国立がんセンターのことを再び書きます。
6月9日の「ベルトコンベア」で書いた
乳ガンを患った患者さんが昨日再び来院されました。
手術は、6月1△日に診察に行って、
「温存手術をしてもらうこと」
「センチネルリンパ節生検を行なうこと」を約束してもらい、
その4日後に国立がんセンターで手術を行なったそうです。
しかし、エビデンスを黄門様の印籠のように振りかざし、
しっかりしたインフォームドコンセントのもとに、
エビデンスだけに従った治療だけを行う模範病院としては、
少々ヘンテコな方針を示していました。
それは先ず、手術前にその患者さんは、
「センチネルリンパ節の生検はするけれども、
あなたの場合陽性であっても、腋窩リンパ節の郭清はしない。」
と言われていることです。
幸い、センチネルリンパ節に転移は認められませんでした。
しかし、「もし転移があっても腋窩リンパ節郭清をしない」
とは、どういうことでしょうか。
センチネルリンパ節の生検というのは、
ガン細胞が一番先に飛び火していくところであり、
「そこに転移が見つからなければ、
それより先のリンパ節への転移はないであろう」
と推測されることになり、
術後のリンパ浮腫などを惹起する腋窩リンパ節郭清を省略する。
逆に、そのセンチネルリンパ節に転移が認められたならば、
その先まで、転移している可能性も十分に考えなければいけない。
したがって、腋窩リンパ節の郭清は行なわなければならない。
という考えのもとで、行なわれるものです。
はじめから、腋窩リンパ節郭清を行なわないと決めているのであれば、
何のためにセンチネルリンパ節生検を行なうのか意味が判りません。
また、もっと驚くことがありました。
それは、乳ガン手術後に再発防止のために行なう、
ホルモン剤治療についてですが、
その患者さんは60歳近くで7〜8年前に閉経しています。
その場合、アリミデックスというホルモン剤を5年間飲むことで、
再発率が一番低くなるということが証明されています。
これはエビデンスです。
Arimidex Tamoxifen Alone or In Combination Trial
通称ATACトライアル
という、数千人規模な大きなトライアルの結果、
Arimidex(アリミデックス)を単独で内服したグループが、
Tamoxifen(タモキシフェン、ノルバデックスなど)を単独で内服したグループ、
および、ArimidexとTamoxifenを同時併用して内服したグループよりも、
再発確率が低かったというデータです。
再発予防に対して存在しているしっかりしたエビデンスです。
しかし、その患者さんが持参された、
がんセンターの主治医が書いた説明書では、
タモキシフェン 3年
その後、アリミデックス 2年
と書かれています。
そして、6か月分のタモキシフェンを一度に処方されていました。
当然ながら、再発予防にタモキシフェン3年飲んで、
その後にアリミデックスを2年飲むなどというパターンでのエビデンスなど、
世界中何処にも存在しません。
再発予防に対しては、エビデンスに従うしか、
治療の道標がありません。
再発確率が一番低いことが判っている治療を何故行なわないのでしょうか。
エビデンスがあるのに何故従わないのでしょうか。
何故、あれほど嫌っているエビデンスの無い治療をするのでしょうか。
その理由は国立がんセンターが研究機関であるが故と邪推しますが、
それであれば、その旨、患者さんにはしっかりと説明をする責任があるのではないでしょうか。
当然、患者さんは、国立がんセンターでは、まったくその説明は受けていません。
勿論、そのデータを知って、敢えてタモキシフェンを飲む患者さんはいないと思われます。
5月4日の「郵政民営化・病院民営化?」でも書いたとおり、
7月2日の「脱がんセンターの勧め」
国立がんセンターの研究機関としての存在意義は十分に判ります。
しかし、実際にそこで行なっていることは騙まし討ちではないでしょうか。
エビデンス、エビデンス、インフォームドコンセントと他の病院に対しては
偉そうに指導している病院が、
自分のところでは、患者さんをないがしろに、
コソコソと騙まし討ちでデータ収集を行なっている。
これが、国立がんセンターの実態でしょうか。
やはり、国立がんセンターでの治療費用はすべてタダにするべきではないでしょうか。
その上で、患者さんに納得してもらい、
堂々と人体実験を行なうべきではないでしょうか。
とても高いガンの治療費が全部タダなら、
多少の実験は大目に見てくれる患者さんも少なくないと思います。
しかし、この患者さんは有料ですから、
私が、ATACトライアルのデータを示すと患者さんは当然ながら、
「タモキシフェンは飲みませんから、アリミデックスに変更して欲しい。」
と言われました。
先日、国立がんセンターの惨状をある患者さんのご家族と話していたところ、
お叱りを受けました。
「国立がんセンターにも心の通った良い先生は大勢いました。
先生個人が悪いのではなく、体制がいけないだけではないですか。」と。
そのとおりだと思います。
そこで働く医者も、
患者さんの苦痛を少しでも和らげてあげたいと考えているものと思います。
しかし、「がん克服という人類の悲願」のためには、
止むを得ないのだと思います。
しかし、本日ご紹介した患者さんの例は、
論外だと思います。
いくら体制がそうであっても、
チョット調子に乗りすぎではないでしょうか。
