信じられないかも知れませんが、
抗癌剤治療を受けておられる患者さんで、
ご自身のその治療の目的が何処にあるのか理解していない
患者さんやご家族に時々遭遇します。
最近そのような患者さんが来られました。
メールでの相談の患者さんでもそういう方がおられます。
皆さん切除不能のガンを患った患者さんです。
「○×○のような標準的抗癌剤治療を始めたけれど、
副作用がつらい、これを続けていて良いものか、その後どうなるのか」
と悩まれて相談に来られました。
拙著「間違いだらけの抗癌剤治療」を読まれて
私の存在を知って来られましたので
それなりの知識武装をされておられると思ったのですが、
ご自身(ご家族の方もいます)の抗癌剤治療の目的をご存じない。
少々気合が抜けました。
抗癌剤治療には、
1)手術後の再発を予防するための術後補助抗癌剤治療。
2)再発あるいははじめから手術不能の進行ガンに対して、
延命を唯一の目的として行われる抗癌剤治療。
3)切除不能で、さらにガンの存在により強い自覚症状を伴う場合など、
延命と同時にQOLの改善を目指して行われる抗癌剤治療。
4)そのままでは切除不能であるも手術が可能な状態にまで改善させ、
その後に手術を行うことを目的として行われる抗癌剤治療。
などがあります。
勿論、白血病や悪性リンパ腫などのはじめから根治を目的とする抗癌剤治療もあります。
それは、腫瘍内科医の独壇場でありココでは考えません。
1)については、
5月24日の「術後補助抗癌剤治療」はじめ、何回も書いているとおり、
その治療により再発確率が低下する。
すなわち、天寿を全うする確率が高くなることが判っている抗癌剤治療ですから、
多少辛くても是非とも受けるべき治療です。
その時は、エビデンスだけが治療の道標になります。
エビデンスに従った標準的抗癌剤治療を受けるべきです。
また、4)の場合も、その抗癌剤治療によって手術が可能になる、
これも天寿を全うできる可能性が出てくる治療ですから、
ガンの縮小を期待して、
標準的に大量の最大耐用容量の抗癌剤を使った治療を辛くても受けるべきです。
しかし、不可能であった手術が、
抗癌剤治療によりガンが上手く縮小してくれて可能になるというのは、
困難な場合も少なくありません。
ガンの縮小が思わしくない場合などは、
あまり深追いしてしまうと、
結局手術もできずに、
標準的抗癌剤治療のエビデンスどおりの運命を辿ってしまうこともありますので、
できるだけ早急に見切りをつけないと大変です。
私も、手術が不可能な胃ガンの患者さん数名に対して、
根治手術が可能のなることを目指して大量の抗癌剤を使って、
標準的抗癌剤治療を行ったことがありますが、
1コース目では若干の縮小は認めるも、
その後は思うようには縮小せず、
2コース目の治療の途中ですでにガンの増大を見て
標準的抗癌剤治療を中止した患者さんを診てきました。
その後は、手術を諦め最低量の抗癌剤治療を続けましたが、
結局それらの患者さんでは、
はじめから、手術は考えずに、
低用量の抗癌剤治療を行っていた方が長生きできたのではないかと思います。
この4)の抗癌剤治療を行う場合には、
患者さんは十分に納得された上で治療がはじまりますので。
その治療の目的を知らないなどということはありません。
1) の予防治療は、その意味をあまり良く判らないまま治療している患者さんも
時々お目にかかりますが、それはそれで間違ったレールではありませんから
そのまま乗っておいた方が無難です。
予防治療の意味をシッカリ理解していないのは、
多くは医者の責任ではありますが、
患者さんも勉強するべきです。
しかし、「手術ができないから抗癌剤治療をしましょう」
と、ほとんどインフォームドコンセントなど無視して、
執行される一般的な抗癌剤治療の場合、
主治医は、4)のように、「可能になったら手術を行おう」
