昨日、オキサリプラチン(エルプラット)が、
「治らない胃がん」に対して、
健康保険で使えるようになったことを書きました。
治る可能性のある胃ガンに対しては、
保険適応はありません。
治らない胃がんに対しては、
イリノテカンやパクリタキセル、
アブラキサンなども使われていますが、
シスプラチンという、
極めて毒性の強い、
すなわち、激しい副作用に悩まされることになる、
恐ろしい細胞毒が主役でした。
客観的にみて、
痺れという副作用はあるも、
標準的に大量に使った時には、
シスプラチンよりは、
遥かに身体に優しいと思われる、
オキサリプラチン(エルプラット)が、
健康保険で使えるようになったのは、
胃がんを宿した患者さんにとっては朗報だと思います。
保険承認の基礎になった、
ヨーロッパでのデータは、
シスプラチンは無しでも、
相当に厳しい他の細胞毒との併用で、
効果が確認されています。
しかし日本では、
抗がん剤治療は敗戦処理であることを、
十分に認知している外科医が、
数多く所属している胃がん学会が推奨しているメニューでの、
保険適応になるようですので、
ヨーロッパでの使い方よりは、
かなりマイルドな治療になると思われます。
それでも、
オキサリプラチンを100%の量で使えば、
痺れは相当に出ることが予想されます。
勿論、全員ではありませんが、
「お箸が持てなくなる」
「字が書けなくなる」
「ボタンが留められなくなる」
という副作用は日常生活上けっしてラクな治療ではないと思います。
半年、一年とそれを我慢して続ければ、
「治る」
とまではいかなくても、
せいぜい
「3年間無事に生きることができる」
という治療ならば、
我慢する甲斐もあるようには感じますが、
概ね1年以内に半分の患者さんが、
旅立たれる治療では、
多くの患者さんは納得されないと思います。
すべて個々の価値観に依りますが・・・
ともかく、
治らないがんを宿した患者さんにとって、
武器が増えることは、
悪いことではありません。
オキサリプラチン(エルプラット)も、
十分に量を減らして使い、
その上に、
内服のゼローダやTS-1を使えば、
平穏な日常生活を失うことはなく、
宝物のような時間を、
十分に楽しむことができるようになると思います。
ゼローダやTS-1も、
けっして副作用の軽微な薬剤ではありません。
しかし、
内服薬ということは、
「注入する量」を、
患者さんご自身の体調に合わせて調節することができます。
ゼローダがダメならTS-1へ変更することも、
TS-1からゼローダにチェンジすることも可能です。
まったく同系統の薬剤ですが、
効果にも副作用にも、
個人差と相性があります。
飲む抗がん剤も、
点滴の細胞毒と同様に、
標準量を注入しなければ効かない、
などということはありません。
「データが無い」というだけです。
製薬会社の番犬と化した閻魔様という裁判官にとっては、
「データ(証拠)が無い = 効果無し」
と判決を下しているだけです。
副作用と効果は、
まったく比例するものではないこと、
無理して飲んでも治ることはない現実を、
シッカリ認識できれば、
病気とも、
クスリとも、
長く付き合うことができます。
今回のオキサリプラチン(エルプラット)の、
保険適応も、
「治ることが期待できない胃がん」
が対象です。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
「治らない胃がん」に対して、
健康保険で使えるようになったことを書きました。
治る可能性のある胃ガンに対しては、
保険適応はありません。
治らない胃がんに対しては、
イリノテカンやパクリタキセル、
アブラキサンなども使われていますが、
シスプラチンという、
極めて毒性の強い、
すなわち、激しい副作用に悩まされることになる、
恐ろしい細胞毒が主役でした。
客観的にみて、
痺れという副作用はあるも、
標準的に大量に使った時には、
シスプラチンよりは、
遥かに身体に優しいと思われる、
オキサリプラチン(エルプラット)が、
健康保険で使えるようになったのは、
胃がんを宿した患者さんにとっては朗報だと思います。
保険承認の基礎になった、
ヨーロッパでのデータは、
シスプラチンは無しでも、
相当に厳しい他の細胞毒との併用で、
効果が確認されています。
しかし日本では、
抗がん剤治療は敗戦処理であることを、
十分に認知している外科医が、
数多く所属している胃がん学会が推奨しているメニューでの、
保険適応になるようですので、
ヨーロッパでの使い方よりは、
かなりマイルドな治療になると思われます。
それでも、
オキサリプラチンを100%の量で使えば、
痺れは相当に出ることが予想されます。
勿論、全員ではありませんが、
「お箸が持てなくなる」
「字が書けなくなる」
「ボタンが留められなくなる」
という副作用は日常生活上けっしてラクな治療ではないと思います。
半年、一年とそれを我慢して続ければ、
「治る」
とまではいかなくても、
せいぜい
「3年間無事に生きることができる」
という治療ならば、
我慢する甲斐もあるようには感じますが、
概ね1年以内に半分の患者さんが、
旅立たれる治療では、
多くの患者さんは納得されないと思います。
すべて個々の価値観に依りますが・・・
ともかく、
治らないがんを宿した患者さんにとって、
武器が増えることは、
悪いことではありません。
オキサリプラチン(エルプラット)も、
十分に量を減らして使い、
その上に、
内服のゼローダやTS-1を使えば、
平穏な日常生活を失うことはなく、
宝物のような時間を、
十分に楽しむことができるようになると思います。
ゼローダやTS-1も、
けっして副作用の軽微な薬剤ではありません。
しかし、
内服薬ということは、
「注入する量」を、
患者さんご自身の体調に合わせて調節することができます。
ゼローダがダメならTS-1へ変更することも、
TS-1からゼローダにチェンジすることも可能です。
まったく同系統の薬剤ですが、
効果にも副作用にも、
個人差と相性があります。
飲む抗がん剤も、
点滴の細胞毒と同様に、
標準量を注入しなければ効かない、
などということはありません。
「データが無い」というだけです。
製薬会社の番犬と化した閻魔様という裁判官にとっては、
「データ(証拠)が無い = 効果無し」
と判決を下しているだけです。
副作用と効果は、
まったく比例するものではないこと、
無理して飲んでも治ることはない現実を、
シッカリ認識できれば、
病気とも、
クスリとも、
長く付き合うことができます。
今回のオキサリプラチン(エルプラット)の、
保険適応も、
「治ることが期待できない胃がん」
が対象です。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。