以上 文責 梅澤 充
6月9日の「ベルトコンベア」で書いた
乳ガンを患った患者さんが昨日再び来院されました。
手術は、6月1△日に診察に行って、
「温存手術をしてもらうこと」
「センチネルリンパ節生検を行なうこと」を約束してもらい、
その4日後に国立がんセンターで手術を行なったそうです。
しかし、エビデンスを黄門様の印籠のように振りかざし、
しっかりしたインフォームドコンセントのもとに、
エビデンスだけに従った治療だけを行う模範病院としては、
少々ヘンテコな方針を示していました。
それは先ず、手術前にその患者さんは、
「センチネルリンパ節の生検はするけれども、
あなたの場合陽性であっても、腋窩リンパ節の郭清はしない。」
と言われていることです。
幸い、センチネルリンパ節に転移は認められませんでした。
しかし、「もし転移があっても腋窩リンパ節郭清をしない」
とは、どういうことでしょうか。
センチネルリンパ節の生検というのは、
ガン細胞が一番先に飛び火していくところであり、
「そこに転移が見つからなければ、
それより先のリンパ節への転移はないであろう」
と推測されることになり、
術後のリンパ浮腫などを惹起する腋窩リンパ節郭清を省略する。
逆に、そのセンチネルリンパ節に転移が認められたならば、
その先まで、転移している可能性も十分に考えなければいけない。
したがって、腋窩リンパ節の郭清は行なわなければならない。
という考えのもとで、行なわれるものです。
はじめから、腋窩リンパ節郭清を行なわないと決めているのであれば、
何のためにセンチネルリンパ節生検を行なうのか意味が判りません。
また、もっと驚くことがありました。
それは、乳ガン手術後に再発防止のために行なう、
ホルモン剤治療についてですが、
その患者さんは60歳近くで7〜8年前に閉経しています。
その場合、アリミデックスというホルモン剤を5年間飲むことで、
再発率が一番低くなるということが証明されています。
これはエビデンスです。
Arimidex Tamoxifen Alone or In Combination Trial
通称ATACトライアル
という、数千人規模な大きなトライアルの結果、
Arimidex(アリミデックス)を単独で内服したグループが、
Tamoxifen(タモキシフェン、ノルバデックスなど)を単独で内服したグループ、
および、ArimidexとTamoxifenを同時併用して内服したグループよりも、
再発確率が低かったというデータです。
再発予防に対して存在しているしっかりしたエビデンスです。
しかし、その患者さんが持参された、
がんセンターの主治医が書いた説明書では、
タモキシフェン 3年
その後、アリミデックス 2年
と書かれています。
そして、6か月分のタモキシフェンを一度に処方されていました。
当然ながら、再発予防にタモキシフェン3年飲んで、
その後にアリミデックスを2年飲むなどというパターンでのエビデンスなど、
世界中何処にも存在しません。
再発予防に対しては、エビデンスに従うしか、
治療の道標がありません。
再発確率が一番低いことが判っている治療を何故行なわないのでしょうか。
エビデンスがあるのに何故従わないのでしょうか。
何故、あれほど嫌っているエビデンスの無い治療をするのでしょうか。
その理由は国立がんセンターが研究機関であるが故と邪推しますが、
それであれば、その旨、患者さんにはしっかりと説明をする責任があるのではないでしょうか。
当然、患者さんは、国立がんセンターでは、まったくその説明は受けていません。
勿論、そのデータを知って、敢えてタモキシフェンを飲む患者さんはいないと思われます。
5月4日の「郵政民営化・病院民営化?」でも書いたとおり、
7月2日の「脱がんセンターの勧め」
国立がんセンターの研究機関としての存在意義は十分に判ります。
しかし、実際にそこで行なっていることは騙まし討ちではないでしょうか。
エビデンス、エビデンス、インフォームドコンセントと他の病院に対しては
偉そうに指導している病院が、
自分のところでは、患者さんをないがしろに、
コソコソと騙まし討ちでデータ収集を行なっている。
これが、国立がんセンターの実態でしょうか。
やはり、国立がんセンターでの治療費用はすべてタダにするべきではないでしょうか。
その上で、患者さんに納得してもらい、
堂々と人体実験を行なうべきではないでしょうか。
とても高いガンの治療費が全部タダなら、
多少の実験は大目に見てくれる患者さんも少なくないと思います。
しかし、この患者さんは有料ですから、
私が、ATACトライアルのデータを示すと患者さんは当然ながら、
「タモキシフェンは飲みませんから、アリミデックスに変更して欲しい。」
と言われました。
先日、国立がんセンターの惨状をある患者さんのご家族と話していたところ、
お叱りを受けました。
「国立がんセンターにも心の通った良い先生は大勢いました。
先生個人が悪いのではなく、体制がいけないだけではないですか。」と。
そのとおりだと思います。
そこで働く医者も、
患者さんの苦痛を少しでも和らげてあげたいと考えているものと思います。
しかし、「がん克服という人類の悲願」のためには、
止むを得ないのだと思います。
しかし、本日ご紹介した患者さんの例は、
論外だと思います。
いくら体制がそうであっても、
チョット調子に乗りすぎではないでしょうか。
以上 文責 梅澤 充



