本来、すべての病への治療に対する考え方は、
For the Patients(フォア ザ ペイシャント)(患者のため)
が基本であり、
如何に、患者さんに最適の治療を行うか、
について医者は考えます。
For the Patients であれば、その答えはどの医者が診ても同じになりそうなのですが、
医者の専門科目により考え方に大きな差が存在しています。
細かく言えば、ガンという病気に対して、
内科、外科、放射線科、精神科それぞれの専門科目により、
その考え方は大きく変わります。
一般的に多くのガン患者さんが治療を受けることになる内科医と外科医の違い、
そしてその理由を考えてみました。
当ブログでも何回も書いてきましたとおり、
ガンという病気に対して、内科医の武器は抗癌剤だけです。
外科医は、その上に手術という、
「ガンを治す」「根治させる」ことのできる大きな武器を持っています。
外科医は、先ずガン患者さんを診たならば、
手術が可能か否か判断します。
手術が可能であると判断したならば、
如何なる手術法がその患者さんに最適であるかを検討します。
その時、
2月13日の「凶器のメス」(2)
2月9日の「凶器のメス」と「毒薬の抗癌剤」
で書いたような、拡大手術と縮小手術のいずれか、
あるいはその中間にするかも検討されます。
現在では、QOLを重視した縮小手術の傾向にあります。
そして、いよいよ手術が行われます。
無事に手術が終わった後は、切除した標本の病理検査の結果を待ちます。
その結果により、手術後の再発予防のための抗癌剤治療をするか否か決定します。
その治療は、
4月25日の「標準的抗癌剤治療も有効です」
でも書いたとおり、エビデンスのしっかりした、
患者さんが大きな利益を受ける可能性の大きい抗癌剤治療を行います。
この段階で、抗癌剤治療専門の腫瘍内科医にバトンタッチする場合もありますし、
外科医が継続してその抗癌剤治療を行うこともあります。
私個人的には、再発予防のための標準的抗癌剤治療を行うのであれば、
抗癌剤治療に精通した腫瘍内科医が行なう方が、患者さんにとって、
利益が大きいように思います。
問題は、その後何ヶ月あるいは何年か後にガンが再発してきた時です。
あるいは、はじめから手術ができない患者さんの場合です。
再発してきた時は、先ず、再発病巣に対して手術ができるか否かを検討します。
大腸ガンの局所再発や、現在では、やはり大腸ガンの肝臓転移、肺転移などに対しては、
積極的に手術を行い、根治を目指すことも少なくありません。
しかし、根治手術が不能と判断された時には、
ガンの根治を考えていた外科医の敗北です。
はじめから手術が不可能である場合は不戦敗です。
その時、第一に考えることは、
「そのガンが治ることはない」
という事実です。
そして、手術という最大の武器をもってしても勝てなかったガンに対して、
「勝てない相手に、いたずらに、無駄な抵抗するのは止めよう」
という発想が生まれます。
また、外科医は手術という最大の侵襲を患者さんの身体に与えていますので、
「根治することが無いのであれば」
「それ以上患者さんに苦痛を与えることは避けたい。」
という考えも同時に生まれてきます。
その結果、患者さんに苦しい思いをさせることなく
長生きしてもらうことを考えるようになります。
私は、何でも自分自身で確認してみなければ、気がすまない性格であり、
かつては、再発患者さんに対して、
延命効果を狙って、楽ではない標準的抗癌剤治療していた時期もあります。
しかし、それは、副作用は大きく、
まさにエビデンスのとおりに長生きできない治療であることを悟り、
止めました。
多くの賢明な外科医は、それをするまでもなく、
患者さんにとって大きな利益を与える治療ではないことを悟り、
自分自身では標準的抗癌剤治療はあまり行わないのではないかと思います。
標準に近い抗癌剤治療を行うにしても、
患者さんに大きな副作用が観られたならば、
すぐに、抗癌剤の減量などを試みます。
