人間の身体では、モノを食べると、その食物は、
食物 → 口 → 食道 → 胃 → 十二指腸 → 小腸 → 大腸 → 直腸 → 肛門 → 糞便
と流れていきます。
この食べ物の通り道の中には、何処にでもガンが発生します。
胃ガン、大腸ガンなどです。
ところが、「十二指腸ガン」、「小腸ガン」という病名を、
お聞きになったことはありますでしょうか。
ほとんど方は、聞いたことがないと思います。
本日は、その「十二指腸ガン」、「小腸ガン」について解説するつもりはありません。
それら、少数派のガンについての問題点について書きます。
問題とは、その治療です。
胃ガンや大腸ガンなど、通常頻繁に遭遇するガンは、
それだけ患者数が多い訳であり、
そのたくさんの患者さんに対し、様々な医者が、
イロイロな治療を試み、その結果を報告しあい、
治療法が淘汰されていき、最善と考えられる方法が確立されていきます。
手術法などでも、世界中のいろいろな考え方の医者が、様々な手術を行ない、
それを持ちより、話し合いをして(学会)、それぞれの手術法の長所・短所を確認し合い、
長所・短所が最善の折り合いをなすと考えられる方法が、採用されていきます。
2月9日の「凶器のメス」と「毒薬の抗癌剤」で書いたとおりです。
抗癌剤治療においても、生存期間や、奏効率などを参考にして、
最善の抗癌剤治療のメニューが考えられていきます。
勿論、私はその抗癌剤治療が最善とは考えていませんが、
それは考え方、ガン治療に何を求めるかの価値観の相違によるものです。
奏効率、生存期間については、
1月10日「抗癌剤治療は有効に効いても長生きできない」
1月12日「ガン医療の現場で使われる言葉 生存期間中央値」
で書いたとおりです。
良い悪いは、別にして、ともかく普通に出くわす多数派のガンでは、
標準的とされる治療が、ドンドン確立されていきます。
日本では、それに従って、健康保険で許される治療範囲が決められていきます。
抗癌剤治療においては、健康保険で使える薬剤が特定されていきます。
しかし、小腸ガンのように少数派のガンの場合は、患者さんがいません。
少数派のガンはすべてのガンの概ね20%程度を占めています。
様々な少数派の珍しいガンでは、外科医は一生涯のうち、
1例か2例程度しか経験することはありません。
私は、今まで千人以上のガン患者さんを診てきましたが、
小腸ガンで診た患者さんは、今まで3人しか記憶にありません。
それでも一般の外科医よりは多い数字です。
逆に、胃ガン、大腸ガン、乳ガン、肺ガンの患者さんは何人診たか覚えていません。
医者自身が、そのガンに一生涯のうち1〜2例しかお目にかかれないのですから、
それに対する治療法など確立されようがありません。
私の場合、標準的抗癌剤治療など確立されていても、
それに自分の治療がとらわれることはありませんので、かまわないのですが、
ハッキリと治療法が確立されていないと、
厚生労働省が健康保険で使える薬を認可してくれません。
十二指腸ガンでも、厳密に言うと健康保険で使える抗癌剤はありません。
これは大問題です。
現実には、小腸は、大腸と似たような粘膜の性質を持っているから、という理由で、
大腸ガンに準じた抗癌剤を使い治療を行なったりしています。
健康保険の方も、数が少ないですから、それで何とかお目こぼししてくれます。
しかし、健康保険の審査は、都道府県単位でその厳しさが大きく違います。
東京近郊では、千葉県は保険の審査が非常に厳しい。
すなわち、厳格に健康保険の適応範囲しか認めてくれない。
一方、埼玉県は極めて甘い、すなわち何でも保険で認めてくれる・・・・
というように、同じ日本でも住んでいるところにより、
受けられる治療にかなりの差が出てきます。
胆管ガンというガンがあります。
一般に、早期で発見されることは少なく、
手術による完全切除できる可能性は低く、
予後の悪いガンです。
このガンには、ジェムザール(商品名、一般名Gemcitabine)という抗癌剤が、
有効であることが判っています。
しかし、ジェムザールは、日本では膵ガンと肺ガンにしか健康保険では使えません。
私は、胆管ガンにその薬剤を使う理由を、健康保険側に詳しく文書で説明して、
許しを乞うて使っていますが、
しかし保険審査の厳しい道府県では、それも許されないと聞きます。
効果があると判っていながら、それを使えない。
とても辛いことです。
しかし、保険の審査というのは、人間である医者が、
人間である患者のために、最善の治療を行いそれを申請し、
それを同じ人間の審査員が審査するのですから、
かなりファジーな部分があって、
申請する医者の熱意で、かなり動くということも事実です。
日本では、進行乳ガンに対し、手術前にハーセプチンという、
ある種の乳ガンの特効薬とも言うべき薬剤を使うことは、
保険の上では出来ません。
しかし、それも医者の情熱で、かなり動かすことも可能です。
自分の治療に情熱を持ってあたってくれる医者に、巡り会うか否か、
1月31日「おそまつ外科医の一席」で書いたとおり、
「医者を選ぶのも寿命のうち」かもしれません。
金のワラジを履いてでもご自身にとって最高の医者を探して下さい。
