2ヶ月ほど前に、
小細胞肺ガンを宿した患者さんが来られました。
小細胞ガンでは、
一般的にガンの進行スピードが極めて速いことと、
初回の標準治療が、
非常に良く効く、
ということもあり、
「副作用が容認できる範囲であること」
「1回ごとにシッカリと効果を確認すること」を条件に、
先ず1回だけは標準治療を受けることをお勧めしています。
そのために、毎回の点滴の前に、
その治療が有効か無効かだけは、
必ず確認してから、
次に進むようにアドバイスしています。
××センターや大学病院などでは、
回数を決めたら、
その予定回数が終了するまで経過は観てくれないことも少なくありません。
したがって、
毎回の点滴治療の直前に、
前回の治療に効果があったか否かを大塚北口診療所で確認して、
「有効」の判定があれば、
そして副作用がご自身の判断で、
容認できるレベルであれば、
次の点滴も受ける、
というかたちで治療を作っています。
2ヶ月前にはじめて来られたその患者さんは、
他の病院での標準的な初回治療が極めて有効で、
標準の何倍もの無治療期間が得られていました。
しかし、再発後の2回目以降は、
あまり効かなくなるのが普通で、
その患者さんも再発後、
2種類の治療を受けておられましたが、
ほとんど効果は認めず、
副作用で食事が摂れなくなり、
歩くのもやっと、
という状態で来られました。
頻回な通院は難しいということと、
抗癌剤治療の副作用で食事が摂れずに、
あまりにも全身状態が悪かったこと、
さらに全経過を観ると一般的な小細胞ガンよりも、
進行スピードがかなり遅いことなどを考慮して、
カロリー補給のための栄養剤と同時に、
UFTという極めてマイルドな古い抗癌剤を処方しました。
はじめは2週間分だけ処方しましたが、
次に来られた時には、
足取りがまったく違っていました。
UFTが効いたのではありません。
CT上はガンは多少悪化していました。
その患者さんは、
副作用を恐れたのかUFTは飲んでいませんでした。
栄養補助剤だけはシッカリと飲んでいました。
そして大塚北口診療所に来る前の抗癌剤の毒性が、
薄れてきたのか、
食事も多少進むようになってきていました。
そして、つい先日大塚北口診療所に3回目の来院をしました。
全身状態が明らかに改善されています。
CTでは僅かに悪化していました。
しかし話を聞くと、
今回もUFTはほとんど飲まれていませんでした。
下痢が原因のようでしたが、
結局それを恐れて60日間で、
UFTを飲んだのは10日程度のようでした。
ガンに対してはほぼ無治療ですから、
当然ガンは悪化していますが、
2か月前と比較すると別人のように元気になっています。
今後はUFTの内服ができないのであれば、
遠方のため通院は大変ですが、
点滴の抗癌剤治療も考慮できます。
闇雲に細胞毒を注入することがガン治療ではありません。
本人の全身状態に合わせてガンの経過を観ていくことが、
ガン治療の第1歩です。
エビデンスが出されていて、
「○○%の確率で効く」
などと云われても、
一人の患者さんに効いてくれる保証はありません。
そして数日前のコメントにもあった通り、
抗癌剤治療では、
ガンは一時的な縮小(効果アリ)は、
エビデンスどおりの確率で起こりますが、
ガンが治ることはありません。
「治ることは無い」
それも立派なエビデンスです。
小細胞ガンの場合、
再増悪後の2度目の治療では、
効果が出る確率は大きく落ちているのもエビデンスです。
当然、治ることなどありません。
一人の患者さんにとって、
エビデンスとは運命のように感じます。
人間の運命は、
神様が勝手に決めてしまいますが、
ご自身でも、
かなり軌道修正をすることも可能です。
ガンという病名だけで、
アタマが真っ白、
何も考えられずにただただレールに乗せられてしまうのは、
考えなおおした方が無難です。
同じ種類のガンでも、
その性質は、
患者さんの個性と同様にまったくバラバラです。
それに対する、
全員一緒の標準治療が如何なものか、
ゆっくり考えてください。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
