随分とむかしの「治らないがん」で書いたとおり、
すべての種類のがんは、
A群、B群、C群、D群の四群に分けられています。
当時から比べると、
B群に昇格?したがんは幾つかありますが、
急性白血病などA群以外のがんでは、
抗がん剤では治ることはない事実に変わりはありません。
根治も期待できるA群以外では、
抗がん剤に期待できる効果は、
僅かな延命か、
症状の緩和です。
治らないがんに対する、
抗がん剤治療による現実の効果は、
多くの患者さんが期待するそれとは、
大きく乖離しています。
ステージⅣすなわち末期ステージのがんを宿していても、
自覚症状など伴わない患者さんはたくさんいます。
少なくとも日常生活に支障を来すような、
辛い自覚症状を伴う患者さんのほうが少数派です。
そのような元気な末期がん患者さんに対して、
「症状の緩和」とは、
ずいぶんとヒトを馬鹿にした効果です。
膵がんに対して、
ジェムザール(商品名)という抗がん剤治療が、
健康保険承認を得た当初は、
その効能・効果は、
「切除不能の膵がんに伴う疼痛の緩和」でした。
ほとんど自覚症状の無い患者さんにとって、
害も効果も無い、
魔法の水でも飲む程度のお呪いなら、
お財布には多少ダメージがあっても、
「自分は治療を受けている」
「これだけたくさんのお金をかけているのだから、
効いているに違いない」
という、
精神的な安静を得られるという、
有り難い効果が得られる可能性はあります。
一方、標準治療では多大な副作用に歯を食い縛って耐えても、
症状も発現していないがんに対して、
症状の緩和とは、
あまりにもお粗末です。
しかし標準治療を受けた経験があり、
それから逃れてきた何人もの患者さんから聞いた話ですが、
「あの治療を受けているときは不安も何もすべて忘れた」という、
大きな精神的な効果が、
大量の細胞毒にはあるようです。
がんを宿してしまい、
それが治ることが無いと知ったなら、
患者さんは、
ご自身の将来に対して、
少なからず不安を感じるはずですが、
あの激しい副作用は、
そんな不安などに悩む余裕など、
簡単に吹き飛ばしてくれるようです。
自覚症状もほとんど無いような患者さんが、
「標準」「みんなと同じ」などと言われて、
押し寄せる濁流の渦の中に放り込まれたら、
目の前の水に飲み込まれまいと、
必死にもがくだけで、
将来の不安など感じている余裕は消失すると思います。
方法はチョッと野蛮ですが、
不安を忘れるということは、
がんを宿した患者さんにとっては、
きわめて大きな治療効果だと思います。
実際に、渦に巻き込まれて、
そのまま旅立ったご家族を看取った経験のある患者さんが、
「私も何も考えられなくなって、
そのまま逝くのも悪くないと考えている」
と言われたこともあります。
患者さんにはけっしてお勧めはしませんが、
それも治らないがんに対する一つの対処法であるようにも思います。
標準的な儀式にも、
良いところはあるようです。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
すべての種類のがんは、
A群、B群、C群、D群の四群に分けられています。
当時から比べると、
B群に昇格?したがんは幾つかありますが、
急性白血病などA群以外のがんでは、
抗がん剤では治ることはない事実に変わりはありません。
根治も期待できるA群以外では、
抗がん剤に期待できる効果は、
僅かな延命か、
症状の緩和です。
治らないがんに対する、
抗がん剤治療による現実の効果は、
多くの患者さんが期待するそれとは、
大きく乖離しています。
ステージⅣすなわち末期ステージのがんを宿していても、
自覚症状など伴わない患者さんはたくさんいます。
少なくとも日常生活に支障を来すような、
辛い自覚症状を伴う患者さんのほうが少数派です。
そのような元気な末期がん患者さんに対して、
「症状の緩和」とは、
ずいぶんとヒトを馬鹿にした効果です。
膵がんに対して、
ジェムザール(商品名)という抗がん剤治療が、
健康保険承認を得た当初は、
その効能・効果は、
「切除不能の膵がんに伴う疼痛の緩和」でした。
ほとんど自覚症状の無い患者さんにとって、
害も効果も無い、
魔法の水でも飲む程度のお呪いなら、
お財布には多少ダメージがあっても、
「自分は治療を受けている」
「これだけたくさんのお金をかけているのだから、
効いているに違いない」
という、
精神的な安静を得られるという、
有り難い効果が得られる可能性はあります。
一方、標準治療では多大な副作用に歯を食い縛って耐えても、
症状も発現していないがんに対して、
症状の緩和とは、
あまりにもお粗末です。
しかし標準治療を受けた経験があり、
それから逃れてきた何人もの患者さんから聞いた話ですが、
「あの治療を受けているときは不安も何もすべて忘れた」という、
大きな精神的な効果が、
大量の細胞毒にはあるようです。
がんを宿してしまい、
それが治ることが無いと知ったなら、
患者さんは、
ご自身の将来に対して、
少なからず不安を感じるはずですが、
あの激しい副作用は、
そんな不安などに悩む余裕など、
簡単に吹き飛ばしてくれるようです。
自覚症状もほとんど無いような患者さんが、
「標準」「みんなと同じ」などと言われて、
押し寄せる濁流の渦の中に放り込まれたら、
目の前の水に飲み込まれまいと、
必死にもがくだけで、
将来の不安など感じている余裕は消失すると思います。
方法はチョッと野蛮ですが、
不安を忘れるということは、
がんを宿した患者さんにとっては、
きわめて大きな治療効果だと思います。
実際に、渦に巻き込まれて、
そのまま旅立ったご家族を看取った経験のある患者さんが、
「私も何も考えられなくなって、
そのまま逝くのも悪くないと考えている」
と言われたこともあります。
患者さんにはけっしてお勧めはしませんが、
それも治らないがんに対する一つの対処法であるようにも思います。
標準的な儀式にも、
良いところはあるようです。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。