私の考えを書きたいと思います。
昨日は長いコメントの前半部分について書きました。
本日は、その続きの後半部分です。
それでは、なぜ標準治療をまず勧めるかなのですが、それはあくまで抗癌剤の効果が不確かだからです。
副作用同様、効果も個人差が著しく、抗癌剤はすべての人に福音をもたらしません。(私はこれを必ず説明しています)
したがって少なくともこれまでの医学研究のうち勝者の治療を選びたいのです。
決して先生の治療より勝っているかは分かりません。
しかし分からないからこそ、医学研究の勝者が倫理的にふさわしいと考えます。欧米の医者の考え方と一緒で独自性がありませんが、私はこれはとても理解しやすい発想と考えます。
でも先生のような独自の治療の発想は重要ですし、決してしてはならない治療ではないと思います。
多くの場合、外科医の感は当たると思います。経口5FU系薬剤や血管新生阻害薬がいい例です。
しかし重要な点は標準治療と将来的に同じ土俵に乗って戦う必要があります。
一部先生が誤解なさっているのではないかと思われる点があったので付け加えさせていただくと標準治療が勝ち残る無二のエンドポイントは奏効率ではなく生存期間です(一部はQOL改善効果)
(ちなみに胃癌治療における第一選択のこれまでの日本での標準治療は5FU単独です。以前FPと比較され、圧倒的にFPの方が奏効率がよかったのですが生存期間は変わらず現在の比較試験を行う正当な標準治療は5FU単剤です。そろそろ5FUvsCPT-11+CDDPvsTS-1の結果が出ますが・・・)。
したがって先生の言われることが正しいかどうかはやはり将来的に第3相試験が必須になります。
エンドポイントは生存期間で同等ならば先生の治療は副作用が少なく標準治療になります。
また当然奏効率が低くとも生存期間が長いほうが勝者ですの先生の仮説が正しければやはり標準治療となります。
第3相試験はかなりの手間がかかりますから、まず第2相試験をするべきと考えます。
第2相試験を行いぜひ3相にあげるべきものか統計学的に判断していただきたいです。
漫然と先生が現在の治療を行っていくことには反対です。
某T先生はすでに最小用量の前向き試験を開始しています。
もし先生の治療と同じ考え方によるのであればその結果を待つのがいいのかも知れません。
先生は患者さんに標準治療ではないことを話して治療しており、それほど大きな倫理的問題は含んでいないのかも知れません。
先生の治療で説明してもなお倫理的に問題になるとすれば、やはり薬用量が少ない事による腫瘍制御の機会を失う可能性かも知れません。この点は患者に説明義務が生じると思います。
治療法としてのデータがない以上想定される危険性はある程度きつく言う必要があるように思います。(言葉が不適切ですが)
当然最初に先生の仮説ありきですが。
やはり日本の外科医は総じて小山の大将になりたがることは否定できず、ここが内科からの批判の標的となってしまう原因一つと考えています。協力して臨床試験を立ち上げるべきではないでしょうか、イギリス型の巨大試験が適当かと思います。
(いろいろな意味で、基準がゆるいので外科でも参加しやすいなど)
UFTもどのくらいの期間内服すべきか試験をするといいと思います。
(これをして始めて臨床経験が正当なものかが評価される)
かつて乳癌が通ってきたように臨床的な重要な疑問の解決が重要と思います。臨床医は世の中に多くの場合役に立たない基礎実験より、臨床試験をすべきと思います。以上つれづれに書いてしまいました。
最後に、匿名でコメントしたのはやはり不特定多数の方に名前が出てしまう可能性による不利益を想定してのことです。
あとみんな患者さんによくなってほしいという気持ちは一緒なのであんまり他医についてのきついコメントは少しつらいです。一部の影響の大きな方に対する公のコメントは別にして・・・
それでは失礼いたしました
「それでは、なぜ標準治療をまず勧めるかなのですが、それはあくまで抗癌剤の効果が不確かだからです。副作用同様、効果も個人差が著しく、抗癌剤はすべての人に福音をもたらしません。(私はこれを必ず説明しています)
したがって少なくともこれまでの医学研究のうち勝者の治療を選びたいのです。
決して先生の治療より勝っているかは分かりません。
