術後ガン再発の患者さんがセカンドオピニオンに来られました。
正確には、再発が強く疑われる患者さんです。
かなり進行した状態で手術を行っている患者さんです。
手術後の補助抗癌剤治療も受けました。
その後、そのガンに極めて特異的な腫瘍マーカーが
大きく増大してきました。
恐らく、手術をしたガンの再発です。
しかし、CT、MRさらにPETなどの検査を行っても
再発部位は同定されませんでした。
そのような状態ですから、
当然ご本人に自覚症状はありません。
しかし、手術時の病理所見から考えても、
間違いなく再発、
すなわち、手術前に散らばってしまっていたガン細胞が、
患者さんの身体の中で、
増殖をはじめたと判断するべきだと思います。
画像診断上で再発病巣が検出できないのは、
増殖して数を増やしてきたガン細胞が、
ひとつのカタマリとして大きくなるのではなく、
胸膜や腹膜などに、
「播種」というかたちで増殖してくるときにしばしば見られます。
機械の目は、
10mmのカタマリが一つだけでも確実に捕らえられますが、
3mmのカタマリが100個あっても見えません。
ガン細胞の集合体としての小さなカタマリが、
無数に増えてくる播種の形での転移・再発だと、
機械の目では同定されない場合も少なくありません。
そして、患者さんも、
腹水や胸水が溜まってこないと、
自覚症状は出てきません。
恐らくその患者さんも、
そういう状態だと考えられます。
問題はそのときの治療です。
その患者さんが現在受けている治療は、
白血球の大きな減少も見られますが、
それよりも、自覚する非常に辛い副作用を伴っています。
まったく自覚症状を伴わない再発ガンに対して、
副作用という大きな自覚症状を発現させて治療を行うことが、
本当にその患者さんにとってトクなことでしょうか。
その治療により、
ガンが治るのであれば、
多少の辛さは我慢する意味はあると思います。
しかし、腫瘍マーカーを大きく押し上げるような再発ガンで、
それが治るということはほとんど期待できません。
そのときに多少副作用が辛くても
治療を行ったほうが良いのは卵巣ガンくらいだと思います。
自覚症状はまったく表していない、
すなわち、この患者さんの場合、
血液検査さえしなければ、
再発していることにも気付かないガンに対して、
しかも、治らない状態のガンに、
大きな副作用を伴う治療を遂行することが
患者さんが望まれる正しい治療でしょうか。
自覚症状を伴わないガンであれば、
生活に制限を与えるような副作用を伴う治療は
行うべきではないと、
私は、個人的には考えます。
副作用の出ない範囲の抗癌剤で、
まだおとなしいガンと、
うまく付き合っていく方策を探すべきだと考えます。
さらに、この患者さんの場合、
おまけも付いていました。
腫瘍マーカーが増大していることにより、
ガンの再発と診断しているにもかかわらず、
治療経過中、
その治療の唯一のメルクマールとなる腫瘍マーカーを
ほとんど見ていませんでした。
最低の治療を保障している健康保険でも、
月に1回の腫瘍マーカーの検査は認めています。
ところが、その主治医は、
毎週抗癌剤の点滴をしていながら、
3ヶ月間も腫瘍マーカーを見ていませんでした。
3ヶ月ぶりに他の病院で腫瘍マーカーを調べてもらったところ、
ほとんど下がっていませんでした。
勿論、腫瘍マーカーの値は、
病院による(検査会社による)バラツキがありますので、
単純に比較することはできません。
しかし、施設の差による、
誤差を差し引いても、
大きな副作用の代償といえるほどの
効果は認められません。
結局その患者さんは、
手足の激しいシビレという、
日常生活にも大きな制限を受ける副作用だけをもらって、
治療効果はほとんどありませんでした。
おとなしくしてくれている再発ガンとは、
ガンのご機嫌を見ながら、
副作用の出ない範囲の抗癌剤を使って、
終生付き合って生活していくことを考えるべきだと思います。
