人間に福音をもたらすクスリには、
「有用性が危険性を遥かに上回らねければならない」
という掟があります。
一昨日の1月21日の「イレッサについての質問」に対して、
そのようなウラのコメントがありました。
「だからイレッサはダメ!」
と言いたいような感じを受けるコメントでした。
少なくとも私はそのように受け止めました。
「有用性が危険性を遥かに上回る」
当然のことです。
ある風邪薬を飲むと
「咳と鼻水はすぐに止まるけれど、心臓が止まる患者さんも時々いる」
では洒落になりません。
糖尿病のクスリを飲んで、
「血糖値は見事に下がるけど、
下がり過ぎてフラフラになり歩くこともできなくなる」
ではクスリとは呼べません。
有用性が危険性を上回っていません。
一方抗癌剤はドウでしょうか。
一つの抗癌剤でも、その副作用を調べると、
ゾロゾロとイヤと言うほど、といくらでも出てきます。
ほとんどの抗癌剤で、あらゆる副作用が発現する可能性があります。
致死的な副作用もたくさんあります。
高血圧や糖尿病、消化器病に対する薬剤で致命的な副作用を発現するものは存在しません。
しかし、抗癌剤ではそれが許されています。
それはガンが、放置すれば患者さんを死に至らしめる病気だからです。
放っておけば死んでしまう。
だから、クスリで死ぬ可能性があってもそれは許されるのです。
しかし、
「あるクスリを使うと死亡する確率が90%。しかも即死する。」
そんなクスリが許されることはありません。
しかし、「そのクスリを使うと10%の患者さんのガンが根治する。」となれば、チョット考えさせられます。
そのガンを放置した場合、
あるいは他の治療では、
統計的に6ヶ月しか生きることができない。
一方10%の患者さんのガンが根治する。
すなわち100人のうち10人のガンが治る。
天寿をまっとうする。
その100人の患者さんの年齢から考えた普通の人の平均余命が30年だとすると、
無謀とも思える冒険をした挑戦者たちのうち10人は
30年×10人 = 300年 のご褒美をもらえることになります。
一方失う命は0.5年×90人 = 45年です。
90%の患者さんが薬害で即死する。
というデタラメなクスリでも、
ガン治療に関していえば許される可能性があります。
勿論、そんな馬鹿げたクスリはありませんが、
もしあれば、使いたいと考える患者さんは少なくないと思います。
多くの患者さんは挑戦すると思います。
抗癌剤治療の副作用は、
恐ろしいものも少なくありません。
しかし、ガンという病気の結末は最悪であることは
誰でも承知していることではないでしょうか。
副作用を恐れるあまり、
極めて有効な武器を放棄することは、
あまりにも愚かな行為だと思います。
抗癌剤治療の場合、
先ほどの300年と45年の比較ほど
ハッキリとした差が出ていなくとも、
例え1年、1ヶ月1週間の差であったとしても、
少しでも有利な薬剤は許されるのではないかと思います。
必ずしも、「遥かに上回る」必要はないと思います。
そもそも、標準的抗癌剤治療では、
無治療と比較して数ヶ月の延命ができるというだけのものです。
そして、標準的な最大耐用量の抗癌剤治療を行った患者さんでは、
無治療の患者さんより早く目を瞑ってしまう患者さんもたくさん出ます。
しかし、平均すると無治療よりは数ヶ月の延命が可能だから、
という理由だけで認められているに過ぎません。
全ての標準的な抗癌剤治療では、
相当数の患者さんが、無治療でいるより寿命を縮めています。
しかも、辛い辛い思いをして。
それが証拠に、
ほんの10数年前まで、
抗癌剤治療では、平均すると無治療と比較して、
延命効果は認められませんでした。
抗癌剤治療では、
そのリスクとメリットを慎重に考えて、
必要な武器を放棄するような愚行だけは避けてください。
ただし、副作用により不幸な結末に終わったときには
それは自己責任であることだけはお忘れなく。
