「光陰、矢よりも速し。」
月日の流れは、
毎年、速度を上げているように感じます。
すでに、本日で、
今年も半分が過ぎていきます。
鬱陶しい空模様の中、
大塚北口診療所の裏手の道には、
6月の花、クチナシが、
白く大きな、
そして何とも芳しい香りを振りまいて咲いています。あの香は大好きですが、
クチナシの樹は、
蝶々にも好かれているようで、
毎年、そこで卵を産み落としていきます。
昨日も、
樹の葉、枝を観察していると、
大きな二つの芋虫?
蚕の幼虫を緑色に染めたような、
大きく丸々と太った幼虫が、
一心不乱に葉を食べていました。小さな口で、
しかし確実に葉の面積を縮めていきます。
よく観察すると、
小さな目も見えました。
何が見えているのかは分かりませんが、
つぶらな可愛い目をしています。
本日も観に行くと、
一つは、今日も黙々と食べ続けていましたが、
その一回り大きいほうは、
大きめの葉の裏側に摑まったまま動きを止めて、
サナギになる準備をしているようでした。
おそらく来月には、
アゲハチョウになり、
また、その樹に子孫を残しに来ると思います。
樹の葉だけを黙々と、
何か考えながら食べているのか?
あの葉は美味しいのか?
また、「樹の葉」が「蝶々」という、
まったく別の物体に変身していく現実。
卵から芋虫、サナギ、アゲハチョウ、
そして、個体は死んで、
再度、卵が残る。
人間は何処から来て、
何処に行くのか?などなど、
イロイロ考えながら眺めていると、
時間が経つのを忘れます。
歳とって、
時間を忘れるから、
矢よりも速くなるのでしょうか。
コンクリだらけの都内にも、
身近な自然は溢れています。
それをゆっくり楽しむのは、
毒よりも効くような気がします。少なくとも、
副作用はありません。あの虫が苦手なかたも、
少なからずおられるでしょうから写真は出しません。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
数日前の、
有名人の乳がんでの標準的な、
しかし、かなり芝居がかった死亡ニュースには、
いまだに多くの患者さんが、
興味を持たれているようです。
患者さんにはお気の毒ですが、
ステージⅣでは、
患者さんの気持ち、希望とは裏腹に、、
治ることがない現実を、教えてくれるには、
良い教材だったような気がします。
治らないことが分かっているがんに対して、
がん治療拠点病院で、
掛け値なしの「標準」を執行している患者さんも、
時々、大塚北口診療所の、
ハイパーサーミア(電磁波温熱療法・保険適応)を、
併用するために来られます。
その時に、患者さんとお話しをすると、
「治ることはない」
という現実を知らないかたも少なくありません。というより、
多くの患者さんが、
「治る」と信じているようです。セカンドオピニオンを求めて来られる患者さんへは、
治らない現実と、
すぐに死ぬことはない事実をお話ししますが、
ハイパーサーミアだけをご希望の患者さんには、
メインの治療?(儀式)の意味については、
お話しはしません。
「標準」を治るための儀式と考えている患者さんでは、
ご自身の「いのち」を楽しむためではなく、
抗癌剤の大量注入という儀式を受けるために生きている、と感じてしまう患者さんも、
少なくありません。
QOLもヘッタくれも何も無く、ただ黙々と、
標準儀式を受け入れるために、
身体に鞭打って、
ブランド病院へ毒の注入へと通う。
そこでは、
快復しかけた身体に対して、
再度、毒のパンチが容赦なく飛んでくる。再度、辛抱の日々を送り、
快復しかけると、
再び厳しい鞭が振り下ろされる。緩和に移行するまで続く恐ろしい現実です。「主治医からは変化なしだから、
効いていると言われている」と云われる患者さんもいますが、
がんは変化がなくても、
患者さんの日常生活は激変しています。一番大切な、
平穏な日々の生活を犠牲にする代償としては、
あまりにも過酷過ぎるように感じます。
長く楽しい生活を求めるのではなく、
大量の抗癌剤を消費するためだけに、生きているように感じられてなりません。
同様の患者さんは、
たくさんいます。
本末転倒・・・以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
「抗癌剤」という単語を、
如何に感じるかは、それを、これから受け入れようとする患者さんと、
それを、患者さんに注入しようとする医者とでは、まったく違います。多くの患者さんは、
副作用も心配されている反面、
大きな効果を期待している、
夢を見ている状態ではないかと思います。
一方、標準的に抗癌剤を使おうとしている医者の考えは、
とても冷静で、まったく別の方向を向いています。
もちろん、副作用は少ない方が良いとは、
余程のへそ曲がりの閻魔様以外は考えています。
しかし副作用の発言確率は100%であることは、
十分に承知しています。そして、効果は、
患者さんが期待するほど芳しいモノではない現実も、
十分に知っています。たくさんの患者さんに、
まったく同じメニューを提供しているのですから、
その副作用、効果ともに、
熟知しています。
それが標準のイイところです。熟知以上に、
その標準的な儀式を執行するための、
根拠、エビデンスが存在し、
それを周知しているから、
残忍とも思われる儀式を、
他人に執行することが許されています。現実のエビデンスは、
無治療よりは、
生きていることが叶う時間が、
僅かに延びるかも知れない。それだけです。
「かも知れない」と云うのは、
閻魔様の大好きで、
それが無ければ認めないという、
「ランダム化比較試験」が行われてはいないからです。
抗癌剤も分子標的薬という範疇の薬剤以外では、
極めてゆっくりですが、
周辺薬剤の進化で少しはマシになってきているようです。
しかし、がんを観る機械の目は、
あまりにも著しく進化しています。
大画面の高画質薄型テレビなどは、
ホンの一昔前は、
とても手が出る買い物ではありませんでした。
それが現在は、何処のご家庭にも、
当たり前のように存在しています。
細胞毒の抗癌剤は、
50年以上も現役を続けている薬剤も幾つもありますが、
30年前に当たり前だったブラウン管テレビは、
今は観ることはできません。
「人間の命を試す」という倫理からは、
標準の「野蛮な儀式」と「精密な検査」のギャップを、
埋めることができません。二十数年前に、
抗癌剤には、
ごく僅かながら延命効果がある、と証明されています。
それ以降は、
無治療患者群を策定して、
新規の抗がん剤を使った患者群との、
比較試験ができなくなっています。したがって現在の鋭い目で観た、
末期がんを無治療で、
放置した場合の生存期間中央治値は、
世界中、誰も知り得ません。「無治療だと〇ヶ月」という、
しばしば耳にする脅し文句は、
少なくとも二十年以上むかしの検査機器の、
鈍い目でも確認できた末期がん患者さんでの数字です。
最近の比較的新しい機械の目で確認された末期がんに対して、
今、標準量の抗癌剤を使おうとしている医療者は、
エビデンスが出された時点での、
統計データだけを頼りにしているだけです。
普通の末期がん患者さんは、
抗癌剤の現実を、
ブラウン管テレビなんか観たくないはずです。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
ある患者さんから、
「患者会に行ってきたけど、
参加費無料で、どうして運営できるんでしょうか?」と、
訊かれました。
素朴な疑問ですが、
ご存じないかたも多いと思います。
「利益相反」と謳っていますが、
患者会へも製薬会社から、
それなりの資金が流れています。もちろん、
高額な薬剤を、
直接、処方する権利を持つ閻魔様には、製薬会社から、
様々な名目で、
けっこうな額のお金が流れています。それは、医師氏名も会社名も金額も、
ネットで公開されています。
特殊な閻魔様も、
その、ご高名なお名前とともに、
数社の会社名、金額が掲載されています。
こちらも「利益相反」という、
不明瞭な言葉で、
煙に巻かれてしまいますが、
現金が流れている事実は変わりません。昨年書いたとおり、
患者団体は、閻魔様に先導されて、
日本癌治療学会にまで押しかけて、
患者さんのために標準以外の治療を行う医師の、
講演を許しませんでした。理不尽な
「魔女狩り」の成立には、
その、普通の患者さんは知らない、
不思議なお金の動きも手伝っているように感じます。ともに、高額な薬剤を販売している会社から、
直接に現金を受け取っている立場は変わりませんが、
閻魔様と患者団体の感覚には、
かなり大きな齟齬があると思います。根治手術後に再発予防と称して、
標準的に大量の抗癌剤を注入されて、
その後、運の良い結果を得ている、
ラッキーでお元気な患者さんの集団では、
その患者会は、自分たちが受けてきた、
辛く厳しい儀式と、
それに投資した大きなお金と時間、
さらに、今も残っている副作用による後遺障害が、
無駄であったとは、
絶対に考えたくはありません。
終生、それが正しい行為であったと信じ続けたいはずです。それは、普通の人間の性だと思います。
その気持ちを十分に知って、、
それを利用した閻魔様は、
自分たちだけの、
がん治療ワールドを、
より強固にしたいのでしょう。閻魔様は、製薬会社を利用しているのか、
タダの会社の番犬なのか分かりません。世界中なのかも知れませんが、
少なくとも日本中に、
不可思議なお金の流れが存在していることは事実です。現世に生きる人間にとっては、
極めて大切なお金が動くのですから、
そこには、
それなりの意味があるはずです。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
先日の
「副作用といのち」に対して、
勘違いを誘発してしまう、コメントがありました。
一部抜粋再掲します。
15%の人には効果がありますからやってみましょう
15%の人にしか効果がないのでやめましょう