しかし分からないからこそ、医学研究の勝者が倫理的にふさわしいと考えます。
欧米の医者の考え方と一緒で独自性がありませんが、私はこれはとても理解しやすい発想と考えます。」
おっしゃられるとおり「抗癌剤の効果が不確か」だとは思います。
私は、「不確かだからこそ」標準的な量の抗癌剤治療を
はじめから選択することは避けています。
避けるべきだと考えています。
消化器ガン、肺ガンなどで抗癌剤治療に延命効果が認められるようになってきたのは、
わずか十年とチョッと前のことです。
それまでも、抗癌剤治療にはガンを縮小させる効果はありました。
しかし、「生存期間の延長」という患者さんが一番望む効果は認められませんでした。
ガンの縮小を認めた患者さんでは、無治療で診た患者さんよりは、
多少の延命効果は見られたはずです。
抗癌剤治療で長生きする患者さんが存在したはずです。
しかし、生存期間中央値(1月12日の「ガン医療の現場で使われる言葉 生存期間中央値」)に差が出ない。
この現実は、「抗癌剤治療により寿命を縮めてしまった患者さんが存在する」
という事実にほかなりません。(1月20日「ガンの増殖・増大」)
その事実は、現在も変わらないはずです。
すなわち、「抗癌剤治療が効かなかった患者さんは寿命を縮める。」という事実です。
はじめから、標準的に大量の抗癌剤を使った場合、
その抗癌剤治療が、その患者さんに「当たる」とは限りません。
「抗癌剤の効果は不確か」です。
その時には、その患者さんは無治療でいるより寿命を縮めてしまいます。
たしかに、アタリくじを引けば長生きできることでしょう。
そして、統計学的に、
「長生きできる患者さんの延命日数の総和」の方が、
ハズレくじを引いて、「縮められる寿命の日数の総和」より大きい、
ということが最近では判っています。
この数字の差が、匿名先生のおっしゃる「医学研究の勝者。」ではないでしょうか。
標準的抗癌剤治療が罪悪だとは考えていません。
しかし、標準的に大量の抗癌剤を使うときには、
その治療が、その患者さんにとって、
アタリかハズレかだけは確認してから治療をはじめるべきだと考えています。
勿論、私の現在の治療が、標準的抗癌剤治療より勝っているか否かは不明です。
まだ、エビデンスがないのですから・・・・
しかし、アタリかハズレかは、僅かな量の抗癌剤でも判定できると思います。
「でも先生のような独自の治療の発想は重要ですし、決してしてはならない治療ではないと思います。多くの場合、外科医の感は当たると思います。経口5FU系薬剤や血管新生阻害薬がいい例です。」
ありがとうございます。
お言葉を励みにしていきます。
ただ、たしかに、経口5FUを術後に使っていたのは「外科医の勘」ですが、
今の治療は、勘ではありません。
たしかにまだエビデンスはありません。
現在の治療の根拠は、
免疫治療と称し、健康食品を内服するだけという、
ほとんど無治療で経過を診た患者さんを、
実際に数百人も診てきて(抗癌剤治療をかたくなに拒否する患者さんでした)
また、そのような患者さん数千人分のデータを見てきた結果です。
私は、その免疫治療を受けている患者さんにも、抗癌剤治療を勧めましたが、
拒否する患者さんも大勢おられました。
無治療では、ガンは増大して、患者さんは、次第に状態が悪くなっていき、
そうなってはじめて抗癌剤治療を行う患者さんもいました。
最期まで拒む患者さんもいました。
このような多数の患者さんを通して、
ガンの自然経過をこの目で見ることができた結果、生まれてきた治療です。
この貴重な体験をした医者はあまり多くはないと思います。
「しかし重要な点は標準治療と将来的に同じ土俵に乗って戦う必要があります。」
おっしゃるとおりで、いずれかの時期には、戦うのではなく標準治療になってほしいとは考えています。
「一部先生が誤解なさっているのではないかと思われる点があったので付け加えさせていただくと標準治療が勝ち残る無二のエンドポイントは奏効率ではなく生存期間です(一部はQOL改善効果)
(ちなみに胃癌治療における第一選択のこれまでの日本での標準治療は5FU単独です。
