標準的な抗癌剤治療を繰り返して行っていくと、
はじめは良く効いていた抗癌剤もいずれは効果が無くなり、
最終的には絶望的な全身状態に陥り、
そして、お得意の決まり文句
「もはや治療法はありません」
と宣告されます。
本日も、某がんセンターで
そのお決まりのコースを辿った患者さんのご家族が来られました。
某がんセンターでは短期入院と外来通院を織り交ぜて、
抗癌剤治療を行っていたそうですが、
その治療経過を見ると、
標準的とされる抗癌剤治療は
繰り返し繰り返し、すべてやり尽くしていました。
患者さんのご苦労は計り知れません。
「人間よくもここまで耐えられるものだな」と
思わず唸ってしまいました。
ご家族も、見ているのがつらかったと言われていました。
そして、その苦痛に満ちた一連の抗癌剤治療が終了すると
そのがんセンターでは、
患者さん本人へ、「正直(?)」に宣告するそうで、
その後、ショックからなのか食事ものどを通らなくなり、
全身状態が急速に悪化し近くの病院に入院しているそうです。
普通の精神力の人では、
「自分のガンは良くなる」と信じて、
つらい抗癌剤治療を行ってもらっていた信頼していた主治医から
「あなたは、もはや死を待つだけの状態になりました」
と、言われたら誰でも、
相当に大きなショックを受けることと思います。
誰でも鬱状態に陥るはずです。
また、普段は症状はあまり表面には出なくても、
もともと抑鬱傾向のある患者さんもいます。
そのような患者さんでは、
その一言が致命傷になることもあります。
今年もお一人、そのような気の毒な患者さんを診ました。
本日の患者さんの場合、
精神的なショックも少なくはないようですが、
持参された検査所見・写真から考えると、
抗癌剤治療終了後に急速にガンが進展してきたことが推測されました。
最大耐用量の標準的抗癌剤治療では、
全身状態が抗癌剤により極度に悪化しますから、
抗癌剤が効かなくなると、
急速にガンが進展することは珍しくありません。
その患者さんもその状態のようでした。
その状態になり、
「近くの病院に入院したけれども、
その病院ではガンの治療は一切行ってくれない。
町田胃腸病院で入院のうえ抗癌剤治療をして欲しい。」
との、ご相談でした。
そこまで悪化した身体に宿した大きなガンを
再度抗癌剤治療で縮小させて、
苦痛の無い状態を作るにはあまりにも無理があります。
私のガンに対する治療の考え方は、
何度も書いているとおり、
「治ることのないガンは、悪化させずに可能な限り長期間同居して生活していく」
「そのためには抗癌剤は終生使い続ける」
「終生使い続けるためには、容認できない副作用があってはダメ」
というものです。
ガンの悪化(増大)を抑制することが最大の目的であり、
その縮小は多くの場合考えません。
ガンは増大しなければ人の命を脅かすことはありません。
そのためには、抗癌剤は絶対に必要ですが、
人の持つ免疫の力も借りなければなりません。
しかし、フルコースの標準的な最大耐用量の抗癌剤治療が
実行されてしまうと免疫力は期待できなくなります。
それでは、ガンとの同居は難しくなります。
まして、苦痛を取り除くためにガンの縮小を期待する抗癌剤治療を行うことは
その最悪の全身状態では不可能でしょう。
そもそも、ガンの縮小を狙うのが標準的抗癌剤治療です。
その治療ができないと宣告されたのですから、
縮小を期待した治療は不可能です。
死期を早めてしまう可能性があります。
全身状態の回復を待って、
ごく少量の抗癌剤を使った治療を行いたいところですが、
その患者さんの場合、
ガンの進展が速く、
その猶予もなさそうです。
かといって、すぐに抗癌剤治療を始められる全身状態ではありません。
本当に「治療方法はありません」という患者さんには
めったにお目にかかることはありませんが、
徹底的に標準的抗癌剤治療をフルコースで行われると、
その珍しい患者さんの仲間に入ってしまいます。
多くの場合、
標準的なファーストラインの抗癌剤治療ができなくなる頃には、
患者さんの全身状態が悪化して、
「治療法無し」の宣告が下されます。
1月19日の「元気な患者さんの抗癌剤治療?」で説明したとおり、
標準的抗癌剤治療はほとんどの場合、PSがゼロか1の患者さんが対象ですから、
それから漏れた患者さんには「治療方法はなくなります」
その場合には、多少全身状態は悪くても、
抗癌剤の害毒としての影響もまだ少なく、
患者さんの免疫力も残存しており、
標準的ではない抗癌剤治療ならば十分に行うことが可能です。
残念ですが、ご相談の患者さんの場合、
少量の抗癌剤を用いて何らかの治療ができたとしても、
それは、現在の、苦痛を十分すぎるほど感じている状態を長引かせるだけに終わってしまいます。
某がんセンターの主治医の宣告どおりに
「緩和ケアだけ」がベストであるように思います。
ただ、現在の日本の緩和ケアは患者さんに対して、
「ガンに対しては完全に無治療」であることを宣告しますから、
そこには、患者さんの希望はまったくなくなります。
絶望しか存在しなくなります。
クスリにも擬似薬(ニセグスリ)があります。
「効果がありますよ」というだけで、
精神的な効果なのか、実際に病気に対してある程度の治療効果を認めます。
それをプラセボ効果と言いますが、
その程度のことは、行うべきであるように思います。
そして、それは主治医と相談して
ガン治療を行っていない病院でも可能な治療(?)だと思います。
患者さんの希望の灯火だけは消さないですむかもしれません。
