ある病院で、抗癌剤治療をする予定の患者さんが来られたのが、
お昼を過ぎてしまいました。
今から抗癌剤治療をはじめたら終わるのは3時過ぎになってしまいます。
しかし、まだ昼食を取っておられませんでした。
病院の周辺には適当な食事処は少ないのですが、
その患者さんは、その病院ははじめてで、
周辺事情はあまりご存知ありませんでした。
そこで、職員に食事処を尋ねていました。
お蕎麦を食べたかったようですが、
一軒だけある蕎麦屋を、私に
「そのお蕎麦屋さんは美味しいですか?」
と尋ねてきました。
とっさに、「いや、旨くはありませんよ。」
と答えてしまいました。
私は、大の蕎麦好きです。
美味しい蕎麦屋をたくさん知っています。
何処の蕎麦屋もその病院の近くの蕎麦屋よりは
数段美味しい蕎麦を食べさせてくれます。
したがって、「その蕎麦屋は美味しくない」と言ってしまいましたが、
その蕎麦屋に、後にも先にも一度だけ食べに行った時
たしか、大もり蕎麦一枚600円だったと思います。
(私は、蕎麦屋では、ほとんど大もり蕎麦しか注文しません)
一方美味しい蕎麦屋では、
大もり蕎麦一枚最低1000円以上します。
(大もりがないときはせいろ2枚です)
高いところは2000円近く取られます。
600円の蕎麦と2000円の蕎麦では比較になりません。
2000円出せば美味しいのは当たり前です。
高いお金を出せは美味しいものが食べられるのは当然です。
その病院近くの蕎麦屋は600円という値段を考えれば
十分に美味しいと言わなければならなかったように思います。
美味しい蕎麦は好きですが、
もり蕎麦一枚に5000円は払えません。
2000円以上お金をかけることでさらに美味しい蕎麦が出てくるとは思えません。
もし、さらに高級な蕎麦を出されても、
私の舌は、その価値を認識できません。
もり蕎麦はどんなに高くても2000円が限度です。
それが、私の金銭感覚・価値観です。
これは、ガン治療にも共通するところがあります。
特に代替療法では重要な問題です。
例えば、最近何度か出てきた「爪モミ」などは、
タダですから、効果が無くてもそれで良し。
と言えると思います。
また、経済的に負担にならない範囲での健康食品なども悪くはないと思っています。
しかし、1年間で数百万円もかかる治療もあります。
それらの中には、その金額に見合うだけの治療効果があるか否か考えてしまう治療もたくさんあります。(ほとんどすべてです)
但し、相手は食べ物の話ではなく、
人間の命であり、
それに対する価値観は人により大きな差があります。
金銭感覚も人それぞれでまったく違いますから、
一概には何とも言えませんが、
高額な代替療法を受ける時には、
その真実の治療効果を十分に理解した上で、
その治療効果がその治療費に見合うものであるのか否か
慎重に検討してから受けるようにして下さい。
藁にもすがりたい気持ちは良く判りますが、
藁クズ一本を数百万円で買っている患者さんをよく見ます。
私のような貧乏人には、藁一本100万円は高すぎるように思います。
ほとんど藁クズ同然と思われる代替療法に巨額な治療費を投じている患者さんを見て、
フト思ったのですが、
多くの患者さんが、
高ければ美味しい料理が出てくるように勘違いをしてしまいますが、
「ガンの末期は楽だ」とほくそ笑む三流四流のシェフが作る料理は
値段が高いだけで、まったく美味しくはありません。
高くても美味しくない三流の料理に高いお金をかけるのは愚かです。
“三流の もり蕎麦”は600円で十分です。
無駄に高額な代替療法を受けるのであれば、
健康保険を度外視して、
まっとうな根拠のある治療を進める方が余程マシです。
健康保険が使えないというだけで敬遠されますが、
“一流の治療”はたくさんあります。
自費になるとあまりにも高額になるために自費治療は諦めていた治療でも、
数百万円というお金が代替療法に流れている現実を見ると、
健康保険を使わないというだけで、
