本日は、多数頂いているコメントについて書きます。
先ず、昨日の「メールアドレスを書いて下さい」
で書いた、膵ガンの内容に対して、
昨日、手元にその論文も無く、うろ覚えで書いてしまいました。
本日、早速、論文をひっくり返し調べてみました。
正確にはDFS(Disease Free Survival 無病生存期間)でした。
対象が、手術を行いガンの可視病巣の存在しない患者さんですから、
DFSはPFSと同じ意味です。
せっかく論文が手元にありますので、内容を少し詳しく書くと、
1998年7月から2004年4月までに膵ガンの切除手術を行なうことができた
356人の患者さんを、ジェムザール投与群179人と無治療群177人の2群に分け、
179人には、手術後6週間以内からジェムザールを毎週、
体表面積アタリ1000mg点滴投与し、(日本人では概ね1400〜1700mg)
それを3週繰り返し1週休み、それを1サイクルとして、
6ヶ月繰り返す。
177人は、手術後は無治療で経過を観察する。
この二つのグループで比較すると、
無治療群では、半分の患者さんが再発するまでの期間(DFS)が7.5ヶ月。
ジェムザール投与群では14.2ヶ月でした。
すなわち、術後再発を来たすまでの時間が概ね2倍に延びました。
MSTについては、「2005年の末までには報告できるであろう」
との、予測でしたが、
ジェムザール治療群で、
思いの外、生存期間が延びて、
まだ半分以上の患者さんが生存しており、
今回のASCOでもデータ集計ができないため、
出されていませんでした。
以上が正確な情報でした。
この膵ガン術後のジェムザールの補助化学療法は、
膵ガン治療を考える上で、
非常に重要なデータになると思われます。
切除手術を受けられた患者さんは、
その後のジェムザールによる補助抗癌剤治療は有効だと思われます。
ご指摘ありがとうございました。
同時に、間違った記載をしてしまったことをお詫び申し上げます。
次に、タキソールの代表的な副作用の一つである抹消神経障害について、
タキソールを使われて、
その副作用に悩まれている患者さんは少なくないと思われますので、
ここで回答します。
お問い合わせの漢方薬は、2種類あり、
芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)と
牛車腎気丸(ゴシャジンキガン)
のことだと思います。
それぞれの、保険適応病名は、
芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)では、
「急激に起こる筋肉の痙攣を伴う疼痛」
牛車腎気丸(ゴシャジンキガン)では、
「下肢痛、腰痛、しびれ、老人のかすみ目、かゆみ、排尿困難、頻尿、むくみ」
となっています。
その漢方薬が何故タキソールの抹消神経障害を抑えるのか、
そのメカニズムは判っていないようです。
タキソールの製造メーカーにも確認しましたが、
「判らない」とのことでした。
私もタキソールは多用していますので、
末梢神経障害には気を配っているつもりです。
但し、絶対的な使用量が少ないので、
ほとんど問題になりません。
使用期間が長期間に及んできた患者さんには、
先の芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)や牛車腎気丸(ゴシャジンキガン)
を時々処方していますが、
強い末梢神経障害で難渋したことはありません。
また、私は、漢方薬よりも、
ビタミンB6とB12を予防的に内服してもらっています。
むしろその方が、患者さんとしては飲み易く、
また、有効性も大きいように感じています。
また、肺ガンに対してタキソールを使うときには、
タキソールがCOX2を誘導する可能性があるとかで、
それが原因の抹消神経障害もあるらしく、
COX2阻害作用の強い消炎鎮痛剤であるメロキシカム(商品名モービック)
が有効であるとの報告もあります。
私自身は、タキソールによる末梢神経障害は出していないつもりですが、
他の病院で大量のタキソールによる標準的抗癌剤治療を受けてこられ、
頑固な抹消神経障害を合併している患者さんは何人も診ています。
残念ながらそのような患者さんに、
漢方薬やビタミン剤、あるいは消炎鎮痛剤をその時点から飲んでもらっても、
ほとんど効果は認めらません。
神経障害の改善は認められません。
逆に6年間以上にわたりタキソールを使い続けている患者さんもいますが、
ビタミンB6、B12を同時に点滴で使っており
神経障害はまったくおきていません。
タキソールは5年間以上続けている患者さんは何人もいますが、
同様にビタミン剤の点滴や内服で、
神経障害の発生は予防されています。
漢方薬にせよビタミン剤や消炎鎮痛剤でも、
神経障害発生前の予防が最も重要なようです。
もっとも、大量に使ったならば、
どんな予防策も無意味かもしれません。
以上 文責 梅澤 充
先ず、昨日の「メールアドレスを書いて下さい」
で書いた、膵ガンの内容に対して、