溺れてワラをも掴みたい状況の時に、いくら無謀とはいえ、
前者を選んでしまうのは仕方なくないでしょうか。
「やらない」を選ぶのは勇気のいることだと思います。
悪くなれば「やらなかったから」、
現状維持なら「やってればもっと」になるからです。
根治の可能性があるのなら、その確率などは、
5%でも15%でも50%でも、
大差は無いように感じます。
たとえその治療に、
如何に厳しい副作用があっても。50歳の人間の平均余命は、
概ね35年程度ですから、
1年間限定で、副作用で何もできない廃人になったとしても、
ご褒美が、35-1=34年間であれば、
その治療に、
躊躇する必要など無いと感じます。白血病などの「血液がん」では、
抗がん剤により、
そのご褒美が頂ける可能性が多分にありますから、
是非、血液内科専門医のお世話になることをお勧めします。しかし、
「固形がん」は、
しつこく書いているとおり、
標準的に大量の抗がん剤では、
根治は得られないばかりか、今まで、元気だった患者さんの、
死まで覚悟しなければならない、
激しい副作用を伴います。
がん治療の効果の尺度は、
多くの場合、
がんのサイズが縮小する確率が用いられます。患者さんも、
それが効果と考えているかたは少なくありません。
15%の確率で、
がんが縮小することで満足できる患者さんであれば、
躊躇なく標準に進まれるべきだと感じます。
思考能力も混濁させてしまう標準的な副作用の渦の中で、がんの縮小という喜びが得られて、
それで満足されるのであれば、
「標準」が最適かも知れません。
輝く「いのち」を、
より長く楽しみたい患者さんでは、標準的に大量の毒は、
それを叶えてくれることはないと感じます。今も根治手術後の再発予防に使われている、
副作用満載の大量の抗がん剤でも、
実際にその恩恵に与る患者さんは、
それを受けたすべての患者さんの、
10%にも満たないはずです。統計数字、エビデンスなどは、
医療者には重要でも、
個々の患者さんにとっては、
ドウでもイイ存在ですが、
現実の数字を冷静に眺めてみる必要があります。ただし、その数字を評価するのは、
ご自身の確固たる価値観と死生観です。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
先日の
「がんとストレス」はじめ、
何回も書いていますが、
固形がん対する抗がん剤は、
根治をもたらしてくれる存在ではありません。もちろん、個人差こそあれ、
「死に至る確率も低くはない」ほどの、
激しい副作用は味わいます。
抗がん剤が、
唯一、ヒトのいのちを救ってくれるのは、
根治手術後、
あるいは根治を目指した放射線治療の後で、
再発すなわち末期がんに至る確率を、
ごく僅かに低下させてくれるかも知れない場合だけです。
固形がんが、抗がん剤で治るなどとは、
医療者はまったく考えていません。治らないがんですから、
「末期がん」としか言えません。手術により根治が得られる、
ステージⅡ、ステージⅢの「進行がん」とは、
明らかに異なる病態です。ただし、その「末期がん」を背負って、
10年以上普通に生活している患者さんは、
いくらでもいます。しかし、がんは治ってはいません。
固形がんは抗がん剤では治らない。
その事実を隠すために、
「末期がん」という言葉そのものを消滅させようと、
一部の腫瘍内科医は躍起になっています。患者さんには、
真実は知らせない。
それが優しさであるかのように振る舞う。日本の抗がん剤治療は、
たしかに、真実を本人にも包み隠さず伝える欧米よりも、
30年以上遅れていると感じます。
完全に昭和の時代の、
がん告知に逆戻りしているのですから。死も考えなければならない病の治療を考えるとき、
根底から、価値観、宗教感がまったく違う民族の真似をしようとするから、
歪みが発生してしまいます。そこに、薬剤費という莫大なお金が絡んでいますから、
話しはややこしくなります。
血液がん以外の固形がんの治療として、
抗がん剤を勧められたなら、
先ず、ご自宅近くの大きな病院に、
セカンドオピニオンを受けに行き、
がんが治るのか否か。
もし、治ると答えが返ってきたら、
その根拠・エビデンスを納得いくまで、
確認してください。
固形がんは抗がん剤では治らない。
「標準」での延命時間もごく僅か。それが真実ですが、
ご近所の大病院の説明に納得できたなら、
それも運命だと思います。
その提案どおりの儀式を受けることをお勧めします。ちなみに
「治ることまでは難しい」は、
「治らない」という意味です。日本語にも通訳が必要とは、
面倒な世の中です。
最近、
その営業トークも、
一足負込んで、
「治ることはありませんが、
人間の寿命など誰にも分かりません。
先ず、最善の治療をしましょう。
御懸念の副作用の防止には万全を尽くします。」と、
逃げ道を塞ぐ作戦に出てきていると、
ある患者さんから伺いました。
巷のオレオレ詐欺も、
被害者は一向に減らず、口上も年々巧みになるようです。「詐欺」も「標準」も、大きなお金が絡むところは、
まったく同じ構図かも知れません。「詐欺」はヒトのいのちまでは奪わないだけ、
マシかも知れません。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
昨日のニュース番組は、
女性元アナウンサー小林麻央さんの乳がんによる死が、
大々的に取り上げられていました。
そのブログも何度か覗いたことはありますが、
小林さんの訃報は、
昨日、昼頃に来られた患者さんから、
はじめて聞きました。
その後に来られた患者さんも、
その話題にとても興味深そうでした。
彼女はブログで、
「ステージⅣでも治りたい、治す」と語っていたと、
テレビが流していました。
残念ながら、
ステージⅣの乳がんは、
治りません。
しかし、同じく乳がんを宿した、
日本のご高齢の有名女優も、
「全身がん」と公言してから、
ずいぶんと日が経つように感じます。
全身アチコチに転移しているステージⅣの
末期乳がんだと思われますが、
テレビの画面の中では、お元気そうです。
ご本人も治ることなど考えてはいないようです。
年齢、環境により、考え方が違うのは、
当然だとは思います。
若くて元気、子供も小さいなどの、
さまざまな基礎知識?の上に流されてくる情報に対して、
世間の受け止め方も、
大きく違います。
「標準」では、
十把一絡げの「末期乳がん」でも、
個々のがんは、相当に個性に溢れています。しかし、ステージⅣ、末期がんの最終結論に、
年齢差など無いのが現実です。
ご高齢の女優さんの場合は、
老衰という違う結果もあるかも知れませんが、
治ることはありません。
「治りたい、治す」という、
がん患者さんとして、
まったく当たり前の感情は、
ご自身の平穏な生を壊した挙句、
むしろ寿命を縮めることもあります。
多くの患者さんの最終死因は餓死です。
がんだけでは、
簡単には人間は死にません。
少しだけ覗いたブログからは、
ステージⅣ、末期がんを宿されたからこその、
輝くいのちを楽しまれているように感じられ、
それに励まされた患者さんも少なくないと思います。
ただ、お一人で、
少し焦り過ぎたようにも感じます。
報道によると、
2年7ヶ月の闘病生活だったそうですが、
乳がんの標準は、
概ね3年です。
本日は、肺転移の末期乳がんを宿して、
間も無く15年が経つ患者さん。、
同じく10年になる患者さん。
末期スキルス胃がんを宿して、
8年が経つ患者さんが、
元気に来られました。
治っているかたは、
一人もいません。
末期でも元気。
しかし、治らない。が現実です。
ご冥福をお祈りいたします。
合掌以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
昨年末に、
「クレスチンの製造中止」という、
閻魔様は大喜びの、
悲しい現実を書きましたが、
また一つ、
身体に優しいクスリが、
来年3月で製造中止になります。
「レンチナン」という、
広い意味での「抗がん剤」が消滅させられます。手術不能または、進行胃がん手術後の患者さんに対して、
経口抗がん剤との併用で、
「生存期間の延長」の効果により、
保険承認されていた、
「シイタケ」からの抽出物でした。食べることができるシイタケからの抽出物です。
シイタケアレルギーがある患者さん以外では、
副作用はほぼ皆無です。
もちろん、容器には「毒」も「劇」の字も付いていません。
毒薬でも劇薬でもありません。たしかに、がんが明らかに縮小するような効果は観たことはありません。
同時に、副作用も観たことはありません。
静脈注射をした直後に、
一瞬、腰にチカラが入らなくなる(腰が抜ける?)という、
不思議な現象は何回か見ましたが、
痛みも何も無く数分で普通に戻ります。
「縮小無くして、延命ナシ」という、
化石のような考えかたの閻魔様には、
嫌われていたと思います。
もちろん、恐ろしい細胞毒とはまったく違い、
外来で簡単に注射をして、
即、帰宅してもまったく問題は起こりません。
副作用がはじめから無いのですから、
副作用軽減の薬剤も必要ありません。
大きな延命効果があったか否かは不明です。
しかし、副作用が無かったことも事実です。患者さんには、
健康保険適応のある抗がん剤治療を受けているという満足感は、
多少は残ったはずです。
先日も来られましたが、
数ヶ月で体重が、
30㎏も落ちるという、
食事が摂れなくなるような副作用は、
レンチナンにはまったくありません。
そこまでの、責苦の代償が、
数ヶ月の延命が叶うかも知れない。それなら、地獄の責苦を選ぶよりも、
害のないシイタケの注射を選択する患者さんのほうが、
多いような気がします。お値段も、
新しい抗がん剤とは、
比較になりません。今後も閻魔様のご意向は、
さらに広がり、
患者さんの選択の幅は、
さらに狭くなると感じます。それが、ご時世のようです。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
昨日、我が家の愛猫?
