれる有り難い患者さんが存在すからこそ、
ヒトでの動物実験のようなデータが得られるのですが。その治療を受けてくれた患者さんは、
国と製薬会社から、
国民栄誉賞をいただくべきでしょうね
ただし残念なことに、
それを受けるのはご遺族になりますが。やはり現在の日本では、
「抗癌剤一発ブテば、治るっぺや、なぁ先生」の世界が9割なんですね。
我が家のチョロ松、
改め小次郎は、
呑気な顔をして寝ています。
日本は平和な国ですね。邪心を持たずに、
製薬会社と閻魔様のために、
標準治療を受けることをお勧めします。日本でも戦時中に、
「闇米喰ってでも生きろ」
なんて言っちゃたら、
非国民とみなされて、
死刑になっちゃたかも知れません。
栄養豊富で美味しい配給米だけをお召し上がりください。多分、配給米だけでも、
9割くらいの日本人は生きていたかも知れませんね。配給米だけでは、
おそらく、私のような半端モノは、
この世に生れていなかったと思います。
秩序のただし日本国になっていたと感じます。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
一昨日の「がんと食事」に対して、
以下のコメントがありました。
梅澤先生は海老デンスをあまり良く思っていないようですね。
海老デンスは生存期間や無再発のデータ。
しかし、データが出ているということはある意味限界値が決まっているので
あまり重視しないということでしょうか。
発表されているデータよりも未知数な確立されていない方法のほうが
良いということでしすか?
「海老デンス」なんて、
お洒落な言葉ですね。
何回も繰り返しているところを観ると、
タダの変換ミスではないのでしょう。
私は個人的に「デンスな海老汁」は大好きです。
寿司屋でも他の客に使った海老のアタマだけを集めて、
味噌汁仕立てにしてもらうと、
刺身よりも遥かに美味しくいただけます。
海老汁ラーメンもイケますよ。
しかし、がん治療に対するエビデンス・Evidenceは、
多くの場合、
如何なものか考えてしまいます。
「良く思っていない」
「重視しない」
こともありません。とても感心を持って
素敵な数字の比べっこをして嘆いています。
そしてあのお粗末なデータは、
最低限度の数字だと考えます。情報収集能力のある患者さん、ご家族は、
後悔をしないために、
その真実をシッカリと見極めるべきだと思います。何回もしつこく提示している、
下の死亡曲線が、
何を意味するのか十分にお考えください。
ちなみにこのグラフでは、
確実な死亡が確認されていない患者さんは、
生きている患者としてカウントされています。

なお、同時時代の、
同じ程度の病状の患者さんで、
無治療で経過観察をおこなった患者群のデータは存在していません。PS.0 or 1の元気な肺ガン患者さんでは、
無治療でも半分が、
1年以内に死ぬことはないでしょうし、
治療開始直後から、
死亡曲線が下に動き始めることもないように思います。治らない癌に対するエビデンスとは、
如何なるものか、
美味しい海老汁でも啜りながら、
よく考えてください。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
がん治療では、
何回も書いている、
根治を目指すことも可能な、
手術治療、放射線治療という二大一軍治療の他に、
延命効果があるかも知れないという、
二軍の抗癌剤治療という三つの治療が主役です。
その他にも、
大塚北口診療所でもおこなっていますが、
免疫細胞療法という、
再発予防や抗癌剤治療の副作用対策には有効と思われる選択肢もあります。
さらに健康保険で認められている、
電磁波温熱療法、
通称ハイパーサーミアという選択肢もあります。現在、日本では、
日本ビニターという会社が製造している一機種だけしか、
健康保険では認可されていません。
大塚北口診療所でも、
その機種を導入しています。
大きな患者数でのエビデンスと云われる数字は出ていませんが、
幾つかの大学病院でも、
抗癌剤治療と併用で、
有効性は報告されています。
大雑把に言うと、
がん細胞が、
正常細胞と比較して、
熱に弱いという性質を利用して、
通常、身体の前面と背面に、
大きな電極を当てて、
その間を電子レンジ状態にして、
身体の深部を43℃程度に加温する治療です。
エビデンスはありませんが、
というより、
そんなモノどうでもイイのですが、
たしかに抗癌剤治療との併用効果はあるように感じます。
少なくとも、
抗癌剤のように実害は非常に少ないですから、
治らない癌に対しては、
大きな選択肢の一つだと思います。勿論、健康保険適応などあり得ない、
体表面だけを温める「〇〇温熱療法」とは、
まったくの別物です。
電磁波温熱療法では、
全身もポカポカしますので、
湯当たりして温泉に入ることができない、
サウナは1分もダメ、
という患者さんでは、
あまり向いていないとも思われます。
最近、明らかに温熱療法が有効と思われる患者さんを診ました。
その患者さんほどの腫瘍縮小効果を期待はしていませんが、
抗癌剤治療の効果を向上させて、
延命につながることは十分に考えられます。治らないガンに対する治療では、
いくら辛い思いをしても、
文字通り治らないのですから、
副作用が極力少ない治療から選択するべきであり、
その点、ハイパーサーミアは、
理にかなっている治療だと思われます。暑い夏には、
身体がさらに暑くなりますが、
寒い冬には、
からだポカポカでお勧めです。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
「がんと食事」の関係は何回もしつこく書いています。
人間、食べなければ生きていけません。
逆に食べていれば、
簡単には死にません。
「食事療法の虚しさ」を書いた、
7年もむかしの記事に対して、
食生活、見直さないで何を見直すのですか?
