keikoさんというかたから、
「大学病院の有名な医者に、
余命宣告された肝硬変が、
玄米菜食の食事療法で治った。
食事療法に効果が無いと何故言える。」
という趣旨のコメントをいただきました。
大きな勘違い誤解をされているようです。
故意の勘違いでしょうか。
私は肝硬変のことなど一言も触れていません。
ガンに関したことだけをこのブログでは書いています。
20年以上前C型肝炎の蔓延地域で仕事をしていたことがあり、
(当時はその地域の肝硬変の原因が
C型肝炎であることは分かっていませんでした)
肝硬変の患者さんは、
ガン患者さんと同時にたくさん診ました。
当時は現役の若い外科医でしたので、
主に肝硬変による食道静脈瘤の治療に携わっていました。
皆さん肝硬変も酷い状態でしたが、
ガンとは比較にならないほど長生きしていました。
勿論、大好きなお酒が止められずに早死した患者さんもいました。
入院中に病院の屋上で、
一升瓶を抱えて寝ていた患者さんもいました。
肝硬変には食事内容は大いに関係していると思います。
しかし、現在私は肝硬変に関して私は素人です。
教科書では、
慢性肝炎 → 肝硬変へと、
不可逆的に進む病気とされていますが、
病気に例外はつき物です。
食事内容の変更により肝硬変が治ってもまったく不思議ではありません。
ガンとて自然治癒もあります。
卵巣ガンなどでは、
何もしないで、
勝手に進行が止まることをしばしば目にします。
勿論、食事などにはまったく関係無しにです。
その患者さんが
もし食事療法をしていたならば、
そのガンの進行停止は、
食事療法のお手柄ということになります。
玄米菜食の食事療法で、
「肝硬変」が治った患者さんが何人いるのか知りませんが、
同時に食事療法などまったく無効で、
医者の予言どおりに亡くなっていった患者さんは何人いるのでしょうか。
偶然にお一人の患者さんの病態の改善だけをみて、
「玄米菜食で肝硬変が治る」
というのはあまりにも危険な思い込みです。
意味の無い食事療法で死んでいった患者さんご家族は
沈黙を守ります。
その事実を公表してはくれません。
周囲の人間から、
「似非治療で死んでいった」
と言われたくないからです。
大学病院で亡くなれば、
ご家族は、大手を振って、自慢げに
「大学病院で手を尽くしたけれども亡くなった」と公言します。
大学では死亡例が包み隠さず出されてきます。
逆に似非治療で奇跡的に治り、
生き残った患者さんは、
生きた宣伝塔になり、
布教活動をはじめます。
非常に厄介な存在です。
keikoさんのようなかたがたです。
その布教が世間に広がるころには、
尾ひれ背びれがついて、
「肝硬変」が「末期の肝臓ガン」に成り代り、
予後1年が1月に変わってきます。
たった一人であったはずの患者さんが
100人程度の患者さんに効果があったかのようにも変化していきます。
恐ろしい話です。
このコメント読んだかたが、
何も知らない第三者に話した場合も、
何人目かには必ず「末期肝臓ガン」に変わっていると思います。
ほとんど効果が無い行為であっても、
患者さんご本人やご家族にとっては、
1例中の1例で、
100%の成功率ですから、
夢中になってその「夢の治療」を広めようとします。
そこには悪気は無いのでしょうけれども、
極めて大きな迷惑です。
道端を歩くと、
何処にでも置いてある、
猫避けのペットボトルは、
まったく無効であるとの報告も見たことがあります。
我が家にも3匹のバカ猫がいますが、
台所や納戸に無数に置いてあるペットボトルを
嫌う気配などまったくありません。
何処かで、
何か噂が立つと民衆は簡単に引きづられます。
まして、藁をも掴みたい方々でしたなら、
「ガンが治る」
「ガンに効く」
などの噂には簡単に騙されます。
騙されたいという気持ちもあるとは思いますが・・・・
ちなみに、
C型肝炎には、
幾つかのサプリメントの有用性がハッキリと証明されています。
それを研究している大学も幾つかあります。
ガンと肝硬変とはまったくの別の病気です。
私は食事療法がガンに対して、
まったく無効であるという
証拠は持っていませんし、
それを断言することなどできません。
実際に有効であったと思われる患者さんが、
書物などを出版しているのも知っています。
しかし、私は少なくない数の患者さんを診ていますが、
食事療法に有効性をみた患者さんは、
一人もいません。
千人、一万人と厳格な食事療法を行えば、
きっと一人や二人の著効例も出てくるのだと思います。
