高濃度の標準的抗癌剤治療で、
心身共に疲れ果て、
それ以上の標準的抗癌剤治療を嫌い、
最低用量の抗癌剤治療を希望され来院された患者さんがいます。
治療開始時には、
標準的抗癌剤治療の影響で、
白血球が減少したままなかなか増加せず、
低濃度の抗癌剤治療にも難渋しました。
また、標準的抗癌剤治療の激しい副作用が
尾を引いているのか、
標準量の5分の1の量でも、
吐き気に悩まされました。
抗癌剤治療では、一度激しい吐き気に悩まされると、
その後は抗癌剤の量を減らしても、
その吐き気だけは強く残るということは良く経験します。
ステロイドを使えば恐らくその吐き気は回避できたと思われるのですが、
患者さんが「免疫力を落とすから使わないで欲しい」
とのことでしたので、
一般的な抗癌剤治療時の制吐剤しか使いませんでした。
はじめは、腫瘍マーカーは増大し続けましたが、
3ヶ月を過ぎた頃から、
何とか上げ止まり、
ここ3ヶ月ほど増加はなくなりました。
しかし、突然腸閉塞を起こし入院してしまいました。
腸閉塞の原因は、
もともと癌性腹膜炎ですから、
何時その状態になってもおかしくない病態でしたので、
予測されたことであり、
ガンが進行したがためではないと思われます。
しかし、入院治療をしていると、
遅々としてガンそのものが良くならない状態に精神的な苛立ちを感じ、
「苦しくても、一気に抗癌剤を大量に使い、
一時的にでもガンの縮小を期待したい」
というふうに心が動き、
再び標準的抗癌剤治療を行うことを決意されました。
患者さんは申し訳なさそうに、
「今までお世話になっておきながら勝手なこと言って、申し訳ありません。」
と謝っていましたが、
まったく遠慮など要りません。
患者さんが望む治療をするべきであり、
私自身は、「現在の自分の治療は間違ってはいない」と思っていますが、
それを判断するのは患者さんです。
自分の病気に対する治療方法は、
絶対に患者さんが決めるべきです。
但し、そのためには何回もしつこく書いているとおり、
知識武装は絶対に必要です。
そもそも、その患者さんには、
いくら濃度を下げても、
副作用が出てしまうため、
毎週一回ずつ点滴を繰り返す私の治療ではなく、
「辛くても標準的抗癌剤治療を短時間行い、
ガンの縮小が得られたら、抗癌剤治療を一時中断する。
そうすれば、中断している間だけでも、
まったく副作用がない時間を過ごすことができる。」
と、標準的抗癌剤治療に戻ることも勧めました。
しかし、強烈な副作用が忘れられず、
ごく少量の抗癌剤での毎週の治療を続けられました。
但し今回は、原因がガンの進行ではないにしても、
腸閉塞の状態で緊急入院され心細くなられたようです。
半年前に私のところへ来られた時には、
標準的大量の抗癌剤治療により、
骨髄抑制が大きく治療に難渋しましたが、
この半年で、骨髄機能もかなり改善してきましたので、
標準的抗癌剤治療に移行するには、
特別に問題はありません。
自宅近くのもとの病院で行うことになりました。
低濃度の抗癌剤治療を行い、
その後に、標準的な最大耐用容量の抗癌剤治療に移行することには、
ほとんど問題はありません。
しかし、はじめから標準的に大量の抗癌剤を使った治療で、
骨髄に大きなダメージを与えてしまうと、
次の手が打てなくなります。
先ず、最低用量の抗癌剤治療から始めるべきだと考えます。
丁度、この文章を書いているとき、
患者さんのご家族から私の携帯に電話が入りました。
肝臓転移を伴う胃ガンで、
はじめから手術適応の無い患者さんです。
抗癌剤の内服と同時に
外来での抗癌剤点滴治療を行っていますが、
昨日も町田胃腸病院で抗癌剤の点滴をしたばっかりでした。
体調はすこぶる良好とのことで、
本日もゴルフに行ったそうです。
そこで、ボールに当たったか何か、
「足を怪我して出血しているけど、不通の処置をしてもらって良いものか?」
との質問でした。
勿論、不通の怪我の処置を行うことに何ら問題はありません。
当然処方されるであろう抗生物質も消炎剤も問題ありません。
その患者さんのガンは、
腫瘍マーカーは減少し、
内視鏡上も胃ガンは縮小しています。
抗癌剤を毎日内服し、
点滴での抗癌剤治療を行った翌日にゴルフに行く。
ほとんど副作用は出ていません。
副作用がないからできることです。
全員がそう上手くいくわけではありませんが、
抗癌剤治療はクスリの使い方一つで、
ちっとも怖い治療ではありません。
勿論、この患者さんは、
高濃度の抗癌剤治療を行った経験はありません。
副作用の出ない量の抗癌剤治療で、
効果が無ければ、その量を増やしていけばいいだけです。
はじめから、最大耐用容量の抗癌剤を使う治療は
チョット思い留まったほうが良いように思います。
低濃度から高濃度への移行は簡単ですが、
その逆は不可能なこともあります。
一生に一度の抗癌剤治療です。
ご注意下さい。
