ある読者さんから、
ウラのコメントをいただきました。
興味深い内容ですので、一部抜粋し掲示します。
実名のコメントでしたがウラですので、
名前は「名無しさん」としておきます。
また、文意が変わらない範囲で文章を変更しました。
私は、外科医であり「抗癌剤治療の専門医」ではありません。
抗癌剤治療の専門医とは腫瘍内科医のことです。
私の抗癌剤治療は、
かつて日本全国でそうであったように、
外科医が片手間仕事で行っていた抗癌剤治療の延長線上にあります。
外科医として、メスという凶器を持ってガンと闘う手術を通してガンという病気を見て、
その唯一の根治手段である手術が不可能であるガンに対して、
(現在、状況によっては手術不能でも放射線治療での根治はありえます)
メスと同じように、一歩間違えれば人を殺す毒薬である抗癌剤の使い方を考えて治療をしているだけです。
外科医の目から見て、
根治不能であるガン患者さんが何を求めているのかを考えて治療しているだけです。
専門家ではありません。
抗癌剤はそのための一つの道具に過ぎません。
手術も、放射線も、使える道具は何でも使います。
弁護士の詭弁ではないでしょうか。
それを言うなら、薬害で亡くなった人も、
たまたま運悪く「交通事故」で亡くなっただけです。
医者にも製薬会社にも責任はないのではないでしょうか。
どんなクスリにも副作用による死亡事故は起こりえます。
普通の蕎麦を食べてショックで死ぬ人間もいます。
単に「その人に効いた」レベルであれば、
アガリクスと全く同じ論理です。
全てのクスリは「効く」という「科学的な裏付け」があります。
抗癌剤の場合、何を持って「効く」とするかには疑問もありますが・・・
ガンが小さくなっても、延命がなければ、
本来は「効く」とは言うべきではないと思います。
かつては、縮小効果だけで「効く」という言葉が使われていました。
今だに、そのように解釈していると思われる腫瘍内科医も見かけます。
いずれにせよ、抗癌剤の「効く」には再現性があります。
ところで、私の抗癌剤治療では、全ての患者さんにおいて、
まさに「単にその人に効いた」だけです。
それは、同一スケヂュールで治療を行っている患者さんは一人もいないからです。
全ての患者さんでバラバラのメニューですから
再現性は全くありません。
それで良いと考えています。
しかし、現実には科学的なエビデンスのある治療を行っている方が医者は安全です。
弁護士の「その人に効いただけ」などとの詭弁を封じ込めることができます。
個々の患者さんを考えた治療では、
再現性がないですから、医者が危険に曝されます。
したがって、医者は医者にとって安全な治療を求めます。
まったく馬鹿げた薬害裁判などもありますが、
現在の医療訴訟を見ていると、
医療に対する法律の不適切な介入が、
健全な医療を歪めているという面も多分にあります。
ところで、「イレッサを使うとき抵抗はないのか?」なる質問は、
何処までお考えの上での質問かは分かりませんが・・・・
どんな抗癌剤でも副作用はあります。
ほとんどの抗癌剤には間質性肺炎という副作用もあります。
全ての医者は、抗癌剤の性質を知っていれば、
抗癌剤治療を行うときに「抵抗」はあると思います。
私は、外科医ですが、
メスを持って人の身体を傷つけるときに
「抵抗」を持たない外科医はいないはずです。
「胃ガンだから胃を全摘する。」
言葉では簡単ですが、
その患者さんにとって、
その患者さんが生きてきた期間、
一時も休まず健気に働いていた臓器を取り去ってしまう。
それに「抵抗」を感じない外科医など存在しません。
当然、術死のこともアタマを過ぎります。
しかし「そのガンに対して手術を行わなかったならばドウなるのか。」
を考えれば、「抵抗」など瞬時に吹っ飛びます。
「抵抗」の先にあるのは患者さんの死です。
抗癌剤、イレッサとてまったく同様です。
イレッサを科学の目だけで見たら、
毎年5万人が肺ガンで亡くなっている、その全ての患者さんに
亡くなる前には必ず一度は使われなければならないクスリだと思います。
しかし現在の日本では、
ヒステリックに、鵜の目鷹の目で医者を見ているマスコミのために、
そして、
自己責任をすっかり忘れてしまっている患者さんを見て、
医者の自己防衛のためにその使用に「抵抗」を感じる医者は
少なくないのではないでしょうか。
