おかげさまで、復活しました。
もともと身体だけは丈夫ですから、本当に鬼のカクランでした。
ありがとうございました。
また昨日、とても的確なご指摘を頂きました。
その頂いたコメントに対して、私なりの見解を書きます。
せっかく頂いたコメントを細切れにして、掲載するご無礼については、
匿名先生に深くお詫びいたします。
私も外科医の端くれなので先生の抗癌剤の考え方はなんとなく理解できるのですが、化学療法科にも数年いたので、内科医の考え方も承知しているつもりです。
先生のおっしゃるような偉い内科医がいるのも確かに知っていますが、適当に抗癌剤を投与する外科医が多いのも先生はご存知でしょう。
私はやはり患者さんには標準治療をお勧めしています。
それは以下の考え方からです。
標準治療の定義はおそらく現在において最も効果が高いと医学的に証明された治療法のこともしくはそれに準ずる治療ということになるのだと思います。
この点に関しては誰も異論のないとこだとおもいますが・・・
しかし最もいい治療と言うのをさしているわけではないのも確かです。
あくまでも証明された、つまり比較試験を勝ち上った勝者を標準治療としています。
(海外の試験がほとんどですが、大方あたっていると思います。一部の分子標的薬や特殊な遺伝子との相互関係はこの際無視します)
それには副作用が耐容されることが当然含まれます。
実際、消化器がんの抗癌剤治療のうち外来でできないのはCDDPが比較的多量に入るレジメとだけで、ほとんどの方は外来治療が可能です。かつてのように患者さんが最もつらいとされる消化器症状も大体1割のかたを除くとあまり問題なく施行できます。
(ここがポイントですがあくまでも副作用はあるのですべてゼロではありませんが、少なくとも体重減少や生活範囲の極端な狭小化が無いという意味です)
まだ抗癌剤の効果が悪かったころの副作用のイメージはほとんど感じられないと思います。
欧米も当然副作用の耐容されるレジメを作ってきているわけですから当然といえば当然ですが・・・
消化器がんの抗癌剤治療は術後補助化学療法以外は延命治療ですから副作用が耐容されなければ精通した医師は治療法を変更しているはずです。
安易に抗癌剤に精通していない医師が標準治療の薬用量を投与する為、患者に多くの負担をかけているのだと思っています。
「私も外科医の端くれなので先生の抗癌剤の考え方はなんとなく理解できるのですが、化学療法科にも数年いたので、内科医の考え方も承知しているつもりです。」
私は、いつかも書きましたが、ガンに対する最大の武器の使い方を理解している医者こそが、次の手である抗癌剤治療を行うべきであると考えています。
匿名先生は、広い視野を持たれた、
まさに理想的な抗癌剤治療専門医の方だと思います。
ご指摘どおり、「適当に抗癌剤を投与する外科医が多い」ことは十分に認識しております。
そのつもりはありませんでしたが、恐らく私が抗癌剤治療をはじめた頃は、
腫瘍内科医の目から見たら、私もそのように見られていたものと思います。
きっと、今もそう思われていると思います・・・
「つまり比較試験を勝ち上った勝者を標準治療としています。(海外の試験がほとんどですが、大方あたっていると思います。」
そのとおりだと思います。
ただ、海外の試験ですが、私はシカゴで生活していた2年間、まいにち新聞には、
その「試験(治験)の有償または無償ボランティア」応募の広告が掲載されていました。
大学の掲示板でも、その広告を見ない日はありませんでした。
当時私はもっぱらラット(ねずみ)を使って実験を行っていました。
その実験台の上のラットと、「保険がないが故の治験ボランティア」の患者さんが、
私のアタマの中で、オーバーラップして、そこから出されるデータに対し、
何とも言えない複雑な感覚を持っています。
それは、偏った見方で、正しくはないと思います。
3月19日の「肺ガンの抗癌剤治療・エビデンスの裏側」
3月28日の「不毛の争いもう止めます」でも書きました。
是非ご覧いただきたいと思います。
「消化器がんの抗癌剤治療のうち外来でできないのはCDDPが比較的多量に入るレジメとだけで、ほとんどの方は外来治療が可能です。」
外来治療は、g-CSF(白血球を増加させるクスリ)や、5HT3阻害剤(吐き気止め)の
開発以降はすでに可能であったと思います。
ただ、「日本の保健医療制度上、入院しなければ病院の利益にならない」という側面があったようにも思います。
それに対し、政府が入院治療を大幅に制限しはじめ、その結果外来通院治療が主役になってきたように感じています。
勿論、患者さんのQOLの向上という大命題はありますが・・・
「かつてのように患者さんが最もつらいとされる消化器症状も大体1割のかたを除くとあまり問題なく施行できます。(ここがポイントですがあくまでも副作用はあるのですべてゼロではありませんが、少なくとも体重減少や生活範囲の極端な狭小化が無いという意味です)