強引に標準量の抗癌剤を使い続けることはあまりないと思います。
私のところに逃げてこられる患者さんも、
外科の主治医から離れてくる患者さんはほとんどいません。
ほぼ全員、腫瘍内科の主治医の治療から逃れたくなり、
訪ねて来られます。
多くの患者さんは、
「今までの主治医の先生は、まったく言うことを聞いてくれなかった。」
「あまりにもつらいから、治療を変えてくれといっても聞いてくれない。」
「健康食品を飲もうと思ったら、そんなもの使うならうちでは診ないと言われた。」
などなど、前の主治医のことを批判します。
しかしそれは、5月16日の「医者と話ができない」でも書いたとおり、
医者の責任ばかりではありません。
患者さん自身がそのような環境を作り出してしまっていることが最大の原因だと考えます。
外科医は、「根治することは無い」が大前提ですから、
患者さんの言うことは、多くの場合聞いてくれます。
「つらいようなら、抗癌剤の量を減らしましょうか。」
「健康食品もどうぞ。」
「代替療法もやりたければ好きなようにしてください。」
だと思います。
このような姿勢は、
「手術でガンと戦って負けてしまった。」
という、一種の「悟り」「敗北感」から生まれてくるように思います。
悪く言えば、「どうせ負けなんだから」という「投げやり状態」「捨て鉢」です。
しかし、その「投げやり状態」の方が、
ガムシャラに標準的抗癌剤治療を推し進めるよりもはるかに患者さんためになるように思います。
勿論、外科医の中には、役割分担をしっかりして、
「自分の仕事は手術だけ」
「再発したら自分の仕事ではない」
とキッチリ割り切っている医者もいます。
一方、内科医、特に腫瘍内科医の場合を考えてみた場合はどうでしょうか。
私は内科医として研修を積んだ経験は有りません。
したがって、外科医の目から見た内科医像になりますが、
勝手に想像して書きます。
しかし、本日は長くなり過ぎますので、
それは明日にまわします。
以上 文責 梅澤 充
For the Patients(フォア ザ ペイシャント)(患者のため)
が基本であり、
如何に、患者さんに最適の治療を行うか、
について医者は考えます。
For the Patients であれば、その答えはどの医者が診ても同じになりそうなのですが、
医者の専門科目により考え方に大きな差が存在しています。
細かく言えば、ガンという病気に対して、
内科、外科、放射線科、精神科それぞれの専門科目により、
その考え方は大きく変わります。
一般的に多くのガン患者さんが治療を受けることになる内科医と外科医の違い、
そしてその理由を考えてみました。
当ブログでも何回も書いてきましたとおり、
ガンという病気に対して、内科医の武器は抗癌剤だけです。
外科医は、その上に手術という、
「ガンを治す」「根治させる」ことのできる大きな武器を持っています。
外科医は、先ずガン患者さんを診たならば、
手術が可能か否か判断します。
手術が可能であると判断したならば、
如何なる手術法がその患者さんに最適であるかを検討します。
その時、
2月13日の「凶器のメス」(2)
2月9日の「凶器のメス」と「毒薬の抗癌剤」
で書いたような、拡大手術と縮小手術のいずれか、
あるいはその中間にするかも検討されます。
現在では、QOLを重視した縮小手術の傾向にあります。
そして、いよいよ手術が行われます。
無事に手術が終わった後は、切除した標本の病理検査の結果を待ちます。
その結果により、手術後の再発予防のための抗癌剤治療をするか否か決定します。
その治療は、
4月25日の「標準的抗癌剤治療も有効です」
でも書いたとおり、エビデンスのしっかりした、
患者さんが大きな利益を受ける可能性の大きい抗癌剤治療を行います。
この段階で、抗癌剤治療専門の腫瘍内科医にバトンタッチする場合もありますし、
外科医が継続してその抗癌剤治療を行うこともあります。
私個人的には、再発予防のための標準的抗癌剤治療を行うのであれば、