小次郎がハゲてしまったという、
チョッと恥ずかしい話を書きました。
もちろん、愛猫に対して抗がん剤など使ってはいません。
一方、仲良しコンビを組んで久しい、
少し年長の又吉(マタキチ)は、
勝手気ままな小次郎にしばしばチョッカイ出されて、
傍目からは、
ストレスだらけのように感じます。
又吉は、すでに15年近くも生きていますから、
足腰は年齢相応に弱ってはきていますが、
消化器系は異常なさそうで、
老衰を楽しんでいるように感じます。
食べられなくなる時が、
彼が逝くときだと考えています。
それはともかく、
ストレスで禿げるなら、
小次郎よりも又吉だと思いますが、
ネコの世界では、
関係ないようです。
その又吉を観ていると、
ともかく、よく寝ます。
又吉の近くで、
小次郎がご主人様とジャレて遊んでいる時も、
おかまいなく、爆睡しています。
餌を食べるとき以外は、
いつも、寝ています。
文字どおりの
「眠り猫」です。
病を宿した患者さんにとっても、
たくさん睡眠をとることは、
間違いなくクスリになるように感じます。
交感神経、副交感神経、免疫の相互関係を考えても、
がんという病に、
悪く働くことはないはずです。実際に末期がんを何年も背負っている患者さんでは、
睡眠時間と病勢の相関関係が診られることも、珍しくはありません。
もちろん、エビデンスはありませんが。
病気への不安や、
仕事の関係のストレスなどから睡眠障害に陥っている患者さんに、
睡眠薬を処方するだけで、
病は良い方向に向くことは、
何回も経験しています。
ストレスと発癌は明瞭な関係ないという、
役人が作りそうな調査結果も出されていますが、
毎日、治らないがんを宿した患者さんを診ている臨床医の目には、
すでに、がんを宿している患者さんでは、
安眠を妨げるようなストレスは「禁忌」であるように感じます。「標準」とされる、残忍な生前儀式で、
あれほど、お粗末な結果・エビデンスしか出すことができない、最大の理由は、
激しい副作用に因る、
精神的、身体的なストレスが原因であるようにも感じます。あれだけ、激しく打ちのめされたなら、
通常の人間なら、
ゆったりした安眠など得られる状況ではありません。
長く生きていたいという、
動物として当たり前の感情さえも吹き飛んでしまいます。人間として、
ご自身の「いのち」を楽しむなどと言う、
精神的な余裕など、
発生する余地は存在しません。今現在、容赦なく遅い掛かっている苦痛に、
耐え凌ぐのに精いっぱいになります。精神的にも肉体的にも、
ストレスを避けることが、
豊かないのちの時間を楽しむ最大の秘訣です。抗がん剤による女性の完全脱毛も、
小さくないストレスを介して、
寿命を縮めているのかも知れません。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
以前にもご紹介したことがありますが、
我が家には、
又吉(マタキチ)と小次郎(コジロウ)という、
少々おバカな二つのネコが居候をしています。
二匹の性格は対照的です。
デブ猫の又吉は遠慮がちで、
餌を食べるのも小次郎の残りで我慢。
一方、小次郎は積極的、
というより、タダの我儘で、
ナンでも我が物顔のヤリタイ放題。
その小次郎は、
撫でてもらうことが好きなようで、
自らゴロリと仰向けになり、
腹を出して、おねだりをします。
先日も同じポーズをとっていましたが、
フト見ると、
お腹の真ん中が見事に禿げていました。別に痛くも痒くもないようで、
炎症所見も観られませんが、
明らかに一辺7センチメートルの正三角形の皮膚には、
まったく毛がありません。
全身状態は、いたって快調で、
元気に飛び回って、エサもたくさん食べます。
異常なことには間違いありませんが、
ハゲを観ただけで、いきなり獣医に連れて行くのは、
一応、医療者として憚られました。ネットだけの、
あまりあてにはならない情報を集めてみたところ、
ネコのハゲは、
特別な病気ではなく、
ストレスが原因であり、
勝手に治ることが多いらしいという情報が、
多数ありました。
深刻な話は見つかりませんでした。
また、信頼できそうな獣医さんの説明記事もありました。
写真もたくさん出ていました。
もっぱら似非情報ではなさそうです。
な、わけで、そのまま経過を診ていますが、
ハゲの範囲も広がる様子は観られず、
何となく毛が生えてきたようにも感じられ、
経過観察中です。
(病態の経過観察のために写真はありますが、
お見苦しいので、割愛します)
お気楽ニャン生のカタマリのように感じていたネコにも、
それなりストレスがあるようです。
まして、病を宿してしまっている人間では、
ストレスを感じないはずはありません。ストレスは、がんと云う病に対して、
良い作用はまったくありません。心身のストレスの増加と、
病態が完全に一致してしまう患者さんは、
少なからず診てきました。
(そのストレスは、好きな仕事の増加とは比例しません)
もちろん、エビデンスは無く、
経験則だけです。
むしろ、ストレスとがんの発症には、
確実な因果関係はないという論文もあります。
しかし、実際に末期がんを宿している患者さんでも、
ストレスを最小限に抑え、
笑の多い生活を作ることは、
明らかに、長生きにもつながります。治らないという現実を前に、
普通のヒトより、
遥かに輝く、素敵ないのちを楽しむことができる特権だけは、
すでに享受されているはずです。それだけでも、ラッキーな現実だと思います。
以上 文責 梅澤 充
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昨日の
「副作用の認識」はじめ、
抗がん剤の副作用については、
何回も書いています。
副作用の無い抗がん剤は、
存在していません。それが軽度な分子標的薬はありますが、
「毒」と指定されている薬剤に、
副作用が無いことはあり得ません。わざわざ薬剤のパッケージに
有害な「毒薬」を意味する、
「毒」の字が印刷されている現実を、
冷静に考えてください。
「標準」では、
それを、人間の限界まで注入します。先日のヤラセのテレビドラマでも、
抗がん剤の点滴シーンが映されていましたが、
患者さんは、マスクも無く普段着ですが、それを扱う医療者のほうは、
放射能防護服並みの完全防備で行っていたのは、
気が付かなったでしょうか。
健康な人間が、
暴露してしまうと、
大変なことが起こる可能性がある「毒薬」なのです。
それを生身の身体にモロに注入するのですから、
恐ろしい話です。
ステージⅣの末期がんを宿していても、
まったく無症状で元気に普通の生活をしている患者さんは、
いくらでもいます。
そのような、
元気な末期がん患者さんが、
抗がん剤を使いはじめたら、30日以内に数%の確率で死ぬ。
という、現実の統計も出されています。
死のリスクと、
激しく辛い副作用に耐えるご褒美が、
一部の白血病のように、
「治ること」「根治」であれば、
日本人の得意な、
我慢、辛抱も悪くはないと考えます。
しかし、
死を賭けて、
あるいは辛酸を舐めて、得られる代償が、
「何もしないよりは、僅かに延命が叶うかも知れない」である、
固形がん事実は、
冷静に考えたほうが無難です。
がんの存在に因り、
耐え難い苦痛が発生しているならば、
毒には毒で、
一発勝負に出るのも、悪くはないかも知れませんが、
ステージⅣの治らない末期がんでも、
普通の生活を送ることが可能な患者さんが、
その平穏ないのちの時間を喪って、
「僅かな延命が得られるかも知れない」では、
少し、寂しいように感じます。「がん=死」を前面に押し出されると、
冷静さを失ってしまいますが、一度しか味わうことができない、「いのち」の大切さも、
冷静に考えてください。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
現在の日本のがん治療では、
一部の特殊な腫瘍内科医は、
「知らない治療 = 効かない治療 = 似非治療」と決め込んでしまって、
患者さんにとっては、
かなり窮屈な状況に陥っています。
また同時に、
その医者がエビデンスの虜になるのは仕方がないにしても、
患者さんも同時にそれに縛りつけ、
脱出は許されません。
それから外れた医療は、
すべてを拒否します。しかし、現実には、
様々な状況下にある患者さんに対して、
完全にエビデンスに従うことなど不可能なのが、
実地臨床です。
経験則はお嫌いな閻魔様も、
「そこは、経験」などと、
誤魔化します。彼らは、
自らが知らないことは、
「間違っている」、
「存在しない事実」とも、
断定してしまう傾向にあるようです。
そのような医療者たちは、
すでにアタマが硬くなっている人間が多いので、
時間が経てば消えていくと思われます。
その前に、彼らの強引な布教が、
根を張らないことを祈るばかりです。しかし彼らは、
勢力拡張に躍起であり、
彼らの後輩を残そうとしています。
なりふりかまわず、
盛んに、様々なメディアを駆使して、
若い医者を腫瘍内科に招聘しようと躍起になっています。
まだ若い、何も知らない研修医が、
「日本にはまだ少ない」、
「がんの専門医」
などの誘い文句を信じてしまい、、
そこに行ってしまったら大変です。
がんに対する、
手術、放射線という、
根本的ながん治療法を知らずに、
「抗がん剤」という唯一の武器を手にしたら、
ドウなるでしょうか。考えるだけで恐ろしくなります。
まだ一部の腫瘍内科医に留まっていますが、
副作用死も稀ではない、
標準量の細胞毒の注入を、
すべて外来で実行しようと、
扇動している輩も居ます。
抗がん剤の注入中や直後には、
患者さんの身体に異変は起こりません。
何となく安心させられ、
帰宅してから体調を崩し、
悶えるほどの、苦しみがはじまります。不幸にして副作用で死に至った患者さんは、
必ずしも、その毒薬の点滴を行った病院に、
深夜救急搬送されるとは限りません。
自宅で亡くなることもあります。
搬送された自宅近くの病院での最期になるかも知れません。
また、死に至るまでではなくとも、
自宅で塗炭の苦しみを味わっている患者さんも、
少なくはありません。しかし、点滴が外来通院だけだと、
