腫瘍(ガン)の縮小なくしてガン治療なし
日本の抗癌剤治療の現場では、いまだにこの極めて古い考え方が支配的です。
以前にも少し触れましたが、ガンが縮小することと、患者さんが長生きすることとは、別次元の問題です。
すなわち、ガン患者さんは、その背負っているガンが一時的に縮小したからといって、必ずしも長生きが出来る訳ではありません。
抗癌剤治療の奏効率と生存期間とは比例しません。(2006.1.10に記載)
それは、医者であれば周知の事実のはずです。
私には、何故、抗癌剤治療専門医(腫瘍内科医)はガンの縮小ばかりを追い求めるのか、全く理解できません。
痛みも発生していない、症状の無いガンを小さくして、誰が喜ぶのでしょうか。
それが、長生きにすることには、つながらないと判っていて・・・・
抗癌剤治療に関するどの論文、学会報告を見ても必ず奏効率が提示されています。
その治療による生存期間は明示されていなくても、奏効率だけは必ず述べられています。
また、日本の厚生労働省は、新規の抗癌剤を認可する基準として、その抗癌剤により「ガンが縮小する」という、治療効果、すなわち奏効率が絶対に必要になります。
一方、欧米では、腫瘍縮小効果は認めなくとも、延命効果があればそれだけで、新規抗癌剤として認可されます。
肺ガン治療薬として認可されたターセバなどが良い例です。
イレッサの弟のような薬剤です。
今では、膵ガンでもそのクスリは認可されています。(勿論日本にはありません。)
(但し延命といって0.5ヶ月ですが…)
また、抗癌剤によりガンを一時的にでも縮小させようと考えたならば、それ相応の代償を払わなければなりません。
抗癌剤は毒薬です。
抗癌剤は、ガン細胞も殺してくれますが、人間が生きてゆく上で絶対に必要な大切な細胞たちもたくさん犠牲になります。
その犠牲が大きすぎれば、人間は死ななければなりません。
自分たちを攻撃してくる爆撃飛行機を一機打ち落とすのに核ミサイルを撃ち込んだならばどうなるでしょうか。
飛行機は木っ端微塵になるでしょうが、その下にいる住民も死に絶えます。
また、抗癌剤治療には、同時に、強烈な吐き気、身の置き所が無いという全身倦怠感、脱毛、シビレ、痛みなどなどさまざまな不愉快な、副作用ももれなく律儀に付いてきます。
その様な、副作用に耐えて、ガンのカタマリを小さくしたって、長生きが出来ないとなれば、何故にその様な治療を続けなければならないのでしょうか。
何故、ガンの縮小にこだわるのか
日本では、何故いまだに奏効率最優先なのでしょうか?
(「奏効率最優先」とは、ガンが縮小することを最優先にするという意味です。)
その疑問に対し、私なりに、全く勝手に考えて(想像して)みました。
思うに、現在の抗癌剤治療の先駆者たち、すなわち抗癌剤治療の学会などにおける重鎮といわれる人たちは、その医者としての人生のほとんどの時期を、全く延命効果のない抗癌剤治療に捧げてきました。
抗癌剤治療に延命効果がないのであれば、その治療を行なうには、何か別の大義名分がなければなりません。
そこで都合良く登場したのが、奏効率だったのではないでしょうか。
患者さんが一番望んでいるはずである"生存期間の延長"(長生きすること)の変わりに、奏効率を抗癌剤治療の治療効果判定に用いればイイのです。
生存期間については、患者さんに内緒にしておけばイイことです。
患者さんにとっては、レントゲンで見えているガンのカタマリが小さくなるのですから、それこそ目に見える"とても大きな抗癌剤治療の効果"と感じたはずです。
患者さんやご家族に対する説得力もさぞかし大きかったことと思われます。
その後、それにより延命が出来ないと医者には判っていても、哀れな患者さんやご家族は、そんなことは知りませんから、(知らされていませんから、)
一度でもガンのカタマリが小さくなれば、その後、お決まりのコースで患者さんが亡くなられても、医者の「抗癌剤治療はこれほど効いたのに、残念でした。」という、文字通りの"殺し文句"で全て片が付きます・・・・
簡単に幕引き完了です。
ガンが、治療前と比較して小さくなっているレントゲン写真でも見せながら、殺し文句を使えば、騙されないご家族はいなかったのではないでしょうか。
