12月21日の「がん難民・裏のコメント」に対して
『朝日新聞の「私の視点」を読んで』
と題するコメントをisonoさんからいただきました。
再掲します。
朝日のことですから、政府の方針には反対で、
「混合診療は許さん!」
「貧富の差無く、国民皆平等の医療を」といった論調なのだと思います。
混合診療についてisonoさんのご意見、お考えはコメントの文面からはハッキリとは受け取れません。
反対のように思われますが、賛成なのか反対なのかハッキリしません。
個人的にどのように考えるかは自由だと思います。
私は、基本的に健康保険診療を行っていますが、
そこに別の自由診療の医療機関のご協力を得て自費診療を行うという、
合法的な混合診療を行っている患者さんはたくさん診ています。
ガン治療では、健康保険の範囲の治療でさえ、
「高すぎてそのクスリは使えない」
という患者さんはけっして珍しくありません。
乳ガンの再発予防のための月一回の注射などでも、
何人もそのような患者さんを見てきました。
その注射では再発予防効果についてシッカリとしたエビデンスも出ています。
そのような患者さんはどうすればいいのでしょうか。
命の価値には貧富の差はないはずです。
しかし、健康保険の範囲でも、現実問題としてこのような差がでています。
一通りの検査を行って15000円を安いと感じる患者さんもいますし、
「そんなお金何処から出るの」という患者さんもおられます。
健康保険料を支払うことができない国民も少なくないと聞きます。
生活保護を受けると健康保険の範囲の治療は、
大手を振って無料で受けることができます。
朝から酒を飲んでいる生活保護者もたくさん見てきました。
一方、税金をシッカリ支払い、
切り詰めた生活を送られている患者さんが、
健康保険の範囲の治療も受けることができない。
大きな矛盾を感じます。
人間は皆、必ず平等でなければいけないのでしょうか。
勤勉な働き者も、労働を嫌う怠け者も、
平等に扱われなければならないのでしょうか。
貧富の差が、勤勉・怠惰の差では必ずしも無いとは思います。
運の差である場合も少なくはないはずです。
しかし日本は自由主義社会のはずです。
競争主義社会でもあります。
その結果、豪邸に住み、素敵な服を着ている人間も、
ボロをまとい、バラックに住んでいる人間も出ます。
それが、努力の差だけだとは言いませんが、
その人間の努力が寄与するところも少なくないはずです。
才能の差もあると思います。
若くして何十億円も稼ぐスポーツ選手もいるようです。
ともかく、どのような社会でも貧富の差は確実に存在します。
その社会において、
人間が生きるための、衣食住と同様に最低保障の一つである医療が、
均一で良いとは、私は考えません。
最低ラインを国が決めることは必要だと思います。
しかし、その最低ラインにすべての国民を押し込むのは如何なものでしょうか。
コメントの中で、
「階保険であるからこそ治療の選択もできるというものではないかしら。」
というとても気になる一文がありました。
政府が考えていることは、
「皆保険での治療は、日本全国、画一的な治療」だと思われます。
そこには治療の選択肢などありません。
ガン治療に関しては、
標準的抗癌剤治療を全国民に
最低ラインとして押し付けるものだと思われます。
誰でも、選択の余地など無く、
「対表面積当たり○○mgの抗癌剤を使う」という
ガチガチに決められた医療です。
それで満足される患者さんも少なくはないと思います。
標準的なエビデンスのある治療ですから・・・・
しかし、ご承知のとおり日本の健康保険の枠は、
必ずしもそのエビデンスに沿っているものではありません。
ハッキリと治療効果があることが証明されていても、
健康保険では認められていない治療がいくらでもあります。
現公法上では、
効果があるというエビデンスのある治療を行おうとしたとき、
それが健康保険認められていなかった場合、
その患者さんに対する医療行為すべてが健康保険で認められなくなります。
外来の窓口支払いは健康保険の3.3倍になり、
入院すれば、それもすべて支払いは3.3倍になります。
しかも、高額医療費の還付金もありません。
そこまで、リッチな患者さんはそれほど多くはないはずです。
しかし、エビデンスが証明されている「薬品代だけなら支払える」
