抗がん剤治療というと、
点滴を連想される患者さんが多いようですが、
「飲む抗がん剤」も、
頻繁に使われています。
分子標的薬などの、
広い意味での抗がん剤にも、
内服薬もあります。
エルプラット(一般名:オキサリプラチン)の独占販売の特許が、
まだ切れていないときには、
大腸がん手術後の再発確率の低下を目的として、
オキサリプラチンは盛んに使われていたようですが、
現在では、その特許も期限切れ。
主要製薬メーカーもあまり宣伝しなくなり、
現在では、
大腸がん手術後の再発予防は、
内服薬が主役になっているようです。
治ることは期待できなくなった再発乳がんの治療でも、
TS-1という内服薬から治療を開始したほうが、
副作用の厳しい点滴から開始するより、
QOLは格段に高く、
生きていることが叶う時間は同じ、
というデータ・エビデンスが出されています。
強烈な毒の点滴がお好きな、
一部の閻魔様には、
手持無沙汰のようで、
エビデンスがあっても、
いまだに厳しい点滴から開始する施設もあるようです。
それはともかく、
飲む抗がん剤にも、
当然、副作用はあります。
しかし点滴の抗がん剤による副作用と、
決定的に違うことは、
患者さん自ら飲まなければ、
副作用は発現しないという事実です。
特殊な分子標的薬の内服薬などでは、
飲み始めの1週間2週間程度は、
副作用の状況を確認するため、
入院環境で飲むことが推奨されている薬剤もありますが、
多くの細胞毒の内服抗がん剤は、
毎日、ご自宅で、患者さんご自身の手で開封して飲みます。
内服抗がん剤では、
1回飲んだだけで、
容認不能の副作用が出ることはほとんどありません。
毎日飲み続けると、
徐々に副作用が発現します。
その時、副作用が辛かったら、
減量するか、
あるいは休薬するか、
ご自身の体調と相談して、
飲む量を決めることができます。
はじめに100%の量で処方されても、
全部飲む勇気がなければ、
10分の1、
5分の1程度から飲み始めて、
徐々に増量して、
患者さんご自身の身体で、
副作用が容認できる最大量を探し出して、
その手前の量を続ければ、
それでイイだけです。
副作用と効果は、
完全に次元の違うクスリの「作用」であり、
両者はまったく比例しません。
再発予防の目的で抗がん剤を飲む場合は、
一定期限が決まっていますから、
その期間だけ、
「この程度なら大丈夫」と感じれば、
飲むことも悪くはないかも知れません。
しかし、実際に治ることがない、
再発病巣を観ている場合には、
いくら辛い思いをしても、
治ることなど、
はじめから想定外の治療(儀式?)ですから、
容認し難い辛い副作用が出ていれば、
がんの増大抑制や縮小効果が観られた場合でも、
それは続けるべきではないと考えます。
治らないということは、
その薬剤に効果が観られなくなるまで、
その量を続ける、
すなわち、容認不能の副作用も、
一緒に続くということを意味しますから、
副作用が日常生活の支障にならない程度にまで減量して、
それで敵の様子を観察する。
その時の敵の出方により、
その先の戦法を考える、
それに尽きるように感じます。
処方された量、
全部を律儀に飲み、
副作用に苦しむ。
それは馬鹿げています。
クスリの役割と限界を、
十分に考えてください。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
点滴を連想される患者さんが多いようですが、
「飲む抗がん剤」も、
頻繁に使われています。
分子標的薬などの、
広い意味での抗がん剤にも、
内服薬もあります。
エルプラット(一般名:オキサリプラチン)の独占販売の特許が、
まだ切れていないときには、
大腸がん手術後の再発確率の低下を目的として、
オキサリプラチンは盛んに使われていたようですが、
現在では、その特許も期限切れ。
主要製薬メーカーもあまり宣伝しなくなり、
現在では、
大腸がん手術後の再発予防は、
内服薬が主役になっているようです。
治ることは期待できなくなった再発乳がんの治療でも、
TS-1という内服薬から治療を開始したほうが、
副作用の厳しい点滴から開始するより、
QOLは格段に高く、
生きていることが叶う時間は同じ、
というデータ・エビデンスが出されています。
強烈な毒の点滴がお好きな、
一部の閻魔様には、
手持無沙汰のようで、
エビデンスがあっても、
いまだに厳しい点滴から開始する施設もあるようです。
それはともかく、
飲む抗がん剤にも、
当然、副作用はあります。
しかし点滴の抗がん剤による副作用と、
決定的に違うことは、
患者さん自ら飲まなければ、
副作用は発現しないという事実です。
特殊な分子標的薬の内服薬などでは、
飲み始めの1週間2週間程度は、
副作用の状況を確認するため、
入院環境で飲むことが推奨されている薬剤もありますが、
多くの細胞毒の内服抗がん剤は、
毎日、ご自宅で、患者さんご自身の手で開封して飲みます。
内服抗がん剤では、
1回飲んだだけで、
容認不能の副作用が出ることはほとんどありません。
毎日飲み続けると、
徐々に副作用が発現します。
その時、副作用が辛かったら、
減量するか、
あるいは休薬するか、
ご自身の体調と相談して、
飲む量を決めることができます。
はじめに100%の量で処方されても、
全部飲む勇気がなければ、
10分の1、
5分の1程度から飲み始めて、
徐々に増量して、
患者さんご自身の身体で、
副作用が容認できる最大量を探し出して、
その手前の量を続ければ、
それでイイだけです。
副作用と効果は、
完全に次元の違うクスリの「作用」であり、
両者はまったく比例しません。
再発予防の目的で抗がん剤を飲む場合は、
一定期限が決まっていますから、
その期間だけ、
「この程度なら大丈夫」と感じれば、
飲むことも悪くはないかも知れません。
しかし、実際に治ることがない、
再発病巣を観ている場合には、
いくら辛い思いをしても、
治ることなど、
はじめから想定外の治療(儀式?)ですから、
容認し難い辛い副作用が出ていれば、
がんの増大抑制や縮小効果が観られた場合でも、
それは続けるべきではないと考えます。
治らないということは、
その薬剤に効果が観られなくなるまで、
その量を続ける、
すなわち、容認不能の副作用も、
一緒に続くということを意味しますから、
副作用が日常生活の支障にならない程度にまで減量して、
それで敵の様子を観察する。
その時の敵の出方により、
その先の戦法を考える、
それに尽きるように感じます。
処方された量、
全部を律儀に飲み、
副作用に苦しむ。
それは馬鹿げています。
クスリの役割と限界を、
十分に考えてください。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。