昨日の「無謀な戦い」でも書きましたが、
当たり前の儀式として執行される、
残忍なまでの「標準」では、
その執行開始を指示した閻魔様という司令官は、
一度はじめてしまった作戦遂行の命令を、
簡単には取り下げることはできません。
そこには巨大な利害関係も絡んでいます。
治らないがんを宿した患者さんは、
そこに一歩足を踏み込んでしまうと、
アリ地獄のような世界が広がっています。
しかし、それは、
必ずしも閻魔様だけの責任ではありません。
「そんな量では責任は持てません」
などと大見栄を切っても、
はじめから、如何なる治療・儀式でも、
責任を取ることなどは医療者にはできません。
手術後合併症のために、
患者さんを救命するために ICU に泊まり込み、
明らかな過労死をした先輩外科医は観ていますが、
患者さんの当然の死を観て、
腹を切った腫瘍内科医は観たことも、
聞いたこともありません。
責任問題はともかく、
治らないことが分かっているがんに対して、
一発「標準」を受けてしまうと、
身体が自分のモノではないように感じてしまうほどの、
あまりにも辛く厳しい副作用を受けても、
その一回限りで逃げ出すことはできません。
患者さんご自身が逃げ出すための材料を見せない、
すなわち「検査をしない」こともありますが、
悩みに悩んで、「標準」を選択した患者さん、ご家族では、
健康保険とはいえ莫大な額の薬剤費と入院費を支払わされています。
その上、残忍なまでの副作用を受けています。
しかし「標準」とは、
規定された間隔で、
規定された回数を繰り返すことがエビデンスです。
患者さんは、
止めたいと思っても、
規定回数をこなしたい閻魔様からは、
1 回だけではエビデンスは無いことを盾にして、
「1 回だけでは効果は無い」
「1 回目の苦労が水の泡になる」
と云うような脅し文句が出てきます。
同時に、患者さんとしても、
1 回で離脱したら、
あの苦しみと、
その苦悩に満ちた時間、
多額の投資が無駄になってしまう。
という「抜け出せない」発想が生まれてきます。
患者さんご自身が、
薄々ムダだと分かってきても、
その発想が、
中止の決断を鈍らせます。
2 回目まで遂行してしまうと、
その意思決定の鈍化はさらに進みます。
その結果、
ずるずる閻魔様の予定回数が執行され、
ウン良く、それが当たった患者さんには、
多少の延命が得られた可能性があることが告げられ、
ハズレを引いた患者さんには、
緩和ケアか、
次の拷問のような標準儀式が勧められます。
日本中で起きている振り込め詐欺は、
一度騙された人のほうが、
二回目も騙されやすくなるそうです。
はじめのお金が詐取されたことを、
確実に理解・納得した人は、
二回目の難は逃れるそうですが、
騙されたことに気付かないヒトでは、
二回目は、流石に詐欺だと感じても、
それを認めると、
「はじめのお金は、騙し取られた。
無駄だったことを認めてしまう」
という心理が働き、
自ら騙されるそうです。
世界最大の何十億円か何百億円の詐欺事件も、
騙されるほうも、
ウソを承知でお金を出し続けた結果と云う話があります。
「標準」を受けた患者さんに、
詳しく話をしていると、
その人の真理・弱みに付け込んで執行され続けている側面も、
シッカリと観られます。
ただし、それは「標準」だけではなく、
法外に高額な自費治療でも、
同じ患者心理につけ込む悪徳業者が居ることも事実です。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
当たり前の儀式として執行される、
残忍なまでの「標準」では、
その執行開始を指示した閻魔様という司令官は、
一度はじめてしまった作戦遂行の命令を、
簡単には取り下げることはできません。
そこには巨大な利害関係も絡んでいます。
治らないがんを宿した患者さんは、
そこに一歩足を踏み込んでしまうと、
アリ地獄のような世界が広がっています。
しかし、それは、
必ずしも閻魔様だけの責任ではありません。
「そんな量では責任は持てません」
などと大見栄を切っても、
はじめから、如何なる治療・儀式でも、
責任を取ることなどは医療者にはできません。
手術後合併症のために、
患者さんを救命するために ICU に泊まり込み、
明らかな過労死をした先輩外科医は観ていますが、
患者さんの当然の死を観て、
腹を切った腫瘍内科医は観たことも、
聞いたこともありません。
責任問題はともかく、
治らないことが分かっているがんに対して、
一発「標準」を受けてしまうと、
身体が自分のモノではないように感じてしまうほどの、
あまりにも辛く厳しい副作用を受けても、
その一回限りで逃げ出すことはできません。
患者さんご自身が逃げ出すための材料を見せない、
すなわち「検査をしない」こともありますが、
悩みに悩んで、「標準」を選択した患者さん、ご家族では、
健康保険とはいえ莫大な額の薬剤費と入院費を支払わされています。
その上、残忍なまでの副作用を受けています。
しかし「標準」とは、
規定された間隔で、
規定された回数を繰り返すことがエビデンスです。
患者さんは、
止めたいと思っても、
規定回数をこなしたい閻魔様からは、
1 回だけではエビデンスは無いことを盾にして、
「1 回だけでは効果は無い」
「1 回目の苦労が水の泡になる」
と云うような脅し文句が出てきます。
同時に、患者さんとしても、
1 回で離脱したら、
あの苦しみと、
その苦悩に満ちた時間、
多額の投資が無駄になってしまう。
という「抜け出せない」発想が生まれてきます。
患者さんご自身が、
薄々ムダだと分かってきても、
その発想が、
中止の決断を鈍らせます。
2 回目まで遂行してしまうと、
その意思決定の鈍化はさらに進みます。
その結果、
ずるずる閻魔様の予定回数が執行され、
ウン良く、それが当たった患者さんには、
多少の延命が得られた可能性があることが告げられ、
ハズレを引いた患者さんには、
緩和ケアか、
次の拷問のような標準儀式が勧められます。
日本中で起きている振り込め詐欺は、
一度騙された人のほうが、
二回目も騙されやすくなるそうです。
はじめのお金が詐取されたことを、
確実に理解・納得した人は、
二回目の難は逃れるそうですが、
騙されたことに気付かないヒトでは、
二回目は、流石に詐欺だと感じても、
それを認めると、
「はじめのお金は、騙し取られた。
無駄だったことを認めてしまう」
という心理が働き、
自ら騙されるそうです。
世界最大の何十億円か何百億円の詐欺事件も、
騙されるほうも、
ウソを承知でお金を出し続けた結果と云う話があります。
「標準」を受けた患者さんに、
詳しく話をしていると、
その人の真理・弱みに付け込んで執行され続けている側面も、
シッカリと観られます。
ただし、それは「標準」だけではなく、
法外に高額な自費治療でも、
同じ患者心理につけ込む悪徳業者が居ることも事実です。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。