まだ抗癌剤の効果が悪かったころの副作用のイメージはほとんど感じられないと思います。欧米も当然副作用の耐容されるレジメを作ってきているわけですから当然といえば当然ですが・・・」
このご意見には、チョッとだけ反論させて下さい。
標準的抗癌剤治療で「体重減少や生活範囲の極端な狭小化が無い」患者さんが「9割」。
ということはないように思います。
勿論、私のところへは、標準的抗癌剤治療の強烈な副作用に耐えられず、
逃げて来られた患者さんが、大勢おられますので、
副作用に耐えられない患者さんの割合は
1割程度どころではありません。
また、かつて耐えながら標準的抗癌剤治療を行っていた患者さんでも、
「抗癌剤治療がこんなに楽にできるとは思わなかった。」と、言われる患者さんもたくさんおられます。
現在私は、ほとんど標準的抗癌剤治療は行っていませんので、
副作用の実態は判りません。
数ヶ月前にCDDPが大量に入った標準治療を行いましたが、
その患者さんは、まったく自覚的副作用の訴えもなく、
検査のうえでも副作用は認められませんでした。
このような患者さんもおられることは事実です。
しかし、私が診ている患者さんの特殊性を差し引いても
1割というのは少し少なすぎる数字だと思います。
事実、副作用対策を施した、さまざまな第3相の臨床治験での、
副作用を見ても、グレード3以上の「嘔吐」は10%以内であっても、
「1日1回以上の嘔吐をする」グレード1以上の副作用では
半数程度には認められる、というデータが出ていたように思います。
自宅であっても、生活をしている時に、
1回でも吐くというのは尋常なことではないと思います。
確かに、5HT3阻害剤(吐き気止め)が開発される前から比較すると、隔世の感があります。
すでに“時効”ですから書きますが、
ある公立病院で勤務をしていた平成3〜4年頃だったと思いますが、
「すごくよく効く制吐剤が開発された」「治験が行われている」と聞いて、
その製薬会社に対し、そのクスリの承認・発売前に、
「サンプルを持ってこなければ、お前の会社のクスリは使わないぞ」
と脅しをかけて、サンプルを不正に入手して使った経験があります。
その時の強力な制吐作用には驚かされました。
g-CSF(白血球を増加させるクスリ)でも、
まったく同様な恐喝行為を行い不正に入手していました。
それまで使っていた、ロイコン、イノシー、セファランチン、などの
“おまじない”とは、まったく違う、画期的な効果にビックリしました。
従って、「抗癌剤の効果が悪かったころの副作用のイメージ」と言うより、
これらの薬剤のおかげで、「抗癌剤の効果が引き出されてきた」ように感じます。
「延命効果がなかった抗癌剤治療にそれが可能になってきた」ように思います。
現在の制吐剤、g-CSFがなかった時代の抗癌剤治療の強烈な副作用が、
私のアタマこびりついていることは事実だと思います。
それは、早く払拭するように努力します。
「欧米も当然副作用の耐容されるレジメを作ってきているわけですから当然といえば当然ですが・・・」
匿名先生が言われるとおり、欧米主導で現在の抗癌剤治療は、確立されてきています。
しかし、
1月25日の「ガン、人生観、生死感に対する考え方の人種格差」でも、書きましたが、
死生観、生活環境、思想、教育、宗教感もまったく違う人種間で、
生死を伴う治療において、治療効果、副作用に対する考え方、受け取り方には
大きな相違があるのが自然だと思います。
その結果、容認できる副作用の程度もまったく違うのではないかと考えています。勿論それは悪心・嘔吐などの自覚される副作用のことであって、
検査データ上の副作用は万国共通だと思います。
「消化器がんの抗癌剤治療は術後補助化学療法以外は延命治療ですから副作用が耐容されなければ精通した医師は治療法を変更しているはずです。」
匿名先生のようなお考えで、抗癌剤治療をされれば患者さんはどれだけ救われるか判
りません。
私が診ている患者さんが特別なのかも知れませんが、
「副作用が耐容されなくても、治療法を変更しない医師」から治療を受けていた
患者さんが、何人も来られています。
「安易に抗癌剤に精通していない医師が標準治療の薬用量を投与する為、患者に多くの負担をかけているのだと思っています。」
おっしゃるとおりだと思います。
私も「精通している」とは思っていません。だから標準量の抗癌剤治療を嫌っているのかも知れません。
丁寧に書いて頂いたコメントの後半部分こそ、
大変重要で、匿名先生の言われるとおりであり、
また、私自身教えを乞いたいこともたくさんあるのですが、
あまりに長すぎてしまいますのです、
後半部分については、明日書きます。
本日はこれで終わらせて頂きます。
以上 文責 梅澤 充



