再発ガンで手術が可能な場合、
その手術を何時、どのタイミングで行うか、
これは非常に難しい問題です。
これは、私のまったく私的な考え方であり、
反対する医者もたくさんいると思います。
(私の場合、抗癌剤治療も異端で、反対者ばかりですが・・・・)
大腸ガン術後に肝臓に再発が確認された。
しかし、再発病巣は単発であり、
手術を行えば取り去ることも可能、
これはよく見ることです。
その場合、即手術に踏み切るべきか否か、
大いに迷うべきです。
一方、乳ガンが肝臓に転移した場合、
手術を行うことはあまりしません。
ほとんど迷いません。
それは血液の流れの関係です。
別の場所のガンが、
肝臓や肺などのほかの臓器に転移するのは、
多くは、血液の中にガン細胞が入り込み、
その血流に乗って、
転移臓器に飛んでいった場合です。
乳ガンなどの消化器以外のガンの血流を考えると、
例えば、乳腺に流れ込んだすべての血液は、
静脈を通って心臓にすべて戻され、
肺を通過して、
再び心臓に戻った後、
全身に放出されます。
したがって、
乳ガンが肝臓に転移しているという場合、
転移が肝臓だけに留まっているという可能性は、
極めて低くなります。
肺や骨などにも飛び火している可能性が高くなります。
ですから、
乳ガンの再発が肝臓にだけ見つかったとしても、
それをいきなり手術をして取ることはあまり考えません。
一方、消化器の血液は、
先ず心臓から、
ガンの存在する消化器へ血液が送られますが、
その後、消化器に流れ込んだすべての血液は、
門脈といわれる静脈を通り、
肝臓へ流れていきます。
もし、その中にガン細胞が入り込んでいた場合でも、
そのすべてのガン細胞が、
はじめに流入する肝臓で留まっている可能性も十分にあります。
ですから、消化器ガンの肝臓転移の場合には、
手術により切除することで根治する可能性も出てきます。
しかし、画像診断上、
単発に見えても、
それは機械の目ではまだ見えないというだけで、
一つだけではなく、
無数のガン細胞が、
消化器のガンから門脈に放出されたと考えられます。
したがって放置すれば、
単発は、いずれは無数の多発になる可能性も十分にあります。
ですから、
私は消化器ガンの肝転移が見つかったときには、
勿論、根治のチャンスは常に考えますが、
いきなり手術を行うのではなく、
先ず、肝臓への抗癌剤の動脈注入などにより、
見えている転移ガン病巣の縮小を図り、
その治療を続け、
縮小が止まったときにはじめて手術治療、
または、根治のための放射線治療を考えます。
その手順は、
9月26日の「術前抗癌剤治療」
でも書いたとおり、
手術でガンを取り去る前で、
まだガン見えている状態であれば、
ガンを診ながら抗癌剤を使うことができるという
大きなメリットがあります。
目の前の見えているガンが縮小していけば、
まだ見えない小さなガン細胞のカタマリは、
その抗癌剤治療により、
消滅してしまう可能性が出てきます。
すなわち、
見えている転移ガン病巣が縮小した後の切除では、
根治の可能性が高くなると考えられます。
再発が確認されると、
多くの患者さんでは、
はじめてガンと宣告されたときと同様に、
アタマの中が真っ白で、
何も冷静に考えることができなくなりますが、
「再発するも、切除可能」と診断されても、
いきなり手術を行うよりは、
一歩下がって冷静に考えて、
根治の確率が高くなる治療法を選択したほうが無難です。
乳ガンの術前の抗癌剤治療でも、
同様で、
予め決められた回数だけを実行して、
その状態がドウであれ、
手術を行うというのではなく、
縮小が続いているのであれば、
そして副作用が容認できる範囲のものであれば、
その抗癌剤治療を継続して、
最小の大きさになった時点で、
手術を考えるべきだと思います。
また、当然ですが、
乳ガンの術前抗癌剤治療でも、
必ずしも標準量の抗癌剤が必要であるとは限りません。
標準量より遥かに少ない量で副作用が無く、
ガンが十分に縮小するのであれば、
その量でも十分とも考えられます。
逆に、術前の標準治療でも、
ガンの縮小が得られなけば、
抗癌剤治療にこだわらずに、
速やかに手術治療に切り替える必要もあると思います。
手術のタイミングは、
根治を目指す上で極めて重要です。
あまり焦らずに慎重に考えてください。