若い医者は、患者さんの自宅での様子も、
無念の最期もを観ることはできません。
外来だけで、
抗がん剤の注入を執行する腫瘍内科では、
そこに入門?した若い何も知らない、経験のない、
腫瘍内科の研修医は、
患者さんにとっては、
極めて恐ろしい抗がん剤の副作用を診ることなく育ちます。
然るに、その本当の恐怖を知りません。その若い医者が何年か経つと、
現在の一部の腫瘍内科医と同じように、
知らないことは、
「存在しない事実」と誤認します。現在でもすでに、
標準的に大量な抗がん剤の注入でも、
「大した副作用はありません」などと気安く患者さんに説明する、
若い医者も散見されます。
それがドンドン広がっていくと、
「現在の抗がん剤には副作用など無い」という誤った情報が拡散していきます。
恐ろしいことです。
抗がん剤で、
固形がんが根治するならば、
多少の副作用も我慢することも悪くはないのかも知れませんが、根治など、はじめから想定されていない、
死に向かう儀式であることは、絶対に忘れないほうが無難です。
すでに、それを知らない若い腫瘍内科医も発生しています。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
東京の近くの海で、
まさかの海難事故が起きたそうです。
最新鋭探査機器や、凄まじい破壊力の飛び道具をたくさん搭載し、
監視能力も攻撃能力も半端ではない、イージス艦という科学技術のカタマリのような艦船が、図体だけは大きな、
しかし、俊敏な動きも、武器も無いはずの、
コンテナ船と衝突して、
大破してしまったようです。
数千キロも離れた敵を認識して、
それ打ち落とす能力があっても、
数メートル先の敵(異物?)の存在には、
気が付かなったのでしょうか。
ぶつかったときには、
0メートルの至近距離に居たはずです。
まさに、「灯台下暗し」を、実際にみせてくれたような気がします。
治らないがんに対する治療行為にも、
同じ臭いが感じられます。ひとむかし前の機械では、
とても発見できなった微細ながんを、
簡単に発見できるように、
診断技術は大きく進歩しています。
しかし、同時にその鋭い目は、
ごく微細な転移病巣も同時に見つけ出してしまいます。
微細であっても、
転移病巣があれば、
多くの場合ステージⅣの、
治らない末期がんと診断されます。もちろん、患者さんは、
ご自身の身体の中に存在する末期がんの存在など、
まったく気付きません。
完全な健康体です。
しかし、診断が付いてしまえば、
あとは閻魔様が気に入るように料理されてしまいます。古風な毒薬爆弾攻撃か、
科学の進歩が生んだ、
分子標的薬などでの、
無差別攻撃がはじまります。
検査機器の長足の進歩により、
全身状態が極めて良好な、
末期がん患者さんが増産されてきたことも、
一昔前よりも、
治療成績・生存時間の向上につながっていることは、
間違いありません。
その時間による機器の進化を、
治療の進歩と錯覚してしまう誤差を、
タイムリードバイアスと言いますが、
すべてのがん治療の進歩は、
タイムリードバイアスだと言い切っている、
無治療教教祖もいます。
すべてではないにしても、
エビデンスのお粗末な数字の伸びには、
大きな貢献を果たしていることは事実です。
しかし、同時にその検査機器の進歩は、
人類の大きな福音にはなっていると感じます。
今までは、発見できなかったような、
早期のがんが簡単に見つかり、
それによる、
手術や放射線での根治も可能になっています。
しかし、今回の科学の粋、イージス艦の、
衝突事故を観て、
タイムリードバイアスをまったく無視して、
「エビデンス」だけに縛られる、現在の治らないがんに対する、
悲しい生前儀式を考えずにはいられません。如何なる最新鋭機器よりも、
甲板上の一人の人間の目のほうが、
よほど有効な、
衝突回避手段だったように感じます。
現在、「末期がん」という言葉は、
閻魔様からの圧力で、
「放送禁止用語」にされていますが、現実に「末期がん」であることが分かったなら、患者さんご自身の五感は、
最新鋭治療などよりも、
遥かに多くの「輝くいのち」を演出してくれると思います。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
「がん患者の敵」に対して、
幾つかのコメントをいただきました。
あの日の記事をアップした後でしたが、
その放送は観ました。
流石、ヤラセの放送局と感心しました。
腹部膨満感の自覚。
原因不明の腹水。
腹水からがん細胞の検出。
消化器には異常なし。
婦人科医の診察も異常なし。
(婦人科に何故か乳腺科の絵が映る)
それだけで、
ほぼ普通の生活を送ることができそうな患者さんに、気の毒なヤブ医者役の一般内科医?は、
いきなり「余命3ヶ月」の宣告。
ホスピスまで紹介。あり得る状況ではないように感じます。
さらに、あり得ない宣告に、
納得される患者さんもいないと思います。
同時に、それを受け入れるホスピスも存在しないと思います。
腹膜原発がん、
EOPPC(Extra Ovarian Primary Peritoneal Carcinoma)「卵巣外腹膜原発がん」として、
けっして珍しい病態ではありません。
素人外科医でも、
10年も前から、
10名程度の患者さんは診ています。
卵巣がんへの対処と同じ細胞毒が必要になりますが、
もちろん、標準的に大量に毒を盛っても、
治るがんではありません。5年間を超えて、
元気に普通の生活を楽しまれた患者さんはいますが、
手術の適応があった患者さんはいません。
治ることは期待できない、
ステージⅢかⅣの卵巣がんと同程度か、
やや劣る治療成績であるように感じます。
運良く5年生存を果たした患者さんだけにスポットを当て、
腫瘍内科医だからその診断ができて、
他の病院なら、余命3ヶ月。生き残った一患者さんだけをみせる、
その演出は、
その主演の腫瘍内科医が嫌っているらしい、
「エビデンスの無いがん治療の宣伝」と、
まったく同じ手法です。当然、副作用については、
まったくみせません。その病で亡くなられた、
多くの患者さんは、影さえ隠します。同時に、若い研修医に、
腫瘍内科医になるように勧める。
万一、それに騙されて、
腫瘍内科に入門するような、
おバカな研修医がいれば、
日本の抗がん剤治療のレベルは、
ますます、下がります。
その放送局からは大塚北口診療所にも、
何回も取材に来たことがあります。
その時、記者とイロイロと話をして、
「アンタら、たったそれだけの知識で、
素人向けの、がんの番組を作るの?
患者に迷惑になるから、止めてくれ」と、
何回、追い返したか分かりません。
視聴率。
お国のためにもなる、
高額な薬剤の大量消費。欧米追従。
などなど、
放送局のお家事情もあるのでしょうけれど、
お金を支払って見せられている視聴者としては、
真実を歪曲させての放送は控えて欲しいものです。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
1週間ほど前にいただいた
コメントにありましたが、
医療者向けのネット配信ニュースでも、
掲載されていました。
自分が患者なら…医師の25%が抗がん剤に消極的
自分が進行がん患者だったら抗がん剤治療を受けるか――。
そんな質問に対し、医師と薬剤師の4人に1人が消極的という調査結果を、
大森赤十字病院(東京都大田区)の佐々木慎・外科部長がまとめた。
抗がん剤は、再発や他の臓器への転移がある進行がん患者の標準治療だが、
効果や副作用に課題があるだけに、医療関係者の本音が表れた形だ。
調査は昨年、同病院に加え東京都と神奈川県でがん治療を手がける
大規模病院計5施設を対象に実施。胃がん患者になったと仮定した場合の
抗がん剤治療に対する考え方などについてアンケートした。
医師53人、薬剤師29人の計82人が回答した。
自分が進行がん患者だったら
「受けたくない」「限定的なら受けても良い」と
消極的な回答をしたのは21人で25・6%。
理由として「根治しない」「時間が無駄」「延命を望まない」
「副作用がつらい」ことを挙げた。
1人を除く全員が、ふだんは専門家として患者に抗がん剤を勧めており、
その理由は「効果が得られる」「仕事だから」といったものが目立った。
佐々木部長は「抗がん剤は効果や副作用に個人差が大きい。
患者の状況や目的に合わせて使い方を考えることが大切」としている。
読売新聞
4人に一人が消極的とは、
ずいぶんと意外な結果でした。本音は、その逆だと感じます。ここでも、
積極的な
「進行がん」と「末期がん」の混同が行われていますが、
読売新聞は、
スポンサーの関係からか、
標準推進派のようですから、
これ以上は書けないのかも知れません。
病院薬剤師では、
多くの場合、
患者さんが厳しい副作用で苦しんでいる姿は、
直接見る機会は多くはありません。
まして、毒薬注入後、
入院はさせずに、
即帰宅を命じられる病院では、
薬剤師は、
患者さんの顔が苦痛に歪む姿など、
観ることはありません。
入院で抗がん剤を標準的に注入されている患者さんの、
悲惨な姿を診て、同時に、人をバカにしたようなエビデンスの数字を知っていれば、「積極的に標準を受け入れる」などと言う、
あまりにも馬鹿げた発言をする医療者は存在しないと感じます。5年近く前に、
「国立がんセンターの本音」で、
現実のがん治療医の本音の、
一側面を書きましたが
少なくとも、
がん治療外科医で、
治らない固形がんに対して、
現在の標準的に大量の毒薬を使った「儀式」を、
まともに自分自身や家族に対して、
執行する医者は存在しないように感じます。4人に1人とは、
ずいぶんと遠慮した数字だと思いますが、
その残忍な行為の執行を生業にしている人間からの言葉であれば、
アンケートとはいえ、
その行為を否定することは、
自らの生業、人生そのものを否定することです。逆に25 % とは言えども、
現行の自らの生業・行為を否定してでも、
自らには受け入れることは拒否と、
回答せざるを得ない、
その、残忍さ、理不尽さを、
知っている人間だから言える、
言わ無ければならない、