事実を知らないご遺族は、大切なご家族がアッサリ死んでしまっても、文句の言いようがありません。実際に、一度は、ガンは見事に小さくなっているのですから……
このように抗癌剤治療による、一時的なガンの縮小効果だけを、その治療を遂行するための大義名分にして、患者さんやご家族がもっとも望んでいる延命効果が得られない、患者さんにとって何らメリットの無い治療が繰り広げられてきました。
抗癌剤治療の重鎮たちには、現在は抗癌剤治療により、数ヶ月の延命効果は出てきましたが、水戸黄門様の印籠にように大事にしてきた、奏効率というその大義名分を簡単には捨てられないのではないでしょうか。
自分たちの価値判断の全てを否定することになりますから。
従って、ガンの縮小は期待せずに、長生きだけを目指したガン治療など、そう易々とは認めないのではないでしょうか。
しかし、その暗い時代の足枷を引きずっていては、日本の抗癌剤治療の未来はなかなか開けません。
これからは、患者さんが、ガン、およびガン治療の真実を十分に理解され、本当に患者さんが望むガン治療にしてゆかなければなりません。
以上、本日は全く勝手な想像を働かせてしまいました。
異論・反論をお受けいたします。
どしどしお寄せ下さい。
本日 訃報が舞い込みました。
私が治療を続けていた患者さんが亡くなられました。
町田胃腸病院で診ていたのですが、千葉県の外れの方から2時間以上もかけて通院されていました。最期は地元の病院で亡くなられました。
その、ご主人から届いた訃報(メール)と、私の返信を載せます。
私が、どのような考えでガン治療を行なっているか、そして、ガン治療に対する一つの考え方を知って頂くための参考になるかと思います。
この患者さんにも、当然抗癌剤治療でガンが治るなどとは言っていません。
「辛い思いをしないで、延命することだけを考えましょう。」との約束のもとに治療を続けました。
ご主人からのメールです。----------------------------------
ご尽力いただきましたが残念ながら 1月7日21時40分逝去しました。
葬儀も滞りなく無事終わりました。
先生には親身になって耳を傾けていただき治療にあたってくださったと本人も生前感謝しておりました。
本当にありがとうございました。 ○○△◇
以下 私の返信です。----------------------------------
○○△◇ さま
訃報 拝見いたしました。
とても残念です。
しかし、勝手な言い訳かもしれませんが、○○△子様の治療を振り返るとき正直に申し上げまして、全く後悔はしておりません。
それは、
乳癌に対抗する武器は沢山あります。
抗癌剤もホルモン剤も、何種類も有効な武器が揃っています。
現在の多くの再発ガンの治療現場においては、それら沢山ある有効な武器の多くが、手付かずで残されたまま、最期まで使われずに戦いに敗れてしまうことが、普通になっています。
一度に沢山のクスリを使うため、身体の方が、持ちこたえられなくなり、武器はまだあるのに戦闘放棄の状態になってしまいます。
有効に戦ってくれたかも判らない武器を残して敗れ去るのでは、悔いても悔やみきれません。
しかし、○○△子様の場合は、全て使い果たしました。
それだけは自身を持って言えます。
無い知恵を絞り、考えられる限りの武器を使い切りました。
一般的な放射線治療だけはしませんでしたが、その治療には延命効果はありません。だから使いませんでした。
その代わりにサイバーナイフという、最新兵器を導入しました。
全ての抗癌剤も使いましたが、○○△子様の免疫能力も温存しそれにも戦ってもらいました。
しかし、残念ながら、○○△子様に取り付いてしまったガン細胞の方が、一枚も二枚も上でした。
全ての攻撃を見事にはね返してくれました。
敵ながらアッパレでした。
本当に強かったです。
本当に残念な結果ですが、敗れて悔いなし−です。
立派に戦われての敗戦ですから・・・
お力落としのことと思いますが、○○△子様の分までお元気で、素敵な日々をお送り下さい。
厳寒が続いています。
お身体ご自愛下さい。
ご冥福をお祈りいたします。
梅澤 充
