一昨日の「予後宣告」に対して、
二つのコメントをいただきました。
医者の優しさから?
長めの数字を宣告する、
という例を挙げましたが、
エビデンスより「短め」に宣告、予言?する、
というパターンのほうがより頻回に見られます。
エビデンス・EBMを謳っていながら、
真実の数字を伝えないという点では問題ですが、
1年と言われて、
2年間人生を楽しむことができれば、
「宝物の時間」が増えることになり、
患者さんにとっては悪くはないように思います。
それの数字を発した医者の方は、
投稿者のご推察どおりの感覚があるのかも知れません。
うがった見方ではないと思います。
はじめから1万円の値札が付いている品物を1万円で買うよりも、
嘘でも2万円の値が付けられていて、
それが大きくバッテンで消されて1万円になっていれば、
同じ1万円で同じものを買っても、
何となくトクをした感じになるのと同じ感覚だと思います。
年末には身動きができないほど混み合うアメ横では、
半値、8割引きは当たり前になっていますが、
それで実際にトクをしたことはありません・・・
もう一つのコメントを再掲します。
セカンドライン、サードラインの治療と、
経過に従って幾つも治療が用意されているガンでは、
仰るとおり、
治療の組み合わせになりますから、
治療開始時点からの生存期間中央治値という
データ・エビデンスなどほとんど無いに等しいのが現状です。
しかしエビデンス・EBMに拘るのが不思議です。
途中で治療を変更した場合などは、
エビデンスなど消滅するのですが、
それでもエビデンス・EBMを叫んでいるのは滑稽です。
また、エビデンスに従いたいがために、
途中で効果が無いことが判明しても、
治験で実行されたとおりの計画で、
終点まで治療が遂行されてしまっているかも知れません。
肺ガンなど、
セカンドラインの治療すらはっきりしていないガンや、
膵ガンなどのように、
日本の健康保険では二つしか治療法が許されていないガンでは、
ファーストラインの治療が開始された時点から、
その治療の生存期間中央治値に至るまでの時間、
あるいは、二通りの組み合わせで知られている生存期間中央治値が、
予後・余命として宣告しているように思います。
ただし何種類もの治療が用意されている乳ガンなどでも、
国立がんセンターのホームページでは、
再発・ステージⅣの乳ガンの治療成績として、
1年生存率が75%、
3年生存率が50%
5年のそれは25%
と大まかな数字が挙げられています。
その病院の治療でも、
イロイロな組み合わせのパターンがあると思いますが、
治療開始後3年間生きていることができる確率が50%ですから、
3年以内に半分の患者さんは亡くなるということで、
生存期間中央治値は概ね3年ということになります。
このように患者数の多い病院では、
その病院独自の生存期間中央治値の数字を持っていると思います。
国立がんセンターのように、
公表されていれば良いのですが、
それが開示されていない場合には、
その数字を提示した主治医に、
シッカリとその数字の根拠、出典を聞かなければなりません。
同時にがんセンターなどへ、
セカンドオピニオンの準備を始める必要があります。
ファーストラインの治療だけでの、
一発勝負のようなガンでは、
治験から得られているデータをもとに、
その医者の判断で、
適当にアレンジして、
患者さんに伝えることが多いのではないでしょうか。
治療の方法が幾つも用意されているようなガンでは、
その医者の経験から、
おおよその数字を提示しているように感じます。
しかし何を根拠に言ったのか分かりませんが、
肝臓転移を伴う乳ガンで、
幾つもの病院にセカンドオピニオンに行かれて、
2年は無理と言われた患者さんは、
残念ながら今年亡くなられましたが
5年近くお元気で生活を楽しむことができました。
医者の根拠などその程度のものです。
組み合わせの治療や、
サードライン以降ですでにエビデンスの無くなった治療を受けている、
あるいは受けようとする患者さんでは、
その主治医が無責任な「余命の予言」をしても、
あまり深刻に考える必要はありません。
ただし、楽観視するのも危険ですから、
データの宝庫である、
がんセンターなどにセカンドオピニオンに行かれて、
数字の真偽を確認して、
その数字とご自身の価値観とで、
その後の治療を考えてください。
しかし私は基本的には、
医者は神様にしか知り得ない、
人間の余命などについて、
軽々しく口にするべきではないと考えています。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
二つのコメントをいただきました。
ウチの主治医は、逆にエビデンスで示された生存期間中央値からは、
ずいぶんと短めの宣告でした。
その理由は、単なる想像ですが、
宣告よりも早く逝けば、
「なんで?」
と家族に悔いが残り、
宣告よりも長く生存すれば
「よく頑張った」
「○○先生のおかげ」 となって、
残された家族は納得するからじゃないかと、勝手にうがった見方をしております。
医者の優しさから?