それより遥かに廉価で、
エビデンスまでは無くても、
シッカリした臨床データの出ている治療はいくらでもあります。
中にはエビデンスもある治療もあります。
一方、代替療法のほとんどはシッカリとした臨床データも、
当然エビデンスもまったくありません。
「日本では保険の適応が無い」という理由だけで敬遠され、
そして、「高額になるから」という理由で行われませんでしたが、
保険の枠を取り払えば、
代替療法の巨額な治療費に比べると遥かに安くつき、
しかも、それより治療効果については、
はっきり証明されている治療はいくらでもあります。
代替療法に巨費を投じるのであれば、
立派な根拠のある治療にお金をかけるべきだと思います。
現在の分子標的薬といわれる、保険適応外のクスリを使えば、
副作用も代替療法並みに軽微です。
例えば、
2月25日の「NHKのことをイロイロと書く理由」で紹介した
「ターセバ」(Tarceva)(一般名Erlotinib)という薬剤などは、
膵ガンに対して、
僅かですが延命効果がハッキリと証明されています。
アバスチン、アービタックスなども輸入をすれば使えます。
治療効果は証明されています。
一方、代替療法の延命効果はまったく不明です。
治療費は高額な代替療法よりは廉価です。
イレッサも、肺ガンだけでなく頭頚部のガンに対する治験が行なわれており、
承認される日もそう遠くないと思われます。
ターセバもイレッサも高価です。
そして健康保険は使えませんが、
保険外の自費治療には、もっと安く手軽に使え、
効果の証明されているものはいくらでもあります。
効果が明らかにされていない治療に多額のお金をかけるならば、
逆に安く、しかし効果のはっきりしている治療に投資するべきだと思います。
本日は蕎麦の値段からガンの治療費について考えさせられました。
その「お蕎麦屋美味しいですか?」と聞いた患者さんも
今は月数万円の保険外治療で極めて有効に効いています。
以上 文責 梅澤 充
お昼を過ぎてしまいました。
今から抗癌剤治療をはじめたら終わるのは3時過ぎになってしまいます。
しかし、まだ昼食を取っておられませんでした。
病院の周辺には適当な食事処は少ないのですが、
その患者さんは、その病院ははじめてで、
周辺事情はあまりご存知ありませんでした。
そこで、職員に食事処を尋ねていました。
お蕎麦を食べたかったようですが、
一軒だけある蕎麦屋を、私に
「そのお蕎麦屋さんは美味しいですか?」
と尋ねてきました。
とっさに、「いや、旨くはありませんよ。」
と答えてしまいました。
私は、大の蕎麦好きです。
美味しい蕎麦屋をたくさん知っています。
何処の蕎麦屋もその病院の近くの蕎麦屋よりは
数段美味しい蕎麦を食べさせてくれます。
したがって、「その蕎麦屋は美味しくない」と言ってしまいましたが、
その蕎麦屋に、後にも先にも一度だけ食べに行った時
たしか、大もり蕎麦一枚600円だったと思います。
(私は、蕎麦屋では、ほとんど大もり蕎麦しか注文しません)
一方美味しい蕎麦屋では、
大もり蕎麦一枚最低1000円以上します。
(大もりがないときはせいろ2枚です)
高いところは2000円近く取られます。
600円の蕎麦と2000円の蕎麦では比較になりません。
2000円出せば美味しいのは当たり前です。
高いお金を出せは美味しいものが食べられるのは当然です。
その病院近くの蕎麦屋は600円という値段を考えれば
十分に美味しいと言わなければならなかったように思います。
美味しい蕎麦は好きですが、
もり蕎麦一枚に5000円は払えません。
2000円以上お金をかけることでさらに美味しい蕎麦が出てくるとは思えません。
もし、さらに高級な蕎麦を出されても、
私の舌は、その価値を認識できません。
もり蕎麦はどんなに高くても2000円が限度です。
それが、私の金銭感覚・価値観です。
これは、ガン治療にも共通するところがあります。