以前FPと比較され、圧倒的にFPの方が奏効率がよかったのですが生存期間は変わらず現在の比較試験を行う正当な標準治療は5FU単剤です。そろそろ5FUvsCPT-11+CDDPvsTS-1の結果が出ますが・・・)。」
誤解はしていません。
長く続いた延命効果ゼロの時代の抗癌剤治療のエンドポイント(最終目標)は
奏効率しかなかったのではないかと、想像しています。
当時の腫瘍内科医が如何に考えていたかは不明です。
私の考えでは、エンドポイントは、
あくまで「患者さんが最も望んでいる治療結果」だと考えています。
それは、「生存期間の延長に他ならない」と、私は勝手に思い込んでいます。
他に価値観を見出す患者さんも当然いると思います。
その場合、私の治療は対象外になります。
1月15日の「ガン治療の現場で使われる言葉 エビデンス」で、
奏効率と生存期間については書きました。
是非ご覧頂きたいと思います。
私は、奏効率ゼロ(不変)の抗癌剤治療が理想的抗癌剤治療だと考えています。
勿論それは、PSゼロ(1月18日「緩和医療」)の患者さんが対象ですが・・・
「先生の治療で説明してもなお倫理的に問題になるとすれば、やはり薬用量が少ない事による腫瘍制御の機会を失う可能性かも知れません。この点は患者に説明義務が生じると思います。治療法としてのデータがない以上想定される危険性はある程度きつく言う必要があるように思います。」
ご指摘いただいたとおりです。
「エビデンスがない」ということは、理解して頂けるように注意はしているつもりですが、今後さらに気をつけたいと思います。
ご指摘ありがとうございます。
ただし、「腫瘍抑制の機会を失う」とは考えていません。
先ほど言いましたとおり、私は「無治療というガン治療」を散々見てきました。
効果の出なかった標準的抗癌剤治療で、
一気にガンの増殖を見ることは過去に何回も経験しましたが、無治療では、そのような恐ろしいガンの急速な増殖は滅多に見ることはありません。
勿論、膵ガン、小細胞ガンなどのラッシュなガンには、
それほどのんびりとはしていられませんが・・・
また、現在の私の抗癌剤治療では、
患者さんの身体へのダメージはほとんどありませんから、
「抑制の機会を失う」ことはないと考えています。
頻回に検査を行い、増大があればすぐに次の手を打ちます。
身体にダメージを与えなければいくらでも次の手が待っています。
健康食品だけの無治療でも、「抑制の機会を失う」ことはありませんでした。
ただし、現在裁判になっている某免疫治療クリニックの患者さんで、
その免疫治療開発者Y氏に「手術はしなくても治る」と騙されて、
手術機会を失った患者さんは何人もおられます。
ご指摘いただいた説明義務についての私の考えは、
エビデンスのしっかりした標準的抗癌剤治療を行う際に、
その治療を行った時の生存期間や、無治療との比較など、
そのエビデンスの内容について説明される腫瘍内科の先生を
私は見たことがありません。
その説明をしないのは、ごく一部の腫瘍内科の先生だと信じていますが、
それは非常に重大な問題だと思っています。
日本のガン治療の憂うべき状態だと思います。
「あとみんな患者さんによくなってほしいという気持ちは一緒なのであんまり他医についてのきついコメントは少しつらいです。一部の影響の大きな方に対する公のコメントは別にして・・・」
そのとおりですね、反省します。
最後に臨床試験ですが、ご指摘どおり、
たしかにエビデンスがない治療法は普及しません。
何とかして、エビデンスを作りたいとは考えています。
学会報告および論文発表はしようと思います。
しかし、多忙を理由にしてはいけませんが、なかなか思うにまかせません。
身体に鞭打って、学会、論文は私個人でできますが、
臨床試験は如何に計画すればイイのでしょうか。
何か良いお知恵があれば是非とも拝借したくお願い申し上げます。
よろしくお願い致します。
K大学のT先生のお考えには賛同しており、結果は楽しみですが、
それまで待てません。
大学を離れ、自由に患者さんを診ることができるという最高の幸せを得た代償に、
自分の治療・研究を認めてもらう大きな足がかりは失われました。
是非お力をお貸し下さい。
本日は、お願いも含めて、
「匿名先生」のコメントに対する私の考えを昨日に続き書きました。
丁寧なコメントありがとうございました。
以上 文責 梅澤 充



