本日、病院事務員が患者さんのカルテに
鉛筆で「10月から3割」と書いてあるメモ書きを見ました。
間も無く70歳以上の高齢者の健康保険の医療費負担が増えるそうです。
私も現在70歳以上の患者さんを何人も診ています。
患者さんにとって大変な時代になってしまうようにも思いますが、
半面当然のことのようにも思います。
今までの医療費の無駄遣いを改める良い機会のようにも思います。
いわゆる街医者の待合室で、
「○○さん今日は来ないけれど、何処か具合でも悪いのかしら。」
という会話が飛び交っているという冗談のような話が
本当に起こっていました。
そして、そこに投下される不必要な医療費は莫大な額になっていました。
その無駄な医療費も、保健医療財政を大きく圧迫していました。
かつて、お年よりは一月5000円なりを支払うと、
それ以上はすべてタダ、という
信じられないような制度も一時期ありました。
一月5000円を支払い、時間を持て余しているお年よりは、
病院という社交場に集まり、
病気でもないのに治療を受け、多額の医療費を病院に落としていきました。
勿論、保険財源から病院に支払われていたわけです。
社交場であった街の医療機関は、
病気ではない患者さん(お客さん)をたくさん診て、
甘い汁を吸っていました。
しかし、高齢化社会が進みさすがにそれは許されなくなってきました。
「医者は儲る」という間違った偏見が根付いてしまったのは、
そこらへんに原因があるように思います。
同じ町内にある医療機関の院長先生は、
元気なお年よりという病人と、
雑談を交わしているだけで高額納税者になっていたのですから、
「医者はイイ商売」といわれて当然です。
しかし、昔から勤勉な勤務医はけっして「イイ商売」ではありませんでした。
話は逸れましたが、
医療機関の利用の仕方を日本人は知らないように思います。
本当に治療が必要か否かを見極めることは難しいかもしれません。
しかし、病院の外来にいると、
「何で病院に来るの?」
と言いたくなる患者さん(お客さん?)にたくさん出会いました。
以前、市民病院に勤務していた時、
日曜日の当直の時に、小学生の男の子が、
父親に連れられ救急患者として来院してきました。
診ると、竹の細工をしていて手の指に竹のトゲを刺していました。
タダそれだけです。
引っ張ればすぐ抜けます。
「何故、わざわざ病院に救急患者として来たのか」と聞いたところ、
「今までこの子にトゲを刺させたことは無いから」
とのことでした。
呆れました。
わざわざ救急の時間帯に病院に来られたのですから、
必要は無いと思いながら、
レントゲン写真を撮り、
その後、ピンセットで1秒で抜きました。
そのまま帰しました。
問題はその後です。
休日で事務員が不在で会計はできないので翌日支払いに来てもらったのですが、
請求書を見てその父親は激怒しました。
「何でトゲを抜くだけで3万円も取るんだ!」と、
「何で日曜日に病院に来たんだ」と言いたくなります。
そのトゲは数ミリあり、子供の筋肉内に達していましたので、
「筋肉内異物除去術」という診療報酬を採用したのです。
(今はあまりにも簡単なものには許されないようですが・・・)
それは、数万円の手技料を請求できます。
その上、その点数に8割り増しの休日加算というのが付きます。
そうすると自己負担は3万円を超えることになります。
確かに、ピンセットで引っ張って抜いただけで3万円は高すぎます。
家で抜けばタダです。
しかし、休日に救急患者として来たからには、
重症だと思ったからのはずです。
病院はコンビニではありません。
病院の存在意義をまったく知らない人のようでした。
日本にはこのような患者さんが多すぎるように思います。
「筋肉内異物除去術」は、
手術室で複数の医者が3時間かけた異物除去(摘出)でも、
保険点数は一緒です。
足の筋肉に打ち込まれたピストルの弾を抜き取る手術でも同一点数です。
医療費負担が増加することは
一見残念ですが、
このような病院の使い方を知らない患者さん(?)を排除する意味はあると思います。
そして、無駄に使われていて医療財源を本当に必要な患者さんに廻せるようになれば、
日本の医療財政も少しは健全化されるようになると思います。
そのように願っています。
医療費の自己負担が増えて困ってしまう患者さんには、
現在の高額医療費の返還の制度の充実で対処していただきたいと思います。
本日は、ガン治療とは直接関係ありませんが、
病院事務員が、医療費自己負担が増加する実態を思い出させてくれたので、
それについて書きました。
