6月19日ある深刻な相談のコメントを頂きました。
このコメントの問題は、現在の日本のガン医療の現場で、
しばしば遭遇する、
しかし、あってはならない大きな問題だと思いますので、
コメントを掲載し、私の意見を書かせて頂きます。
但し、「隠れコメント」でしたので、
ご本人が特定されないように、
本論に差し支えない部分だけ内容を若干変更しました。
大きな問題があります。
一つは、「先生がおっしゃるには末期の状態で余命3ヶ月。」
なる医者の言葉ですが、
何故、その医者は「余命3ヶ月」と断定できるのでしょうか。
お話の感じからすると、術後のダメージから回復しつつあり、
普通食も食べることができるようになり、
PS.はけっして悪くないように思います。
そうであれば、余命3ヶ月なる診断は、
どのデータから導き出したものか甚だ疑問です。
もしその医者が経験的にそのように思うのであれば、
とても抗癌剤治療などできる全身状態ではないはずです。
(私の標準的ではない抗癌剤治療は目を瞑る直前まで続けますが…)
進行胃ガンで余命3ヶ月の全身状態から、
積極的に抗癌剤治療をはじめてどの程度の延命が可能なのでしょうか。
余命3ヶ月であれば、PS.も2以上であり、
延命が可能である抗癌剤治療のエビデンスなどありません。
寿命を短くしてしまう可能性すらあります。
そのことについてはしっかりと説明されているのでしょうか。
PS.およびPS.とエビデンスの関係については、
1月18日の「緩和医療」
3月19日の「肺ガンの抗癌剤治療、エビデンスの裏側」
2月21日の「エビデンスが無いときは(2)」
で書きました。ご参照下さい。
「母は余命を知らず、まだ希望がもてると思い、先生の勧められるまま抗がん剤治療を選びました。」
「余命を知らない母には強くは言えず、」
別に余命を知らせる必要はないと思います。
そもそも、人間の余命などは神様しか知り得ません。
また、このことは、拙著「間違いだらけの抗ガン剤治療」でも書きましたが、
今の若い医者は、言葉の使い方を真剣に考えていないように思います。
「無治療で3ヶ月。抗癌剤治療をすれば7ヶ月。」
とは、言えないでしょうが、
「抗癌剤治療をすれば4ヶ月くらいは寿命が延びます。」
と言えば、患者さんには考える余地もでてくると思います。
「パクリタキセルとドキシフルリジン併用療法ということですが。。。」
点滴のタキソールと内服抗癌剤のフルツロンの組み合わせのようですが、
いわゆるエビデンスのある治療ではありません。
エビデンスのある治療がイイ治療だとは思いませんが、
その治療を行なう根拠、
今までの治療成績はお聞きになられたのでしょうか。
余命3ヶ月でその治療を行なった患者さんは
どの程度生きていることができるのか、
また、QOLはどの程度維持されるのか、
絶対に主治医に確認しなければいけないことだと思います。
フルツロンは、私は有用な抗癌剤だと考えていますが、
腫瘍内科医からは「効かないクスリ」と一蹴されている抗癌剤です。
どうせ効かないクスリを使うなら、
これまた効かないといわれる、
「レンチナン」か「クレスチン」などを併用されるべきでしょう。
「効きません」が、延命効果は確認されています。
副作用はほとんどありません。
レンチナン、クレスチンについては、
3月5日の「効かない抗癌剤(2)」
で書きました、ご参照下さい。
「抗がん剤を始めると、一気に体力、気力、食欲・・・おちてしまって急激に死に近づいていくような気がして怖いんです。。。」
そう考えるのであれば、それは率直に主治医にぶつけるべきではないでしょうか。
その主治医には、それを言い出し難いオーラが出ているのでしょうか。
言えないのであれば、
ただただ、副作用が少なくQOLが保てることをお祈りをして下さい。
また、文面からすると入院で抗癌剤治療をするようですが、
入院が必要な量の抗癌剤治療はあまり大きな延命は期待できないように思います。
予後も考えれば、通院で可能な抗癌剤治療を行なうべきだと考えます。
このコメントと同じような内容の話はよく聞きます。
6月6日の「騙し討ちの抗癌剤治療」
で書いたのと同じではないでしょうか。
予測される余命を知らせることが、
日本人の場合必ずしも正しいとは思いません。
ただ、言い方を変えて、
その抗癌剤治療が本当に受けるべき治療であるか否かを、
慎重に判断してもらって、
ご家族ではなく、
当事者である患者さんご本人の意思で決めるべきことだと思います。
普通に食事が取れるようになってきた貴重な時間は、
患者さんご本人以外の誰の時間でもないはずです。
ご家族の時間ではないはずです。
下手をすれば、そのかけがえのない時間を、
何も知らされないまま遂行される「騙し討ちの抗癌剤治療」により、
すべて失われてしまうかもしれません。
患者さんのためと思っての行為が、
その思いとは裏腹の結果に終わることもあります。
医者の治療も同様ですが・・・
本日は、現在でも度々耳にする、
あってならないはずの現在の日本でのガン治療の現実について書きました。
誰のための、何のためのガン治療なのか
再度ゆっくりお考え下さい。
以上 文責 梅澤 充
このコメントの問題は、現在の日本のガン医療の現場で、
しばしば遭遇する、
しかし、あってはならない大きな問題だと思いますので、
コメントを掲載し、私の意見を書かせて頂きます。
但し、「隠れコメント」でしたので、
ご本人が特定されないように、
本論に差し支えない部分だけ内容を若干変更しました。
はじめまして。
71になる母が胃がんで先日手術をしました。
胃の3分の2をとりました。
先生がおっしゃるには末期の状態で余命3ヶ月。