特に代替療法では重要な問題です。
例えば、最近何度か出てきた「爪モミ」などは、
タダですから、効果が無くてもそれで良し。
と言えると思います。
また、経済的に負担にならない範囲での健康食品なども悪くはないと思っています。
しかし、1年間で数百万円もかかる治療もあります。
それらの中には、その金額に見合うだけの治療効果があるか否か考えてしまう治療もたくさんあります。(ほとんどすべてです)
但し、相手は食べ物の話ではなく、
人間の命であり、
それに対する価値観は人により大きな差があります。
金銭感覚も人それぞれでまったく違いますから、
一概には何とも言えませんが、
高額な代替療法を受ける時には、
その真実の治療効果を十分に理解した上で、
その治療効果がその治療費に見合うものであるのか否か
慎重に検討してから受けるようにして下さい。
藁にもすがりたい気持ちは良く判りますが、
藁クズ一本を数百万円で買っている患者さんをよく見ます。
私のような貧乏人には、藁一本100万円は高すぎるように思います。
ほとんど藁クズ同然と思われる代替療法に巨額な治療費を投じている患者さんを見て、
フト思ったのですが、
多くの患者さんが、
高ければ美味しい料理が出てくるように勘違いをしてしまいますが、
「ガンの末期は楽だ」とほくそ笑む三流四流のシェフが作る料理は
値段が高いだけで、まったく美味しくはありません。
高くても美味しくない三流の料理に高いお金をかけるのは愚かです。
“三流の もり蕎麦”は600円で十分です。
無駄に高額な代替療法を受けるのであれば、
健康保険を度外視して、
まっとうな根拠のある治療を進める方が余程マシです。
健康保険が使えないというだけで敬遠されますが、
“一流の治療”はたくさんあります。
自費になるとあまりにも高額になるために自費治療は諦めていた治療でも、
数百万円というお金が代替療法に流れている現実を見ると、
健康保険を使わないというだけで、
それより遥かに廉価で、
エビデンスまでは無くても、
シッカリした臨床データの出ている治療はいくらでもあります。
中にはエビデンスもある治療もあります。
一方、代替療法のほとんどはシッカリとした臨床データも、
当然エビデンスもまったくありません。
「日本では保険の適応が無い」という理由だけで敬遠され、
そして、「高額になるから」という理由で行われませんでしたが、
保険の枠を取り払えば、
代替療法の巨額な治療費に比べると遥かに安くつき、
しかも、それより治療効果については、
はっきり証明されている治療はいくらでもあります。
代替療法に巨費を投じるのであれば、
立派な根拠のある治療にお金をかけるべきだと思います。
現在の分子標的薬といわれる、保険適応外のクスリを使えば、
副作用も代替療法並みに軽微です。
例えば、
2月25日の「NHKのことをイロイロと書く理由」で紹介した
「ターセバ」(Tarceva)(一般名Erlotinib)という薬剤などは、
膵ガンに対して、
僅かですが延命効果がハッキリと証明されています。
アバスチン、アービタックスなども輸入をすれば使えます。
治療効果は証明されています。
一方、代替療法の延命効果はまったく不明です。
治療費は高額な代替療法よりは廉価です。
イレッサも、肺ガンだけでなく頭頚部のガンに対する治験が行なわれており、
承認される日もそう遠くないと思われます。
ターセバもイレッサも高価です。
そして健康保険は使えませんが、
保険外の自費治療には、もっと安く手軽に使え、
効果の証明されているものはいくらでもあります。
効果が明らかにされていない治療に多額のお金をかけるならば、
逆に安く、しかし効果のはっきりしている治療に投資するべきだと思います。
本日は蕎麦の値段からガンの治療費について考えさせられました。
その「お蕎麦屋美味しいですか?」と聞いた患者さんも
今は月数万円の保険外治療で極めて有効に効いています。
以上 文責 梅澤 充



