先日、ステージⅠの乳がん手術後に、
再発予防の抗がん剤治療を受けたという患者さんのコメントがありました。
乳がんに限ったことではなく、
また、がん医療だけではないと思いますが、
医療はドンドンと細分化されてきています。
臨床医はそれほどヒマではないと思いますが、
製薬会社などの研究者が、
がんの正体に少しでも近付くためか、
様々な事実?を発見してくれています。
ステージⅠの乳がんで、
再発予防の抗がん剤治療を受けたほうが、
それを受けずに、
経過観察だけをした患者群よりトクなのか否かは、
まだ分かっていないはずです。
エビデンスは無いと思います。
細やかな解析が普及しはじめてから、
まだ10年も経っていないはずですから。
あと解析データは出されているかも知れませんが、
それは通常、
エビデンスとはよばれません。
それはともかく、
病の姿が、
あらわにされてくることは、
その情報が正確ならば、
それと戦う時には、
有力な武器になります。
けっして悪いことではありません。
しかし医者という人間の能力など、
たかが知れています。
倍率10倍の顕微鏡より、
100倍のほうが、
10倍細かく観察することができますが、
正確に観察するには、
10倍の時間が必要になります。
当然一人の人間の能力には限界がありますから、
ひとつの病に対して、
あまりにも多くの情報が知られるようになると、
一人の医者が対応できる病の数が減ることになります。
情報は多いに越したことはありませんが、
あまり急激な集積は、
ひとつの病に対するスペシャリストを増やすだけで、
むしろ医者不足が促進されるようにも感じます。
昨日の「抗がん剤治療の現実・続き」で少し書いたとおり、
現在の医療は、
病を宿した患者という人間が主役ではなく、
病そのものが中心になって回っているように感じます。
その原因の一つは、
細分化されていく医療に対して、
各学会の閻魔様が勝手に作っている、
認定医・専門医・指導医などの制度の存在だとも思われます。
患者さんを診るよりも、
病だけを診て、
各資格を取ること、
取らせることに夢中になってしまっているのが、
現在のがん医療、
特に抗がん剤治療の現実だと感じます。
むかし「白い巨塔」というお話がありました。
その巨塔はすでに倒れたかのように言われていますが、
その巨塔は各大学レベルでの、
小規模なお話しでした。
現在はすべての大学や××センターなどを巻き込む、
学会という本当に巨大な勢力争いの渦の中に、
患者さんは置き去りにされているように感じます。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
再発予防の抗がん剤治療を受けたという患者さんのコメントがありました。
乳がんに限ったことではなく、
また、がん医療だけではないと思いますが、
医療はドンドンと細分化されてきています。
臨床医はそれほどヒマではないと思いますが、
製薬会社などの研究者が、
がんの正体に少しでも近付くためか、
様々な事実?を発見してくれています。
ステージⅠの乳がんで、
再発予防の抗がん剤治療を受けたほうが、
それを受けずに、
経過観察だけをした患者群よりトクなのか否かは、
まだ分かっていないはずです。
エビデンスは無いと思います。
細やかな解析が普及しはじめてから、
まだ10年も経っていないはずですから。
あと解析データは出されているかも知れませんが、
それは通常、
エビデンスとはよばれません。
それはともかく、
病の姿が、
あらわにされてくることは、
その情報が正確ならば、
それと戦う時には、
有力な武器になります。
けっして悪いことではありません。
しかし医者という人間の能力など、
たかが知れています。
倍率10倍の顕微鏡より、
100倍のほうが、
10倍細かく観察することができますが、
正確に観察するには、
10倍の時間が必要になります。
当然一人の人間の能力には限界がありますから、
ひとつの病に対して、
あまりにも多くの情報が知られるようになると、
一人の医者が対応できる病の数が減ることになります。
情報は多いに越したことはありませんが、
あまり急激な集積は、
ひとつの病に対するスペシャリストを増やすだけで、
むしろ医者不足が促進されるようにも感じます。
昨日の「抗がん剤治療の現実・続き」で少し書いたとおり、
現在の医療は、
病を宿した患者という人間が主役ではなく、
病そのものが中心になって回っているように感じます。
その原因の一つは、
細分化されていく医療に対して、
各学会の閻魔様が勝手に作っている、
認定医・専門医・指導医などの制度の存在だとも思われます。
患者さんを診るよりも、
病だけを診て、
各資格を取ること、
取らせることに夢中になってしまっているのが、
現在のがん医療、
特に抗がん剤治療の現実だと感じます。
むかし「白い巨塔」というお話がありました。
その巨塔はすでに倒れたかのように言われていますが、
その巨塔は各大学レベルでの、
小規模なお話しでした。
現在はすべての大学や××センターなどを巻き込む、
学会という本当に巨大な勢力争いの渦の中に、
患者さんは置き去りにされているように感じます。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。