MSTではなくPFS(Progression Free Survival 病勢無進行生存期間)だ
というご指摘を頂きました。昨日、手元にその論文も無く、うろ覚えで書いてしまいました。
本日、早速、論文をひっくり返し調べてみました。
正確にはDFS(Disease Free Survival 無病生存期間)でした。
対象が、手術を行いガンの可視病巣の存在しない患者さんですから、
DFSはPFSと同じ意味です。
せっかく論文が手元にありますので、内容を少し詳しく書くと、
1998年7月から2004年4月までに膵ガンの切除手術を行なうことができた
356人の患者さんを、ジェムザール投与群179人と無治療群177人の2群に分け、
179人には、手術後6週間以内からジェムザールを毎週、
体表面積アタリ1000mg点滴投与し、(日本人では概ね1400〜1700mg)
それを3週繰り返し1週休み、それを1サイクルとして、
6ヶ月繰り返す。
177人は、手術後は無治療で経過を観察する。
この二つのグループで比較すると、
無治療群では、半分の患者さんが再発するまでの期間(DFS)が7.5ヶ月。
ジェムザール投与群では14.2ヶ月でした。
すなわち、術後再発を来たすまでの時間が概ね2倍に延びました。
MSTについては、「2005年の末までには報告できるであろう」
との、予測でしたが、
ジェムザール治療群で、
思いの外、生存期間が延びて、
まだ半分以上の患者さんが生存しており、
今回のASCOでもデータ集計ができないため、
出されていませんでした。
以上が正確な情報でした。
この膵ガン術後のジェムザールの補助化学療法は、
膵ガン治療を考える上で、
非常に重要なデータになると思われます。
切除手術を受けられた患者さんは、
その後のジェムザールによる補助抗癌剤治療は有効だと思われます。
ご指摘ありがとうございました。
同時に、間違った記載をしてしまったことをお詫び申し上げます。
次に、タキソールの代表的な副作用の一つである抹消神経障害について、
末梢神経障害を有効に抑える漢方薬の名前を是非教えて頂きたいです。
というコメントを6月17日に頂きました。タキソールを使われて、
その副作用に悩まれている患者さんは少なくないと思われますので、
ここで回答します。
お問い合わせの漢方薬は、2種類あり、
芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)と
牛車腎気丸(ゴシャジンキガン)
のことだと思います。
それぞれの、保険適応病名は、
芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)では、
「急激に起こる筋肉の痙攣を伴う疼痛」
牛車腎気丸(ゴシャジンキガン)では、
「下肢痛、腰痛、しびれ、老人のかすみ目、かゆみ、排尿困難、頻尿、むくみ」
となっています。
その漢方薬が何故タキソールの抹消神経障害を抑えるのか、
そのメカニズムは判っていないようです。
タキソールの製造メーカーにも確認しましたが、
「判らない」とのことでした。
私もタキソールは多用していますので、
末梢神経障害には気を配っているつもりです。
但し、絶対的な使用量が少ないので、
ほとんど問題になりません。
使用期間が長期間に及んできた患者さんには、
先の芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)や牛車腎気丸(ゴシャジンキガン)
を時々処方していますが、
強い末梢神経障害で難渋したことはありません。
また、私は、漢方薬よりも、
ビタミンB6とB12を予防的に内服してもらっています。
むしろその方が、患者さんとしては飲み易く、
また、有効性も大きいように感じています。
また、肺ガンに対してタキソールを使うときには、
タキソールがCOX2を誘導する可能性があるとかで、
それが原因の抹消神経障害もあるらしく、
COX2阻害作用の強い消炎鎮痛剤であるメロキシカム(商品名モービック)
が有効であるとの報告もあります。
私自身は、タキソールによる末梢神経障害は出していないつもりですが、
他の病院で大量のタキソールによる標準的抗癌剤治療を受けてこられ、
頑固な抹消神経障害を合併している患者さんは何人も診ています。
残念ながらそのような患者さんに、
漢方薬やビタミン剤、あるいは消炎鎮痛剤をその時点から飲んでもらっても、
ほとんど効果は認めらません。
神経障害の改善は認められません。
逆に6年間以上にわたりタキソールを使い続けている患者さんもいますが、
ビタミンB6、B12を同時に点滴で使っており
神経障害はまったくおきていません。
タキソールは5年間以上続けている患者さんは何人もいますが、
同様にビタミン剤の点滴や内服で、
神経障害の発生は予防されています。
漢方薬にせよビタミン剤や消炎鎮痛剤でも、
神経障害発生前の予防が最も重要なようです。
もっとも、大量に使ったならば、
どんな予防策も無意味かもしれません。
以上 文責 梅澤 充