手術から今日で3週間。今日から抗がん剤の治療にはいることになりました。
私はもう3ヶ月しかないのなら、少しの間でも好きなものを食べ、好きなことをして、・・・考えていましたが、母は余命を知らず、まだ希望がもてると思い、先生の勧められるまま抗がん剤治療を選びました。
パクリタキセルとドキシフルリジン併用療法ということですが。。。
全くの素人考えなのですが、今の状態はやっとご飯も普通に食べれるようになり、回復にむかっているやっとのところなのに、もう、抗がん剤を始めると、一気に体力、気力、食欲・・・おちてしまって急激に死に近づいていくような気がして怖いんです。。。
延命だけで、そんな苦しい治療なんて・・・と思う反面、余命を知らない母には強くは言えず、なんとなくは話したのですが最終的には母が抗がん剤をしてみる!と決めたのでもう見守っていくしかありません。。。
すごくつらいです。。。
大きな問題があります。
一つは、「先生がおっしゃるには末期の状態で余命3ヶ月。」
なる医者の言葉ですが、
何故、その医者は「余命3ヶ月」と断定できるのでしょうか。
お話の感じからすると、術後のダメージから回復しつつあり、
普通食も食べることができるようになり、
PS.はけっして悪くないように思います。
そうであれば、余命3ヶ月なる診断は、
どのデータから導き出したものか甚だ疑問です。
もしその医者が経験的にそのように思うのであれば、
とても抗癌剤治療などできる全身状態ではないはずです。
(私の標準的ではない抗癌剤治療は目を瞑る直前まで続けますが…)
進行胃ガンで余命3ヶ月の全身状態から、
積極的に抗癌剤治療をはじめてどの程度の延命が可能なのでしょうか。
余命3ヶ月であれば、PS.も2以上であり、
延命が可能である抗癌剤治療のエビデンスなどありません。
寿命を短くしてしまう可能性すらあります。
そのことについてはしっかりと説明されているのでしょうか。
PS.およびPS.とエビデンスの関係については、
1月18日の「緩和医療」
3月19日の「肺ガンの抗癌剤治療、エビデンスの裏側」
2月21日の「エビデンスが無いときは(2)」
で書きました。ご参照下さい。
「母は余命を知らず、まだ希望がもてると思い、先生の勧められるまま抗がん剤治療を選びました。」
「余命を知らない母には強くは言えず、」
別に余命を知らせる必要はないと思います。
そもそも、人間の余命などは神様しか知り得ません。
また、このことは、拙著「間違いだらけの抗ガン剤治療」でも書きましたが、
今の若い医者は、言葉の使い方を真剣に考えていないように思います。
「無治療で3ヶ月。抗癌剤治療をすれば7ヶ月。」
とは、言えないでしょうが、
「抗癌剤治療をすれば4ヶ月くらいは寿命が延びます。」
と言えば、患者さんには考える余地もでてくると思います。
「パクリタキセルとドキシフルリジン併用療法ということですが。。。」
点滴のタキソールと内服抗癌剤のフルツロンの組み合わせのようですが、
いわゆるエビデンスのある治療ではありません。
エビデンスのある治療がイイ治療だとは思いませんが、
その治療を行なう根拠、
今までの治療成績はお聞きになられたのでしょうか。
余命3ヶ月でその治療を行なった患者さんは
どの程度生きていることができるのか、
また、QOLはどの程度維持されるのか、
絶対に主治医に確認しなければいけないことだと思います。
フルツロンは、私は有用な抗癌剤だと考えていますが、
腫瘍内科医からは「効かないクスリ」と一蹴されている抗癌剤です。
どうせ効かないクスリを使うなら、
これまた効かないといわれる、
「レンチナン」か「クレスチン」などを併用されるべきでしょう。
「効きません」が、延命効果は確認されています。
副作用はほとんどありません。
レンチナン、クレスチンについては、
3月5日の「効かない抗癌剤(2)」
で書きました、ご参照下さい。
「抗がん剤を始めると、一気に体力、気力、食欲・・・おちてしまって急激に死に近づいていくような気がして怖いんです。。。」
そう考えるのであれば、それは率直に主治医にぶつけるべきではないでしょうか。
その主治医には、それを言い出し難いオーラが出ているのでしょうか。
言えないのであれば、
ただただ、副作用が少なくQOLが保てることをお祈りをして下さい。
また、文面からすると入院で抗癌剤治療をするようですが、
入院が必要な量の抗癌剤治療はあまり大きな延命は期待できないように思います。
予後も考えれば、通院で可能な抗癌剤治療を行なうべきだと考えます。
このコメントと同じような内容の話はよく聞きます。
6月6日の「騙し討ちの抗癌剤治療」
で書いたのと同じではないでしょうか。
予測される余命を知らせることが、
日本人の場合必ずしも正しいとは思いません。
ただ、言い方を変えて、
その抗癌剤治療が本当に受けるべき治療であるか否かを、
慎重に判断してもらって、
ご家族ではなく、
当事者である患者さんご本人の意思で決めるべきことだと思います。
普通に食事が取れるようになってきた貴重な時間は、
患者さんご本人以外の誰の時間でもないはずです。
ご家族の時間ではないはずです。
下手をすれば、そのかけがえのない時間を、
何も知らされないまま遂行される「騙し討ちの抗癌剤治療」により、
すべて失われてしまうかもしれません。
患者さんのためと思っての行為が、
その思いとは裏腹の結果に終わることもあります。
医者の治療も同様ですが・・・
本日は、現在でも度々耳にする、
あってならないはずの現在の日本でのガン治療の現実について書きました。
誰のための、何のためのガン治療なのか
再度ゆっくりお考え下さい。
以上 文責 梅澤 充



