産婦人科の手術を行い、
患者さんが亡くなられたことに対して、
昨年の2月にその執刀医が逮捕されるという、
誠に痛ましい事件がありました。
全く信じられない出来事でした。
勿論、「信じられ・痛ましい」のは、
手術による患者さんの死亡ではありません。
執刀医の逮捕です。
しかも、裁判の争点を見てみると、
「胎盤の剥離を進めるべきではなく、子宮摘出に踏み切るべきであった。
その判断を誤ったため、出血多量で患者を死に至らしめた。業務上過失である。」
検察・警察は産婦人科の専門医なのでしょうか。
裁判官はそれを裁けるのでしょうか。
婦人科の医者の意見では、
その判断は専門家でも極めて難しいそうです。
恐らくエビデンスなど無いのだと思います。
手術はすべてケースバイケースであり、
一人して同じ人体構造をした患者さんはいません。
すべての患者さんで手術方法は多少は変わってきます。
ガンの定型的な手術では
その手術手技に対して一応のエビデンスのようなものがありますが、
緊急で行われる手術にはほとんどの場合そのようなエビデンスは存在しません。
エビデンスがシッカリしている手術で、
そのエビデンスに反したことを行い
不幸な結果に終わった場合には、
その執刀医は多少の責任は負わなければならないかも知れません。
しかし、死ぬか生きるかの緊急手術の結果が
思わしくなかったから逮捕されるのでは、
外科医は堪ったものではありません。
医者は、病気が患者さんを殺してくれるのを
待つようになるでしょう。
医療行為は常に死と隣り合わせにあります。
そして、死とは人間にとって一番避けたい最大のイベントです。
そのイベントを運んでしまったら、逮捕される。
先日、ある外科医とお酒を飲みながら話をしたときにも、
「もう怖くてオペはできない」
という意見で一致しました。
間も無く、医学部も卒業生を迎えますが、
外科系志望者はますます減少することと思います。
そのうち、自己責任の欠如した日本では、
外科医が存在しなくなる時代が到来するものと思われます。
しかし、フト考えると、
抗癌剤治療とて同じです。
エビデンスの無い治療を行って、
患者さんがガンで亡くなった場合にも逮捕されてしまうのでしょか。
エビデンスが無いのだから、
その治療はまったく無効かも知れない。
したがって、無効な治療を、
100%の死が分かっている病気に対して行ったのだから
未必の故意による殺人だ。
という因縁を付けられかねません。
「イレッサがタキソテールでの治療より勝ってはいなかった。」
との記事が新聞に出ていましたが、
イレッサをタキソテール先に使って、
患者さんが間質性肺炎で死亡したら
その医者は逮捕されてしまうのでしょうか。
医師の裁量権はすべて奪われてしまうのでしょうか。
患者さんの
「先生にすべてお任せします」
などの言葉に乗せられて、
患者さんにとって最善と考える治療を行い、
不幸な結果が出たら逮捕でしょうか・・・・
なお、あのイレッサの記事は、
「イレッサに治療効果が無い」ということではありません。
タキソテールと統計学的に同等の効果だったということです。
有り得ないことと思いますが、
万一、逮捕された気の毒な産婦人科医が
有罪にでもなることがあったならば、
本当に日本の医療は、
完全に萎縮してしまい、
「患者のための医療」など存在しなくなると思います。
外科医の数も加速度的に減少することでしょう。
医者も人間。
一番可愛いのは自分のハズです。
医者を責めることは、
結局自分にその付けが廻ってきます。
ご注意ください。
以上 文責 梅澤 充
患者さんが亡くなられたことに対して、
昨年の2月にその執刀医が逮捕されるという、
誠に痛ましい事件がありました。
全く信じられない出来事でした。
勿論、「信じられ・痛ましい」のは、
手術による患者さんの死亡ではありません。
執刀医の逮捕です。
しかも、裁判の争点を見てみると、
「胎盤の剥離を進めるべきではなく、子宮摘出に踏み切るべきであった。
その判断を誤ったため、出血多量で患者を死に至らしめた。業務上過失である。」
検察・警察は産婦人科の専門医なのでしょうか。
裁判官はそれを裁けるのでしょうか。
婦人科の医者の意見では、
その判断は専門家でも極めて難しいそうです。
恐らくエビデンスなど無いのだと思います。
手術はすべてケースバイケースであり、
一人して同じ人体構造をした患者さんはいません。
すべての患者さんで手術方法は多少は変わってきます。
ガンの定型的な手術では
その手術手技に対して一応のエビデンスのようなものがありますが、
緊急で行われる手術にはほとんどの場合そのようなエビデンスは存在しません。
エビデンスがシッカリしている手術で、
そのエビデンスに反したことを行い
不幸な結果に終わった場合には、
その執刀医は多少の責任は負わなければならないかも知れません。
しかし、死ぬか生きるかの緊急手術の結果が
思わしくなかったから逮捕されるのでは、
外科医は堪ったものではありません。
医者は、病気が患者さんを殺してくれるのを
待つようになるでしょう。
医療行為は常に死と隣り合わせにあります。
そして、死とは人間にとって一番避けたい最大のイベントです。
そのイベントを運んでしまったら、逮捕される。
先日、ある外科医とお酒を飲みながら話をしたときにも、
「もう怖くてオペはできない」
という意見で一致しました。
間も無く、医学部も卒業生を迎えますが、
外科系志望者はますます減少することと思います。
そのうち、自己責任の欠如した日本では、
外科医が存在しなくなる時代が到来するものと思われます。
しかし、フト考えると、
抗癌剤治療とて同じです。
エビデンスの無い治療を行って、
患者さんがガンで亡くなった場合にも逮捕されてしまうのでしょか。
エビデンスが無いのだから、
その治療はまったく無効かも知れない。
したがって、無効な治療を、
100%の死が分かっている病気に対して行ったのだから
未必の故意による殺人だ。
という因縁を付けられかねません。
「イレッサがタキソテールでの治療より勝ってはいなかった。」
との記事が新聞に出ていましたが、
イレッサをタキソテール先に使って、
患者さんが間質性肺炎で死亡したら
その医者は逮捕されてしまうのでしょうか。
医師の裁量権はすべて奪われてしまうのでしょうか。
患者さんの
「先生にすべてお任せします」
などの言葉に乗せられて、
患者さんにとって最善と考える治療を行い、
不幸な結果が出たら逮捕でしょうか・・・・
なお、あのイレッサの記事は、
「イレッサに治療効果が無い」ということではありません。
タキソテールと統計学的に同等の効果だったということです。
有り得ないことと思いますが、
万一、逮捕された気の毒な産婦人科医が
有罪にでもなることがあったならば、
本当に日本の医療は、
完全に萎縮してしまい、
「患者のための医療」など存在しなくなると思います。
外科医の数も加速度的に減少することでしょう。
医者も人間。
一番可愛いのは自分のハズです。
医者を責めることは、
結局自分にその付けが廻ってきます。
ご注意ください。
以上 文責 梅澤 充