しかし、無効であると思われるほとんどの患者さんが
大切な残りの人生で失う食の楽しみと、
数名の患者さんの延命とを、
私の価値観という秤にかけると、
絶対に勧めるべきではない治療?だと考えています。
ある患者さんから最近聞いたことですが、
80歳を超える現役の日本人ピアニストは、
肺ガンから生還しているそうですが、
そのかたの食事の基本は肉だそうです。
朝からステーキを食べることも珍しくないそうです。
「肉が無ければ身体に元気が出なくて働けない」そうです。
人それぞれです。
なお、コメントの中で、
「有名な医師」という言葉がありましたが、
「有名な医師 = 有能な臨床医」
ではありません。
勿論、そのような先生も見ましたが、
多くの場合「 ≠ 」のように思えます。
学会などで有名になることを望む医者もいます。
現場の仕事に生きがいを見出す医者もいます。
一般的に後者のほうが、
患者さんにとっては、
ありがたい有能な臨床医です。
前者の医者は、
学会などで有名になるために、
現場での臨床医としての仕事はある程度は削らなければなりません。
それでも優秀な医者もいますが、
同じ能力ならば、
有名ではない医者のほうが、
優れた臨床医であることのほうが多いように感じます。
勿論、学会でたくさんいろいろな報告をすることは、
医学の進歩からすれば極めて重要なことであることは間違いなく、
現場に生きがいを見出す医者は、
その恩恵を生かして仕事をしています。
話は逸れましたが、
「玄米菜食の食事療法でガンが治る」(コメントでは「肝硬変」ですが)
などという「単なる噂」は
信用しないほうが無難だと思います。
食の楽しみは、
それを奪われたと感じる患者さんでは、
むしろ寿命を縮める可能性も十分にあると感じています。
私が知っている何人かの食事療法の伝道師は、
皆さんサプリメントの業者と大の仲良しです。
あまり感心できる光景ではありません。
ちなみにコメントの患者さんは、
肝硬変が完治して、
玄米菜食はお止めになったのでしょうか。
それともいまだに続けられているのでしょうか。
少々気になりました。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
「大学病院の有名な医者に、
余命宣告された肝硬変が、
玄米菜食の食事療法で治った。
食事療法に効果が無いと何故言える。」
という趣旨のコメントをいただきました。
大きな勘違い誤解をされているようです。
故意の勘違いでしょうか。
私は肝硬変のことなど一言も触れていません。
ガンに関したことだけをこのブログでは書いています。
20年以上前C型肝炎の蔓延地域で仕事をしていたことがあり、
(当時はその地域の肝硬変の原因が
C型肝炎であることは分かっていませんでした)
肝硬変の患者さんは、
ガン患者さんと同時にたくさん診ました。
当時は現役の若い外科医でしたので、
主に肝硬変による食道静脈瘤の治療に携わっていました。
皆さん肝硬変も酷い状態でしたが、
ガンとは比較にならないほど長生きしていました。
勿論、大好きなお酒が止められずに早死した患者さんもいました。
入院中に病院の屋上で、
一升瓶を抱えて寝ていた患者さんもいました。
肝硬変には食事内容は大いに関係していると思います。
しかし、現在私は肝硬変に関して私は素人です。
教科書では、
慢性肝炎 → 肝硬変へと、
不可逆的に進む病気とされていますが、
病気に例外はつき物です。
食事内容の変更により肝硬変が治ってもまったく不思議ではありません。
ガンとて自然治癒もあります。
卵巣ガンなどでは、
何もしないで、
勝手に進行が止まることをしばしば目にします。
勿論、食事などにはまったく関係無しにです。
その患者さんが
もし食事療法をしていたならば、
そのガンの進行停止は、
食事療法のお手柄ということになります。
玄米菜食の食事療法で、
「肝硬変」が治った患者さんが何人いるのか知りませんが、
同時に食事療法などまったく無効で、
医者の予言どおりに亡くなっていった患者さんは何人いるのでしょうか。
偶然にお一人の患者さんの病態の改善だけをみて、
「玄米菜食で肝硬変が治る」
というのはあまりにも危険な思い込みです。
意味の無い食事療法で死んでいった患者さんご家族は
沈黙を守ります。
その事実を公表してはくれません。
周囲の人間から、
「似非治療で死んでいった」
と言われたくないからです。
大学病院で亡くなれば、
ご家族は、大手を振って、自慢げに
