今まで、非常につらい副作用に悩まされ続けてきた患者さんがいます。
その抗癌剤治療は入院をしないと、
受けることができないほどつらいものだったそうです。
毎月の1週間~10日程度の入院中も、
あまりにも激しい副作用で、
七転八倒していたそうです。
そのため、他の患者さんも同室の一般の部屋ではダメで、
個室でなければ入院もできず、
定期的な入院のたびに高額な個室料金を払うことになり、
その費用も相当に膨大になっていたそうです。
今まで使ってきた健康保険の範囲内のクスリでは、
治療が難しくなり
健康保険外で効果の期待できる抗癌剤を提案したときも、
「入院費用を考えたならばそんなの安いです」
「しかも、家で生活ができるなら、それをお願いします」
とのことでした。
そして、外来で、
その健康保険適応外の抗癌剤を使っていましたが、
残念ながら期待していたほどの大きな成果は得られず、
別のクスリを使うことになりました。
そのクスリは大きな副作用はありませんが、
初回だけはどうしても一泊入院して、
点滴治療をしなければなりません。
昨日一泊だけの予定で入院してもらいました。
実際には入院の必要も無い軽微な副作用なのですが、
健康保険の適応外の使用でもあり、
万が一の事態が起こっては大変ですから、
入院していただきました。
すると、入院治療と決まっただけで、
精神的な動揺がはじまり、
入院と同時に吐気をもよおし、
点滴が始まると、
トイレでゲーゲーの状態でした。
吐気を起こすようなクスリではないので、
ビックリしましたが、
本人によく話を聞いてみると、
「入院して苦しい治療をしていたときのことを思い出して、
気分が悪くなった」そうです。
今朝、病院に様子を見に行ってみると、
その患者さんは何事も無かったように、
ウキウキと、元気に退院の準備をしていました。
抗癌剤治療の強烈な副作用は、
アタマの奥底に焼き付けられてしまい、
なにかあるとその記憶が鮮明に甦り、
かつて味わったのと同様の症状が出現するようです。
やはり、非常につらい抗癌剤治療を続けた患者さんが、
私のところへ来られて治療を開始してしばらくの間、
「外来で点滴をする日の朝になると吐気が出る。」
と言っていました。
そして、病院に来て実際に抗癌剤治療がはじまると、
その吐気は消えて、
抗癌剤の点滴が終わると元気に帰っていく。
また、次の週の点滴の当日になると吐気が出る。
それを繰り返していました。
また、アドリアマイシンという
常用量で使うと非常に強い吐気を出す抗癌剤は、
独特の赤インクのような色をしていますが、
アドリアマイシンでつらい吐気を経験した患者さんは、
その赤インクの色を見るだけで吐気をもよおすといいます。
大量の抗癌剤を用いた治療では、
その治療終了後も、骨髄抑制が続き、
白血球が減少したまま、増加せず、
次の手が打てなくなる事態をしばしば経験します。
それは、大量の抗癌剤を使った治療の最大の欠点だと思います。
しかし、人間の記憶の奥底にまで、
深い爪痕も残していくようです。
昔、ある薬剤を使って繰り返し実験に使われていた犬が、
実験台の上に登らされると、それだけで、
ブルブルと震えだす姿を見たことがあります。
その光景を思い出しました。
以上 文責 梅澤 充
その抗癌剤治療は入院をしないと、
受けることができないほどつらいものだったそうです。
毎月の1週間~10日程度の入院中も、
あまりにも激しい副作用で、
七転八倒していたそうです。
そのため、他の患者さんも同室の一般の部屋ではダメで、
個室でなければ入院もできず、
定期的な入院のたびに高額な個室料金を払うことになり、
その費用も相当に膨大になっていたそうです。
今まで使ってきた健康保険の範囲内のクスリでは、
治療が難しくなり
健康保険外で効果の期待できる抗癌剤を提案したときも、
「入院費用を考えたならばそんなの安いです」
「しかも、家で生活ができるなら、それをお願いします」
とのことでした。
そして、外来で、
その健康保険適応外の抗癌剤を使っていましたが、
残念ながら期待していたほどの大きな成果は得られず、
別のクスリを使うことになりました。
そのクスリは大きな副作用はありませんが、
初回だけはどうしても一泊入院して、
点滴治療をしなければなりません。
昨日一泊だけの予定で入院してもらいました。
実際には入院の必要も無い軽微な副作用なのですが、
健康保険の適応外の使用でもあり、
万が一の事態が起こっては大変ですから、
入院していただきました。
すると、入院治療と決まっただけで、
精神的な動揺がはじまり、
入院と同時に吐気をもよおし、
点滴が始まると、
トイレでゲーゲーの状態でした。
吐気を起こすようなクスリではないので、
ビックリしましたが、
本人によく話を聞いてみると、
「入院して苦しい治療をしていたときのことを思い出して、
気分が悪くなった」そうです。
今朝、病院に様子を見に行ってみると、
その患者さんは何事も無かったように、
ウキウキと、元気に退院の準備をしていました。
抗癌剤治療の強烈な副作用は、
アタマの奥底に焼き付けられてしまい、
なにかあるとその記憶が鮮明に甦り、
かつて味わったのと同様の症状が出現するようです。
やはり、非常につらい抗癌剤治療を続けた患者さんが、
私のところへ来られて治療を開始してしばらくの間、
「外来で点滴をする日の朝になると吐気が出る。」
と言っていました。
そして、病院に来て実際に抗癌剤治療がはじまると、
その吐気は消えて、
抗癌剤の点滴が終わると元気に帰っていく。
また、次の週の点滴の当日になると吐気が出る。
それを繰り返していました。
また、アドリアマイシンという
常用量で使うと非常に強い吐気を出す抗癌剤は、
独特の赤インクのような色をしていますが、
アドリアマイシンでつらい吐気を経験した患者さんは、
その赤インクの色を見るだけで吐気をもよおすといいます。
大量の抗癌剤を用いた治療では、
その治療終了後も、骨髄抑制が続き、
白血球が減少したまま、増加せず、
次の手が打てなくなる事態をしばしば経験します。
それは、大量の抗癌剤を使った治療の最大の欠点だと思います。
しかし、人間の記憶の奥底にまで、
深い爪痕も残していくようです。
昔、ある薬剤を使って繰り返し実験に使われていた犬が、
実験台の上に登らされると、それだけで、
ブルブルと震えだす姿を見たことがあります。
その光景を思い出しました。
以上 文責 梅澤 充