医者向けに配信しているサイトがあるのですが、
そこに興味深い記事が出ていました。
一般紙にも載ったはずですので、
ご覧になられた方も多いかと思いますが、
非常に重要で、深刻な現在の日本の医療事情を鋭敏に反映している記事ですので、
コピーを掲示します。
過酷な勤務、訴訟の増加... 医師たちにプレッシャー
「表層深層」産科医の現場離れ深刻
記事:共同通信社/提供:共同通信社/【2006年10月31日】
都道府県の8割が直面する産科医不足。
背景には24時間体制の過酷な勤務実態と、お産をめぐる訴訟や刑事責任に問われるケースの増加がある。
勤務医たちはプレッシャーに押しつぶされるようにして、生命誕生の現場から離れている。
大阪府の男性産婦人科医(38)は昨年12月、出産した母親の死亡事故をきっかけに、産科の診療所を辞め、お産を扱わない診療所を開いた。
亡くなった母親は後で死亡率の高い羊水塞栓(そくせん)症だったことが分かったが、直後には医療ミスを疑われた。
遺族から殴られ、警察では6時間も取り調べを受けた。
「ただでさえ大切な患者さんを失って苦しい思いをしている時に、これでもかというほど打ちのめされた」。
結局、限られた人数では、出産は扱えないと結論を出した。
医師は「社会ではお産を軽く考える風潮があるが、実際は命にかかわることもある。
医療の現実と患者の意識のずれが、一方的に医師にぶつけられている」と訴える。
▽走る動揺
大阪府の公立病院勤務が長い産婦人科の女性医師(41)は、外資系の製薬会社への転職を決めた。
緊急手術など臨床現場での経験は約15年。
当直明けで翌日も仕事をする36時間勤務などもこなしてきた。
転職を決めた理由は忙しさではない。
「忙しくても収入が悪くてもやっていける。でも寝ずに働いて、患者から暴言を浴びせられたり、訴えられたりするプレッシャーの中では、何のためにやっているのか分からなくなる」
医療訴訟は2004年まで増加を続け、05年は減少したものの1996年の1.7倍。
医療事故をめぐる警察への届け出は、97年は21件だったが、03-05年は毎年、200件を超えた。
立件数も97年の3件から毎年増加し、05年は91件。福島県立大野病院で起きた出産時の死亡事故では、医師が業務上過失致死容疑で今年2-3月に逮捕、起訴され医療関係者の間に動揺が走った。
警察庁は「医療事故の捜査は病院や患者側からの通報が前提。
過失の立証が難しく、警察側から積極的に掘り起こしをするわけではないが、通常の捜査と同様、過失が立証できれば立件する」とのスタンスだ。
▽患者救済
勤務医を辞めていく実態などを著書「医療崩壊」にまとめた虎の門病院(東京)の小松秀樹(こまつ・ひでき)医師は「尋常じゃない働かせ方と訴訟など患者とのあつれきの中、産科だけでなく勤務医全体が病院から離れ始め、危機的な状況だ」と警告する。
「医療は不確実で、過失がなくても重大な結果になることがある。警察が介入すべきではないし、現実を理解せずに報道するメディアの責任も大きい」
一方で患者にとってみれば、医療ミスを問う手段は訴訟や刑事告訴などしかないのも事実だ。
医療消費者ネットワークMECON代表世話人の清水とよ子(しみず・とよこ)さんは「警察に駆け込む人が増えているのは、病院が真実を隠し、国が患者救済の法律も制度もつくっていないため。それがない限り、患者側は警察に社会的制裁を与えてほしいと考えるのではないか」と話す。
こうした実態を受け、厚生労働省は8月末に発表した「新医師確保総合対策」の中で、訴訟リスクを回避するため医師に責任がなくても患者に補償する「無過失補償制度」の創設を打ち出した。
自民党もこの問題で検討会を設置し、年内に結論を出す方針。ただ、財源や対象者をどうするかなど課題は多く、実現までにはまだ紆余(うよ)曲折がありそうだ。
このブログでも何度も書いているとおり、
この深刻な現象は、
産婦人科医だけの問題ではありません。
厚生労働省は医学部の定員を増やすことも考えているようですが、
それでは絶対に解決しません。
精神科、眼科、皮膚科などの医者は増えるでしょうが、
産婦人科、小児科、外科の医者は減少の一途を辿ることだと思います。
そうなると、一人の医者にかかる仕事がさらに重くなり、
減少は加速度的に進むと思います。
自己責任を持たない患者さんが増え、
あらゆる不幸な結果の責任をすべて医者に転嫁するような風潮の日本では、
非常に厳しい待遇の中で働いた上に、
患者という他人のために、
火中の栗を拾うようなお人好しは、
絶滅していくことだと思います。
「生命誕生の現場から離れている」だけではありません。
「生命の終焉の現場」からも医者はドンドン離れています。
さらに、最悪の結果である死と常に隣り合わせでいる
救命の現場からも医師は消えていきます。
本日、イジメによる予告自殺をしていた子供(?)が
自殺した否かは知りませんが、
医者はあまりイジメ過ぎると、
気付かないうちに皆様の前から静かに消えていきます。
その時一番困るのは患者さんです。
現在連日のように、
「標準的な抗癌剤治療だけで、患者さんの望むような治療をしてもらえない。」
という患者さんやご家族からの問い合わせメールがたくさん来ています。
標準的な抗癌剤治療をすることが医者には一番リスクが低いのです。
医者もこれだけ世間からイジメられてくると、
敢えてリスクを侵してまで、
その自分たちをイジメてきた世間の人間が望むような治療をしようとは考えなくなります。
標準的なことを行って自分のリスク回避だけを考えるようになります。
イジメはいけません。
以上 文責 梅澤 充



