昨日の「イレッサ・再び」で、
イレッサという、
「夢」のクスリではないけれども、
「画期的」な分子標的薬であるイレッサのことを書きました。
「分子標的薬」とは、
何となく耳ざわりの良い言葉です。
少なくとも「抗癌剤」よりは、
優しい感じを受けます。
誰が名付けの親かは知りませんが、
とても大きな期待を抱いてしまう
素敵な?ネーミングだと思います。
「分子標的薬を使ってもらえないか?」
と言ってこられた患者さんのご家族をみました。
その患者さんのガンに対して、
健康保険の適応のある分子標的薬は存在しませんので、
「具体的に何を使うんですか」
と聞くと、
「それは、決めていませんが・・・」
「イロイロとあると聞いていますが・・・」
でした。
その患者さんに対して、
効いてくれる可能性のある分子標的薬は幾つも存在しています。
しかし副作用もあります。
副作用、効果についてシッカリご理解されている患者さんで、
それらの分子標的薬を使い、
良好な結果を得ている患者さんは何人もいます。
しかし、響きのよろしくない「抗癌剤」と同様に、
分子標的薬も諸刃の剣です。
その副作用についての理解は絶対に必要です。
また、素敵な名前の分子標的薬も、
その実力は、
多くの患者さんが期待するほどではありません。
エビデンスでいえば、
それを上乗せしたグループと、
しなかったグループを比較して、
僅か○ヶ月の延命効果を認める、
というだけのことです。
勿論、それはエビデンスに則った話であり、
そんなものに縛られずに、
患者さんを逐一観察しながら使えば、
その実力は遥かに大きくなります。
しかし、あくまで、
ガンに対するクスリという意味での、
「抗癌剤」であり、
夢のクスリではありません。
また、その患者さんのご家族は、
私がこのブログで、
「サリドマイドはガンに有効なクスリである」
と書いている。
と言われ、
「サリドマイドを使って欲しい」
と言われていましたが、
私にはそれを書いた覚えはありません。
サリドマイドは、
ガンの増殖を促す血管新生を阻害する可能性がある、
として、
ガン治療に有効である、
と考えられています。
私はその考えに従い、
過去に何例も使ってきましたが、
ガンに対して直接の効果を見た患者さんは
一人も診たことはありません。
ただしサリドマイドの本来の向精神作用としての、
精神的な安静を得るという意味では、
ガンによる不安に押しつぶされそうになっている患者さんに対して、
大きな効果を見たかたは何人もいます。
話はそれましたが、
「分子標的薬」という素敵なネーミングだけに囚われないで、
そのクスリの本当の実力、
および、その毒も十分に知ってください。
昨日のイレッサではありませんが、
分子標的薬も、
武器にも凶器にもなるクスリです。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
イレッサという、
「夢」のクスリではないけれども、
「画期的」な分子標的薬であるイレッサのことを書きました。
「分子標的薬」とは、
何となく耳ざわりの良い言葉です。
少なくとも「抗癌剤」よりは、
優しい感じを受けます。
誰が名付けの親かは知りませんが、
とても大きな期待を抱いてしまう
素敵な?ネーミングだと思います。
「分子標的薬を使ってもらえないか?」
と言ってこられた患者さんのご家族をみました。
その患者さんのガンに対して、
健康保険の適応のある分子標的薬は存在しませんので、
「具体的に何を使うんですか」
と聞くと、
「それは、決めていませんが・・・」
「イロイロとあると聞いていますが・・・」
でした。
その患者さんに対して、
効いてくれる可能性のある分子標的薬は幾つも存在しています。
しかし副作用もあります。
副作用、効果についてシッカリご理解されている患者さんで、
それらの分子標的薬を使い、
良好な結果を得ている患者さんは何人もいます。
しかし、響きのよろしくない「抗癌剤」と同様に、
分子標的薬も諸刃の剣です。
その副作用についての理解は絶対に必要です。
また、素敵な名前の分子標的薬も、
その実力は、
多くの患者さんが期待するほどではありません。
エビデンスでいえば、
それを上乗せしたグループと、
しなかったグループを比較して、
僅か○ヶ月の延命効果を認める、
というだけのことです。
勿論、それはエビデンスに則った話であり、
そんなものに縛られずに、
患者さんを逐一観察しながら使えば、
その実力は遥かに大きくなります。
しかし、あくまで、
ガンに対するクスリという意味での、
「抗癌剤」であり、
夢のクスリではありません。
また、その患者さんのご家族は、
私がこのブログで、
「サリドマイドはガンに有効なクスリである」
と書いている。
と言われ、
「サリドマイドを使って欲しい」
と言われていましたが、
私にはそれを書いた覚えはありません。
サリドマイドは、
ガンの増殖を促す血管新生を阻害する可能性がある、
として、
ガン治療に有効である、
と考えられています。
私はその考えに従い、
過去に何例も使ってきましたが、
ガンに対して直接の効果を見た患者さんは
一人も診たことはありません。
ただしサリドマイドの本来の向精神作用としての、
精神的な安静を得るという意味では、
ガンによる不安に押しつぶされそうになっている患者さんに対して、
大きな効果を見たかたは何人もいます。
話はそれましたが、
「分子標的薬」という素敵なネーミングだけに囚われないで、
そのクスリの本当の実力、
および、その毒も十分に知ってください。
昨日のイレッサではありませんが、
分子標的薬も、
武器にも凶器にもなるクスリです。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。