がん患者は、好きな食事どころか、
食事そのものが受け入れる事が出来ないのです。
末期がんの母親、自家製野菜ジュースで食欲が出てきました。
事実です。医者は既に見放していました。
このサイトは非常に偏ったデータで話をされていると思います。
というコメントがありました。
主治医に匙を投げられたなら、
他の医者を探す一方、
食生活を見直してみる、
という行為も悪くはないと思います。
お呪いだと思われますが、
「自家製野菜ジュース」で、
主治医が見捨て、
途絶えてしまったガンへの対抗策が、
復活すると考えることができるならば、
立派な治療だと考えます。
お呪いが効くヒトが存在することも事実です。しかし「自家製」とは、
何処まで自家製か分かりませんが、
ご自身の畑で無農薬で作った、
取り立て手作り野菜は、
たしかに美味しいですね。
それをジュースにしても、
とっても良い味に仕上がるように思います。
そんなジュースであれば、
私も毎日飲みたいですね。
しかし末期のがんを背負う患者さんに、
食欲が出てきた原因は、
その野菜ジュースの美味しさだけでしょうか。主治医に見捨てられるまでに、
抗癌剤治療などは行わなかったのでしょうか。
もし何らかの治療が執行されていたとすると、
それによる食欲不振が、
治療を中止したことにより復活しただけでもあるように感じます。
それはよく見る現実です。
あるいは、
それよりも、
自家製野菜ジュースを親御さんのためにわざわざ作ってあげるという、
現在の医療には無い、
ご家族にしかできないその優しい、
本来の「手当て」と思われる行為こそが、
患者さんに生きる気力を与えているのではないでしょうか。一昨日の
「治らない癌」をはじめ、
何回も書いているとおり、
がんの存在だけでは、
簡単には人間は死にません。
多くの場合、
がんの進行および、
大量の細胞毒攻撃などにより、
経口食事摂取が不足してきて、
その結果、全身状態の悪化を招来します。そしてエネルギーが無いが故に、
上体を起こしているのも辛くなり、
一番ラクな姿勢、
寝たきりの状態になり、
早晩、餓死という最期を迎えます。それに対抗して、
自家製野菜ジュースが、
如何なる理由であれ、
食欲を本当に回復させてくれれば、
極めて有効な治療・手当だと思います。
しかし当然、野菜ジュースだけでは、
1日数十~数百カロリーしか摂取できませんから、
生命を維持することは不可能です。回復した食欲を利用して、
1日最低1200カロリーの摂取を目指して、
食生活を組み立てれば、
楽しい正月を迎えることは可能であるように感じます。
コメント主の患者さんの全身状態は分かりませんが、
口からの栄養摂取が不可能であれば、
野菜ジュースだけしか飲めないのであれば、
確実な餓死が直ぐ近くで待っています。中心静脈栄養が可能であれば、
それを受けて餓死を防ぐことも大きな選択肢です。
それは在宅でも可能な、
栄養補給、すなわち生命維持の治療です。野菜ジュースで食欲が回復するなら、
それは積極的に摂ることに何の問題もなく、
是非お勧めです。
しかし生命を支えていくのに、
十分なカロリーの摂取ができるようにすることが、
最大の問題です。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
月初恒例のレセプト点検、
個々の患者さんの健康保険者に対して、
その医療費を健康保険請求する理由を、
逐一説明する症状詳記という、
作業は終わりましたが、
薬剤費の高さには、
呆れるのを越して、
溜息が出ます。大塚北口診療所での抗癌剤治療では、
入院が必要になるような拷問はありませんが、
「はじめての治療だから心配」
「遠方のため日帰りは疲れる」
「せっかく医療保険に入っているから」
などの理由で入院治療になる患者さんもいます。
しかし多くは外来通院治療です。
入院でも外来でも同じですが、
外来治療だけで一月の薬剤費が、
100万円を超える患者さんも少なくありません。
50万円を超える患者さんはゾロゾロいます。
現在通常使っている薬剤で、
