最近、患者さんの知識武装が進んだためか、
患者さんからの直接の要望により、
イロイロなクスリを使う機会が増えています。
多くは患者さんやご家族が自ら、情報収集をされて、
「こういうクスリがあるみたいだけど知っていますか、私にはダメですか。」
「インターネットで調べたけど、コレコレのクスリを使ってもらえないか。」
とのリクエストがたくさん来ます。
実際にすでに個人輸入をしていて現物を持ってくる患者さんもいます。
それらのクスリについては患者さんよりは知ってはいるつもりですが、
患者さん以上に、その効果と値段についても知っていますので、
(中国製の薬剤でまったく聞いたこともないものもありました・・・)
私から提案することはほとんどありません。
その非常に高価な治療を提案されて、
経済的に受け入れることができなかった時の、
患者さんのお気持ちを考えると、
安易には提案できませんし、勧められません。
しかし、代替療法に多額のお金を使っている患者さんや、
法外なその値段を知ってこれからその代替療法を受ける予定の方には、
「それをするなら、こっちの方がイイですよ」
とは勧めます。
また、ご自身で話を持ってくる患者さんやご家族には、
その薬剤について私の知る限りの情報を提供して、
どうするか決めてもらいます。
しかし、どんな最新のクスリ、治療法でも、
あくまで延命治療でしかありません。
根治を期待しうる薬剤ではありません。
ガンが根治するのであれば、
借金してでもその治療を受けるべきだと思います。
ガンが治れば、治療も必要なくなるのですから、
借金は働いて返すという方法も出てきます。
しかし、治る治療など現在のところまだありません。
延命の治療だけです・・・・
ところで、中国から輸入(?)されている「天仙液(テンセンエキ))」という健康食品があります。
とても高価な健康食品です。
それを飲んでいる患者さんはたくさん診てきましたが、
それが効いたと思われる患者さんは1人も見たことはありません。
しかし、中国の人で日本で商売をしており、
日本と中国を往復している患者さんを診ていたことがあります。
その患者さんも日本で天仙液を飲まれていましたが、
中国に帰った時には、
日本には入っていない「天仙液の点滴注射」を
毎回行ってから日本に戻ってきました。
何が、どのように良いのか分かりませんが、
その注射をしてくると、
何故か検査データ上も改善しています。
物価が日本と比較にならないほど安い中国でも、
天仙液の値段は日本とあまり変わらないそうです。
日本でも高いのに、中国では極めて高価なクスリ(?)になります。
その患者さん曰く
「中国では、ガンになったら家を売って天仙液を買う」
のだそうです。
その天仙液でガンが治るのであれば、
家を売るのも悪くはないと思います。
しかし、その長短にもよりますが、延命効果だけでは、
如何なものでしょうか。
考えてしまいます。
現在、ガンの治療薬は急速に進歩しています。
そしてほぼ例外なく、どれもがとても高価です。
一月当たり数十万円はかかります。
1年で数百万円です。
「厚生労働省の新薬の認可が遅い」という不満がガン患者さんには鬱積していますが、
それら非常に高価な薬剤をドンドンと気前良く、
健康保険で認可してしまったならば、
保健医療財政はひとたまりもなく破綻してしまうことと思います。
保険財政を堅持するために、
医療者の犠牲の上に大幅な医療費の引き下げを行いましたが、
それはもう限界だと思います。
これ以上に医療費が引き下げられたなら、
廃業する病・医院が続出してしまいます。
11月11日の「日本の深刻な医療情勢」でも書いたとおり、
医者のなり手がいなくなります。
そうなると、健康保険料の大幅な引き上げを行うしかなくなりますが、
今でも健康保険料の支払いができない人々の存在が問題になっている状態で、
それは事実上不可能でしょう。
与党政府としても、人気の失墜の原因になるでしょうから、
それはできないでしょう。
出るも入るも、変えられないその状態で、
高価な新薬を易々と認可することは不可能だと思われます。
厄介なことにその新薬が効果が高ければ高いほど、
患者さんは長生きしますから、
長期間使われることになります。
そうなると、ますます認可が難しくなります。
その八方塞の状態で、それらの薬剤を使うとなれば、
自費で使わなければならなくなります。
お金持ちはそれでも良いでしょうが、
ほとんどの一般庶民には手が出ません。
しかし、問題は命です。
「お金がないから」と簡単には引き下がれません。
何処で折り合いをつければ良いのでしょうか。
今まで健康保険の範囲内の治療でも、
治療費の捻出ができずに、
医療費の補助を受けるべく、
偽装離婚をして架空の母子家庭を作った夫婦を2組見てきました。
ガン治療の現場では、
いつもこのお金の問題に悩まされます。
命に値段がつけられるはずはありません。
しかし、値段があることも事実です。
どのように考えていけば良いのでしょうか。
答えが見つかりません。