以上 文責 梅澤 充
日本の抗癌剤治療の現場では、いまだにこの極めて古い考え方が支配的です。
以前にも少し触れましたが、ガンが縮小することと、患者さんが長生きすることとは、別次元の問題です。
すなわち、ガン患者さんは、その背負っているガンが一時的に縮小したからといって、必ずしも長生きが出来る訳ではありません。
抗癌剤治療の奏効率と生存期間とは比例しません。(2006.1.10に記載)
それは、医者であれば周知の事実のはずです。
私には、何故、抗癌剤治療専門医(腫瘍内科医)はガンの縮小ばかりを追い求めるのか、全く理解できません。
痛みも発生していない、症状の無いガンを小さくして、誰が喜ぶのでしょうか。
それが、長生きにすることには、つながらないと判っていて・・・・
抗癌剤治療に関するどの論文、学会報告を見ても必ず奏効率が提示されています。
その治療による生存期間は明示されていなくても、奏効率だけは必ず述べられています。
また、日本の厚生労働省は、新規の抗癌剤を認可する基準として、その抗癌剤により「ガンが縮小する」という、治療効果、すなわち奏効率が絶対に必要になります。
一方、欧米では、腫瘍縮小効果は認めなくとも、延命効果があればそれだけで、新規抗癌剤として認可されます。
肺ガン治療薬として認可されたターセバなどが良い例です。
イレッサの弟のような薬剤です。
今では、膵ガンでもそのクスリは認可されています。(勿論日本にはありません。)
(但し延命といって0.5ヶ月ですが…)
また、抗癌剤によりガンを一時的にでも縮小させようと考えたならば、それ相応の代償を払わなければなりません。
抗癌剤は毒薬です。
抗癌剤は、ガン細胞も殺してくれますが、人間が生きてゆく上で絶対に必要な大切な細胞たちもたくさん犠牲になります。
その犠牲が大きすぎれば、人間は死ななければなりません。
自分たちを攻撃してくる爆撃飛行機を一機打ち落とすのに核ミサイルを撃ち込んだならばどうなるでしょうか。
飛行機は木っ端微塵になるでしょうが、その下にいる住民も死に絶えます。
また、抗癌剤治療には、同時に、強烈な吐き気、身の置き所が無いという全身倦怠感、脱毛、シビレ、痛みなどなどさまざまな不愉快な、副作用ももれなく律儀に付いてきます。
その様な、副作用に耐えて、ガンのカタマリを小さくしたって、長生きが出来ないとなれば、何故にその様な治療を続けなければならないのでしょうか。
何故、ガンの縮小にこだわるのか
日本では、何故いまだに奏効率最優先なのでしょうか?
(「奏効率最優先」とは、ガンが縮小することを最優先にするという意味です。)
その疑問に対し、私なりに、全く勝手に考えて(想像して)みました。
思うに、現在の抗癌剤治療の先駆者たち、すなわち抗癌剤治療の学会などにおける重鎮といわれる人たちは、その医者としての人生のほとんどの時期を、全く延命効果のない抗癌剤治療に捧げてきました。
抗癌剤治療に延命効果がないのであれば、その治療を行なうには、何か別の大義名分がなければなりません。
そこで都合良く登場したのが、奏効率だったのではないでしょうか。
患者さんが一番望んでいるはずである"生存期間の延長"(長生きすること)の変わりに、奏効率を抗癌剤治療の治療効果判定に用いればイイのです。
生存期間については、患者さんに内緒にしておけばイイことです。
患者さんにとっては、レントゲンで見えているガンのカタマリが小さくなるのですから、それこそ目に見える"とても大きな抗癌剤治療の効果"と感じたはずです。
患者さんやご家族に対する説得力もさぞかし大きかったことと思われます。
その後、それにより延命が出来ないと医者には判っていても、哀れな患者さんやご家族は、そんなことは知りませんから、(知らされていませんから、)
一度でもガンのカタマリが小さくなれば、その後、お決まりのコースで患者さんが亡くなられても、医者の「抗癌剤治療はこれほど効いたのに、残念でした。」という、文字通りの"殺し文句"で全て片が付きます・・・・
簡単に幕引き完了です。
ガンが、治療前と比較して小さくなっているレントゲン写真でも見せながら、殺し文句を使えば、騙されないご家族はいなかったのではないでしょうか。
