現在、様々な種類のガンに対する飲む抗癌剤としては、
ゼローダとTS-1が一番たくさん処方されているように思います。
それぞれの薬剤には、
エビデンスが出されています。
UFTとフルツロンという一世代前の飲む抗癌剤は、
新しいゼローダ、TS-1に押されて、
出番はすっかり少なくなっているようですが、
一世代前の飲む抗癌剤の先輩達にも、
様々なエビデンスが出されています。
しかし何故かそれらはほとんど無視されて、
ゼローダとTS-1だけが重用されています。
ゼローダとTS-1はそれぞれ、
フルツロンとUFTを進化させた薬剤です。
いずれも日本人が作った薬ですが、
飲む抗癌剤というだけで、
日本の抗癌剤治療専門の先生方は毛嫌いをして、
ゼローダのエビデンスなどは、
すべて南蛮渡来になってしまいました。
極めて硬い化石のようなアタマしか持たない専門家が導いた悲劇です。
胃ガンに対するゼローダは、
日本ではシスプラチンとの併用でしか健康保険では認められていません。
しかしお隣韓国では、
ゼローダ単独でのエビデンスが出ており、
胃ガンに対して単独投与も認められています。
日本人と韓国人の胃ガンで、
大きな違いは無いように思いますが、
残念、日本では単独では使用不能です。
飲む抗癌剤にも、
当然副作用はあります。
フルツロン、UFTを進化させた、
ゼローダ、TS-1では、
残念ながら副作用も進化して少なくなった、
ということはありません。
日本の抗癌剤治療の専門家により、
国外追放の憂き目に遭ったゼローダが、
日本に逆輸入されてきたときには、
フルツロン特有の下痢という副作用を
ほとんど起こさないクスリと期待されましたが、
手足症候群(Hand Foot Syndrome)という、
他の抗癌剤にはない、
原因不明の副作用が顕著に出てしまいます。
手の平、足の裏の皮膚の乾燥・ひび割れ・擦り剥け、
爪の変形などが起こり患者さんを悩ませます。
程度の差は大きくありますが、
ほぼ100%の確率で必発する副作用です。
TS-1は下痢・嘔気・食欲不振・味覚障害などの
消化器症状が前面に出ますし、
骨髄抑制も少なくありません。
一方、先輩格であるフルツロンやUFTでは、
それらの副作用は遥かに軽微です。
ゼローダのお兄さんのフルツロンには、
ゼローダ特有の皮膚症状はありませんし、
TS-1の先輩のUFTでは、
消化器症状、骨髄抑制はTS-1ほど大きくはありません。
また、UFTでは腸溶剤の顆粒製剤もあり、
カプセル製剤よりも消化器症状はさらに少なくなっています。
新しいクスリが出ると、
そればかりが注目され、
昔のクスリは忘れ去られてしまいますが、
古いクスリにも、
良いところはたくさんあります。
気の毒なことに、
UFTなどは、
効かないクスリの代名詞にされて、
無責任な医者に、
「国家の恥」とまで、
言われてしまった過去もあります。
しかし、そのUFTで救われた患者さんを、
外科医は何人診てきたか分かりません。
副作用も無く、
大きな延命効果が示してくれたクスリであることを、
日本中の多くの外科医は知っているはずです。
新し物好きの医者は、
古いクスリには振り向かなくなりますが、
患者さんの立場で考えると、
効果は大きくなるも、
同時に副作用も増強されたクスリより、
遥かに有り難い一面も持っています。
主治医のアタマから、
古いクスリが消えていたら、
患者さんのほうから提案するのも悪くはないと思います。
いくら古くても武器は一つでも多い方が有利ですし、
治療の結果責任を負うのは、
患者さんしかいませんから。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
ゼローダとTS-1が一番たくさん処方されているように思います。
それぞれの薬剤には、
エビデンスが出されています。
UFTとフルツロンという一世代前の飲む抗癌剤は、
新しいゼローダ、TS-1に押されて、
出番はすっかり少なくなっているようですが、
一世代前の飲む抗癌剤の先輩達にも、
様々なエビデンスが出されています。
しかし何故かそれらはほとんど無視されて、
ゼローダとTS-1だけが重用されています。
ゼローダとTS-1はそれぞれ、
フルツロンとUFTを進化させた薬剤です。
いずれも日本人が作った薬ですが、
飲む抗癌剤というだけで、
日本の抗癌剤治療専門の先生方は毛嫌いをして、
ゼローダのエビデンスなどは、
すべて南蛮渡来になってしまいました。
極めて硬い化石のようなアタマしか持たない専門家が導いた悲劇です。
胃ガンに対するゼローダは、
日本ではシスプラチンとの併用でしか健康保険では認められていません。
しかしお隣韓国では、
ゼローダ単独でのエビデンスが出ており、
胃ガンに対して単独投与も認められています。
日本人と韓国人の胃ガンで、
大きな違いは無いように思いますが、
残念、日本では単独では使用不能です。
飲む抗癌剤にも、
当然副作用はあります。
フルツロン、UFTを進化させた、
ゼローダ、TS-1では、
残念ながら副作用も進化して少なくなった、
ということはありません。
日本の抗癌剤治療の専門家により、
国外追放の憂き目に遭ったゼローダが、
日本に逆輸入されてきたときには、
フルツロン特有の下痢という副作用を
ほとんど起こさないクスリと期待されましたが、
手足症候群(Hand Foot Syndrome)という、
他の抗癌剤にはない、
原因不明の副作用が顕著に出てしまいます。
手の平、足の裏の皮膚の乾燥・ひび割れ・擦り剥け、
爪の変形などが起こり患者さんを悩ませます。
程度の差は大きくありますが、
ほぼ100%の確率で必発する副作用です。
TS-1は下痢・嘔気・食欲不振・味覚障害などの
消化器症状が前面に出ますし、
骨髄抑制も少なくありません。
一方、先輩格であるフルツロンやUFTでは、
それらの副作用は遥かに軽微です。
ゼローダのお兄さんのフルツロンには、
ゼローダ特有の皮膚症状はありませんし、
TS-1の先輩のUFTでは、
消化器症状、骨髄抑制はTS-1ほど大きくはありません。
また、UFTでは腸溶剤の顆粒製剤もあり、
カプセル製剤よりも消化器症状はさらに少なくなっています。
新しいクスリが出ると、
そればかりが注目され、
昔のクスリは忘れ去られてしまいますが、
古いクスリにも、
良いところはたくさんあります。
気の毒なことに、
UFTなどは、
効かないクスリの代名詞にされて、
無責任な医者に、
「国家の恥」とまで、
言われてしまった過去もあります。
しかし、そのUFTで救われた患者さんを、
外科医は何人診てきたか分かりません。
副作用も無く、
大きな延命効果が示してくれたクスリであることを、
日本中の多くの外科医は知っているはずです。
新し物好きの医者は、
古いクスリには振り向かなくなりますが、
患者さんの立場で考えると、
効果は大きくなるも、
同時に副作用も増強されたクスリより、
遥かに有り難い一面も持っています。
主治医のアタマから、
古いクスリが消えていたら、
患者さんのほうから提案するのも悪くはないと思います。
いくら古くても武器は一つでも多い方が有利ですし、
治療の結果責任を負うのは、
患者さんしかいませんから。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。