正直な現実だと感じます。もちろん、「進行がん」ではなく、
治らない「末期がん」に対する標準推進派、
というより、
唯一神教のようにそれだけを唱える特殊な腫瘍内科医でも、
現状では、
それを執行することによる自らの利益が、
それに反対することで、
患者さんが受ける利益よりも、
遥かに大きいから、主張をコロコロ変えながらも、
標準教の布教に熱心なのだと感じます。あるいは、
根本的に、
普通の日本人の死生観、宗教観とは、
価値観がまったく違う、異質な人間なのかも知れません。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
天皇陛下御退位の法律が決まったようで、
平成の御代も間も無く終わるのかも知れません。
平成の前は、
昭和の時代でしたが、
当時の日本では、
「がん」という病名を患者さんに伝えることさえ、
禁忌とされていました。
完全にがん患者さんを騙したうえで、
治療が行われていました。当時、私は外科医でした。
胃がんの患者さんには、
「胃潰瘍・出血・穴が開く」乳がんの患者さんには、
「放置すると乳がんになってしまう」大腸がんには、
「大腸にポリープ・イボのようなモノができている、
放置しておくと出血や、
大腸が詰まって腸閉塞になってしまう」などなどの、
何処の病院でも同じような、
「騙しの口上」が使われていました。当時から、患者さん自身は、
がんであることを疑っていましたから、
さぞかし、不安だったと思います。平成の御代になってから、
「がん告知」は、
急速に、そして無秩序に拡散していきました。同時にインターネットという、
情報媒体も普及していきました。
気が付くと、
がんと云う病名を隠すこともできなくなってきました。
しかし、告知が開始された当初は、
患者さん本人には、
根治の可能性のある「進行がん」では、
「早期がん」と伝えられたり、
根治は不可能なステージⅣの末期がんであり、
バイパス手術しかできない状態でも、
切除手術であるような、
明らかなウソの告知が普通でした。その後、真実の告知がはじまり、
ステージⅣの患者さんには、
治ることはないことも、
シッカリと告げられるようになりました。さらに時が経つと、
腫瘍内科医という、
日本には馴染みの無かった専門セクションが、
ポツリポツリと発生してきて、
こともあろうに、
誰も知り得ない、
ヒトの余命まで、
得意げに宣告するおバカな輩も発生してきました。もちろん、その「宣告余命」など、
彼らの錦の御旗であるエビデンスの数字から引っ張ってきただけでしたが、
それが、彼らの足を引っ張ることになりました。たしかに、エビデンスどおりの儀式を執行すれば、
拷問のような厳しい責苦に耐えた後、
エビデンスに近い数字で、
患者さんは確実に旅立たれます。
しかし、その現実が知られてくると、
患者さんが逃げてしまいます。そして現在の日本では、
また、昭和の時代に戻ったように、
患者さんには真実は話されることはなくなりました。詐欺師の口上が
「末期がん患者への話し方講習会」で、
若い医者たちに教えられるようになってきました。日本のがん治療は、
「欧米に30年遅れている」と嘆いている、
特殊な腫瘍内科医は、
自らが日本のがん治療を混乱させ、
大きく遅らせている一因であることには、
当然、気付いているはずです。
しかし、
何も知らずに莫大な金額の薬剤を消費してくれる、
「お客さん」を手放す気持ちはなさそうです。いのち、と死に対する、
死生観、価値観、宗教観が、
まったく違う欧米の人間と、
死に対する医療が同じであるはずはありません。現在では、
進行がんとステージⅣの末期がんとの区別が失われ、
「進行がん = 末期がん」として、
独り歩きをはじめています。
ステージ0とステージⅠは「早期がん」。
ステージⅡとステージⅢは、
手術だけで十分に根治を得る可能性のある「進行がん」。ステージⅣは、「治ることまでは難しい」治らない末期がんです。その混同が広がってしまうと、
がん患者さんは、
疑心暗鬼の昭和の時代に逆戻りしてしまいます。昭和から平成に替わっても、
抗がん剤には、
治らないがんが、
治るような進化はありません。昨夜、ドクター何某が放送されていました。
残念ながら、
紹介されていたあの患者さんも、
「治ることまでは難しい」と云われている、
末期がんの患者さんであるはずです。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
がんを宿していることが分かってしまうと、
肉体的苦痛は何もない状態でも、
その心労は軽くはありません。
多くの患者さんは、
アタマの中は真っ白になり、
冷静にご自身の今後を判断できません。そのような状態を見透かしたように、
詐欺師のような、
ごく一部の腫瘍内科医が、
患者さんの心情を慮っているかのようなそぶりで、擦り寄ってきます。
そして、
治ることなど、
はじめから前提には無い、死に至ることがエビデンスである標準儀式に、何も知らない患者さんを
言葉巧みに、
誘導していきます。
エビデンスは、
医学の進歩のためには、
極めて重要であることは間違いありません。
しかし、それは個性溢れる個々の患者さんにとっては、
何ら役に立つものではなく、
きわめて多くの患者さんを集めて、
十把一絡げにした統計学のお遊びに過ぎません。たしかに、何百人もの、
同一病名の患者さんを診る医者にとっては、
十把一絡げが、
一番ラクであり、
自分自身の保身にも一番の安全策です。
さらに、お世話になっている製薬会社へも恩返しもできます。そして、格差が問題になっている社会でも、
全国津々浦々、
誰でも、まったく同一の儀式を受けることが可能です。
しかも健康保険では、
患者さんの費用負担は、
一定限度額以上は支払う必要が無く、
公費で賄ってくれます。
一見、ありがたい医療であるように感じてしまいますが、
それは致命的な勘違いです。
確実な死を前提とした儀式により喪われる、
平穏ないのちの代償は、
あまりにも大き過ぎると感じます。その罠に嵌ってしまうのは、
極めて理不尽ではあっても、
まったく当たり前の自然現象であり、
とても身近な存在であるはずの死を、
何処かに忘れ去らせるような、
平和ボケ教育の賜物だと感じます。
現在の日本人の治らないがんに対する「標準儀式」は、
欧米追従しか考えられていません。もちろん、それは欧米人に見合った、
価値観、宗教観、死生観から生まれた、
がん医療に過ぎません。
日本人の死生観は、
欧米人と同じなのでしょうか。日本のがん治療の統計を、
冷静なアタマで、
再度、見直してみてください。
興味深い数字がたくさん出てきます。ステージが進んだ、
進行がんで、
生存曲線が、
10年を過ぎても低下を続けているがんでは、
ほぼ根治は無いことを意味します。
通常、手術を行い、
その後の抗がん剤が極めて有効とされる、
卵巣がんステージⅢの246例の患者さんでは、
10年後の生存確率は18.3%とされていますが(同5年は、36.1%)、
10年後にも生存曲線は確実な低下を続けています。
高々5年後の生存確率を、
根治確率という、
明らかな虚偽を吹聴する腫瘍内科医も、
日本にはいまだに生息しています。注意が必要です。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
昨日
「ステージⅣ」の厳しい現実の数字を書きました。
全国がん(成人病)センター協議会という、
日本のがん治療拠点病院のような施設の集合体からのデータですから、
ウソはない、
客観的な数字だと思います。統計対象になったステージⅣの患者さんの中には、
発見(登録)当初から、
「もはや手が付けられません。」
「何もできません。」と、
宣告されてしまった患者さんも含まれているかも知れません。
しかし、統計母数から、
そのような残念な患者さんを除いても、
1年後5年後あるいは10年後の生存者の数は、
けっして多いとは言えません。
手術なしの場合、
1年以内に旅立たれてしまう患者さんが、
如何に多いか。拠点病院ですから、
はじめ(登録時)から、
何もできない状態の患者さんは多くはないと思われます。
手術はなく、
拠点病院で最期まで見届けたとすれば、
「厳しい標準的」な儀式が執行されてしまったように感じます。この程度の数字は、
がんを診ている医療者なら、
誰でも知っているはずです。
ステージⅣの悲惨な現実を知っていても、「治ることまでは難しい」などと、
「治る」に近い状態が得られるかのように幻想を抱かせ、明らかに、患者さんを騙して、
強引に「標準」に引きずり込むのは、
詐欺師以外の何物でもないように感じます。
最近、NHKもそれに同調しているようで、被害者が増える事態が危惧されます。
NHKはお国の、
広報機関としての役割もあるでしょうから、
莫大な国益にもなる製薬業界の経営のためには、
仕方がない面もあると思います。
しかし、一国民としては、
国の中で蔓延る、
詐欺師の言葉を、
慎重に、冷静に受け止め、
的確に判断すれば、被害は少しでも減るはずです。
しかし、詐欺師は、
がん宣告された患者さんのアタマの中が、
真っ白だという現実も、痛いほど良く知っていますから、
がんと同じかそれ以上に手強い相手です。奪われるモノは、
はお金だけではなく、
二度と取り返すことができない、
平穏ないのちの時間ですから、慎重にご判断ください。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
「ステージⅣ ≒ 末期がん」あることは、
何回も書いています。
しかし、
「末期がん = すぐに死ぬ」
ではありません。同時に、
ステージⅣ、末期がんではない、
言葉の定義どおりの、
ステージⅡとステージⅢの「進行がん」は、
半分程度の患者さんは、
手術だけで天寿を全うできます。しかし、日本の特殊な腫瘍内科医は、
ステージⅣのがんは、
「標準を執行すれば末期がんではない」というような、
幻想を撒き散らして、
「進行がん」と「末期がん」の区別を曖昧にしようと企てています。昨年から、日本では、
全国がん(成人病)センター協議会という、
