その医療崩壊を助長させてしまいかねないインターネット配信の記事を見つけました。
転写します。
記事:Japan Medicine
提供:じほう
【2007年4月9日】 厚生労働省がこのほどまとめた「2006年賃金構造基本統計調査結果」によると、医師の所定内給与(月額)は前年から3万9600円増加して76万1000円(平均41.2歳)となった。一般労働者の30万1800円(同41.0歳)と比べて倍以上の水準となっている。
同調査は、労働者数が5人から9人の民営事業所と、10人以上の民営・公営事業所を対象に06年6月分の賃金や賞与などを調べた。医療関係職種については、調査対象数が多い10人以上の医療機関の調査結果を公表している。医師は6万2170人分の実態を集計した。
定期給与から残業代などを除いた所得税控除前の所定内給与は、99人以下の小規模医療機関の医師は95万6600円(平均52.2歳、前年比20%減)、100-999人の中規模医療機関は99万4000円(同44.8歳、同14%増)、1000人以上の大規模医療機関は51万9600円(同35.4歳、同8%増)だった。
男女別にみると、男性医師は平均82万6200円(平均42.9歳)で、前年の平均76万1200円(同41.1歳)に比べて6万5000円増加した。規模別にみると、小規模医療機関が103万6000円(同54.3歳)、中規模医療機関が105万9100円(同46.2歳)、大規模医療機関が57万400円(同36.8歳)と、中規模医療機関が最も高額となっている。
一方、女性医師は平均56万4000円(同36.2歳)で、昨年より3万4600円減少し、男性医師と比べると26万2200円少ない。規模別にみると、小規模医療機関は66万1100円(同44.5歳)、中規模医療機関は78万8100円(同40.1歳)、大規模医療機関は37万9200円(同31.5歳)で、男性医師と同じく、中規模医療機関が最も高い。
中規模医療機関の年間賞与は100万円超
年間賞与の医師平均は99万5500円だった。規模別にみると、小規模医療機関が94万2200円、大規模医療機関が85万4900円に対して、中規模医療機関は118万7100円。中規模医療機関のみ100万円を超えており、所定内給与と同様、高額な傾向がみられた。男女別では、男性の平均賞与105万7400円、女性医師80万8600円だった。
厚生労働省は何の目的でこのような調査を行い
そしてそれを発表をしたのでしょうか。
一般の方が読まれたら、
「2倍も給料をもらっているなんて、
勤務医はなんて高給取りで恵まれているのだろう」
と錯覚してしまうかも知れません。
そのように世間に誤解してもらいたいという意向が感じられます。
しかし、医師という職業を何故、
一般職の労働者と比較する必要があるか大きな疑問があります。
どの職種でも、
何かの資格があれば、
それに見合った待遇が用意されているはずです。
だからこそ、人々は資格や特殊技能を
時間とお金を掛けてまでも
取得しようとするのではないでしょうか。
今、手元に、新聞折込の薬局の求人広告がありますが、
それを見ると、一般事務職と薬剤師では、
時間給で2倍以上の差があります。
一般事務職員:時給1050円。
薬剤師:時給2500円とあります。
これは、当然のことではないでしょうか。
一般事務職と同じ賃金だったら
誰も、責任の重い薬剤師としての勤務などしないのではないでしょうか。
専門知識を持ち、
それに対して国家資格を取得し、
責任の重い仕事をすることができるが故に
一般事務職とは2倍以上の差がでているのではないでしょうか。
専門知識・技能を持った専門職としての医師の資格も同様だと思います。
看護師も同様ですが、
その劣悪な待遇が招いたと思われる、
看護師不足も深刻な問題になっています。
医師という職種が何時から一般職と比較されるようになったのかは知りませんが、
現在の日本の医師の待遇ならば、
一般職の人も、医師と同じように労働基準法に一切守られることなく、
過労死寸前まで働けば、
医師と同等の給与水準になるのではないでしょうか。
この記事が、厚生省が出した統計・発表ならば、
まだ分かりますが、
厚生労働省の統計です。
何故、医師だけを一般労働者と比較するのでしょうか。
医師を他職種と比べるならば、
弁護士や会計士、税理士などの有資格労働者とか、
同年齢で会社経営者とか、
勝ち組といわれるIT企業の人間とか、
はたまた大学あるいは大学院卒の同年代の厚生労働省の職員などと、
比較するべきであるように思います。
それらの職種と一般労働者の比較は無いのでしょうか。
この報道は、
近々、大幅な医療費の引き下げが行われる伏線のように思われます。
昨年の診療報酬の大幅引き下げで、
何処の病院も青息吐息です。
閉鎖に追い込まれた病院も少なくありません。
医療費の引き下げにより、
当然、医師の賃金も引き下げざるを得なくなるはずです。
人件費を抑えなければ、
一般病院は倒産します。
その時の医者の反発をあらかじめ抑制するために、
世間に対して、
「医者は高給取りのお金持ち」という誤った認識を植えつけておくことが
目的のように思えてなりません。
「医者はこんなに儲けすぎているのだから、
医療費削減のために医者の収入を減らさなければならない」
と先手を打って訴えたいのではないでしょうか。
医者という職業は、私個人的には、
待遇には満足できませんが、
遣り甲斐はある、満足のできる仕事だとは思っています。
しかし、現在の日本の勤務医で
労働条件、過重な責任、待遇などすべてを勘案して、
それに満足している医者は極めて稀ではないかと思います。
その表れが、
昨日も書いた、産婦人科医、小児科医、外科医不足にでています。
このまま、日本の医者の待遇をさらに悪化させてしまったならば、
美容形成の医者を除いて、
特定診療科の医者だけでなく、
日本からは医者そのものがいなくなってしまいます。
賃金が低く抑えられる東南アジアの医者ばかりになるかも知れません。
ちなみに、日本の医者の給与は
先進国の中では比較にならないほど低く抑えられています。
医学部の受験倍率が1倍を切る。
すなわち、受験者数が入学者定員に満たない。
医者になりたい物好きが居れば、
誰でも医学部に入学できて、医者になれる、
という日が来るのも遠くはないように思います。
このままの状態が続けば、
日本の医療は再生不能な深刻な壊滅的状態に陥ってしまうように感じます。
かつては非常に大きな利益を上げていた医者の残像に惑わされ、
現状を認識できないままの、“医者虐め”は
適当なところで止めないと取り返しのつかないことになります。
美しい国は何処へ行ってしまうのでしょうか。
以上 文責 梅澤 充