と考えている場合もありますし、
手術なんかはじめからまったくアタマに無く、
“エビデンスどおりの僅かな延命”だけを期待して、
医者にとって一番責任が無く、
ラクな標準的抗癌剤治療をしているのかも知れません。
3)の場合もその自覚症状は患者さんしか判りません。
主治医と良く相談しなければなりません。
苦痛に感じている自覚症状と同時に、
抗癌剤治療の副作用もシッカリ主治医に申告しなければ、
主治医はガンの存在だけに注目し、「副作用は無い」と判断してしまいます。
ご相談に来られた患者さんのご家族も、
抗癌剤治療の目的が
2)なのか3)なのか、根治を目指した4)なのか、
まったくご理解されていませんでした。
まだ、治療が始まったばかりでしたが、
微妙なところで、3)の手術可能になる可能性も残されている状態です。
2)の延命が目的の抗癌剤治療であれば、
辛い思いをして最大耐用容量の抗癌剤を使った治療は
けっして得策とは言えないように思います。
そこから得られるものはエビデンスどおりの僅かな延命だけです。
副作用を極力抑えた上での
可能な限りの延命を期待した少量の抗癌剤を使った
休眠療法的な治療の方が得だと思います。
3)のQOLの改善が目的であれば、
ガンの存在による苦痛と、
抗癌剤治療の副作用を秤にかけ、
何処まで抗癌剤を使うべきかは、ご自身で判断するべきです。
ともかく、ご自身のガンに対する抗癌剤治療の目的を
はっきり理解していないということは、
目的地を知らずに電車に乗るということです。
これから何処へ連れて行かれるのか判らず電車に乗る人はいないと思います。
抗癌剤治療はご自身の人生の進路を決定する電車です、
その目的地は何処にあるのかはシッカリ理解した上で、
ご乗車下さい。
また、気が変わったらすぐに乗り換えることも重要です。
一度しか乗ることができない電車ですから・・・・
以上 文責 梅澤 充
抗癌剤治療を受けておられる患者さんで、
ご自身のその治療の目的が何処にあるのか理解していない
患者さんやご家族に時々遭遇します。
最近そのような患者さんが来られました。
メールでの相談の患者さんでもそういう方がおられます。
皆さん切除不能のガンを患った患者さんです。
「○×○のような標準的抗癌剤治療を始めたけれど、
副作用がつらい、これを続けていて良いものか、その後どうなるのか」
と悩まれて相談に来られました。
拙著「間違いだらけの抗癌剤治療」を読まれて
私の存在を知って来られましたので
それなりの知識武装をされておられると思ったのですが、
ご自身(ご家族の方もいます)の抗癌剤治療の目的をご存じない。
少々気合が抜けました。
抗癌剤治療には、
1)手術後の再発を予防するための術後補助抗癌剤治療。
2)再発あるいははじめから手術不能の進行ガンに対して、
延命を唯一の目的として行われる抗癌剤治療。
3)切除不能で、さらにガンの存在により強い自覚症状を伴う場合など、
延命と同時にQOLの改善を目指して行われる抗癌剤治療。
4)そのままでは切除不能であるも手術が可能な状態にまで改善させ、
その後に手術を行うことを目的として行われる抗癌剤治療。
などがあります。
勿論、白血病や悪性リンパ腫などのはじめから根治を目的とする抗癌剤治療もあります。
それは、腫瘍内科医の独壇場でありココでは考えません。
1)については、
5月24日の「術後補助抗癌剤治療」はじめ、何回も書いているとおり、
その治療により再発確率が低下する。
すなわち、天寿を全うする確率が高くなることが判っている抗癌剤治療ですから、
多少辛くても是非とも受けるべき治療です。
その時は、エビデンスだけが治療の道標になります。
エビデンスに従った標準的抗癌剤治療を受けるべきです。
また、4)の場合も、その抗癌剤治療によって手術が可能になる、
