3月11日の「ガン治療の地域格差」で、
「ガンの治療水準に、また医者の水準に地域差はなく、
地域格差があるのは、患者さんのガンという病気に対する知識の格差ではないか」というようなことを書いてしまいした。
それは、概ね的を射た論理ではないかと考えています。
しかし、つい先日患者さんからの治療報告を受けて、
地域格差というより病院格差は、
大きく存在していることを思い知らされました。
関東圏北部の患者さんが、
今年の2月末頃、私のところを訪ねて来られました。
以前診ていたことのある患者さんです。
手術不能の舌ガンを患っている患者さんです。
しかし、舌ガンは、
放射線と抗癌剤治療で完治といえるような状態になり、
主治医もビックリするほど良くなりました。
ガンはまったく見えない状態になっていました。
しかし、早期胃ガンを合併していることを指摘され、
手術も検討されていました。
今から2年ほど前のことです。
私が内視鏡を行なったところ、その影は発見されない状態でしたので、
経過を観ることにしました。
5月23日の「難しい相談」でも書きましたとおり、
早期胃ガンは極めておとなしいガンです。
その様におとなしいガンに対して手術をすることによって、
全身に大きな侵襲が加わったとき、
寝ている状態の恐ろしい舌ガンが急に起き出して来る恐れがあります。
地元の主治医のもとでも経過を観ていましたが、
今年になり、
「胃ガンが再び顔を出してきた、手術しなければならない」
と主治医に言われ、私のもとに来られました。
内視鏡では切除し難いタイプの様でしたが、
いまだに眠っていてくれる舌ガンのことを思うと、
どうしても手術を勧める気にはなれず、
都内の内視鏡手術で定評のある病院に依頼しました。
そこでも「これは難しい」と言われたのですが、
舌ガンのことを考え無理無理お願いしました。
「内視鏡で取りきれなかったならば手術も検討しましょう」
という条件付きで、
内視鏡切除を試みました。
その時、地元では発見されなかった食道ガンも同時に見つかり、
先ず、進行の早い食道ガンから切除することになりました。
食道ガンは無事切除できて、
次は問題の胃ガンです。
そちらは「肉眼的には何とか切除できた、しかし顕微鏡レベルでは、
完全切除か否かは不明」という状態でした。
しかし先日患者さんから報告があり、
「顕微鏡レベルでも完全切除できていました。再発の心配はないと言われました。」
と報告がありました。
この患者さんの場合、
けっして小さな病院ではない、地元の中核病院では、
はじめから内視鏡手術は諦め、
胃を切除する手術だけを勧めています。
もし手術を行っていたら・・・
舌ガンが起き出してきたか否かは判りません。
しかし見落としていた食道ガンは確実に進行します。
胃ガンの術後の食道ガンの手術は極めて厄介です。
この患者さんの場合、
地元の病院を離れ東京まで来られて、
文字通り命拾いしました。
やはり病院が集中する地域とそうでない地域とでは差があるようです。
しかし、抗癌剤治療に優れている病院など存在しないと思っています。
(血液疾患などは別です)
5月16日の「医者と話ができない」
で書いた「みんなが行くから安心」という、
だけで「みんなが行ってしまう」病院ではけっして
多くの患者さんが満足する治療は受けることができないと思います。
しかし、内視鏡手術のようにある意味職人技のような治療では、
それに長けた病院とそうでないところでは大きな差が出ます。
最善の治療を望まれるのであれば、
多少の距離は我慢しなければならないのかも知れません。
本日は、地域格差というより病院格差を見せ付けられましたので、
それについて書きました。
以上 文責 梅澤 充
「ガンの治療水準に、また医者の水準に地域差はなく、
地域格差があるのは、患者さんのガンという病気に対する知識の格差ではないか」というようなことを書いてしまいした。
それは、概ね的を射た論理ではないかと考えています。
しかし、つい先日患者さんからの治療報告を受けて、
地域格差というより病院格差は、
大きく存在していることを思い知らされました。
関東圏北部の患者さんが、
今年の2月末頃、私のところを訪ねて来られました。
以前診ていたことのある患者さんです。
手術不能の舌ガンを患っている患者さんです。
しかし、舌ガンは、
放射線と抗癌剤治療で完治といえるような状態になり、
主治医もビックリするほど良くなりました。
ガンはまったく見えない状態になっていました。
しかし、早期胃ガンを合併していることを指摘され、
手術も検討されていました。
今から2年ほど前のことです。
私が内視鏡を行なったところ、その影は発見されない状態でしたので、
経過を観ることにしました。
5月23日の「難しい相談」でも書きましたとおり、
早期胃ガンは極めておとなしいガンです。
その様におとなしいガンに対して手術をすることによって、
全身に大きな侵襲が加わったとき、
寝ている状態の恐ろしい舌ガンが急に起き出して来る恐れがあります。
地元の主治医のもとでも経過を観ていましたが、
今年になり、
「胃ガンが再び顔を出してきた、手術しなければならない」
と主治医に言われ、私のもとに来られました。
内視鏡では切除し難いタイプの様でしたが、
いまだに眠っていてくれる舌ガンのことを思うと、
どうしても手術を勧める気にはなれず、
都内の内視鏡手術で定評のある病院に依頼しました。
そこでも「これは難しい」と言われたのですが、
舌ガンのことを考え無理無理お願いしました。
「内視鏡で取りきれなかったならば手術も検討しましょう」
という条件付きで、
内視鏡切除を試みました。
その時、地元では発見されなかった食道ガンも同時に見つかり、
先ず、進行の早い食道ガンから切除することになりました。
食道ガンは無事切除できて、
次は問題の胃ガンです。
そちらは「肉眼的には何とか切除できた、しかし顕微鏡レベルでは、
完全切除か否かは不明」という状態でした。
しかし先日患者さんから報告があり、
「顕微鏡レベルでも完全切除できていました。再発の心配はないと言われました。」
と報告がありました。
この患者さんの場合、
けっして小さな病院ではない、地元の中核病院では、
はじめから内視鏡手術は諦め、
胃を切除する手術だけを勧めています。
もし手術を行っていたら・・・
舌ガンが起き出してきたか否かは判りません。
しかし見落としていた食道ガンは確実に進行します。
胃ガンの術後の食道ガンの手術は極めて厄介です。
この患者さんの場合、
地元の病院を離れ東京まで来られて、
文字通り命拾いしました。
やはり病院が集中する地域とそうでない地域とでは差があるようです。
しかし、抗癌剤治療に優れている病院など存在しないと思っています。
(血液疾患などは別です)
5月16日の「医者と話ができない」
で書いた「みんなが行くから安心」という、
だけで「みんなが行ってしまう」病院ではけっして
多くの患者さんが満足する治療は受けることができないと思います。
しかし、内視鏡手術のようにある意味職人技のような治療では、
それに長けた病院とそうでないところでは大きな差が出ます。
最善の治療を望まれるのであれば、
多少の距離は我慢しなければならないのかも知れません。
本日は、地域格差というより病院格差を見せ付けられましたので、
それについて書きました。
以上 文責 梅澤 充