事実を知らないご遺族は、大切なご家族がアッサリ死んでしまっても、文句の言いようがありません。実際に、一度は、ガンは見事に小さくなっているのですから……
このように抗癌剤治療による、一時的なガンの縮小効果だけを、その治療を遂行するための大義名分にして、患者さんやご家族がもっとも望んでいる延命効果が得られない、患者さんにとって何らメリットの無い治療が繰り広げられてきました。
抗癌剤治療の重鎮たちには、現在は抗癌剤治療により、数ヶ月の延命効果は出てきましたが、水戸黄門様の印籠にように大事にしてきた、奏効率というその大義名分を簡単には捨てられないのではないでしょうか。
自分たちの価値判断の全てを否定することになりますから。
従って、ガンの縮小は期待せずに、長生きだけを目指したガン治療など、そう易々とは認めないのではないでしょうか。
しかし、その暗い時代の足枷を引きずっていては、日本の抗癌剤治療の未来はなかなか開けません。
これからは、患者さんが、ガン、およびガン治療の真実を十分に理解され、本当に患者さんが望むガン治療にしてゆかなければなりません。
以上、本日は全く勝手な想像を働かせてしまいました。
異論・反論をお受けいたします。
どしどしお寄せ下さい。
本日 訃報が舞い込みました。
私が治療を続けていた患者さんが亡くなられました。
町田胃腸病院で診ていたのですが、千葉県の外れの方から2時間以上もかけて通院されていました。最期は地元の病院で亡くなられました。
その、ご主人から届いた訃報(メール)と、私の返信を載せます。
私が、どのような考えでガン治療を行なっているか、そして、ガン治療に対する一つの考え方を知って頂くための参考になるかと思います。
この患者さんにも、当然抗癌剤治療でガンが治るなどとは言っていません。
「辛い思いをしないで、延命することだけを考えましょう。」との約束のもとに治療を続けました。
ご主人からのメールです。----------------------------------
ご尽力いただきましたが残念ながら 1月7日21時40分逝去しました。
葬儀も滞りなく無事終わりました。
先生には親身になって耳を傾けていただき治療にあたってくださったと本人も生前感謝しておりました。
本当にありがとうございました。 ○○△◇
以下 私の返信です。----------------------------------
○○△◇ さま
訃報 拝見いたしました。
とても残念です。
しかし、勝手な言い訳かもしれませんが、○○△子様の治療を振り返るとき正直に申し上げまして、全く後悔はしておりません。
それは、
乳癌に対抗する武器は沢山あります。
抗癌剤もホルモン剤も、何種類も有効な武器が揃っています。
現在の多くの再発ガンの治療現場においては、それら沢山ある有効な武器の多くが、手付かずで残されたまま、最期まで使われずに戦いに敗れてしまうことが、普通になっています。
一度に沢山のクスリを使うため、身体の方が、持ちこたえられなくなり、武器はまだあるのに戦闘放棄の状態になってしまいます。
有効に戦ってくれたかも判らない武器を残して敗れ去るのでは、悔いても悔やみきれません。
しかし、○○△子様の場合は、全て使い果たしました。
それだけは自身を持って言えます。
無い知恵を絞り、考えられる限りの武器を使い切りました。
一般的な放射線治療だけはしませんでしたが、その治療には延命効果はありません。だから使いませんでした。
その代わりにサイバーナイフという、最新兵器を導入しました。
全ての抗癌剤も使いましたが、○○△子様の免疫能力も温存しそれにも戦ってもらいました。
しかし、残念ながら、○○△子様に取り付いてしまったガン細胞の方が、一枚も二枚も上でした。
全ての攻撃を見事にはね返してくれました。
敵ながらアッパレでした。
本当に強かったです。
本当に残念な結果ですが、敗れて悔いなし−です。
立派に戦われての敗戦ですから・・・
お力落としのことと思いますが、○○△子様の分までお元気で、素敵な日々をお送り下さい。
厳寒が続いています。
お身体ご自愛下さい。
ご冥福をお祈りいたします。
梅澤 充
以上 文責 梅澤 充