小細胞肺ガンを宿した患者さんが来られました。
小細胞ガンでは、
一般的にガンの進行スピードが極めて速いことと、
初回の標準治療が、
非常に良く効く、
ということもあり、
「副作用が容認できる範囲であること」
「1回ごとにシッカリと効果を確認すること」を条件に、
先ず1回だけは標準治療を受けることをお勧めしています。
そのために、毎回の点滴の前に、
その治療が有効か無効かだけは、
必ず確認してから、
次に進むようにアドバイスしています。
××センターや大学病院などでは、
回数を決めたら、
その予定回数が終了するまで経過は観てくれないことも少なくありません。
したがって、
毎回の点滴治療の直前に、
前回の治療に効果があったか否かを大塚北口診療所で確認して、
「有効」の判定があれば、
そして副作用がご自身の判断で、
容認できるレベルであれば、
次の点滴も受ける、
というかたちで治療を作っています。
2ヶ月前にはじめて来られたその患者さんは、
他の病院での標準的な初回治療が極めて有効で、
標準の何倍もの無治療期間が得られていました。
しかし、再発後の2回目以降は、
あまり効かなくなるのが普通で、
その患者さんも再発後、
2種類の治療を受けておられましたが、
ほとんど効果は認めず、
副作用で食事が摂れなくなり、
歩くのもやっと、
という状態で来られました。
頻回な通院は難しいということと、
抗癌剤治療の副作用で食事が摂れずに、
あまりにも全身状態が悪かったこと、
さらに全経過を観ると一般的な小細胞ガンよりも、
進行スピードがかなり遅いことなどを考慮して、
カロリー補給のための栄養剤と同時に、
UFTという極めてマイルドな古い抗癌剤を処方しました。
はじめは2週間分だけ処方しましたが、
次に来られた時には、
足取りがまったく違っていました。
UFTが効いたのではありません。
CT上はガンは多少悪化していました。
その患者さんは、
副作用を恐れたのかUFTは飲んでいませんでした。
栄養補助剤だけはシッカリと飲んでいました。
そして大塚北口診療所に来る前の抗癌剤の毒性が、
薄れてきたのか、
食事も多少進むようになってきていました。
そして、つい先日大塚北口診療所に3回目の来院をしました。
全身状態が明らかに改善されています。
CTでは僅かに悪化していました。
しかし話を聞くと、
今回もUFTはほとんど飲まれていませんでした。
下痢が原因のようでしたが、
結局それを恐れて60日間で、
UFTを飲んだのは10日程度のようでした。
ガンに対してはほぼ無治療ですから、
当然ガンは悪化していますが、
2か月前と比較すると別人のように元気になっています。
今後はUFTの内服ができないのであれば、
遠方のため通院は大変ですが、
点滴の抗癌剤治療も考慮できます。
闇雲に細胞毒を注入することがガン治療ではありません。
本人の全身状態に合わせてガンの経過を観ていくことが、
ガン治療の第1歩です。
エビデンスが出されていて、
「○○%の確率で効く」
などと云われても、
一人の患者さんに効いてくれる保証はありません。
そして数日前のコメントにもあった通り、
抗癌剤治療では、
ガンは一時的な縮小(効果アリ)は、
エビデンスどおりの確率で起こりますが、
ガンが治ることはありません。
「治ることは無い」
それも立派なエビデンスです。
小細胞ガンの場合、
再増悪後の2度目の治療では、
効果が出る確率は大きく落ちているのもエビデンスです。
当然、治ることなどありません。
一人の患者さんにとって、
エビデンスとは運命のように感じます。
人間の運命は、
神様が勝手に決めてしまいますが、
ご自身でも、
かなり軌道修正をすることも可能です。
ガンという病名だけで、
アタマが真っ白、
何も考えられずにただただレールに乗せられてしまうのは、
考えなおおした方が無難です。
同じ種類のガンでも、
その性質は、
患者さんの個性と同様にまったくバラバラです。
それに対する、
全員一緒の標準治療が如何なものか、
ゆっくり考えてください。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。