高額代表はアバスチン、パージェタジェという分子標的薬と、
アリムタという細胞毒に分類される抗癌剤です。
アリムタは吐き気が出てしまう患者さんもいますので、
大きく減量して使う患者さんも多いのですが、
アバスチン、パージェタは、
副作用と使用量に相関関係はなさそうですので、
標準量で使っています。
その他にも、
薬価は発売当初よりはずいぶん下がりましたが、
ハーセプチンもいまだに安くはありません。
アービタックス、ベクチビックス、アブラキサンなどでは、
副作用が小さくないので、
量を抑えて使っていますが、
標準量だと大変な値段になります。
薬剤費用が高く、
結果として患者さんの医療費が高額になっても、
健康保険での薬剤ですから、
患者さんは、
むしろ高くなる方が、
高額医療の恩恵に与り、
高い薬価はあまり問題にはなりません。勿論、その高額限度額の負担もけっして小さくはないと思いますが、
それ以上の金額は支払う必要はなく、
自費診療のように、
青天井ということはありません。
その点、健康保険はありがたい制度だと思います。
しかし医療機関の負担は非常に重くなります。
現在の医療制度では、
いくら高額な薬剤を使っても、
医療機関の利益にはつながりません。
薬剤の卸価格と販売価格(医療費)とは、
ほぼ同額です。
薬剤での利益は発生しないようになっています。
現状では薬価10万円の薬剤を医療機関が、
問屋から購入する際には、
9万数千円の価格で買いますが、
その値段に消費税が課されます。
一方、医療費には消費税はかかりません。
したがって、
買値と売値がほぼ同額になります。
今後消費税が8%、10%になった時に、
ドウなるのか、
使う分だけ赤字が出るような仕組みになってしまったら、
抗癌剤治療など、
民間病院ではおこなうことができなくなります。
その点は製薬会社とお国が、
ナンとかしてくれると思いますが、
心配は残ります。
さらに「買値 ≒ 売値」は、
それでいいのですが、
じつは、在庫保持や期限切れ、破損の問題を考えると、
高額な薬剤は医療機関にとって、
大きな重荷です。
医療機関では、
今月使った、あるいは在庫を置いた薬剤費用は、
今月末か来月初めに支払います。
しかし健康保険報酬は数ヶ月遅れて、
医療機関に入ってきます。
幸か不幸か現在の日本では、
金利が低いので何とか持ちこたえていますが、
金利が高くなったら、
現在の高額な薬剤がバンバン飛び交う抗癌剤治療は、
国公立の大病院での、
標準治療だけになるかも知れません。医療は奉仕活動と思われているかたもいるようですが、
医療従事者も一国民ですから、
医療機関は利益を上げなければ存続できません。恒例のレセプトを見ていて、
溜息が漏れます。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
ガンを十把一絡げにして、
すべての治療を拒否して、
無治療・放置を布教する輩もいるようですが、
手術・放射線治療などで、
大雑把に言って半分のガンは治ります。
したがって、
治るうちに見つけて、
根治を目指すべきだと考えます。
一方、治らない状態に至ってしまったガンに対しては、
考え方は様々です。
昨日の「肺がんと結核」をはじめ、
何回もかいているとおり、
肺がん、胃がんなどなど、
多くの種類の治らないがんに対する、
標準治療のあまりにも虚しい数字・エビデンスには、
呆れるばかりであり、
あんな治療とは思えない、
タダの生前儀式を受けるくらいなら、
無治療放置のほうが、
余程マシだと考えています。しかし、抗癌剤という、
江戸時代には無かった、
人間の英知の結晶でもある武器を、
賢く使う方法もあるように思います。
ちなみに抗癌剤の発端は、
本当に戦争のために開発された武器であり、
パクリタキセルなどは、
原住民の狩猟の時の、
毒矢に使われていた(る)と聞いたことがあります。
それはともかく、
治らないガンを宿した患者さんでは、
ただ慌てふためくばかりで、
その病の本質、
ご自身の人生そのものを見失う患者さんも少なくないように感じます。
そのレスキューのために、