抗癌剤治療に精通した腫瘍内科医が行なう方が、患者さんにとって、
利益が大きいように思います。
問題は、その後何ヶ月あるいは何年か後にガンが再発してきた時です。
あるいは、はじめから手術ができない患者さんの場合です。
再発してきた時は、先ず、再発病巣に対して手術ができるか否かを検討します。
大腸ガンの局所再発や、現在では、やはり大腸ガンの肝臓転移、肺転移などに対しては、
積極的に手術を行い、根治を目指すことも少なくありません。
しかし、根治手術が不能と判断された時には、
ガンの根治を考えていた外科医の敗北です。
はじめから手術が不可能である場合は不戦敗です。
その時、第一に考えることは、
「そのガンが治ることはない」
という事実です。
そして、手術という最大の武器をもってしても勝てなかったガンに対して、
「勝てない相手に、いたずらに、無駄な抵抗するのは止めよう」
という発想が生まれます。
また、外科医は手術という最大の侵襲を患者さんの身体に与えていますので、
「根治することが無いのであれば」
「それ以上患者さんに苦痛を与えることは避けたい。」
という考えも同時に生まれてきます。
その結果、患者さんに苦しい思いをさせることなく
長生きしてもらうことを考えるようになります。
私は、何でも自分自身で確認してみなければ、気がすまない性格であり、
かつては、再発患者さんに対して、
延命効果を狙って、楽ではない標準的抗癌剤治療していた時期もあります。
しかし、それは、副作用は大きく、
まさにエビデンスのとおりに長生きできない治療であることを悟り、
止めました。
多くの賢明な外科医は、それをするまでもなく、
患者さんにとって大きな利益を与える治療ではないことを悟り、
自分自身では標準的抗癌剤治療はあまり行わないのではないかと思います。
標準に近い抗癌剤治療を行うにしても、
患者さんに大きな副作用が観られたならば、
すぐに、抗癌剤の減量などを試みます。
強引に標準量の抗癌剤を使い続けることはあまりないと思います。
私のところに逃げてこられる患者さんも、
外科の主治医から離れてくる患者さんはほとんどいません。
ほぼ全員、腫瘍内科の主治医の治療から逃れたくなり、
訪ねて来られます。
多くの患者さんは、
「今までの主治医の先生は、まったく言うことを聞いてくれなかった。」
「あまりにもつらいから、治療を変えてくれといっても聞いてくれない。」
「健康食品を飲もうと思ったら、そんなもの使うならうちでは診ないと言われた。」
などなど、前の主治医のことを批判します。
しかしそれは、5月16日の「医者と話ができない」でも書いたとおり、
医者の責任ばかりではありません。
患者さん自身がそのような環境を作り出してしまっていることが最大の原因だと考えます。
外科医は、「根治することは無い」が大前提ですから、
患者さんの言うことは、多くの場合聞いてくれます。
「つらいようなら、抗癌剤の量を減らしましょうか。」
「健康食品もどうぞ。」
「代替療法もやりたければ好きなようにしてください。」
だと思います。
このような姿勢は、
「手術でガンと戦って負けてしまった。」
という、一種の「悟り」「敗北感」から生まれてくるように思います。
悪く言えば、「どうせ負けなんだから」という「投げやり状態」「捨て鉢」です。
しかし、その「投げやり状態」の方が、
ガムシャラに標準的抗癌剤治療を推し進めるよりもはるかに患者さんためになるように思います。
勿論、外科医の中には、役割分担をしっかりして、
「自分の仕事は手術だけ」
「再発したら自分の仕事ではない」
とキッチリ割り切っている医者もいます。
一方、内科医、特に腫瘍内科医の場合を考えてみた場合はどうでしょうか。
私は内科医として研修を積んだ経験は有りません。
したがって、外科医の目から見た内科医像になりますが、
勝手に想像して書きます。
しかし、本日は長くなり過ぎますので、
それは明日にまわします。
以上 文責 梅澤 充