私は、2002年の9月に保険適応になって以来、
イレッサを使い続けている患者さんを診ています。
4年5ヶ月です。
その患者さんはイレッサがなかったら4年以上前に目を瞑っていると思います。
一方イレッサの副作用で亡くなられた患者さんも、
イレッサを使わなければ数ヶ月で亡くなられた患者さんではないでしょうか。
イレッサのために48ヶ月の命がもらえた患者さんが一人いれば、
4ヶ月寿命を縮めた患者さんが11人いても、失った寿命は44ヶ月です。
イレッサは有用なクスリと判断するべきではないかと思います。
確率的にはもっと遥かに有効なクスリだと思います。
現在継続中の4年5ヶ月は最長ですが、
2年を超えた患者さんは何人も診てきました。
また、「もはや1〜2週間」と思われた患者さんで
半年だけでも社会復帰された方も診ました。
なお、肺ガンの最期も本当に苦しむことが多く、
今までにも、何人もの患者さん、ご家族から、
「殺してください」と言われています。
イレッサで一度は見事に蘇った患者さんの最期もそうでした。
私は、2006年3月29日の「医学と科学」で書いたとおり、
「医療の現場での医学は必ずしも科学である必要はない」と考えています。
また、科学であってはならない場面にも多々遭遇します。
しかし、その根本には科学があり、
科学的な見方も絶対に必要です。
特にイレッサを考えるとき、
マスコミにより大きく歪められた真実により、
科学を忘れてしまっている患者さん、
科学を忘れざるを得なくさせらている医者が大勢いることはとても残念です。
イレッサを使うときに、「医者が抵抗を感じる」ような社会では
患者さんが望む医療の発展は無いと思います。
以上 文責 梅澤 充
ウラのコメントをいただきました。
興味深い内容ですので、一部抜粋し掲示します。
実名のコメントでしたがウラですので、
名前は「名無しさん」としておきます。
また、文意が変わらない範囲で文章を変更しました。
・・・・・前文省略・・・・・
「効く人がいる」というのは、科学(再現性が必要?)ではなく、単に「その人に効いた」だけであるということも、ある弁護士は主張していました。
そこで、抗がん剤治療の専門医である梅沢先生に、もし、お答えいただけたら幸いですが、なにか支障があれば無視していただいて結構です、とお伝えした上で、お聞きしたいことがあります。
現場の医師は、イレッサを使用することに抵抗はないのでしょうか。
イレッサに「有用性がある」というのは、間質性肺炎によって亡くなる(ものすごく苦しいそうですね)リスクをおかしても、なお見るべきものがあるのでしょうか。
私自身も4年前に母をスキルス胃がんで亡くし、抗がん剤の有用性について興味があり、専門医の意見をぜひ伺いたいと思い、投稿しました。
私は、外科医であり「抗癌剤治療の専門医」ではありません。
抗癌剤治療の専門医とは腫瘍内科医のことです。
私の抗癌剤治療は、
かつて日本全国でそうであったように、
外科医が片手間仕事で行っていた抗癌剤治療の延長線上にあります。
外科医として、メスという凶器を持ってガンと闘う手術を通してガンという病気を見て、
その唯一の根治手段である手術が不可能であるガンに対して、
(現在、状況によっては手術不能でも放射線治療での根治はありえます)
メスと同じように、一歩間違えれば人を殺す毒薬である抗癌剤の使い方を考えて治療をしているだけです。
外科医の目から見て、
根治不能であるガン患者さんが何を求めているのかを考えて治療しているだけです。
専門家ではありません。
抗癌剤はそのための一つの道具に過ぎません。
手術も、放射線も、使える道具は何でも使います。
『「効く人がいる」というのは、科学(再現性が必要?)ではなく、
単に「その人に効いた」だけであるということも、ある弁護士は主張していました。』
弁護士の詭弁ではないでしょうか。
それを言うなら、薬害で亡くなった人も、
たまたま運悪く「交通事故」で亡くなっただけです。
医者にも製薬会社にも責任はないのではないでしょうか。
どんなクスリにも副作用による死亡事故は起こりえます。
普通の蕎麦を食べてショックで死ぬ人間もいます。
単に「その人に効いた」レベルであれば、
アガリクスと全く同じ論理です。
全てのクスリは「効く」という「科学的な裏付け」があります。
抗癌剤の場合、何を持って「効く」とするかには疑問もありますが・・・