以上 文責 梅澤 充
心身共に疲れ果て、
それ以上の標準的抗癌剤治療を嫌い、
最低用量の抗癌剤治療を希望され来院された患者さんがいます。
治療開始時には、
標準的抗癌剤治療の影響で、
白血球が減少したままなかなか増加せず、
低濃度の抗癌剤治療にも難渋しました。
また、標準的抗癌剤治療の激しい副作用が
尾を引いているのか、
標準量の5分の1の量でも、
吐き気に悩まされました。
抗癌剤治療では、一度激しい吐き気に悩まされると、
その後は抗癌剤の量を減らしても、
その吐き気だけは強く残るということは良く経験します。
ステロイドを使えば恐らくその吐き気は回避できたと思われるのですが、
患者さんが「免疫力を落とすから使わないで欲しい」
とのことでしたので、
一般的な抗癌剤治療時の制吐剤しか使いませんでした。
はじめは、腫瘍マーカーは増大し続けましたが、
3ヶ月を過ぎた頃から、
何とか上げ止まり、
ここ3ヶ月ほど増加はなくなりました。
しかし、突然腸閉塞を起こし入院してしまいました。
腸閉塞の原因は、
もともと癌性腹膜炎ですから、
何時その状態になってもおかしくない病態でしたので、
予測されたことであり、
ガンが進行したがためではないと思われます。
しかし、入院治療をしていると、
遅々としてガンそのものが良くならない状態に精神的な苛立ちを感じ、
「苦しくても、一気に抗癌剤を大量に使い、
一時的にでもガンの縮小を期待したい」
というふうに心が動き、
再び標準的抗癌剤治療を行うことを決意されました。
患者さんは申し訳なさそうに、
「今までお世話になっておきながら勝手なこと言って、申し訳ありません。」
と謝っていましたが、
まったく遠慮など要りません。
患者さんが望む治療をするべきであり、
私自身は、「現在の自分の治療は間違ってはいない」と思っていますが、
それを判断するのは患者さんです。
自分の病気に対する治療方法は、
絶対に患者さんが決めるべきです。
但し、そのためには何回もしつこく書いているとおり、
知識武装は絶対に必要です。
そもそも、その患者さんには、
いくら濃度を下げても、
副作用が出てしまうため、
毎週一回ずつ点滴を繰り返す私の治療ではなく、
「辛くても標準的抗癌剤治療を短時間行い、
ガンの縮小が得られたら、抗癌剤治療を一時中断する。
そうすれば、中断している間だけでも、
まったく副作用がない時間を過ごすことができる。」
と、標準的抗癌剤治療に戻ることも勧めました。
しかし、強烈な副作用が忘れられず、
ごく少量の抗癌剤での毎週の治療を続けられました。
但し今回は、原因がガンの進行ではないにしても、
腸閉塞の状態で緊急入院され心細くなられたようです。
半年前に私のところへ来られた時には、
標準的大量の抗癌剤治療により、
骨髄抑制が大きく治療に難渋しましたが、
この半年で、骨髄機能もかなり改善してきましたので、
標準的抗癌剤治療に移行するには、
特別に問題はありません。
自宅近くのもとの病院で行うことになりました。
低濃度の抗癌剤治療を行い、
その後に、標準的な最大耐用容量の抗癌剤治療に移行することには、
ほとんど問題はありません。
しかし、はじめから標準的に大量の抗癌剤を使った治療で、
骨髄に大きなダメージを与えてしまうと、
次の手が打てなくなります。
先ず、最低用量の抗癌剤治療から始めるべきだと考えます。
丁度、この文章を書いているとき、
患者さんのご家族から私の携帯に電話が入りました。
肝臓転移を伴う胃ガンで、
はじめから手術適応の無い患者さんです。
抗癌剤の内服と同時に
外来での抗癌剤点滴治療を行っていますが、
昨日も町田胃腸病院で抗癌剤の点滴をしたばっかりでした。
体調はすこぶる良好とのことで、
本日もゴルフに行ったそうです。
そこで、ボールに当たったか何か、
「足を怪我して出血しているけど、不通の処置をしてもらって良いものか?」
との質問でした。
勿論、不通の怪我の処置を行うことに何ら問題はありません。
当然処方されるであろう抗生物質も消炎剤も問題ありません。
その患者さんのガンは、
腫瘍マーカーは減少し、
内視鏡上も胃ガンは縮小しています。
抗癌剤を毎日内服し、
点滴での抗癌剤治療を行った翌日にゴルフに行く。
ほとんど副作用は出ていません。
副作用がないからできることです。
全員がそう上手くいくわけではありませんが、
抗癌剤治療はクスリの使い方一つで、
ちっとも怖い治療ではありません。
勿論、この患者さんは、
高濃度の抗癌剤治療を行った経験はありません。
副作用の出ない量の抗癌剤治療で、
効果が無ければ、その量を増やしていけばいいだけです。
はじめから、最大耐用容量の抗癌剤を使う治療は
チョット思い留まったほうが良いように思います。
低濃度から高濃度への移行は簡単ですが、
その逆は不可能なこともあります。
一生に一度の抗癌剤治療です。
ご注意下さい。
以上 文責 梅澤 充



