7月19日の「標準的抗癌剤治療への誘い文句」でチョッとだけ書いた、
「ステージⅣの大腸ガン根治手術後の再発予防には効果がない」
ということについて、
「大腸癌の手術後の再発予防の抗癌剤治療には、
しっかりしたエビデンスが有ると説明を受けた、
そして自分自身でもそれをネットその他で確認した」
という抗議に近い内容のメールがありました。
ステージⅡおよびⅢの大腸ガンの根治手術後には、
手術単独よりも、
手術後に抗癌剤治療を行ったほうが、
僅かですが、
生存期間中央治値が延びることは、
下のグラフのとおり1995年には報告されています。
上の曲線が5-FU+ロイコボリンという抗癌剤治療を受けた患者群、
それより僅かに下回るのが、
手術単独の患者群での生存曲線といわれるグラフです。
半年間その治療を受けると、
上下の曲線の差の部分だけトクをするということです。

この結果が出て以降は、
手術単独患者群を設定することができずに、
ステージⅡおよびⅢの大腸ガンの根治手術後の、
抗癌剤治療の治験では、
「5-FU+ロイコボリン」治療との比較というかたちで、
効果が試されています。
現在、大腸ガン手術後に再発予防で一般的に行われている治療では、
手術後、無治療経過観察患者群との比較は、
存在しません。
さらに、現在のデータ・エビデンスはあくまで、
ステージⅡおよびⅢの大腸ガンの根治手術後であり、
ステージⅣの大腸ガンの根治手術後のデータではありません。
ステージⅣの大腸ガンでの根治手術とは、
主に肝転移を伴う大腸ガンに対して、
その転移病巣まで肉眼的に治癒切除ができたという場合です。
ステージⅣの大腸ガンでは、
手術後再発予防の抗癌剤治療には、
延命ができるというエビデンスは存在していませんので、
胸を張って手術後無治療・経過観察患者群を設定することができます。
364名のステージⅣ大腸ガンの根治手術後の患者さんを、
182名ずつの半数に、
無治療患者群と抗癌剤治療患者群とに振り分けて、
治験が行われた結果は、
生存期間中央治値に有意差は出ませんでした。
治療はFOLFOX4という治療です。
勿論、いずれの患者群でも再発確率は極めて高いですから、
再発を確認した時点で、
可能であれば再手術や抗癌剤治療を行っています。
その結果は、
5年生後生存確率が抗癌剤治療治療患者群で52.4%、
無治療経過観察患者群で48.3%でした。
僅かな差があるようにも見えますが、
統計学的には有意な差ではないということです。
現時点では、
手術後にステージⅣの大腸ガン根治手術後の再発予防治療には、
延命効果のエビデンスは無い、
すなわち、再発してから抗癌剤治療や再手術を行っても、
手術後再発病巣が確認される前に抗癌剤治療を受けても、
結果は同じということです。
勿論、手術後に再発予防の抗癌剤治療を受ければ、
その時点から、
終生消えることがない可能性が多分にある、
小さくない副作用を背負うことになります。
エビデンス・EBMを高らかに謳っている、
××センターや大学病院でも、
そのエビデンスの存在しない、
すなわち治療効果が確立されていない治療が、
「再発予防の治療です」と宣言されて、
堂々と行われています。
多くの患者さんが勘違いされているように、
副作用が大きければ効果が有ると、
医者も勘違いしているようにも感じます。
エビデンスは患者集団において、
有用か無効な治療であるかの判断基準であり、
一人の患者さんの治療効果を担保するものではありませんので、
一人の患者さんにとっては、
ドウでもイイことですが、
治療への一つの目安であることは間違いありません。
しかし、そのエビデンスが無視されて、
いたずらに多大な副作用だけを被るのは如何なものか、
十分に考えてご自身の治療を決めてください。
治療費用もけっして安いものではありません。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
「ステージⅣの大腸ガン根治手術後の再発予防には効果がない」
ということについて、
「大腸癌の手術後の再発予防の抗癌剤治療には、
しっかりしたエビデンスが有ると説明を受けた、
そして自分自身でもそれをネットその他で確認した」
という抗議に近い内容のメールがありました。
ステージⅡおよびⅢの大腸ガンの根治手術後には、
手術単独よりも、
手術後に抗癌剤治療を行ったほうが、
僅かですが、
生存期間中央治値が延びることは、
下のグラフのとおり1995年には報告されています。
上の曲線が5-FU+ロイコボリンという抗癌剤治療を受けた患者群、
それより僅かに下回るのが、
手術単独の患者群での生存曲線といわれるグラフです。
半年間その治療を受けると、
上下の曲線の差の部分だけトクをするということです。

この結果が出て以降は、
手術単独患者群を設定することができずに、
ステージⅡおよびⅢの大腸ガンの根治手術後の、
抗癌剤治療の治験では、
「5-FU+ロイコボリン」治療との比較というかたちで、
効果が試されています。
現在、大腸ガン手術後に再発予防で一般的に行われている治療では、
手術後、無治療経過観察患者群との比較は、
存在しません。
さらに、現在のデータ・エビデンスはあくまで、
ステージⅡおよびⅢの大腸ガンの根治手術後であり、
ステージⅣの大腸ガンの根治手術後のデータではありません。
ステージⅣの大腸ガンでの根治手術とは、
主に肝転移を伴う大腸ガンに対して、
その転移病巣まで肉眼的に治癒切除ができたという場合です。
ステージⅣの大腸ガンでは、
手術後再発予防の抗癌剤治療には、
延命ができるというエビデンスは存在していませんので、
胸を張って手術後無治療・経過観察患者群を設定することができます。
364名のステージⅣ大腸ガンの根治手術後の患者さんを、
182名ずつの半数に、
無治療患者群と抗癌剤治療患者群とに振り分けて、
治験が行われた結果は、
生存期間中央治値に有意差は出ませんでした。
治療はFOLFOX4という治療です。
勿論、いずれの患者群でも再発確率は極めて高いですから、
再発を確認した時点で、
可能であれば再手術や抗癌剤治療を行っています。
その結果は、
5年生後生存確率が抗癌剤治療治療患者群で52.4%、
無治療経過観察患者群で48.3%でした。
僅かな差があるようにも見えますが、
統計学的には有意な差ではないということです。
現時点では、
手術後にステージⅣの大腸ガン根治手術後の再発予防治療には、
延命効果のエビデンスは無い、
すなわち、再発してから抗癌剤治療や再手術を行っても、
手術後再発病巣が確認される前に抗癌剤治療を受けても、
結果は同じということです。
勿論、手術後に再発予防の抗癌剤治療を受ければ、
その時点から、
終生消えることがない可能性が多分にある、
小さくない副作用を背負うことになります。
エビデンス・EBMを高らかに謳っている、
××センターや大学病院でも、
そのエビデンスの存在しない、
すなわち治療効果が確立されていない治療が、
「再発予防の治療です」と宣言されて、
堂々と行われています。
多くの患者さんが勘違いされているように、
副作用が大きければ効果が有ると、
医者も勘違いしているようにも感じます。
エビデンスは患者集団において、
有用か無効な治療であるかの判断基準であり、
一人の患者さんの治療効果を担保するものではありませんので、
一人の患者さんにとっては、
ドウでもイイことですが、
治療への一つの目安であることは間違いありません。
しかし、そのエビデンスが無視されて、
いたずらに多大な副作用だけを被るのは如何なものか、
十分に考えてご自身の治療を決めてください。
治療費用もけっして安いものではありません。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。