公式?な団体から、
各種がん、各種ステージのがんに対して、
「全がん協加盟施設の生存率共同調査」の、
結果である生存確率がネット上で表示されています。
通常、ステージⅣの状態では、
手術はできない、行わない場合が多いのですが、
順当に、「手術はできません」と、悲しい宣告を受け、
手術を行わなかった患者さんでの、
腫瘍内科医と緩和ケアだけで、
診たと思われるステージⅣの各種がんの、数字の一例を転記します。
(1997年から2008年に診断された患者統計、2017年6月現在の表示)
日本人に多い、
肺がん、胃がん、大腸がんの、
数字を転記します。
ステージⅣ肺がん、手術なしの場合の、1792例の患者さんで、
1年生存確率 33.3%
5年生存確率 3.1%
10年生存確率 1.3%
ステージⅣの胃がん、手術なしの場合、694例の患者さんで、
1年生存確率 24.3%
5年生存確率 1.9%
10年生存確率 1.4%
ステージⅣの大腸がん、手術なしの場合、144例の患者さんで、
1年生存確率 19.1%
5年生存確率 0.8%
10年生存確率 0.8%
大腸がんの場合には、
ステージⅣの状態では、
転移病巣の切除は無理であっても、
原発病巣を切除しないと、
患者さんが、ご存命中に、
そこからの出血や、
狭窄による腸閉塞などで苦しむ危険性があるため、
非根治手術を行う場合も多く、
その場合は、738例の患者さんで、
1年生存確率 61.6%
5年生存確率 15.0%
10年生存確率 9.3%
というデータが得られています。
全がん協加盟施設ですから、
すべて「標準」を執行した数字だと思われます。
同時に、調査方法は、
明らかにされていませんが、
通常、生存確率は、
連絡なしに、転院や通院を止めたような、
生死不明の患者さんでは、
「生存者」とされて、
死亡が確認されていない患者さんの数の割合だけを示すことが多いので、実際の数字よりも、
高く示される傾向があります。
もし、本当の生存者数の確率であっても、
ステージⅣで腫瘍内科医だけで診た場合は、
ずいぶんと低いように感じます。もし、10年後に生きていても、
それは、治ったこととは、意味が違います。ステージⅣのがんは、
ほぼ治ることは不可能な「末期がん」と考えて、毒塗れになり、
副作用に悶え苦しみ、
ただ生きているだけよりも、現実を冷静に受容して、
ご自身の平穏な「いのち」の時間を大切にしたほうが無難だと感じます。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
昨日、徒然に、
私自身の腰痛のことを書いたら、
幾つものコメントやメールで、
お見舞いの言葉をいただきました。
ありがとうございます。
東洋医学のお勧めも、
幾つかいただきました。
東洋医学でも西洋でも、
人間の不幸を考えてできた学問ではないはずです。現在の日本では、
いわゆる西洋医学だけがありがたがられ、
それ一本になってしまい、
それ以外は
魔女狩りの運命に遭っています。
そのような扱いを受けている東洋医学は、
西洋よりも歴史は長く、
病む人間にとっては、
大きな恩恵を与えてくれる部分も相当に大きいと思います。日本のがん治療のメッカ、
がん〇病院でも、
東洋医学的なサプリメントの販売をしています。
腫瘍内科医は、さぞ嫌な顔をしていると思います。
しかし、東洋医学は、
日本の医療教育には取り入れられていません。
日本の医療者は、
自分が知らない治療は、
「効かない治療」、
「似非治療」と決め込む習性があるようです。エビデンス一神教の教祖ほど極端ではなくても、
「知らない = 効かない」の思想は、
根強く残っています。私自身の腰痛に対しては、
西洋も東洋も関係無く、
害が無く、
必要があれば何でも使いますが、
今回は、毎度の繰り返しであり、
自己流でなんとかなると感じています。
お見舞いのウラコメントの中に素敵な一文がありました。
私も腰痛持ちなので、
梅雨の時期は辛いです。
迷信の一つで病気には関連しないですが、方位取りというものを知り、
お気軽に、体調改善を言い訳に、日帰り温泉を楽しんでいます。
ちょっとだけ痛みが緩和されるように感じるのは
気のせいだと分かっていますが(笑)
占いも宗教的な感じがしますが、エビデンスを押し付けたり、
あがめさせたりする、一部の腫瘍内科様も、
一種の宗教の教祖様のようで怖いですね。
どちらも、お金とかが絡んでいるような・・・。
エビデンスの同意をする印鑑も、
一緒に買わされないといいですが。
「プラセボ効果」「気のせい」と分かっていても、
症状の緩和ができれば、目的は達しているわけであり、
その方法に害が無いのであれば、
東西関係なく、
ドンドン実行するべきだと考えます。
「気」も立派なクスリだと思います。しかし、印鑑のくだりは、
面白いですね。
ただし、彼らが動かずお金は、
腫瘍内科様お一人当たり、
1年間で数億から数十億円に上りますから、霊験あらたかな印鑑の販売は、
彼らにとってはあまりにも僅かなお布施に過ぎません。
積極的にはしないでしょうね。
エビデンスを追及されると困りますし。
ご心配ありがとうございました。
自分の病の責任は、
自分でしか取れません。何とかしますので大丈夫です。
しかし、東京では、
梅雨入り宣言をした途端に、
雨はまったく降らなくなり、
暑い日が続いています。
どの方面でも、
「宣言」「宣告」とは、
如何にイイ加減ものか、良く分かります。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
ここ数日、
梅雨入り宣告の後の快晴、猛暑など、
ハッキリしない天候のためか、
腰痛が酷く、
腰がメリメリ唸っています。
腰痛は、むかしからの持病であり、
検査上も身体の経年変化としての、
腰椎の変形・ズレが確認されていますし、
仕方ありませんが、
痛みというのは、
気持ちの良いものではありません。
友人の整形外科医に相談しても、
「手術をするほどじゃないよ。
運動不足じゃないの、もっと歩けよ。
そんなことより、こんど飲みに行こうよ。」
とつれない答えです。
あり得ないダイエットでもして、
体重を減らせば、
おそらく腰痛の程度も頻度も減るように思いますが、
文字どおり、重い腰があがりません。
クスリでも飲めば、
一時的にはラクになることは分かっていても、
あくまで一時的な鎮痛に過ぎませんから、
気が進みません。
大塚北口診療所のリハビリで、
マッサージを受けたり、
可能な限り、
睡眠時間を長くして、
腰に負担をかけないように心掛ける程度の、
対処療法だけしか行っていません。
一時期、湿布を何枚も張って、
多少ラクにはなりましたが、
その後の、湿布カブレの痒さには参りました。
むしろ痛いよりも遥かに辛い。
生きていると、
様々な苦難が襲ってきます。身体に何も異常を感じないときには、
そのありがたさには気付きませんが、
健康状態でいられること、
無症状で過ごすことができることは、
本当にありがたいことです。末期がんを背負っていても、
何ら自覚症状を伴わない患者さんも少なくありません。そんなありがたい状態で、
副作用で苦しむのは如何なモノでしょうか。
特殊な腫瘍内科医が、
患者さんを言葉巧みに、
いくらだまそうと試みても、
固形がんは、
抗がん剤では、
治ることはありません。治ることがないことが分かっている病への治療であれば、
もし、その治療で副作用があれば、
終生、副作用に苦しむことになります。苦痛と共に生きていくのも辛いですが、
治らないことが分かっていて、副作用に苦しむのは、
あまりにも愚かな行為です。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
「治ることまでは難しい」と、
腫瘍内科医に言われてしまった患者さんは、
残念ながら、
治ることは期待できない、ステージⅣの末期がんを宿しているか、
根治手術後に再発が見つかり、
末期がんと診断されてしまったかたがたです。
外科と腫瘍内科が完全に棲み分けされている病院では、
根治手術後の再発予防と称した抗がん剤治療が、
腫瘍内科医の手で行われます。
そのような根治手術を受けることができた患者さんだけは、
腫瘍内科というセクションでも、
天寿を全うする可能性があります。ただし、日本では、多くの病院で、
再発予防の抗がん剤治療は、
根治手術を執刀した外科のセクションで行うのが通例のようです。
治ることが期待できない、
ステージⅣ、末期がんの患者さんでは、
多くの患者さんが致命的な勘違いをしながら、腫瘍内科への通院しているように感じます。
日本人にとっての病院は、
病気を治す場所と感じているはずです。しかし、
「治ることは期待できない」ステージⅣ、末期がんを、「治ることまでは難しい」と、
勘違い誘導セールストークにひっかかり、
治らないことが前提でることを知らずに、病院に通う。
糖尿病でも腎臓、心臓疾患でも、
治ることはないはないことが前提で通院されている患者さんは、
少なくないはずです。
しかし、ステージⅣ、末期の固形がんの場合、
日本の多くの腫瘍内科で執行されている、
「標準治療」と称した、
タダの「儀式」では、治ることなどは、
完全に想定外であり、儀式を行ったほうが、
「無治療、放置よりは、
若干、長生きができるかもお知れない。」が大前提で、
患者さんは、
毎回、高いお金を支払いながら、
エビデンスで予測された、
旅立ちの時期を目指して通院しています。
画像上の縮小を見せられて、
「このまま、治るんではないか」などとの起こり得ない、
医療者にとっては、
完全に想定外の事態は、
間も無く、夢であったことに気付きます。
治らないがんの、
抗がん剤による縮小は、
珍しくありません。
しかし、固形がんが、
そのまま縮小を続け、
治るということは起こり得ません。希に、完全にがんが観えなくなることも起こります。
そして、そこで、
鞭打たれ、疲れ果てた身体に小休止が与えられることもあります。もともと、「がん」という最重量級のボクサーを相手に、
最軽量級の生身の人間が戦っているのですから、
勝つことは前提になく、
サンドバック状態にされても、