という患者さんは少なくありません。
混合診療を認めないということは、
そのような患者さんを切り捨てることになります。
「100万円は無理だけど5万円なら大丈夫」という患者さんも、
「保険以外1円もダメ」という患者さんと
まったく同一に扱わなければならないのでしょうか。
例えばシスプラチン10mgを後発品で使えば2000円しません。
ジェムザールでも200mgなら10000円もしません。
また、胃ガン、大腸ガンその他のガンでも有効性が期待される
内服の抗癌剤で月3~4万円ですむものもあります。
高額な健康食品より廉価です。
一方、まだまだ他にもいくらでもある、
効果はあるが保険では認めていない薬剤を、
すべて健康保険で認めてしまったならば、
保険財政が成り立たなくなります。
(廉価ですむのは私が少量しか使わないからです
これらの薬剤も標準的に使えば高額になります。)
勿論、それらの治療を行ったときに副作用が発現したら、
それに対する治療は、自費になるのか保険になるのかなど、
細かい調整点はたくさんあるとは思いますが、
混合診療を認めないと、
標準以上の生活を営んでいる半数の国民の治療の幅を
大きく狭める結果になると思います。
混合診療を認めたところで、
標準的抗癌剤治療はシッカリ政府が支えてくれるでしょうから心配ありません。
最低限のガン治療はNHKもバックアップすることでしょう。
混合診療の問題は、今後も論議されながら、
最終的には認められる方向に動くと思います。(希望します)
以上 文責 梅澤 充
『朝日新聞の「私の視点」を読んで』
と題するコメントをisonoさんからいただきました。
再掲します。
お忙しいようですね。今朝の朝日新聞に「混合診療」に対する意見が載ってました。混合診療を進めて患者や医師に診察の自由を与え医療や経済の活性化を図る、という経済界からの意見に対する反論でした。本当に医療費を削減することしか考えない政府の後押しをするかのような経済界の動きには恐ろしさを感じます。アメリカ式、イギリス式の「持てる者にとっての医療」であってはならないのに。やむなく混合診療をなさるのと、混合診療の壁に阻まれる(お金がないということ)医療を認めることはまるっきり違う。確かに癌治療はむずかしいしお金がかかる。でも、階保険であるからこそ治療の選択もできるというものではないかしら。二言めには出てくる「経済の活性化」ってどういうことよ。医療費は削減しまくって、会社には減税するって、どういうことよ、と怒っています。国民の命を守ることは政府の任務ではなかったっけ?
「がん難民」の意見を読んでいて、もしかしてこういう意図もあるのかな、と思いまして。
先日、久しぶりの検査でした。マンモ、血液検査、骨密度、エコー、CT、全部で1万5000円程度。またまた、ウッソー安い、と驚きました。私の医療費をどなたか皆さんで負担してくれてる、という安心は大切ですよね。
朝日のことですから、政府の方針には反対で、
「混合診療は許さん!」
「貧富の差無く、国民皆平等の医療を」といった論調なのだと思います。
混合診療についてisonoさんのご意見、お考えはコメントの文面からはハッキリとは受け取れません。
反対のように思われますが、賛成なのか反対なのかハッキリしません。
個人的にどのように考えるかは自由だと思います。
私は、基本的に健康保険診療を行っていますが、
そこに別の自由診療の医療機関のご協力を得て自費診療を行うという、
合法的な混合診療を行っている患者さんはたくさん診ています。
ガン治療では、健康保険の範囲の治療でさえ、
「高すぎてそのクスリは使えない」
という患者さんはけっして珍しくありません。
乳ガンの再発予防のための月一回の注射などでも、
何人もそのような患者さんを見てきました。
その注射では再発予防効果についてシッカリとしたエビデンスも出ています。
そのような患者さんはどうすればいいのでしょうか。
命の価値には貧富の差はないはずです。
しかし、健康保険の範囲でも、現実問題としてこのような差がでています。
一通りの検査を行って15000円を安いと感じる患者さんもいますし、
「そんなお金何処から出るの」という患者さんもおられます。
健康保険料を支払うことができない国民も少なくないと聞きます。
生活保護を受けると健康保険の範囲の治療は、