以上 文責 梅澤 充
鉛筆で「10月から3割」と書いてあるメモ書きを見ました。
間も無く70歳以上の高齢者の健康保険の医療費負担が増えるそうです。
私も現在70歳以上の患者さんを何人も診ています。
患者さんにとって大変な時代になってしまうようにも思いますが、
半面当然のことのようにも思います。
今までの医療費の無駄遣いを改める良い機会のようにも思います。
いわゆる街医者の待合室で、
「○○さん今日は来ないけれど、何処か具合でも悪いのかしら。」
という会話が飛び交っているという冗談のような話が
本当に起こっていました。
そして、そこに投下される不必要な医療費は莫大な額になっていました。
その無駄な医療費も、保健医療財政を大きく圧迫していました。
かつて、お年よりは一月5000円なりを支払うと、
それ以上はすべてタダ、という
信じられないような制度も一時期ありました。
一月5000円を支払い、時間を持て余しているお年よりは、
病院という社交場に集まり、
病気でもないのに治療を受け、多額の医療費を病院に落としていきました。
勿論、保険財源から病院に支払われていたわけです。
社交場であった街の医療機関は、
病気ではない患者さん(お客さん)をたくさん診て、
甘い汁を吸っていました。
しかし、高齢化社会が進みさすがにそれは許されなくなってきました。
「医者は儲る」という間違った偏見が根付いてしまったのは、
そこらへんに原因があるように思います。
同じ町内にある医療機関の院長先生は、
元気なお年よりという病人と、
雑談を交わしているだけで高額納税者になっていたのですから、
「医者はイイ商売」といわれて当然です。
しかし、昔から勤勉な勤務医はけっして「イイ商売」ではありませんでした。
話は逸れましたが、
医療機関の利用の仕方を日本人は知らないように思います。
本当に治療が必要か否かを見極めることは難しいかもしれません。
しかし、病院の外来にいると、
「何で病院に来るの?」
と言いたくなる患者さん(お客さん?)にたくさん出会いました。
以前、市民病院に勤務していた時、
日曜日の当直の時に、小学生の男の子が、
父親に連れられ救急患者として来院してきました。
診ると、竹の細工をしていて手の指に竹のトゲを刺していました。
タダそれだけです。
引っ張ればすぐ抜けます。
「何故、わざわざ病院に救急患者として来たのか」と聞いたところ、
「今までこの子にトゲを刺させたことは無いから」
とのことでした。
呆れました。
わざわざ救急の時間帯に病院に来られたのですから、
必要は無いと思いながら、
レントゲン写真を撮り、
その後、ピンセットで1秒で抜きました。
そのまま帰しました。
問題はその後です。
休日で事務員が不在で会計はできないので翌日支払いに来てもらったのですが、
請求書を見てその父親は激怒しました。
「何でトゲを抜くだけで3万円も取るんだ!」と、
「何で日曜日に病院に来たんだ」と言いたくなります。
そのトゲは数ミリあり、子供の筋肉内に達していましたので、
「筋肉内異物除去術」という診療報酬を採用したのです。
(今はあまりにも簡単なものには許されないようですが・・・)
それは、数万円の手技料を請求できます。
その上、その点数に8割り増しの休日加算というのが付きます。
そうすると自己負担は3万円を超えることになります。
確かに、ピンセットで引っ張って抜いただけで3万円は高すぎます。
家で抜けばタダです。
しかし、休日に救急患者として来たからには、
重症だと思ったからのはずです。
病院はコンビニではありません。
病院の存在意義をまったく知らない人のようでした。
日本にはこのような患者さんが多すぎるように思います。
「筋肉内異物除去術」は、
手術室で複数の医者が3時間かけた異物除去(摘出)でも、
保険点数は一緒です。
足の筋肉に打ち込まれたピストルの弾を抜き取る手術でも同一点数です。
医療費負担が増加することは
一見残念ですが、
このような病院の使い方を知らない患者さん(?)を排除する意味はあると思います。
そして、無駄に使われていて医療財源を本当に必要な患者さんに廻せるようになれば、
日本の医療財政も少しは健全化されるようになると思います。
そのように願っています。
医療費の自己負担が増えて困ってしまう患者さんには、
現在の高額医療費の返還の制度の充実で対処していただきたいと思います。
本日は、ガン治療とは直接関係ありませんが、
病院事務員が、医療費自己負担が増加する実態を思い出させてくれたので、
それについて書きました。
以上 文責 梅澤 充