以上 文責 梅澤 充
その手術を何時、どのタイミングで行うか、
これは非常に難しい問題です。
これは、私のまったく私的な考え方であり、
反対する医者もたくさんいると思います。
(私の場合、抗癌剤治療も異端で、反対者ばかりですが・・・・)
大腸ガン術後に肝臓に再発が確認された。
しかし、再発病巣は単発であり、
手術を行えば取り去ることも可能、
これはよく見ることです。
その場合、即手術に踏み切るべきか否か、
大いに迷うべきです。
一方、乳ガンが肝臓に転移した場合、
手術を行うことはあまりしません。
ほとんど迷いません。
それは血液の流れの関係です。
別の場所のガンが、
肝臓や肺などのほかの臓器に転移するのは、
多くは、血液の中にガン細胞が入り込み、
その血流に乗って、
転移臓器に飛んでいった場合です。
乳ガンなどの消化器以外のガンの血流を考えると、
例えば、乳腺に流れ込んだすべての血液は、
静脈を通って心臓にすべて戻され、
肺を通過して、
再び心臓に戻った後、
全身に放出されます。
したがって、
乳ガンが肝臓に転移しているという場合、
転移が肝臓だけに留まっているという可能性は、
極めて低くなります。
肺や骨などにも飛び火している可能性が高くなります。
ですから、
乳ガンの再発が肝臓にだけ見つかったとしても、
それをいきなり手術をして取ることはあまり考えません。
一方、消化器の血液は、
先ず心臓から、
ガンの存在する消化器へ血液が送られますが、
その後、消化器に流れ込んだすべての血液は、
門脈といわれる静脈を通り、
肝臓へ流れていきます。
もし、その中にガン細胞が入り込んでいた場合でも、
そのすべてのガン細胞が、
はじめに流入する肝臓で留まっている可能性も十分にあります。
ですから、消化器ガンの肝臓転移の場合には、
手術により切除することで根治する可能性も出てきます。
しかし、画像診断上、
単発に見えても、
それは機械の目ではまだ見えないというだけで、
一つだけではなく、
無数のガン細胞が、
消化器のガンから門脈に放出されたと考えられます。
したがって放置すれば、
単発は、いずれは無数の多発になる可能性も十分にあります。
ですから、
私は消化器ガンの肝転移が見つかったときには、
勿論、根治のチャンスは常に考えますが、
いきなり手術を行うのではなく、
先ず、肝臓への抗癌剤の動脈注入などにより、
見えている転移ガン病巣の縮小を図り、
その治療を続け、
縮小が止まったときにはじめて手術治療、
または、根治のための放射線治療を考えます。
その手順は、
9月26日の「術前抗癌剤治療」
でも書いたとおり、
手術でガンを取り去る前で、
まだガン見えている状態であれば、
ガンを診ながら抗癌剤を使うことができるという
大きなメリットがあります。
目の前の見えているガンが縮小していけば、
まだ見えない小さなガン細胞のカタマリは、
その抗癌剤治療により、
消滅してしまう可能性が出てきます。
すなわち、
見えている転移ガン病巣が縮小した後の切除では、
根治の可能性が高くなると考えられます。
再発が確認されると、
多くの患者さんでは、
はじめてガンと宣告されたときと同様に、
アタマの中が真っ白で、
何も冷静に考えることができなくなりますが、
「再発するも、切除可能」と診断されても、
いきなり手術を行うよりは、
一歩下がって冷静に考えて、
根治の確率が高くなる治療法を選択したほうが無難です。
乳ガンの術前の抗癌剤治療でも、
同様で、
予め決められた回数だけを実行して、
その状態がドウであれ、
手術を行うというのではなく、
縮小が続いているのであれば、
そして副作用が容認できる範囲のものであれば、
その抗癌剤治療を継続して、
最小の大きさになった時点で、
手術を考えるべきだと思います。
また、当然ですが、
乳ガンの術前抗癌剤治療でも、
必ずしも標準量の抗癌剤が必要であるとは限りません。
標準量より遥かに少ない量で副作用が無く、
ガンが十分に縮小するのであれば、
その量でも十分とも考えられます。
逆に、術前の標準治療でも、
ガンの縮小が得られなけば、
抗癌剤治療にこだわらずに、
速やかに手術治療に切り替える必要もあると思います。
手術のタイミングは、
根治を目指す上で極めて重要です。
あまり焦らずに慎重に考えてください。
以上 文責 梅澤 充