先日、再発予防の治療?のことを書いた、
チョッとふざけた「純金治療?」に対して、
幾つかのコメントがありました。
まったくそのとおりだと感じます。
「苦あれば楽あり」
という言葉は、
自己防御姿勢であり、
日本人の魂の叫びであるように感じます。
先進国といわれる国の中で、
日本が、おそらく手術も研究も、
一番、進んでいると思われる胃がんに対する根治手術後、
TS-1という内服の抗がん剤を、
再発予防として飲んだ患者群と、
飲まずに、
手術後、何もしなかった患者群と比較した、
閻魔様が大好きなランダム化比較試験があります。
その結果は、
5年後に再発を認めていない確率が、
手術後にTS-1内服患者群では65.4%
同じ手術後に、
何もしなかった患者群では53.1%
という数字が出ています。
胃がんに対して、
根治手術後に5年間再発を認めないということは、
極めて「治った」に近い状態です。
65.4%は立派な数字だと感じます。
しかし、何もしなくても、
53.1%の患者さんが、
「治った」状態を得ていることも事実です。
ザックリ言って、
半分の患者さんは、
手術後の治療は必要なかったという結果です。
その結果は、
一人の人間では、
5年間待たなければ分かりません。
5年後ラッキーな結果であれば、
それでよしです。
その時に、
「飲んだおかげ」
と考えるのは当然だと思います。
ただ、半分の患者さんは、
何もしなくても同じ結果を得ていることは事実であり、
辛い思いをした、その後に、
良い結果を得たことだけをもって、
他人である、
自分以外の患者さんに勧めるのは、
如何なものかと感じます。
TS-1は飲む抗がん剤です。
65.4%という客観的な数字を出したエビデンスどおりの量で、
もしも副作用が辛ければ、
飲む量を減らすという考え方もあります。
100%を50%に減量したら、
「効果も半減」するというエビデンスは存在していません。
苦しみながら全量を飲み続けても、
三分の一の患者さんは、
再発の憂き目をみていることも事実です。
逆に根治手術後、
何もせずに、
半分以上の患者さんが、
再発に悩むことがないことも現実です。
エビデンスという患者集団でのお話しと、
一人しかいない個々の患者さんの体調、価値観を、
一歩下がって、
冷静に考えてみてください。
再発予防の治療を受けている患者さんも、
その最中に再発が起きているか否かは、
せめて毎月の腫瘍マーカーの検査程度での、
確認は必要です。
飲んでいる最中に再発に気付かず、
飲み続けてしまった、
お気の毒な患者さんもおられます。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
チョッとふざけた「純金治療?」に対して、
幾つかのコメントがありました。
再発予防の治療は、
それを実行していなくても、
再発をしていない可能性も十分にあるのが現実
と、いう風に認識してる人って、どれだけいるのでしょうか?
とても少ない気がします。
まったくそのとおりだと感じます。
「苦あれば楽あり」
という言葉は、
自己防御姿勢であり、
日本人の魂の叫びであるように感じます。
先進国といわれる国の中で、
日本が、おそらく手術も研究も、
一番、進んでいると思われる胃がんに対する根治手術後、
TS-1という内服の抗がん剤を、
再発予防として飲んだ患者群と、
飲まずに、
手術後、何もしなかった患者群と比較した、
閻魔様が大好きなランダム化比較試験があります。
その結果は、
5年後に再発を認めていない確率が、
手術後にTS-1内服患者群では65.4%
同じ手術後に、
何もしなかった患者群では53.1%
という数字が出ています。
胃がんに対して、
根治手術後に5年間再発を認めないということは、
極めて「治った」に近い状態です。
65.4%は立派な数字だと感じます。
しかし、何もしなくても、
53.1%の患者さんが、
「治った」状態を得ていることも事実です。
ザックリ言って、
半分の患者さんは、
手術後の治療は必要なかったという結果です。
その結果は、
一人の人間では、
5年間待たなければ分かりません。
5年後ラッキーな結果であれば、
それでよしです。
その時に、
「飲んだおかげ」
と考えるのは当然だと思います。
ただ、半分の患者さんは、
何もしなくても同じ結果を得ていることは事実であり、
辛い思いをした、その後に、
良い結果を得たことだけをもって、
他人である、
自分以外の患者さんに勧めるのは、
如何なものかと感じます。
TS-1は飲む抗がん剤です。
65.4%という客観的な数字を出したエビデンスどおりの量で、
もしも副作用が辛ければ、
飲む量を減らすという考え方もあります。
100%を50%に減量したら、
「効果も半減」するというエビデンスは存在していません。
苦しみながら全量を飲み続けても、
三分の一の患者さんは、
再発の憂き目をみていることも事実です。
逆に根治手術後、
何もせずに、
半分以上の患者さんが、
再発に悩むことがないことも現実です。
エビデンスという患者集団でのお話しと、
一人しかいない個々の患者さんの体調、価値観を、
一歩下がって、
冷静に考えてみてください。
再発予防の治療を受けている患者さんも、
その最中に再発が起きているか否かは、
せめて毎月の腫瘍マーカーの検査程度での、
確認は必要です。
飲んでいる最中に再発に気付かず、
飲み続けてしまった、
お気の毒な患者さんもおられます。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。