東京は鬱陶しい梅雨空が続いています。
ヒトのこころの中も、
鬱陶しくてどうしようもないときがあります。
治らないガンを宿してしまった場合、
何でもカンでも無治療という、
根拠の無い無責任なことを吹聴して、
宗教のような無治療に引きずり込もうとしている輩も、
いまだに存在しているようですが、
普通の精神状態の人間では、
無治療で確実に近付いて来る死を、
じっと見つめながら待つことなどできません。
治らないガンを宿したある患者さんが、
標準治療を受けた途端に、
激しい副作用に襲われましたが、
苦しかった自覚症状は消え、
3回それを繰り返した後には、
自覚的には、
副作用は残るものの、
普通の生活ができるまでに病状は改善しました。
その種類のガンでは、
同じ治療をあと数回繰り返すと、
2年後以内には半数の患者さんで、
再びガンの悪化を観て、
治療が必要になりますが、
その時まで無治療で経過観察だけ、
という夢のような時間を過ごすことが可能になります。
勿論、その時間が3ヶ月の患者さんも3年の患者さんもいますが、
それは神のみぞ知る世界です。
その患者さんの場合、
3回目までは、
辛くとも何とか耐え凌げるレベルの副作用以外は、
順調に病態は改善してきました。
しかし4回目に突然、
容認し難い、
極めて激しい副作用に襲われました。
その後は入院も必要になりました。
現在は副作用の後遺症害が残るだけで、
それ以外は普通の生活に戻られているようです。
4回の治療の結果を診ると、
劇的に効いてはいます。
あと3~4回で、
無治療期間得られる可能性は十分にあります。
しかし、再度4回目と同じ副作用が発現したら、
それにより命を落とす可能性も有り得ます。
ガンの存在による自覚症状が無い現在、
副作用の出ないレベルにまで抗癌剤を大きく減量して、
ガンの増大だけを防ぎ、
長く平穏な時間を過ごす、
という考え方もあります。
実際に大塚北口診療所では、
そのような治療を行っています。
しかし、その場合、
年単位の無治療経過観察期間を得ることができる可能性は、
極めて低くなります。
自覚症状は発現していないとはいっても、
ガンと同居するというのは、
精神的な重圧は小さくないと思います。
肺ガンや胃ガン、大腸ガン、乳ガンなど、
多くの固形癌の場合、
長い無治療経過観察期間など得られません。
終生、拷問のような標準治療が続きますから、
それは、私の価値観からは、
止めたほうがおトクです。
とお勧めできますが、
長い無治療期間が得られる可能性が高いガンでは、
治らないことは分かっていても、
標準的な武器の使用禁止は、
如何なものかと考えてしまいます。
5回目6回目を無事に経過して、
無治療期間を謳歌できるかも知れない。
しかし、それをしてもすぐに、
ヤツが暴れ出すこともあります。
5回目の副作用で命を落とすことさえ有り得ます。
深刻な悩みです。
如何に考えるべきか分かりません。
ガンを宿して、
悩まない患者さんは居ないと思います。
しかし、ここまで極端に良く効いて、
極限の副作用が出てしまったような場合には、
本当に悩みます。
一世一代の大博打です。
患者さんだけでなく、
その相談を受ける医者も悩みます。
当然、最終的には、
ご本人の価値観・人生観で決めることであり、
その中に、
今後、完全に無治療にして経過も診ない、
という判断もあるかも知れません。
フト考えると、
無責任に「無治療がイイですよ」と、
アドバイスしてあげれば、
患者さんはラクかも知れませんね。
勿論、それを言う医者が一番お気楽で、
アタマの中は快晴でしょうけど・・・
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
ヒトのこころの中も、
鬱陶しくてどうしようもないときがあります。
治らないガンを宿してしまった場合、
何でもカンでも無治療という、
根拠の無い無責任なことを吹聴して、
宗教のような無治療に引きずり込もうとしている輩も、
いまだに存在しているようですが、
普通の精神状態の人間では、
無治療で確実に近付いて来る死を、
じっと見つめながら待つことなどできません。
治らないガンを宿したある患者さんが、
標準治療を受けた途端に、
激しい副作用に襲われましたが、
苦しかった自覚症状は消え、
3回それを繰り返した後には、
自覚的には、
副作用は残るものの、
普通の生活ができるまでに病状は改善しました。
その種類のガンでは、
同じ治療をあと数回繰り返すと、
2年後以内には半数の患者さんで、
再びガンの悪化を観て、
治療が必要になりますが、
その時まで無治療で経過観察だけ、
という夢のような時間を過ごすことが可能になります。
勿論、その時間が3ヶ月の患者さんも3年の患者さんもいますが、
それは神のみぞ知る世界です。
その患者さんの場合、
3回目までは、
辛くとも何とか耐え凌げるレベルの副作用以外は、
順調に病態は改善してきました。
しかし4回目に突然、
容認し難い、
極めて激しい副作用に襲われました。
その後は入院も必要になりました。
現在は副作用の後遺症害が残るだけで、
それ以外は普通の生活に戻られているようです。
4回の治療の結果を診ると、
劇的に効いてはいます。
あと3~4回で、
無治療期間得られる可能性は十分にあります。
しかし、再度4回目と同じ副作用が発現したら、
それにより命を落とす可能性も有り得ます。
ガンの存在による自覚症状が無い現在、
副作用の出ないレベルにまで抗癌剤を大きく減量して、
ガンの増大だけを防ぎ、
長く平穏な時間を過ごす、
という考え方もあります。
実際に大塚北口診療所では、
そのような治療を行っています。
しかし、その場合、
年単位の無治療経過観察期間を得ることができる可能性は、
極めて低くなります。
自覚症状は発現していないとはいっても、
ガンと同居するというのは、
精神的な重圧は小さくないと思います。
肺ガンや胃ガン、大腸ガン、乳ガンなど、
多くの固形癌の場合、
長い無治療経過観察期間など得られません。
終生、拷問のような標準治療が続きますから、
それは、私の価値観からは、
止めたほうがおトクです。
とお勧めできますが、
長い無治療期間が得られる可能性が高いガンでは、
治らないことは分かっていても、
標準的な武器の使用禁止は、
如何なものかと考えてしまいます。
5回目6回目を無事に経過して、
無治療期間を謳歌できるかも知れない。
しかし、それをしてもすぐに、
ヤツが暴れ出すこともあります。
5回目の副作用で命を落とすことさえ有り得ます。
深刻な悩みです。
如何に考えるべきか分かりません。
ガンを宿して、
悩まない患者さんは居ないと思います。
しかし、ここまで極端に良く効いて、
極限の副作用が出てしまったような場合には、
本当に悩みます。
一世一代の大博打です。
患者さんだけでなく、
その相談を受ける医者も悩みます。
当然、最終的には、
ご本人の価値観・人生観で決めることであり、
その中に、
今後、完全に無治療にして経過も診ない、
という判断もあるかも知れません。
フト考えると、
無責任に「無治療がイイですよ」と、
アドバイスしてあげれば、
患者さんはラクかも知れませんね。
勿論、それを言う医者が一番お気楽で、
アタマの中は快晴でしょうけど・・・
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。