肉体的・精神的に何か考える余裕をすべて奪い去る、
洗濯機の渦の中に放り込むような、
最大耐用量の標準治療は存在しているのかも知れません。しかし、ひとまずそこから逃げてきた患者さんでも、
現実を直視できないかたは少なくありません。自覚症状を発生しているガン、
それだけが気になり、
不安だらけの生活を送る。
「治らない = すぐに死ぬ」との勘違いから、
終生怯えながらの人生を終わる。
などなどお気の毒な患者さんはたくさんいます。この1週間ほどのあいだに、
栄養状態が極端に落ちていて、
「このままだと、来年を迎えることはできませんよ。
直ちに在宅中心静脈栄養をはじめましょう」と宣告(言った)した患者さんがお二人います。
同じくらいの年齢で同性の患者さんです。
一人は大塚北口診療所でもできたのですが、
ご自宅近くの病院を選び、
大塚から来院当日その足で駆けつけ、
そのまま入院。
2日後にその病院に確認すると、
「中心静脈栄養をはじめたら、すぐに別人になったよ。
今朝診たときには食事も摂ってた。」と言われました。
楽しいお正月を迎えることができると思います。
もうひとかたは、
一月以上も前から、
同じことを何回も繰り返し説明しても、
自覚症状を発生させているガンの存在だけが気になり、
栄養状態なんか無視。
「来年のお正月」という、
具体的なことを話すと、
今度は、
「自分はあと一月以内に死ぬ」と勘違い。「標準時間」はとうに過ぎていますが、
「栄養補給を十分に行えば、
すぐに命を落とすような状態ではない」ことを話しても、
「来年の正月」という言葉だけが、
アタマを支配して、
なかなか行動は起こすことができない。「治ることはありません」
ということは、
2年近く前から繰り返しお話ししても、
どうしてもその現実を受け入れることができず、
そこから目を反らすことだけを考える。
最終ゴールがチラチラ目に入りだしても、
現実を受け止めることができない。
昨日も書きましたが、
ガンの存在だけでは、
人間は簡単には死にません。しかし栄養不足に陥ると、
本当にビックリするほど速いスピードで、
全身の体力が失われて、
あっという間に逝ってしまいます。死にたいと願いながら、
がん治療を続ける患者さんはほとんどいないと思います。
生を目指して治療を受けていると思いますが、
生に執着しすぎて、
現実から目を背けてしまうと、
自らそのチャンスを失う。とても皮肉なこころの葛藤ですが、
その矛盾した葛藤を続けている患者さんは、
けっして少なくないと思います。
治らない癌に対する治療では、
先ず、ご自身のこころの整理がとても重要だと感じます。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
江戸時代の時代劇などでは、
あるいは明治・大正時代くらいまでは、
肺結核は不治の病として、
ドラマチックに描かれています。
お芝居の格好の小道具です。
しかしフト考えたのですが、
その当時は現在のような診断技術はなく、
あの病で徐々に衰えていく患者さんのなかに、
肺がんも当然含まれていたような気がします。日本でも400年もむかし、
徳川家康もタバコを吸っていたとか。
喫煙と関係が深いと考えられている、
扁平上皮癌、小細胞癌などの肺がんも、
当然、その当時から存在していたように思います。診断技術がありませんから、
すべて「肺病 = 肺結核」の診断のもと、
寝たきりでお粥だけを啜って、
細々と生きている。
良くなることはない、
しかしすぐには死なない。肺がんの自然経過を診ているような気がします。ドラマの上で、
役者の患者さんが徐々に死に向かうのは、
一番の原因は、
栄養障害、栄養不足による、
餓死だと思われます。
当時の日本では、
飢饉などがあると、
たくさんの健康な人間も餓死していったと聞いています。
お粥と塩と葉っぱだけでは、
基礎代謝のエネルギーを得るのも難しいと思います。
患者さんは身体を起き上がらせているだけでも、
カロリーを消費しますから、
一番ラクな体勢、寝たきりの状態になります。
現在、ステージⅢb以上の不治の肺がんでは、