以上 文責 梅澤 充
患者さんからの直接の要望により、
イロイロなクスリを使う機会が増えています。
多くは患者さんやご家族が自ら、情報収集をされて、
「こういうクスリがあるみたいだけど知っていますか、私にはダメですか。」
「インターネットで調べたけど、コレコレのクスリを使ってもらえないか。」
とのリクエストがたくさん来ます。
実際にすでに個人輸入をしていて現物を持ってくる患者さんもいます。
それらのクスリについては患者さんよりは知ってはいるつもりですが、
患者さん以上に、その効果と値段についても知っていますので、
(中国製の薬剤でまったく聞いたこともないものもありました・・・)
私から提案することはほとんどありません。
その非常に高価な治療を提案されて、
経済的に受け入れることができなかった時の、
患者さんのお気持ちを考えると、
安易には提案できませんし、勧められません。
しかし、代替療法に多額のお金を使っている患者さんや、
法外なその値段を知ってこれからその代替療法を受ける予定の方には、
「それをするなら、こっちの方がイイですよ」
とは勧めます。
また、ご自身で話を持ってくる患者さんやご家族には、
その薬剤について私の知る限りの情報を提供して、
どうするか決めてもらいます。
しかし、どんな最新のクスリ、治療法でも、
あくまで延命治療でしかありません。
根治を期待しうる薬剤ではありません。
ガンが根治するのであれば、
借金してでもその治療を受けるべきだと思います。
ガンが治れば、治療も必要なくなるのですから、
借金は働いて返すという方法も出てきます。
しかし、治る治療など現在のところまだありません。
延命の治療だけです・・・・
ところで、中国から輸入(?)されている「天仙液(テンセンエキ))」という健康食品があります。
とても高価な健康食品です。
それを飲んでいる患者さんはたくさん診てきましたが、
それが効いたと思われる患者さんは1人も見たことはありません。
しかし、中国の人で日本で商売をしており、
日本と中国を往復している患者さんを診ていたことがあります。
その患者さんも日本で天仙液を飲まれていましたが、
中国に帰った時には、
日本には入っていない「天仙液の点滴注射」を
毎回行ってから日本に戻ってきました。
何が、どのように良いのか分かりませんが、
その注射をしてくると、
何故か検査データ上も改善しています。
物価が日本と比較にならないほど安い中国でも、
天仙液の値段は日本とあまり変わらないそうです。
日本でも高いのに、中国では極めて高価なクスリ(?)になります。
その患者さん曰く
「中国では、ガンになったら家を売って天仙液を買う」
のだそうです。
その天仙液でガンが治るのであれば、
家を売るのも悪くはないと思います。
しかし、その長短にもよりますが、延命効果だけでは、
如何なものでしょうか。
考えてしまいます。
現在、ガンの治療薬は急速に進歩しています。
そしてほぼ例外なく、どれもがとても高価です。
一月当たり数十万円はかかります。
1年で数百万円です。
「厚生労働省の新薬の認可が遅い」という不満がガン患者さんには鬱積していますが、
それら非常に高価な薬剤をドンドンと気前良く、
健康保険で認可してしまったならば、
保健医療財政はひとたまりもなく破綻してしまうことと思います。
保険財政を堅持するために、
医療者の犠牲の上に大幅な医療費の引き下げを行いましたが、
それはもう限界だと思います。
これ以上に医療費が引き下げられたなら、
廃業する病・医院が続出してしまいます。
11月11日の「日本の深刻な医療情勢」でも書いたとおり、
医者のなり手がいなくなります。
そうなると、健康保険料の大幅な引き上げを行うしかなくなりますが、
今でも健康保険料の支払いができない人々の存在が問題になっている状態で、
それは事実上不可能でしょう。
与党政府としても、人気の失墜の原因になるでしょうから、
それはできないでしょう。
出るも入るも、変えられないその状態で、
高価な新薬を易々と認可することは不可能だと思われます。
厄介なことにその新薬が効果が高ければ高いほど、
患者さんは長生きしますから、
長期間使われることになります。
そうなると、ますます認可が難しくなります。
その八方塞の状態で、それらの薬剤を使うとなれば、
自費で使わなければならなくなります。
お金持ちはそれでも良いでしょうが、
ほとんどの一般庶民には手が出ません。
しかし、問題は命です。
「お金がないから」と簡単には引き下がれません。
何処で折り合いをつければ良いのでしょうか。
今まで健康保険の範囲内の治療でも、
治療費の捻出ができずに、
医療費の補助を受けるべく、
偽装離婚をして架空の母子家庭を作った夫婦を2組見てきました。
ガン治療の現場では、
いつもこのお金の問題に悩まされます。
命に値段がつけられるはずはありません。
しかし、値段があることも事実です。
どのように考えていけば良いのでしょうか。
答えが見つかりません。
以上 文責 梅澤 充