1ラウンドでノックアウトを免れたら、
1分間だけの休息は与えられます。
しかし、ラウンドが進めば、
必ず、ノックアウトか、
リングサイドからのタオルの投入が待っています。緩和ケアです。
概ねの通院回数など、はじめから決められている、
旅立ちを前提とした通院であることは、忘れないほうが、
楽しい人生を送ることができるはずです。
それは、けっして諦めではなく、
納得のいく、
ご自身の、いのちの、ありかたを考える時間です。1分間の休息では、
考えはまとまりません。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
数日前の
「術後再発予防?」でも書きましたが、
末期ではなく、
進行大腸がんの根治手術後の、
再発予防を期待して使われている、
オキサリプラチンという抗がん剤があります。
毒薬指定を受けている薬剤の本領発揮で、
蓄積神経毒性という、手足の痺れが終生残る可能性も高い副作用も伴う、
再発予防治療です。
世界各国で12000例の「進行大腸がん」に対する、
根治手術後の再発予防の効果を観る試験の結果が出ました。12000例全例では、
3年間の無病率、
すなわち無再発確率は、
オキサリプラチンを6ヶ月使った患者群で、75.5%
半分の3ヶ月の期間で終了した患者群では74.6%でした。この0.9 %の差により、
統計学的には、
半分の3ヶ月投与の効果は、
6ヶ月投与の効果に対して、
非劣性を証明できない。
「6ヶ月と同じ程度の効果」とは言えない、との結論でした。
グレード3以上の厳しい痺れという副作用は、
6ヶ月投与患者群では、
3ヶ月投与患者群の3倍以上の発現率でした。細かく分類したグループ別解析では、
6ヶ月のほうが3ヶ月より、
2%程度良かったグループもありました。
逆に、3ヶ月のほうが、
6ヶ月より、3年後の再発確率が1%以上低いグループも、
存在していました。
統計学という、
個々の個性溢れる患者という人間も、
すべて性格が異なるがん細胞も、
十把一絡げにした、
数遊びでは、
74.6% VS 75.5%では、
「非劣性は証明できなかった」そうですが、
3倍もの激しい痺れを残しても、
その数字が、
本当に患者さんの役に立つのでしょうか。
長い期間にわたる大量の毒の注入は、
統計学的には非劣性でも、
臨床的には、
副作用の大きさ、
QOLの維持に対して、
遥かに「劣勢」であるように感じます。当然
QALYも大きく落とします。
さらに今回の実験では、
結果は出されていませんが、
患者さんが生きていることが叶う、
生存期間についてのデータは、
まったく出されていません。同時に、オキサリプラチンよりも、
遥かに身体に優しい、
副作用防止のための、
TS-1やUFT+ユーゼルなどの、
飲む抗がん剤との比較結果こそ、
患者さんは望まれていると思いますが、
そのような試験は行われません。
「非劣性が証明できなかった」という、
この結果を観て、
6か月間の拷問に耐えなければならない患者さんが、
日本でも増えることと思います。お気の毒です。
辛い思いをして、
3年後の再発確率が75%前後と騒いでいますが、
じつは、手術後治療など何もしなくても、
60%以上の患者さんは、
終生再発は観ずに天寿を全うされることには、閻魔様は興味が無いようです。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
昨日、がんという病に対して、
知識を持たない普通の患者さんのことを書きましたが、
そのような知識のない患者さんにとっては、
「治ることまでは難しい」とは、
本当に絶妙のセールストークです。
末期がん患者さんへの、
医療者向けの、
「患者への説明の仕方の講習会」では、
このような、
明らかにウソではく、
しかし、何も知らない素人の患者さんなら、
確実に勘違いしてしまうフレーズが、たくさん教えられるのだと思います。
固形がんに対する標準を完全に否定する気は、
まったくありません。
ミクロレベルでの根治手術が、
極めて難しい、
卵巣がんなどの、
とりあえずの根治手術後の、
カルボプラチン、パクリタキセルの大量注入。
その量、回数が、
最適か否かは、
まったく不明であり、
患者さんは、相当の苦難を強いられます。
しかし、現行のその「標準」でも、
2年程度の無病生存期間が得られます。
すなわち、
患者さんは、
一時期だけであっても、
治ったような気分を味わうことができます。その後、ほぼ確実に再発は観てしまいますが、
「治ったモドキ」の状態が得られるのは、客観的にみると、
ありがたいご褒美だと感じます。
しかし、現行の「標準」では、
そのほとんどは、
その真実を知ったら、
少なくとも、
半分の患者さんは、
それを受けたいとは考えないと思います。精巣がんや絨毛がんなど、
稀少な種類のがん以外では、
抗がん剤で治る固形がんは、
存在しない。その、医療者ならば誰でも知っている現実を、
見失ってしまうと、
平穏ないのちを失ってしまうことになります。
「治ることまでは難しい」本当にそのとおりです。
以上 文責 梅澤 充
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ビックリするような勘違いをされている患者さんも、
少なくはないようです。
「根治手術後、再発、多発肺転移」の診断を
受けた患者さんがいました。
大塚北口診療所で、
ハイパーサーミアの治療を受けることだけが、
目的のようでした。
当日CTを撮り直すと、
5㎜程度の転移病巣が、
たくさん見つかりました。
持参した腫瘍マーカーのデータも、
極めて高い数字をしましていました。
セカンドオピニオンということではなく、
大塚北口診療所のハイパーサーミアを受ける目的だけで、
来られたようですが、
診察室でいきなり、
「どこも痛くも、痒くもないし、
それにまだ、小さいから治りますよね?」と、
訊かれてしまいました。
がんという病についての知識は、
ほとんど無さそうでした。
そのような患者さんに、
いきなり、
「治りませんよ」とは言えず、
「肺転移と診断してくれた病院の主治医と、
今後について話し合ってください」とだけ、
お話しをして、
保険適応のあるハイパーサーミアだけを
受けてお帰りになりました。
もちろん、ハイパーサーミアの目的は、
苦痛の伴わない延命です。
根治などありません。外科の主治医は、
根治を目指した手術という治療手段で、
患者さんを苦しめた、
その後の不幸な結果については、
あまり話したがらず、
抗がん剤など、
無力であることも、
良く知っていて、
無症状のうちから、
抗がん剤で苦しめて、
そのまま人生を終わりにさせてしまうことを、憚られたのだと思います。
その病院では、
外科は抗がん剤を扱ってはいけないという、
院内規約があります。
腫瘍内科に紹介しなければなりません。
その結果を知っていれば、
自分で手術をした患者さんを紹介はしたくはありません。
かといって、
他の病院を紹介することなど、
その病院内では不可能であり、
せめて、ハイパーサーミア程度なら、
健康保険適応でもあるし、
大きな害は無いだろうと、考えて、
診療情報提供書を書いたのだと思います。
外科医の優しさを感じましたが、
「抗がん剤でがん治る」
などと致命的な勘違いをしてしまったら、平穏ないのちは、
そこで終わってしまいます。
患者さん、ご家族に、
がんへの知識がないと、
「治ることまでは難しい」などとの、
巧みなセールストークに騙されて、
すべてが終わってしまうと思います。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
2015年3月に
末期胃がんが発見、
その後、闘病されていた、
現役のがん治療外科医が、
先週の5月31日に亡くなられたそうです。
大量出血により発見されたという、
その胃がんは、
すでに、肝転移、腹膜播種を合併している、
ステージⅣ、末期がんの状態だったそうです。
外科医としても、
当然、根治手術の適応は無いことは、
ご存じであったはずです。
発見後は、
治ることは期待できない、
抗がん剤を使っての闘病だったようです。
ご自身の手記によれば、
副作用も経験されたようです。
また、免疫細胞療法を受けておられた時期もあるようで、
その時に、
こころない、一部の腫瘍内科医や患者会が、
無責任に、
「エビデンスの無い治療をするな」と騒いでいたように記憶しています。
末期胃がんに対する、
「標準」のエビデンスでは、
生存期間中央治値は、
概ね1年程度です。2年を超えて生きていることが叶ったのは、
「標準」のためではないように感じます。
「治ることはない」という、
理不尽な現実は、がん治療外科医である、
ご本人は、
誰よりもシッカリと認識されていたと思います。
だからこそ、
エビデンスの無い治療であろうが、
ナンであろうが、
すべての治療を受け入れられたのだと思います。末期がんを宿した、
がん治療医としての、
発信を続けて頂きたかったですが、
叶わぬ夢に終わりました。
悲しいことに、
ネットの記事にも、
「進行性胃がん」のために、
亡くなられた。との記載がありました。
進行がんでは、
ヒトは死にません。ステージⅣ・末期がんは、
治ることはありません。しかし、師、自らが教えてくれたように、
末期がんでも、
すぐに死ぬことはありません。
ご冥福をお祈りいたします。
合掌以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
本日の東京は、
この時期にしては珍しく、
一面真っ青な、
カラッとした快晴の空を楽しむことができました。
本日は私の誕生日です。
命日は何時になるのかは分かりません。
誕生日を迎えるたびに、
考えることは、
やはり、いのち、と死という、
表裏一体の現実です。
また最近、腰の具合も良くなく、
体調から考えると、
実年齢より一廻り以上年長の爺様の気分です。人間としては、
すでに、「末期」に入っています。先日、
70歳以上の高齢者では、
抗がん剤の効果は薄い、無い。という事実が、