以上 文責 梅澤 充
はじめは良く効いていた抗癌剤もいずれは効果が無くなり、
最終的には絶望的な全身状態に陥り、
そして、お得意の決まり文句
「もはや治療法はありません」
と宣告されます。
本日も、某がんセンターで
そのお決まりのコースを辿った患者さんのご家族が来られました。
某がんセンターでは短期入院と外来通院を織り交ぜて、
抗癌剤治療を行っていたそうですが、
その治療経過を見ると、
標準的とされる抗癌剤治療は
繰り返し繰り返し、すべてやり尽くしていました。
患者さんのご苦労は計り知れません。
「人間よくもここまで耐えられるものだな」と
思わず唸ってしまいました。
ご家族も、見ているのがつらかったと言われていました。
そして、その苦痛に満ちた一連の抗癌剤治療が終了すると
そのがんセンターでは、
患者さん本人へ、「正直(?)」に宣告するそうで、
その後、ショックからなのか食事ものどを通らなくなり、
全身状態が急速に悪化し近くの病院に入院しているそうです。
普通の精神力の人では、
「自分のガンは良くなる」と信じて、
つらい抗癌剤治療を行ってもらっていた信頼していた主治医から
「あなたは、もはや死を待つだけの状態になりました」
と、言われたら誰でも、
相当に大きなショックを受けることと思います。
誰でも鬱状態に陥るはずです。
また、普段は症状はあまり表面には出なくても、
もともと抑鬱傾向のある患者さんもいます。
そのような患者さんでは、
その一言が致命傷になることもあります。
今年もお一人、そのような気の毒な患者さんを診ました。
本日の患者さんの場合、
精神的なショックも少なくはないようですが、
持参された検査所見・写真から考えると、
抗癌剤治療終了後に急速にガンが進展してきたことが推測されました。
最大耐用量の標準的抗癌剤治療では、
全身状態が抗癌剤により極度に悪化しますから、
抗癌剤が効かなくなると、
急速にガンが進展することは珍しくありません。
その患者さんもその状態のようでした。
その状態になり、
「近くの病院に入院したけれども、
その病院ではガンの治療は一切行ってくれない。
町田胃腸病院で入院のうえ抗癌剤治療をして欲しい。」
との、ご相談でした。
そこまで悪化した身体に宿した大きなガンを
再度抗癌剤治療で縮小させて、
苦痛の無い状態を作るにはあまりにも無理があります。
私のガンに対する治療の考え方は、
何度も書いているとおり、
「治ることのないガンは、悪化させずに可能な限り長期間同居して生活していく」
「そのためには抗癌剤は終生使い続ける」
「終生使い続けるためには、容認できない副作用があってはダメ」
というものです。
ガンの悪化(増大)を抑制することが最大の目的であり、
その縮小は多くの場合考えません。
ガンは増大しなければ人の命を脅かすことはありません。
そのためには、抗癌剤は絶対に必要ですが、
人の持つ免疫の力も借りなければなりません。
しかし、フルコースの標準的な最大耐用量の抗癌剤治療が
実行されてしまうと免疫力は期待できなくなります。
それでは、ガンとの同居は難しくなります。
まして、苦痛を取り除くためにガンの縮小を期待する抗癌剤治療を行うことは
その最悪の全身状態では不可能でしょう。
そもそも、ガンの縮小を狙うのが標準的抗癌剤治療です。
その治療ができないと宣告されたのですから、
縮小を期待した治療は不可能です。
死期を早めてしまう可能性があります。
全身状態の回復を待って、
ごく少量の抗癌剤を使った治療を行いたいところですが、
その患者さんの場合、
ガンの進展が速く、
その猶予もなさそうです。
かといって、すぐに抗癌剤治療を始められる全身状態ではありません。
本当に「治療方法はありません」という患者さんには
めったにお目にかかることはありませんが、
徹底的に標準的抗癌剤治療をフルコースで行われると、
その珍しい患者さんの仲間に入ってしまいます。
多くの場合、
標準的なファーストラインの抗癌剤治療ができなくなる頃には、
患者さんの全身状態が悪化して、
「治療法無し」の宣告が下されます。
1月19日の「元気な患者さんの抗癌剤治療?」で説明したとおり、
標準的抗癌剤治療はほとんどの場合、PSがゼロか1の患者さんが対象ですから、
それから漏れた患者さんには「治療方法はなくなります」
その場合には、多少全身状態は悪くても、
抗癌剤の害毒としての影響もまだ少なく、
患者さんの免疫力も残存しており、
標準的ではない抗癌剤治療ならば十分に行うことが可能です。
残念ですが、ご相談の患者さんの場合、
少量の抗癌剤を用いて何らかの治療ができたとしても、
それは、現在の、苦痛を十分すぎるほど感じている状態を長引かせるだけに終わってしまいます。
某がんセンターの主治医の宣告どおりに
「緩和ケアだけ」がベストであるように思います。
ただ、現在の日本の緩和ケアは患者さんに対して、
「ガンに対しては完全に無治療」であることを宣告しますから、
そこには、患者さんの希望はまったくなくなります。
絶望しか存在しなくなります。
クスリにも擬似薬(ニセグスリ)があります。
「効果がありますよ」というだけで、
精神的な効果なのか、実際に病気に対してある程度の治療効果を認めます。
それをプラセボ効果と言いますが、
その程度のことは、行うべきであるように思います。
そして、それは主治医と相談して
ガン治療を行っていない病院でも可能な治療(?)だと思います。
患者さんの希望の灯火だけは消さないですむかもしれません。
以上 文責 梅澤 充



