一昨日の「ガン治療とは何?」
をはじめ、何回も書いているとおり、
ほとんどの種類のガンは、
抗癌剤治療で治ることはありません。
それは、世界の常識です。
しかし、
「手術不能のガンを背負ったというだけの罪」により、
無治療よりは、
僅かながら長く生きていることができる、
という旗印のもと、
激しい副作用を伴う治療が、
なんら自覚症状を伴わず、
普通の生活をしている患者さんに対して執行されています。
僅か20年前には
「抗癌剤には延命効果も無い」
という常識が存在していました。
それでは何故、
抗癌剤治療は何十年も昔から行われてきたのか。
生存期間中央値という平均数字を見ると、
無治療患者群と抗癌剤治療患者群の間に
生存期間の差は存在していませんでした。
しかし、ガンの縮小による、
「症状の緩和」は短時間といえども、
可能になることもありました。
また、抗癌剤治療を行った患者群の中には、
大きな延命を果たす方も僅かながら存在していたはずです。
それが、延命効果の無い抗癌剤治療の存在理由だったと思います。
それよりも、
患者さんが無治療を嫌ったことと、
医者が治るかのように錯覚させた結果かも知れません。
白血病やリンパ腫などの血液ガンを除くと、
大腸ガンで1992年、
肺ガンで1995年に、
無治療患者群と比較して、
抗癌剤治療を行った患者群のほうが、
1~2ヶ月程度ですが長く生きる、
という輝かしいエビデンスが登場しました。
胃ガンでも肺ガンと同じ頃だったと思います。
当時は「抗癌剤治療に延命無し」
が当たり前の医者の常識でしたから、
単純な治験をデザインすることが可能でした。
動物実験の結果、
もしかしたら抗癌剤治療で延命ができるかもしれない、
と考えられる薬剤が開発されるや、
いくらでもいる「治験用の患者さん」を、
無治療患者群と、
抗癌剤治療患者群に、
無作為に振り分けることができました。
延命効果は無いとされていた時代ですから、
手術不能の治ることがない患者さんを、
無治療で経過を診ることも人道的に
まったく問題なく許されました。
その無治療患者群と、
抗癌剤治療患者群とを単純比較したのが、
前述の大腸ガンや肺ガンなどです。
信憑性の高いデータ・エビデンスだと思います。
しかし、現在の治験は、
無治療よりは抗癌剤治療を行ったほうが僅かながら延命が可能、
というエビデンスが出てしまいましたので、
無治療患者群と、
新しい未知の治療を受ける患者群とに、
無作為に振り分けることが、
人道的に許されなくなってしまいました。
そうなると治験は、
例えば1ヶ月の延命効果が確認されたAという治療患者群と、
新しい未知のBという治療を行った患者群との比較になります。
その結果B治療のほうが、
A治療より生存期間で1ヶ月優っていたとなると、
B治療が採択されるようになります。
しかし無治療と比較して、
本当に1 + 1 =2ヶ月の延命になるか否かは不明です。
それは時代とともに、
抗癌剤治療が進歩するか否かは別にして、
ガンに対する診断学は間違いなく大きく進歩しているからです。
さらに検診や人間ドックなども充実してきています。
当然、医療機械は凄まじい勢いで進歩しています。
1995年に発表されたデータであれば、
それは今から20年程度前のデータの積み重ねだと思われます。
現在の優れた精度の機械や、
普及してきている検診、人間ドックでは、
簡単にステージⅣと診断されても、
20年も前の濁った眼しか持たない機械では、
小さな転移病巣を見落としていた可能性もあります。
ごく小さな肝臓や肺、骨に転移があっても、
ほとんどのガンはステージⅣになります。
また当時はまだPET検査も普及していませんでした。
すなわち、
むかしの診断レベルで発見されたのは、
かなり進行した状態の、
「本当の進行ガン・末期ガン」
であった可能性が高く、
逆に現在の技術では、
自覚症状も何も無い、
優れた機械の眼があったからこそ、
ステージⅣという罪状が確定してしまった、
「軽い状態の末期ガン」
という可能性もあります。
もしそうだとすれば、
無治療の場合、
当然後者の厳しい・精度の高い眼で発見された
「元気な末期ガン」のほうが、
長生きすることは当たり前になります。
したがって、
現在行われている標準治療が、
無治療患者群と比較して、
どれだけ延命効果があるのか、
そもそも、本当に延命効果があるのかも不明です。
そのような治療に、
普通の生活の代償として、
激しい副作用を被って、
ご自身の命を賭けるのは、
私の価値観からは、
「損」だと感じてしまいます。
最近一部の限られた症例に対して、
無治療患者群と、
ある抗癌剤治療を行った患者群との単純比較で、
生存期間中央値に3ヶ月程度の延命が、
600人以上の「治験用の患者さん」から、
得られています。
このデータは、
少々問題点も見られますが、
信憑性は高いと思われます。
このような治験は、
ここ数年では、
ほとんど見られません。
大きな延命は無いことと、
激烈な副作用に見舞われていることがハッキリしている、
現在の標準治療の真実を知れば、
無治療という選択肢を選ぶ患者さんも少なくはないと思います。
そのような患者さんが増えれば、
標準的な抗癌剤治療に延命効果があるのか否か、
ハッキリするはずですが、
国民皆保険の日本では無理でしょうね。
2月6日の「アメリカでも騙し討ち!?」で書いた、
青い眼の閻魔様のASCOでのいまさらの表明は、
医療費削減が主目的でしょうけれども、
本日書いたような治験促進の意味も多少あるのかも知れません。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