「大学病院で手を尽くしたけれども亡くなった」と公言します。
大学では死亡例が包み隠さず出されてきます。
逆に似非治療で奇跡的に治り、
生き残った患者さんは、
生きた宣伝塔になり、
布教活動をはじめます。
非常に厄介な存在です。
keikoさんのようなかたがたです。
その布教が世間に広がるころには、
尾ひれ背びれがついて、
「肝硬変」が「末期の肝臓ガン」に成り代り、
予後1年が1月に変わってきます。
たった一人であったはずの患者さんが
100人程度の患者さんに効果があったかのようにも変化していきます。
恐ろしい話です。
このコメント読んだかたが、
何も知らない第三者に話した場合も、
何人目かには必ず「末期肝臓ガン」に変わっていると思います。
ほとんど効果が無い行為であっても、
患者さんご本人やご家族にとっては、
1例中の1例で、
100%の成功率ですから、
夢中になってその「夢の治療」を広めようとします。
そこには悪気は無いのでしょうけれども、
極めて大きな迷惑です。
道端を歩くと、
何処にでも置いてある、
猫避けのペットボトルは、
まったく無効であるとの報告も見たことがあります。
我が家にも3匹のバカ猫がいますが、
台所や納戸に無数に置いてあるペットボトルを
嫌う気配などまったくありません。
何処かで、
何か噂が立つと民衆は簡単に引きづられます。
まして、藁をも掴みたい方々でしたなら、
「ガンが治る」
「ガンに効く」
などの噂には簡単に騙されます。
騙されたいという気持ちもあるとは思いますが・・・・
ちなみに、
C型肝炎には、
幾つかのサプリメントの有用性がハッキリと証明されています。
それを研究している大学も幾つかあります。
ガンと肝硬変とはまったくの別の病気です。
私は食事療法がガンに対して、
まったく無効であるという
証拠は持っていませんし、
それを断言することなどできません。
実際に有効であったと思われる患者さんが、
書物などを出版しているのも知っています。
しかし、私は少なくない数の患者さんを診ていますが、
食事療法に有効性をみた患者さんは、
一人もいません。
千人、一万人と厳格な食事療法を行えば、
きっと一人や二人の著効例も出てくるのだと思います。
しかし、無効であると思われるほとんどの患者さんが
大切な残りの人生で失う食の楽しみと、
数名の患者さんの延命とを、
私の価値観という秤にかけると、
絶対に勧めるべきではない治療?だと考えています。
ある患者さんから最近聞いたことですが、
80歳を超える現役の日本人ピアニストは、
肺ガンから生還しているそうですが、
そのかたの食事の基本は肉だそうです。
朝からステーキを食べることも珍しくないそうです。
「肉が無ければ身体に元気が出なくて働けない」そうです。
人それぞれです。
なお、コメントの中で、
「有名な医師」という言葉がありましたが、
「有名な医師 = 有能な臨床医」
ではありません。
勿論、そのような先生も見ましたが、
多くの場合「 ≠ 」のように思えます。
学会などで有名になることを望む医者もいます。
現場の仕事に生きがいを見出す医者もいます。
一般的に後者のほうが、
患者さんにとっては、
ありがたい有能な臨床医です。
前者の医者は、
学会などで有名になるために、
現場での臨床医としての仕事はある程度は削らなければなりません。
それでも優秀な医者もいますが、
同じ能力ならば、
有名ではない医者のほうが、
優れた臨床医であることのほうが多いように感じます。
勿論、学会でたくさんいろいろな報告をすることは、
医学の進歩からすれば極めて重要なことであることは間違いなく、
現場に生きがいを見出す医者は、
その恩恵を生かして仕事をしています。
話は逸れましたが、
「玄米菜食の食事療法でガンが治る」(コメントでは「肝硬変」ですが)
などという「単なる噂」は
信用しないほうが無難だと思います。
食の楽しみは、
それを奪われたと感じる患者さんでは、
むしろ寿命を縮める可能性も十分にあると感じています。
私が知っている何人かの食事療法の伝道師は、
皆さんサプリメントの業者と大の仲良しです。
あまり感心できる光景ではありません。
ちなみにコメントの患者さんは、
肝硬変が完治して、
玄米菜食はお止めになったのでしょうか。
それともいまだに続けられているのでしょうか。
少々気になりました。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。