標準的に大量の細胞毒攻撃では、
その治療という儀式が開始されると、肺がんが発見されただけで、
昨日まで元気だった患者さんの半分が、
概ね1年以内に亡くなります。細胞毒など存在しなかった時代の、
診断がつかなった肺がん患者さんのほうが、
はるかに人間的に扱われ、
平穏な日々を過ごして旅立たれていたように感じます。
その時間も、
標準治療という儀式などが無いほうが、
むしろ長く得られたように感じます。
何回も提示している下の2枚の「カプランマイヤーの生存曲線(死亡曲線)」上の、
4本の曲線は、
合計2000人近い
PS.0 or 1の元気な肺がん患者さんの軌跡です。
治療開始直後から、
その曲線は下に動き始め、
すなわち、治療開始直後から死亡者が発生して、概ね1年経つと、
2000人の元気だった患者さんが、
1000人しか生きていない。
これって、
あまりにも馬鹿げていると考えるのは、
私だけでしょうか。


十分に栄養補給を行った、
結核患者さんに同じ治療・儀式を行っても、
同じような死亡曲線になるように感じます。
否、大量の細胞毒は免疫力を落としますから、
もっと早く旅立つでしょうね。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
治らないがんに対する治療で、
その経過を追いかける手段の一つとして、
腫瘍マーカーがあります。
一般的に腫瘍マーカーは、
身体の中に存在するがん細胞の総数に比例します。
しかし1立方センチメートルで10億個に達するガンのカタマリでは、
その10億個の細胞は均一ではありません。
腫瘍マーカーAを作る細胞。
腫瘍マーカーBを作るヤツ。
AもBも両方作る細胞。
何もつくらないヤツ、
などなどの混在です。
したがって、
腫瘍マーカーの動きだけで、
がんの動向を観るのは危険です。機械の目と、
がんの存在による自覚症状という、
別の視線からも観察することが必要になります。
しかし一般的に卵巣がんや前立腺がんなどでは、
腫瘍マーカーの数字と、
がんの動向とはかなり正確に一致する場合が多く、
ヤツを追いかける手段としては極めて有効です。
前立腺がんなどでは、
早期発見の検診としても利用されています。
現在の日本の健康保険では、
腫瘍マーカーは月に一回しか観ることができないような、
仕組みになっています。毎週、抗癌剤の点滴をしている患者さんもいるのに、
月に一回の経過観察では、
当然不十分ですが、
保険では月一と決まっています。
他の医療機関で自費で測定することは可能です。
自費でも腫瘍マーカー1検査だけなら1200~1800円程度です。
ブランド病院では、
その月一もおこなわないところも少なくありません。当然そのような病院では、
画像診断のインターバルは非常に長くなります。
生存期間中央治値が1年程度しかない癌に対して、
3~6ヶ月に1回の画像診断という、
随分と呑気なブランド病院もたくさんあります。
画像診断に使う機械の数が、
その検査が必要な患者数に比較して遥かに少ないからです。
しかしそのような病院では、
腫瘍マーカーは、
採血後数時間で結果が出ます。
ただし、その結果はあまり治療には反映されていない実情も、
しばしば目にします。
一方、中規模以下の一般医療機関では、
腫瘍マーカーは、
検査会社に依頼することが多く、
当日には結果は出ません。
しかし画像診断検査は、
いつでもすぐにできて、
結果をその場で観ることが可能です。
がん治療では、
ヤツの動向を観ることが極めて重要、というより、
経過観察が治療のはじまりであり、
敵が動かなければ、
こちらは手を出す必要も無くなります。検査もしないで、
すなわち敵の動きも知らないで、
ただ粛々と大量の細胞毒を注入していく。
めくら打ちの大砲は無意味、
そんな行為が治療ではないことは、それを実行している医者が一番よく知っているはずですが・・・
今の日本のがん治療は、
矛盾だらけです。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。