その中に興味深い記事がありました。
「患者のクレーム不当、医師側が勝訴」
7月24日の毎日新聞に「患者の請求不当―医師側の慰謝料認定」という珍しいニュースを知りました。
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「170万円を支払えば話は終わる」
医療過誤が認められて、「損害賠償、いくらいくら支払え」という判決のニュースは毎日のように目にしますが、患者のクレームが不当だなどとして医師側の慰謝料が認められるケースはほとんど見たり聞いたりはしません。判決によると耳鼻咽喉科医は2006年5月に、男性患者が耳を虫に刺されたと訴えて受診した際、帯状疱疹と診断しましたが、その後、男性の顔面に神経麻痺が生じたところ、男性は治療が不適切だったとして、この耳鼻咽喉科医に約20回にわたって「170万円を支払えば話は終わる」とする文書を送付したのだといいます。裁判所は、「帯状疱疹との診断や治療薬の選択は適切で、医師は金銭を要求する文書の送付などで相当程度の畏怖を感じた」と指摘し、男性患者のクレーム行動を不法行為と認め、30万円の慰謝料の支払いを男性患者に命じたわけです。
このような患者から医師へのハラスメントが不法行為として慰謝料が認められるバックグラウンドには、何でもかんでも治療結果が気に入らなければ「医療ミスだ」とアクティング・アウトする患者が増加する傾向があるように思われます。インターネットの相談サイトなどをのぞいていると、「医者にかかったが、改善しない。これは医療ミスに違いないと思うのだが、どうでしょう」というような書き込みにずいぶんと遭遇します。そのような相談者の口吻(こうふん)からは、「医者は人間修理工場の修理工で、ちゃんと修理できないのはミスなのだ」という感覚がはっきりと見て取ることができます。
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福島県での産婦人科医の逮捕、
関西のやはり産科での
「患者さんの転送が遅れて死亡した」
との内容での医者を告訴。
などなど目に余る、事例が後を絶ちません。
『何でもかんでも治療結果が気に入らなければ「医療ミスだ」』
『「医者は人間修理工場の修理工で、ちゃんと修理できないのはミスなのだ」』
と訴える現在の日本の風潮は、
確実に患者さんご自身の治療を狭めてしまいます。
ガンという病気は不幸な転帰に終わる可能性の高い病気です。
はじめから、治らないということが
ハッキリ判明しているケースも少なくありません。
残念ながら最終的に死に終わることが判明している病気に対して、
「死」という結果が「医療ミス」にされてしまったならば、
医者は堪ったものではありません。
そこに逃げ道、アリバイを作ってくれるのが、
エビデンスであり、標準治療です。
患者さんの「死」が見えていて、
訴訟の危険を少しでも察知した場合、
アリバイのある治療以外が選択されることはありません。
アリバイになるエビデンスのある治療をしておけば、
患者さんの身に何が起ころうとも
訴訟では負けません。
抗癌剤治療の副作用死も
立派なエビデンスです。
標準的抗癌剤治療では1%程度の患者さんは
副作用死しますが、
それは、仕方の無いエビデンスどおりの事実です。
幸い、私のところに来られる患者さんは、
私が「標準的ではない抗癌剤治療を行っている」
という事実を十分に認識されておられますので、
そして、その結果責任は患者さんにあることをご理解されていますので、
私は、患者さんの望む治療を抵抗無く行うことができますが、
そうではない、標準治療だけを行っている病院では、
「標準外のアリバイの無い治療をしてくれ」
といきなり患者さんに言われても困ってしまいます。
以前にも何回か書きましたが、
患者さんが望まれる治療を受けることができない、
医者がそれをしてくれない、
という背景には、
現在の日本の嘆かわしい風潮があります。
現在は、医療の現場だけではなく、
学校教育の現場でも、
何でもかんでも学校や教師に文句をつける、
モンスターペアレントというクレーマーがいるそうです。
大きな希望を胸に学校の教師になった
新卒先生の約半数が、
教師になって半年以内に、
一度は「教師を辞めたい」と考えるという統計もあるそうです。
その、ほとんどが「モンスターペアレント」が原因だそうです。
現在問題になっている給食費の不払いも、
お金が無くて払わないのではなく、
十分な年収がありながら、
「食べたくもない、美味しくない給食を出しておいて、
何故お金を払わなければいけないのだ、
不味いものを食べさせられるのだから
子供に小遣いくらいくれても良いくらいだ」
と開き直る親もいると、ラジオで言っていました。
「お金を払っているのに、何故イタダキマスといわせるのか」
というモンスターペアレントもいるそうです。
そのうち病院にも、
「金を払っているのに何故良くならない!」
と文句を言ってくる患者さんも出てくるのでしょうね。
医者のアリバイ工作も大変です。
「触らぬ患者に祟りなし」
という時代が確実に近づいています。
以上 文責 梅澤 充



