そして昨日は、タイムリーにインターネット配信の医療ニュースで、
「がん難民が68万人に達する」という表題を見ましたので、
再び勝手な考えを書いてしまいました。
しかし、サーバーのメンテナンスとやらで、
ニュースの全文は読んでいませんでした。
本日その全文を読みました。
思っていた事と違っている点もありました。
徒然雲さんがコメントで日経の記事を紹介してくださいましたが、
ネット配信の方がチョット詳しく出ていましたので、
一部抜粋し掲載します。
共同通信の記事です。
納得できる治療を求めて悩んでいる「がん難民」はがん患者の53%で、全国で推計約68万人に上ることが7日、民間研究機関の日本医療政策機構(代表理事・黒川清(くろかわ・きよし)前日本学術会議会長)の分析で分かった。
がん難民は平均3カ所の医療機関を受診し、医療費は、それ以外のがん患者の1.7倍。がん難民に着目した調査は珍しく、同機構は「がん難民解消の政策に生かして欲しい」としている。
調査は2005年1-6月、約30の患者会やインターネットを通じて実施。がん患者1186人の回答を分析した。
・・・・・・中間省略・・・・・・
がん難民の91%は「日本のがん医療の水準に不満」と回答。必要な情報として「専門医の有無」「医師・病院ごとの治療成績」などが多かった。
・・・・・・中間省略・・・・・・
同機構は、がん難民を100パーセント解消すれば年間約5200億円の医療費が削減できると推計している。
がん難民の定義、
がん難民 複数の医療機関を渡り歩いたり「治療は尽きた」といわれても、なお最新の治療法を探し求めたりするがん患者を指して使われることが多いが、定義は定まっていない。背景には地域や医療機関によって医療水準に格差があるとの指摘もある。今年6月には、がん対策基本法が成立。厚生労働省は、予防や早期発見と合わせて全国的な治療水準の向上を目標に掲げ、専門医の育成や相談体制の整備、全国250の「がん診療連携拠点病院」の設置を進めている。
とても大きな作為を感じます。
やはり、医療費削減を目指して、
日本全国どこでも均一定食の提供を求めているようです。
先ず、「民間研究機関の日本医療政策機構」ですが、
聞いた話によると、この機構には医師はいないそうです。
そして政府の関連機関とのことでした。
これは、医者だけの情報交換サイトに載っていました。
政府はガン患者さんのことを考えてはいないように思います。
「がん難民」「日本の医療水準は低い」
「治療効率が医療機関間で大きく違う」
「不用な検査・治療」などと国民の不安を煽り、
特定の医療施設だけでガン治療を行わせ、
ガン治療に投じる医療費を少しでも抑制することが目的のように感じます。
そもそも、セカンドオピニオンを推奨したのは政府です。
「一箇の病院だけでなく、他の病院・医者の考えも聞け」と先導しておいて、
実際に患者さんが幾つもの病院を廻ると、
「医療費の無駄遣いだ」と騒ぐ。
政府の方針はあまりにも矛盾しているように思います。
また、作為を感じるところは、
統計の取り方です。
特定の患者会に所属しているガン患者さんと
インターネットを利用している患者さんだけを対象にしている事です。
インターネットを利用していたり、
患者会に所属するという事は
それだけ、ご自身のガンという病気に対して問題意識を持っている患者さんです。
そうであれば、当然一つの病院だけで、
満足できるはずは無く、
セカンド、サードオピニオンを求めて、
多くの病院を廻ることになります。
問題意識の高い患者さんだけを対象に、
納得できる治療を求めている人の割合を出せば当然高い数字が出てきます。
それも、たった1186人だけのアンケートで
68万人という数字を算出すること自体馬鹿げています。
この統計が母集団の性格を表現していないことくらいは、
当事者が一番良く知っているはずです。
がん難民の91%は「日本のがん医療の水準に不満」と回答。必要な情報として「専門医の有無」「医師・病院ごとの治療成績」
治療成績は、各病院で比較を出せるはずが無いのです。1月19日の「元気なガン患者さんの抗癌剤治療」
はじめ何度もかいてきた、
元気な患者さんしか診ることはなく、
患者さんの全身状態が悪くなれば、
「もう治療方法はありません」
と勝手な死刑宣告をして、
患者さんを追い出す専門医がたくさんいる病院と、
その患者さんの受け皿になっている病院での治療成績とを
どのように比較するのでしょうか。
また、1186人のうち53%は「日本のがん医療の水準に不満」だから、
「積極的ながん難民」になっているはずです。
そういう患者さんを対象に聞けば当たり前の回答です。
「治療は尽きた」といわれても、なお最新の治療法を探し求めたりするがん患者
「治療は尽きた」といわれて、「ハイ、そうですか」という患者さんやご家族は存在するのでしょうか。
しかも、その宣告はほとんどの場合、
まだ元気でご自宅で生活できる全身状態の時に行われます。
この報道の裏には、
専門医の育成や相談体制の整備、全国250の「がん診療連携拠点病院」の設置を進めて、年間約5200億円の医療費が削減
という本当の目的が見え隠れするように思います。「ガンになったら、日本では画一的な治療だけしかありません。
それが終わったら、無駄な医療費は使わないで、潔く諦めてください。」
というメッセージが聞こえてきます。
昨日も書きましたが、
「積極的ながん難民」になって
「本当のがん難民」にされる前に、
何処に自分・ご家族に最善の治療があるのか良く考えてください。
以上 文責 梅澤 充