これも天寿を全うできる可能性が出てくる治療ですから、
ガンの縮小を期待して、
標準的に大量の最大耐用容量の抗癌剤を使った治療を辛くても受けるべきです。
しかし、不可能であった手術が、
抗癌剤治療によりガンが上手く縮小してくれて可能になるというのは、
困難な場合も少なくありません。
ガンの縮小が思わしくない場合などは、
あまり深追いしてしまうと、
結局手術もできずに、
標準的抗癌剤治療のエビデンスどおりの運命を辿ってしまうこともありますので、
できるだけ早急に見切りをつけないと大変です。
私も、手術が不可能な胃ガンの患者さん数名に対して、
根治手術が可能のなることを目指して大量の抗癌剤を使って、
標準的抗癌剤治療を行ったことがありますが、
1コース目では若干の縮小は認めるも、
その後は思うようには縮小せず、
2コース目の治療の途中ですでにガンの増大を見て
標準的抗癌剤治療を中止した患者さんを診てきました。
その後は、手術を諦め最低量の抗癌剤治療を続けましたが、
結局それらの患者さんでは、
はじめから、手術は考えずに、
低用量の抗癌剤治療を行っていた方が長生きできたのではないかと思います。
この4)の抗癌剤治療を行う場合には、
患者さんは十分に納得された上で治療がはじまりますので。
その治療の目的を知らないなどということはありません。
1) の予防治療は、その意味をあまり良く判らないまま治療している患者さんも
時々お目にかかりますが、それはそれで間違ったレールではありませんから
そのまま乗っておいた方が無難です。
予防治療の意味をシッカリ理解していないのは、
多くは医者の責任ではありますが、
患者さんも勉強するべきです。
しかし、「手術ができないから抗癌剤治療をしましょう」
と、ほとんどインフォームドコンセントなど無視して、
執行される一般的な抗癌剤治療の場合、
主治医は、4)のように、「可能になったら手術を行おう」
と考えている場合もありますし、
手術なんかはじめからまったくアタマに無く、
“エビデンスどおりの僅かな延命”だけを期待して、
医者にとって一番責任が無く、
ラクな標準的抗癌剤治療をしているのかも知れません。
3)の場合もその自覚症状は患者さんしか判りません。
主治医と良く相談しなければなりません。
苦痛に感じている自覚症状と同時に、
抗癌剤治療の副作用もシッカリ主治医に申告しなければ、
主治医はガンの存在だけに注目し、「副作用は無い」と判断してしまいます。
ご相談に来られた患者さんのご家族も、
抗癌剤治療の目的が
2)なのか3)なのか、根治を目指した4)なのか、
まったくご理解されていませんでした。
まだ、治療が始まったばかりでしたが、
微妙なところで、3)の手術可能になる可能性も残されている状態です。
2)の延命が目的の抗癌剤治療であれば、
辛い思いをして最大耐用容量の抗癌剤を使った治療は
けっして得策とは言えないように思います。
そこから得られるものはエビデンスどおりの僅かな延命だけです。
副作用を極力抑えた上での
可能な限りの延命を期待した少量の抗癌剤を使った
休眠療法的な治療の方が得だと思います。
3)のQOLの改善が目的であれば、
ガンの存在による苦痛と、
抗癌剤治療の副作用を秤にかけ、
何処まで抗癌剤を使うべきかは、ご自身で判断するべきです。
ともかく、ご自身のガンに対する抗癌剤治療の目的を
はっきり理解していないということは、
目的地を知らずに電車に乗るということです。
これから何処へ連れて行かれるのか判らず電車に乗る人はいないと思います。
抗癌剤治療はご自身の人生の進路を決定する電車です、
その目的地は何処にあるのかはシッカリ理解した上で、
ご乗車下さい。
また、気が変わったらすぐに乗り換えることも重要です。
一度しか乗ることができない電車ですから・・・・
以上 文責 梅澤 充