長めの数字を宣告する、
という例を挙げましたが、
エビデンスより「短め」に宣告、予言?する、
というパターンのほうがより頻回に見られます。
エビデンス・EBMを謳っていながら、
真実の数字を伝えないという点では問題ですが、
1年と言われて、
2年間人生を楽しむことができれば、
「宝物の時間」が増えることになり、
患者さんにとっては悪くはないように思います。
それの数字を発した医者の方は、
投稿者のご推察どおりの感覚があるのかも知れません。
うがった見方ではないと思います。
はじめから1万円の値札が付いている品物を1万円で買うよりも、
嘘でも2万円の値が付けられていて、
それが大きくバッテンで消されて1万円になっていれば、
同じ1万円で同じものを買っても、
何となくトクをした感じになるのと同じ感覚だと思います。
年末には身動きができないほど混み合うアメ横では、
半値、8割引きは当たり前になっていますが、
それで実際にトクをしたことはありません・・・
もう一つのコメントを再掲します。
例えば乳がんの様に、他のガンに比べて薬の種類が多い場合、
一体どの薬や組み合わせのカプランマイヤー曲線を見れば良いのか、
素人には分かりづらいです。
タモキシフェンの無増悪期間中央値が○ヶ月、というデータがあっても、
他剤と併用した場合はどうなんだ?という疑問が出てきます。
エンドキサンや5FU等が効かなくなり、タキソールやタキソテールに切り替えた場合、
どのカプランマイヤー曲線を見れば良いのか?等々、
一体お医者さんはどこから生存期間中央値を
引っ張り出して予後の宣告をするんだろう? …
そしていつの時点からの生存期間中央値なんだろう?と、
素人向けの色んな本を読んでも、いまだによく分かりません。
私の疑問自体がピントがズレているのかもしれませんが。
セカンドライン、サードラインの治療と、
経過に従って幾つも治療が用意されているガンでは、
仰るとおり、
治療の組み合わせになりますから、
治療開始時点からの生存期間中央治値という
データ・エビデンスなどほとんど無いに等しいのが現状です。
しかしエビデンス・EBMに拘るのが不思議です。
途中で治療を変更した場合などは、
エビデンスなど消滅するのですが、
それでもエビデンス・EBMを叫んでいるのは滑稽です。
また、エビデンスに従いたいがために、
途中で効果が無いことが判明しても、
治験で実行されたとおりの計画で、
終点まで治療が遂行されてしまっているかも知れません。
肺ガンなど、
セカンドラインの治療すらはっきりしていないガンや、
膵ガンなどのように、
日本の健康保険では二つしか治療法が許されていないガンでは、
ファーストラインの治療が開始された時点から、
その治療の生存期間中央治値に至るまでの時間、
あるいは、二通りの組み合わせで知られている生存期間中央治値が、
予後・余命として宣告しているように思います。
ただし何種類もの治療が用意されている乳ガンなどでも、
国立がんセンターのホームページでは、
再発・ステージⅣの乳ガンの治療成績として、
1年生存率が75%、
3年生存率が50%
5年のそれは25%
と大まかな数字が挙げられています。
その病院の治療でも、
イロイロな組み合わせのパターンがあると思いますが、
治療開始後3年間生きていることができる確率が50%ですから、
3年以内に半分の患者さんは亡くなるということで、
生存期間中央治値は概ね3年ということになります。
このように患者数の多い病院では、
その病院独自の生存期間中央治値の数字を持っていると思います。
国立がんセンターのように、
公表されていれば良いのですが、
それが開示されていない場合には、
その数字を提示した主治医に、
シッカリとその数字の根拠、出典を聞かなければなりません。
同時にがんセンターなどへ、
セカンドオピニオンの準備を始める必要があります。
ファーストラインの治療だけでの、
一発勝負のようなガンでは、
治験から得られているデータをもとに、
その医者の判断で、
適当にアレンジして、
患者さんに伝えることが多いのではないでしょうか。
治療の方法が幾つも用意されているようなガンでは、
その医者の経験から、
おおよその数字を提示しているように感じます。
しかし何を根拠に言ったのか分かりませんが、
肝臓転移を伴う乳ガンで、
幾つもの病院にセカンドオピニオンに行かれて、
2年は無理と言われた患者さんは、
残念ながら今年亡くなられましたが
5年近くお元気で生活を楽しむことができました。
医者の根拠などその程度のものです。
組み合わせの治療や、
サードライン以降ですでにエビデンスの無くなった治療を受けている、
あるいは受けようとする患者さんでは、
その主治医が無責任な「余命の予言」をしても、
あまり深刻に考える必要はありません。
ただし、楽観視するのも危険ですから、
データの宝庫である、
がんセンターなどにセカンドオピニオンに行かれて、
数字の真偽を確認して、
その数字とご自身の価値観とで、
その後の治療を考えてください。
しかし私は基本的には、
医者は神様にしか知り得ない、
人間の余命などについて、
軽々しく口にするべきではないと考えています。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。