以上 文責 梅澤 充
正確には、再発が強く疑われる患者さんです。
かなり進行した状態で手術を行っている患者さんです。
手術後の補助抗癌剤治療も受けました。
その後、そのガンに極めて特異的な腫瘍マーカーが
大きく増大してきました。
恐らく、手術をしたガンの再発です。
しかし、CT、MRさらにPETなどの検査を行っても
再発部位は同定されませんでした。
そのような状態ですから、
当然ご本人に自覚症状はありません。
しかし、手術時の病理所見から考えても、
間違いなく再発、
すなわち、手術前に散らばってしまっていたガン細胞が、
患者さんの身体の中で、
増殖をはじめたと判断するべきだと思います。
画像診断上で再発病巣が検出できないのは、
増殖して数を増やしてきたガン細胞が、
ひとつのカタマリとして大きくなるのではなく、
胸膜や腹膜などに、
「播種」というかたちで増殖してくるときにしばしば見られます。
機械の目は、
10mmのカタマリが一つだけでも確実に捕らえられますが、
3mmのカタマリが100個あっても見えません。
ガン細胞の集合体としての小さなカタマリが、
無数に増えてくる播種の形での転移・再発だと、
機械の目では同定されない場合も少なくありません。
そして、患者さんも、
腹水や胸水が溜まってこないと、
自覚症状は出てきません。
恐らくその患者さんも、
そういう状態だと考えられます。
問題はそのときの治療です。
その患者さんが現在受けている治療は、
白血球の大きな減少も見られますが、
それよりも、自覚する非常に辛い副作用を伴っています。
まったく自覚症状を伴わない再発ガンに対して、
副作用という大きな自覚症状を発現させて治療を行うことが、
本当にその患者さんにとってトクなことでしょうか。
その治療により、
ガンが治るのであれば、
多少の辛さは我慢する意味はあると思います。
しかし、腫瘍マーカーを大きく押し上げるような再発ガンで、
それが治るということはほとんど期待できません。
そのときに多少副作用が辛くても
治療を行ったほうが良いのは卵巣ガンくらいだと思います。
自覚症状はまったく表していない、
すなわち、この患者さんの場合、
血液検査さえしなければ、
再発していることにも気付かないガンに対して、
しかも、治らない状態のガンに、
大きな副作用を伴う治療を遂行することが
患者さんが望まれる正しい治療でしょうか。
自覚症状を伴わないガンであれば、
生活に制限を与えるような副作用を伴う治療は
行うべきではないと、
私は、個人的には考えます。
副作用の出ない範囲の抗癌剤で、
まだおとなしいガンと、
うまく付き合っていく方策を探すべきだと考えます。
さらに、この患者さんの場合、
おまけも付いていました。
腫瘍マーカーが増大していることにより、
ガンの再発と診断しているにもかかわらず、
治療経過中、
その治療の唯一のメルクマールとなる腫瘍マーカーを
ほとんど見ていませんでした。
最低の治療を保障している健康保険でも、
月に1回の腫瘍マーカーの検査は認めています。
ところが、その主治医は、
毎週抗癌剤の点滴をしていながら、
3ヶ月間も腫瘍マーカーを見ていませんでした。
3ヶ月ぶりに他の病院で腫瘍マーカーを調べてもらったところ、
ほとんど下がっていませんでした。
勿論、腫瘍マーカーの値は、
病院による(検査会社による)バラツキがありますので、
単純に比較することはできません。
しかし、施設の差による、
誤差を差し引いても、
大きな副作用の代償といえるほどの
効果は認められません。
結局その患者さんは、
手足の激しいシビレという、
日常生活にも大きな制限を受ける副作用だけをもらって、
治療効果はほとんどありませんでした。
おとなしくしてくれている再発ガンとは、
ガンのご機嫌を見ながら、
副作用の出ない範囲の抗癌剤を使って、
終生付き合って生活していくことを考えるべきだと思います。
以上 文責 梅澤 充