ガンが小さくなっても、延命がなければ、
本来は「効く」とは言うべきではないと思います。
かつては、縮小効果だけで「効く」という言葉が使われていました。
今だに、そのように解釈していると思われる腫瘍内科医も見かけます。
いずれにせよ、抗癌剤の「効く」には再現性があります。
ところで、私の抗癌剤治療では、全ての患者さんにおいて、
まさに「単にその人に効いた」だけです。
それは、同一スケヂュールで治療を行っている患者さんは一人もいないからです。
全ての患者さんでバラバラのメニューですから
再現性は全くありません。
それで良いと考えています。
しかし、現実には科学的なエビデンスのある治療を行っている方が医者は安全です。
弁護士の「その人に効いただけ」などとの詭弁を封じ込めることができます。
個々の患者さんを考えた治療では、
再現性がないですから、医者が危険に曝されます。
したがって、医者は医者にとって安全な治療を求めます。
まったく馬鹿げた薬害裁判などもありますが、
現在の医療訴訟を見ていると、
医療に対する法律の不適切な介入が、
健全な医療を歪めているという面も多分にあります。
ところで、「イレッサを使うとき抵抗はないのか?」なる質問は、
何処までお考えの上での質問かは分かりませんが・・・・
どんな抗癌剤でも副作用はあります。
ほとんどの抗癌剤には間質性肺炎という副作用もあります。
全ての医者は、抗癌剤の性質を知っていれば、
抗癌剤治療を行うときに「抵抗」はあると思います。
私は、外科医ですが、
メスを持って人の身体を傷つけるときに
「抵抗」を持たない外科医はいないはずです。
「胃ガンだから胃を全摘する。」
言葉では簡単ですが、
その患者さんにとって、
その患者さんが生きてきた期間、
一時も休まず健気に働いていた臓器を取り去ってしまう。
それに「抵抗」を感じない外科医など存在しません。
当然、術死のこともアタマを過ぎります。
しかし「そのガンに対して手術を行わなかったならばドウなるのか。」
を考えれば、「抵抗」など瞬時に吹っ飛びます。
「抵抗」の先にあるのは患者さんの死です。
抗癌剤、イレッサとてまったく同様です。
イレッサを科学の目だけで見たら、
毎年5万人が肺ガンで亡くなっている、その全ての患者さんに
亡くなる前には必ず一度は使われなければならないクスリだと思います。
しかし現在の日本では、
ヒステリックに、鵜の目鷹の目で医者を見ているマスコミのために、
そして、
自己責任をすっかり忘れてしまっている患者さんを見て、
医者の自己防衛のためにその使用に「抵抗」を感じる医者は
少なくないのではないでしょうか。
私は、2002年の9月に保険適応になって以来、
イレッサを使い続けている患者さんを診ています。
4年5ヶ月です。
その患者さんはイレッサがなかったら4年以上前に目を瞑っていると思います。
一方イレッサの副作用で亡くなられた患者さんも、
イレッサを使わなければ数ヶ月で亡くなられた患者さんではないでしょうか。
イレッサのために48ヶ月の命がもらえた患者さんが一人いれば、
4ヶ月寿命を縮めた患者さんが11人いても、失った寿命は44ヶ月です。
イレッサは有用なクスリと判断するべきではないかと思います。
確率的にはもっと遥かに有効なクスリだと思います。
現在継続中の4年5ヶ月は最長ですが、
2年を超えた患者さんは何人も診てきました。
また、「もはや1〜2週間」と思われた患者さんで
半年だけでも社会復帰された方も診ました。
なお、肺ガンの最期も本当に苦しむことが多く、
今までにも、何人もの患者さん、ご家族から、
「殺してください」と言われています。
イレッサで一度は見事に蘇った患者さんの最期もそうでした。
私は、2006年3月29日の「医学と科学」で書いたとおり、
「医療の現場での医学は必ずしも科学である必要はない」と考えています。
また、科学であってはならない場面にも多々遭遇します。
しかし、その根本には科学があり、
科学的な見方も絶対に必要です。
特にイレッサを考えるとき、
マスコミにより大きく歪められた真実により、
科学を忘れてしまっている患者さん、
科学を忘れざるを得なくさせらている医者が大勢いることはとても残念です。
イレッサを使うときに、「医者が抵抗を感じる」ような社会では
患者さんが望む医療の発展は無いと思います。
以上 文責 梅澤 充