をはじめ、何回も書いているとおり、
ほとんどの種類のガンは、
抗癌剤治療で治ることはありません。
それは、世界の常識です。
しかし、
「手術不能のガンを背負ったというだけの罪」により、
無治療よりは、
僅かながら長く生きていることができる、
という旗印のもと、
激しい副作用を伴う治療が、
なんら自覚症状を伴わず、
普通の生活をしている患者さんに対して執行されています。
僅か20年前には
「抗癌剤には延命効果も無い」
という常識が存在していました。
それでは何故、
抗癌剤治療は何十年も昔から行われてきたのか。
生存期間中央値という平均数字を見ると、
無治療患者群と抗癌剤治療患者群の間に
生存期間の差は存在していませんでした。
しかし、ガンの縮小による、
「症状の緩和」は短時間といえども、
可能になることもありました。
また、抗癌剤治療を行った患者群の中には、
大きな延命を果たす方も僅かながら存在していたはずです。
それが、延命効果の無い抗癌剤治療の存在理由だったと思います。
それよりも、
患者さんが無治療を嫌ったことと、
医者が治るかのように錯覚させた結果かも知れません。
白血病やリンパ腫などの血液ガンを除くと、
大腸ガンで1992年、
肺ガンで1995年に、
無治療患者群と比較して、
抗癌剤治療を行った患者群のほうが、
1~2ヶ月程度ですが長く生きる、
という輝かしいエビデンスが登場しました。
胃ガンでも肺ガンと同じ頃だったと思います。
当時は「抗癌剤治療に延命無し」
が当たり前の医者の常識でしたから、
単純な治験をデザインすることが可能でした。
動物実験の結果、
もしかしたら抗癌剤治療で延命ができるかもしれない、
と考えられる薬剤が開発されるや、
いくらでもいる「治験用の患者さん」を、
無治療患者群と、
抗癌剤治療患者群に、
無作為に振り分けることができました。
延命効果は無いとされていた時代ですから、
手術不能の治ることがない患者さんを、
無治療で経過を診ることも人道的に
まったく問題なく許されました。
その無治療患者群と、
抗癌剤治療患者群とを単純比較したのが、
前述の大腸ガンや肺ガンなどです。
信憑性の高いデータ・エビデンスだと思います。
しかし、現在の治験は、
無治療よりは抗癌剤治療を行ったほうが僅かながら延命が可能、
というエビデンスが出てしまいましたので、
無治療患者群と、
新しい未知の治療を受ける患者群とに、
無作為に振り分けることが、
人道的に許されなくなってしまいました。
そうなると治験は、
例えば1ヶ月の延命効果が確認されたAという治療患者群と、
新しい未知のBという治療を行った患者群との比較になります。
その結果B治療のほうが、
A治療より生存期間で1ヶ月優っていたとなると、
B治療が採択されるようになります。
しかし無治療と比較して、
本当に1 + 1 =2ヶ月の延命になるか否かは不明です。
それは時代とともに、
抗癌剤治療が進歩するか否かは別にして、
ガンに対する診断学は間違いなく大きく進歩しているからです。
さらに検診や人間ドックなども充実してきています。
当然、医療機械は凄まじい勢いで進歩しています。
1995年に発表されたデータであれば、
それは今から20年程度前のデータの積み重ねだと思われます。
現在の優れた精度の機械や、
普及してきている検診、人間ドックでは、
簡単にステージⅣと診断されても、
20年も前の濁った眼しか持たない機械では、
小さな転移病巣を見落としていた可能性もあります。
ごく小さな肝臓や肺、骨に転移があっても、
ほとんどのガンはステージⅣになります。
また当時はまだPET検査も普及していませんでした。
すなわち、
むかしの診断レベルで発見されたのは、
かなり進行した状態の、
「本当の進行ガン・末期ガン」
であった可能性が高く、
逆に現在の技術では、
自覚症状も何も無い、
優れた機械の眼があったからこそ、
ステージⅣという罪状が確定してしまった、
「軽い状態の末期ガン」
という可能性もあります。
もしそうだとすれば、
無治療の場合、
当然後者の厳しい・精度の高い眼で発見された
「元気な末期ガン」のほうが、
長生きすることは当たり前になります。
したがって、
現在行われている標準治療が、
無治療患者群と比較して、
どれだけ延命効果があるのか、
そもそも、本当に延命効果があるのかも不明です。
そのような治療に、
普通の生活の代償として、
激しい副作用を被って、
ご自身の命を賭けるのは、
私の価値観からは、
「損」だと感じてしまいます。
最近一部の限られた症例に対して、
無治療患者群と、
ある抗癌剤治療を行った患者群との単純比較で、
生存期間中央値に3ヶ月程度の延命が、
600人以上の「治験用の患者さん」から、
得られています。
このデータは、
少々問題点も見られますが、
信憑性は高いと思われます。
このような治験は、
ここ数年では、
ほとんど見られません。
大きな延命は無いことと、
激烈な副作用に見舞われていることがハッキリしている、
現在の標準治療の真実を知れば、
無治療という選択肢を選ぶ患者さんも少なくはないと思います。
そのような患者さんが増えれば、
標準的な抗癌剤治療に延命効果があるのか否か、
ハッキリするはずですが、
国民皆保険の日本では無理でしょうね。
2月6日の「アメリカでも騙し討ち!?」で書いた、
青い眼の閻魔様のASCOでのいまさらの表明は、
医療費削減が主目的でしょうけれども、
本日書いたような治験促進の意味も多少あるのかも知れません。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。