大手を振って無料で受けることができます。
朝から酒を飲んでいる生活保護者もたくさん見てきました。
一方、税金をシッカリ支払い、
切り詰めた生活を送られている患者さんが、
健康保険の範囲の治療も受けることができない。
大きな矛盾を感じます。
人間は皆、必ず平等でなければいけないのでしょうか。
勤勉な働き者も、労働を嫌う怠け者も、
平等に扱われなければならないのでしょうか。
貧富の差が、勤勉・怠惰の差では必ずしも無いとは思います。
運の差である場合も少なくはないはずです。
しかし日本は自由主義社会のはずです。
競争主義社会でもあります。
その結果、豪邸に住み、素敵な服を着ている人間も、
ボロをまとい、バラックに住んでいる人間も出ます。
それが、努力の差だけだとは言いませんが、
その人間の努力が寄与するところも少なくないはずです。
才能の差もあると思います。
若くして何十億円も稼ぐスポーツ選手もいるようです。
ともかく、どのような社会でも貧富の差は確実に存在します。
その社会において、
人間が生きるための、衣食住と同様に最低保障の一つである医療が、
均一で良いとは、私は考えません。
最低ラインを国が決めることは必要だと思います。
しかし、その最低ラインにすべての国民を押し込むのは如何なものでしょうか。
コメントの中で、
「階保険であるからこそ治療の選択もできるというものではないかしら。」
というとても気になる一文がありました。
政府が考えていることは、
「皆保険での治療は、日本全国、画一的な治療」だと思われます。
そこには治療の選択肢などありません。
ガン治療に関しては、
標準的抗癌剤治療を全国民に
最低ラインとして押し付けるものだと思われます。
誰でも、選択の余地など無く、
「対表面積当たり○○mgの抗癌剤を使う」という
ガチガチに決められた医療です。
それで満足される患者さんも少なくはないと思います。
標準的なエビデンスのある治療ですから・・・・
しかし、ご承知のとおり日本の健康保険の枠は、
必ずしもそのエビデンスに沿っているものではありません。
ハッキリと治療効果があることが証明されていても、
健康保険では認められていない治療がいくらでもあります。
現公法上では、
効果があるというエビデンスのある治療を行おうとしたとき、
それが健康保険認められていなかった場合、
その患者さんに対する医療行為すべてが健康保険で認められなくなります。
外来の窓口支払いは健康保険の3.3倍になり、
入院すれば、それもすべて支払いは3.3倍になります。
しかも、高額医療費の還付金もありません。
そこまで、リッチな患者さんはそれほど多くはないはずです。
しかし、エビデンスが証明されている「薬品代だけなら支払える」
という患者さんは少なくありません。
混合診療を認めないということは、
そのような患者さんを切り捨てることになります。
「100万円は無理だけど5万円なら大丈夫」という患者さんも、
「保険以外1円もダメ」という患者さんと
まったく同一に扱わなければならないのでしょうか。
例えばシスプラチン10mgを後発品で使えば2000円しません。
ジェムザールでも200mgなら10000円もしません。
また、胃ガン、大腸ガンその他のガンでも有効性が期待される
内服の抗癌剤で月3~4万円ですむものもあります。
高額な健康食品より廉価です。
一方、まだまだ他にもいくらでもある、
効果はあるが保険では認めていない薬剤を、
すべて健康保険で認めてしまったならば、
保険財政が成り立たなくなります。
(廉価ですむのは私が少量しか使わないからです
これらの薬剤も標準的に使えば高額になります。)
勿論、それらの治療を行ったときに副作用が発現したら、
それに対する治療は、自費になるのか保険になるのかなど、
細かい調整点はたくさんあるとは思いますが、
混合診療を認めないと、
標準以上の生活を営んでいる半数の国民の治療の幅を
大きく狭める結果になると思います。
混合診療を認めたところで、
標準的抗癌剤治療はシッカリ政府が支えてくれるでしょうから心配ありません。
最低限のガン治療はNHKもバックアップすることでしょう。
混合診療の問題は、今後も論議されながら、
最終的には認められる方向に動くと思います。(希望します)
以上 文責 梅澤 充