以上 文責 梅澤 充
食物 → 口 → 食道 → 胃 → 十二指腸 → 小腸 → 大腸 → 直腸 → 肛門 → 糞便
と流れていきます。
この食べ物の通り道の中には、何処にでもガンが発生します。
胃ガン、大腸ガンなどです。
ところが、「十二指腸ガン」、「小腸ガン」という病名を、
お聞きになったことはありますでしょうか。
ほとんど方は、聞いたことがないと思います。
本日は、その「十二指腸ガン」、「小腸ガン」について解説するつもりはありません。
それら、少数派のガンについての問題点について書きます。
問題とは、その治療です。
胃ガンや大腸ガンなど、通常頻繁に遭遇するガンは、
それだけ患者数が多い訳であり、
そのたくさんの患者さんに対し、様々な医者が、
イロイロな治療を試み、その結果を報告しあい、
治療法が淘汰されていき、最善と考えられる方法が確立されていきます。
手術法などでも、世界中のいろいろな考え方の医者が、様々な手術を行ない、
それを持ちより、話し合いをして(学会)、それぞれの手術法の長所・短所を確認し合い、
長所・短所が最善の折り合いをなすと考えられる方法が、採用されていきます。
2月9日の「凶器のメス」と「毒薬の抗癌剤」で書いたとおりです。
抗癌剤治療においても、生存期間や、奏効率などを参考にして、
最善の抗癌剤治療のメニューが考えられていきます。
勿論、私はその抗癌剤治療が最善とは考えていませんが、
それは考え方、ガン治療に何を求めるかの価値観の相違によるものです。
奏効率、生存期間については、
1月10日「抗癌剤治療は有効に効いても長生きできない」
1月12日「ガン医療の現場で使われる言葉 生存期間中央値」
で書いたとおりです。
良い悪いは、別にして、ともかく普通に出くわす多数派のガンでは、
標準的とされる治療が、ドンドン確立されていきます。
日本では、それに従って、健康保険で許される治療範囲が決められていきます。
抗癌剤治療においては、健康保険で使える薬剤が特定されていきます。
しかし、小腸ガンのように少数派のガンの場合は、患者さんがいません。
少数派のガンはすべてのガンの概ね20%程度を占めています。
様々な少数派の珍しいガンでは、外科医は一生涯のうち、
1例か2例程度しか経験することはありません。
私は、今まで千人以上のガン患者さんを診てきましたが、
小腸ガンで診た患者さんは、今まで3人しか記憶にありません。
それでも一般の外科医よりは多い数字です。
逆に、胃ガン、大腸ガン、乳ガン、肺ガンの患者さんは何人診たか覚えていません。
医者自身が、そのガンに一生涯のうち1〜2例しかお目にかかれないのですから、
それに対する治療法など確立されようがありません。
私の場合、標準的抗癌剤治療など確立されていても、
それに自分の治療がとらわれることはありませんので、かまわないのですが、
ハッキリと治療法が確立されていないと、
厚生労働省が健康保険で使える薬を認可してくれません。
十二指腸ガンでも、厳密に言うと健康保険で使える抗癌剤はありません。
これは大問題です。
現実には、小腸は、大腸と似たような粘膜の性質を持っているから、という理由で、
大腸ガンに準じた抗癌剤を使い治療を行なったりしています。
健康保険の方も、数が少ないですから、それで何とかお目こぼししてくれます。
しかし、健康保険の審査は、都道府県単位でその厳しさが大きく違います。
東京近郊では、千葉県は保険の審査が非常に厳しい。
すなわち、厳格に健康保険の適応範囲しか認めてくれない。
一方、埼玉県は極めて甘い、すなわち何でも保険で認めてくれる・・・・
というように、同じ日本でも住んでいるところにより、
受けられる治療にかなりの差が出てきます。
胆管ガンというガンがあります。
一般に、早期で発見されることは少なく、
手術による完全切除できる可能性は低く、
予後の悪いガンです。
このガンには、ジェムザール(商品名、一般名Gemcitabine)という抗癌剤が、
有効であることが判っています。
しかし、ジェムザールは、日本では膵ガンと肺ガンにしか健康保険では使えません。
私は、胆管ガンにその薬剤を使う理由を、健康保険側に詳しく文書で説明して、
許しを乞うて使っていますが、
しかし保険審査の厳しい道府県では、それも許されないと聞きます。
効果があると判っていながら、それを使えない。
とても辛いことです。
しかし、保険の審査というのは、人間である医者が、
人間である患者のために、最善の治療を行いそれを申請し、
それを同じ人間の審査員が審査するのですから、
かなりファジーな部分があって、
申請する医者の熱意で、かなり動くということも事実です。
日本では、進行乳ガンに対し、手術前にハーセプチンという、
ある種の乳ガンの特効薬とも言うべき薬剤を使うことは、
保険の上では出来ません。
しかし、それも医者の情熱で、かなり動かすことも可能です。
自分の治療に情熱を持ってあたってくれる医者に、巡り会うか否か、
1月31日「おそまつ外科医の一席」で書いたとおり、
「医者を選ぶのも寿命のうち」かもしれません。
金のワラジを履いてでもご自身にとって最高の医者を探して下さい。
以上 文責 梅澤 充