一般紙でも公表されていました。
固形がんに対しての標準量の抗がん剤は、
年齢など関係なく、
期待できるのは、
ごく僅かな時間の延命と、
症状の緩和だけですから、高齢者にとっては、
なおさら、ご利益は感じないように思います。
たくさんのお金をかけて、
副作用に苦しみ、
平穏な「いのちの時間」を縮め、
生きているだけの時間を僅かだけ延ばす、
そんな愚かな行為は、私自身の価値観からは、
絶対にしません。
僅かな時間の延命が必要な状態など、
はじめから作らなければ人生とてもラクです。もちろん、年齢、環境で違いはあります・・・
このブログでは、
価値観、死生観について何回も書いていますが、
治らないがんに対して、
如何に考え、対処するかは、
価値観のまったく違う他人が考えることではありません。ご自分の、いのちと死のありかたを、
考えることができるのは自分しかいません。末期がんを宿しただけの、
元気な患者さんに、
無責任な余命宣告をする医者もいまだに存在していますが、
自分の命日が分かる人間はいません。
しかし、
自分の命日を確実に知ることができれば、
いのちは、とても輝くようにも感じます。偶然、私は、末期がんを宿した患者さんを、
たくさん観ている医療者であり、
その手順は、
医療者以外のヒトよりは、
良く知っているつもりですが、
如何なる手だても、
その執行の主体は患者さんご自身でしかありません。ご自身の、いのちと死を、
シッカリと意識されている患者さんでも、
残念ながら、
今の日本では、
医療者にお任せ、
特に、腫瘍内科医にお任せできるような環境にはありません。
薬剤というハードは、
僅かでも進化してはいるように感じますが、こころというソフトの開発のほうが急がれるように感じます。本日は、
「冥途の旅の一里塚」でした。
すでに風呂には入ったし、
ネコのヒゲなど撫でながら、
一人で一杯飲んで、
早く寝ます。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
数日前のコメントを一部再掲します。
私は先月乳がん手術をし、先日病理結果を聞き、
サブタイプがトリプルネガティブであると判明しました。
再発予防には、抗がん剤しかないとのことで、
当然抗がん剤を勧められました。
ただ、私はこのタイプで有ろうとなかろうと、
抗がん剤をするつもりはありませんでした。
なので拒否する姿勢ですが、
そうすることは、逃げることなのか、
抗がん剤を受けることが頑張っていることで、
私は頑張っていないのか・・・
という気持ちになっています。
何歳になられる患者さんか、
ステージも分かりませんが、
通常、抗がん剤が「良く効く」と云われる乳がんとて、
手術後の抗がん剤で苦しい思いをしても、
本当に恩恵を受ける患者さんよりも、
無駄な抗がん剤を使った患者さんのほうが、
遥かに大きな数になります。乳がんの手術後に、
抗がん剤の副作用で禿げたアタマを自慢していた、
かなりおバカなタレントがいましたが、
脱毛とご利益は、
まったく相関しません。
もしも、70%という極めて高い再発確率が予想される状態で、
根治手術を受けたがんであった場合、
「50%の確率で再発予防ができる」という、
「夢の治療」が存在したとしても、そのような状態の100人の患者群全員に、
その夢の治療を行った場合、
再発する患者さんが50%減って、
35人にすることが期待され、
天寿を全うする可能性も出てきます。
残りの35人はその時に末期がんと診断されます。
当然、再発の有無は関係なく、
100人全員、抗がん剤の副作用は受けます。しかし、手術後に仮に何もしなかった場合、
70人が再発してきます。
残念ながら、70人がその時点で末期がんになります。一方、何もしないで、
再発を観なかった30人は、
まったく副作用は受けることなく天寿を全うできます。再発予防に厳しい抗がん剤を使った場合、
その後の再発では、
その時に使った薬剤は、
効果が無い確率が極めて高くなります。そうなると、
何もしなかった70人の末期がん患者さんと、
ガッチリ副作用を受けて再発の憂き目に遭った35人では、
同じ末期がんでも、
どちらが長く、
末期がん状態を楽しむことができるか分かりません。再発予防のエビデンスなど、
昨日の
「術後再発予防?」でも書いたとおり、
赤の他人の誰かのご都合により、
コロコロ変わります。
現実の数字、エビデンスを参考にして、
他人の価値観など入り込む余地がない、
ご自身の確固とした価値観、死生観を確立することが、一番重要だと感じます。
それが無いなら、
日本人が大好きな、
「みんなと同じ」
「苦あれば楽あり」と、
禿げあがったアタマを誇示して、
呪文を唱えながら、流されていくのが妥当ではないでしょうか。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
間も無く、米国癌治療学会ASCOがはじまります。
今年はシカゴで開催されます。
思いでの土地であり、
行きたいですが、
時間もお金もありません。
しかし、便利な世の中になりネットでの、
内容を確認することができます。
すでに、抄録が発表されている演題もあり、
観ることができます。
根治手術後の大腸がんの再発予防の、
抗がん剤治療についての抄録が2本在りました。
欧米よりがん治療の手術手技が、
遥かに勝っている日本でも、
手術の技に劣っている欧米のエビデンスに、
ひたすら追従していた時期がありました。数年前から、
その残忍さゆえか、
欧米追従を止めている日本の外科医も、
増えているように感じます。以前は、日本でも大腸がんの根治手術後に、
オキサリプラチンという、
非常に副作用が厳しく、
終生その副作用に悩まされる患者さんも少なくない、
残忍性の高い「毒薬」指定の薬剤がふんだんに使われていました。
腫瘍内科医が抗がん剤の主導権を握っている病院では、
患者さんが嫌がっても、
世界に誇ることができる日本の根治手術後に対しても、
「エビデンスです」という、
閻魔様の錦の御旗のもとに、FOLFOXという組み合わせの儀式が、
12回、半年にわたり、
繰り返されてしまった患者さんも少なくありません。再発を観ていない患者さんでは、
いまだに手足が痺れで悩まされているかたも、
たくさんいるはずです。
もちろん、それだけの仕打ちを受けても、
再発して、すでに亡くなられた患者さんもいます。
2本の抄録では、
いずれも、手術技量が日本に劣るヨーロッパの報告でしたが、
一つは、
約6000例の根治手術後の大腸がん患者さんを対象に、
オキサリプラチンを、
従来どおり半年間使った患者群と、
その半分量の3か月間で済ませた患者群を比較して、
再発確率に有意な差は無いことが報告されていました。約3700例のイタリア中心の報告では、
従来どおり半年間使い続けたほうが、
半分の3ヶ月で止めた患者群よりも、
ごく僅かに、
再発確率に差が出るという結果が出されていました。もちろん、「毒薬」と指定されている薬剤など、
半分の量で使えば、
生身の人間の身体が被る害毒は、
半分以下になります。同時に医療費も半分。
就労不能の時間も半分以下になります。
最終発表は、
米国の今週末に予定されているようですが、
従来の12回の半年間の拷問と、
その半分の期間で済む6回、3ヶ月と大差はなさそうです。
オキサリプラチンの先発薬としての特許は、
1年以上前に失効しています。不思議なことに、
特許が切れると、
その薬剤は、
「あまりたくさん使わないほうがトクです。」という類いの報告が、
粛々と出されて来ます。
エビデンス・標準にしがみつく、
日本の哀れな閻魔様と、
したたかな製薬企業との、複雑な関係が浮き彫りにされて来ます。
従来の半分でも結果は同じですなどとのエビデンスが、
出てしまったら、
「責任は持てません」などと言われて、
12回の地獄を味わい、
今も痺れが残っている患者さんや、
副作用で亡くなった患者さんは、
誰が責任をとってくれるのでしょうか。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
時間が経つのは速いもので、
すでに六月です。
東京は、これから鬱陶しい日が続きます。
ここ数日、
ほぼすべてのステージⅣのがんは、
治ることは期待できない「末期がん」である現実を書きました。一方、一部の腫瘍内科医は、
「末期がん」という言葉そのものを、
禁止用語にしています。末期がんは、
治らないことは事実ですが、
すぐに死ぬことを意味するものではありません。ただ、その言葉が、
患者さんご自身や、ご家族の「死」を、
想起させるのは事実だと思います。欧米では、
昭和の時代から、
「治ることは期待できない」という、
正直で、じつは患者さんに優しい病状説明が、
当たり前であり、
日本のような曖昧で、
誤解を招くような説明では、
告訴される可能性もあるほどです。
家族の死を悲しむのは、
万国共通かも知れませんが、
自己の死に対する受け止め方は、一神教というローラーで塗り固められた、
盤石な思想、死生観を持つ欧米人と、
中途半端な信仰心しかない日本人では、
まったく違っているように感じます。
生きている人間には、
必ず訪れる自然現象としての死、
しかし、一見、極めて理不尽と感じてしまう死も、思想、価値観、死生観で、
その受け止め方は、
まったく違うはずです。
死に対する医療が、
人間が生きる根源である価値観、死生観が、
まったく違う人間たちと、
同一であっていいはずはありません。真実を隠し、
ネコ騙しのような手法で、
言葉尻だけを少し変えて、
日本人を欺かないと成立しない、
治らないがん=末期がんに対する、
日本の「標準」は、長くは続かない、
続けさせてはいけないように感じます。
価値観の違う医療者が、
患者さんよりも先に選択肢を決めている、
インフォームドコンセントとは、
日本独自の悲しい文化かも知れません。すぐには変わらないでしょうけど、
せめて、若い医者に、
口先三寸の惨めな腫瘍内科専門医にだけは、
なって欲しくありません。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。