以上 文責 梅澤 充
「有用性が危険性を遥かに上回らねければならない」
という掟があります。
一昨日の1月21日の「イレッサについての質問」に対して、
そのようなウラのコメントがありました。
「だからイレッサはダメ!」
と言いたいような感じを受けるコメントでした。
少なくとも私はそのように受け止めました。
「有用性が危険性を遥かに上回る」
当然のことです。
ある風邪薬を飲むと
「咳と鼻水はすぐに止まるけれど、心臓が止まる患者さんも時々いる」
では洒落になりません。
糖尿病のクスリを飲んで、
「血糖値は見事に下がるけど、
下がり過ぎてフラフラになり歩くこともできなくなる」
ではクスリとは呼べません。
有用性が危険性を上回っていません。
一方抗癌剤はドウでしょうか。
一つの抗癌剤でも、その副作用を調べると、
ゾロゾロとイヤと言うほど、といくらでも出てきます。
ほとんどの抗癌剤で、あらゆる副作用が発現する可能性があります。
致死的な副作用もたくさんあります。
高血圧や糖尿病、消化器病に対する薬剤で致命的な副作用を発現するものは存在しません。
しかし、抗癌剤ではそれが許されています。
それはガンが、放置すれば患者さんを死に至らしめる病気だからです。
放っておけば死んでしまう。
だから、クスリで死ぬ可能性があってもそれは許されるのです。
しかし、
「あるクスリを使うと死亡する確率が90%。しかも即死する。」
そんなクスリが許されることはありません。
しかし、「そのクスリを使うと10%の患者さんのガンが根治する。」となれば、チョット考えさせられます。
そのガンを放置した場合、
あるいは他の治療では、
統計的に6ヶ月しか生きることができない。
一方10%の患者さんのガンが根治する。
すなわち100人のうち10人のガンが治る。
天寿をまっとうする。
その100人の患者さんの年齢から考えた普通の人の平均余命が30年だとすると、
無謀とも思える冒険をした挑戦者たちのうち10人は
30年×10人 = 300年 のご褒美をもらえることになります。
一方失う命は0.5年×90人 = 45年です。
90%の患者さんが薬害で即死する。
というデタラメなクスリでも、
ガン治療に関していえば許される可能性があります。
勿論、そんな馬鹿げたクスリはありませんが、
もしあれば、使いたいと考える患者さんは少なくないと思います。
多くの患者さんは挑戦すると思います。
抗癌剤治療の副作用は、
恐ろしいものも少なくありません。
しかし、ガンという病気の結末は最悪であることは
誰でも承知していることではないでしょうか。
副作用を恐れるあまり、
極めて有効な武器を放棄することは、
あまりにも愚かな行為だと思います。
抗癌剤治療の場合、
先ほどの300年と45年の比較ほど
ハッキリとした差が出ていなくとも、
例え1年、1ヶ月1週間の差であったとしても、
少しでも有利な薬剤は許されるのではないかと思います。
必ずしも、「遥かに上回る」必要はないと思います。
そもそも、標準的抗癌剤治療では、
無治療と比較して数ヶ月の延命ができるというだけのものです。
そして、標準的な最大耐用量の抗癌剤治療を行った患者さんでは、
無治療の患者さんより早く目を瞑ってしまう患者さんもたくさん出ます。
しかし、平均すると無治療よりは数ヶ月の延命が可能だから、
という理由だけで認められているに過ぎません。
全ての標準的な抗癌剤治療では、
相当数の患者さんが、無治療でいるより寿命を縮めています。
しかも、辛い辛い思いをして。
それが証拠に、
ほんの10数年前まで、
抗癌剤治療では、平均すると無治療と比較して、
延命効果は認められませんでした。
抗癌剤治療では、
そのリスクとメリットを慎重に考えて、
必要な武器を放棄するような愚行だけは避けてください。
ただし、副作用により不幸な結末に終わったときには
それは自己責任であることだけはお忘れなく。
以上 文責 梅澤 充



