以前にご相談いただいた、
驚愕させられた患者さんと同じようなコメントです。
・・・・・・・・前分略・・・・・・・・
叔母の計画では今飲んでいるアビキノシランで癌の増殖を抑えながら、
温浴療法や爪もみ療法で癌が死滅するのを待つそうです。
フコダインというのもいいらしいから、それも飲もうと思っているそうです。
叔父の意見を聞いたら「癌は触れば触るだけ刺激を受けて大きくなるし転移する。
何もしないでほっておくのが一番いいんだ。
下手にいじらずに癌と共存して生きていくのが一番だ」と言っていました。
僕はおかしいんじゃないかと思いましたが、叔母も同じ考えだし、何も言えませんでした。
また、朝食を抜いて一日2食にすると、空腹になって、常に空腹状態だった原始時代の
人間が本来持っていた、何ともいえない不思議なパワーが発揮されて、
それが癌細胞を殺すんだという事が書いてある本を読んで、
今行ってる病院の先生にも同じことを言われたので、それを実践しているそうです。
あと、ピアスもチタンだったかでないと身体に悪いから全部買い換えてるとか、
添加物の入っているものや、肉、魚は食べないとか、しょうゆやみりんは安いものは
純度が低いからできるだけ高いものを買うとか、
何か健康の事で頭がいっぱいで、健康オタクみたいになっています。
今も癌は自分で触ってわかるそうです。しこりがあるから気になって仕方ないそうです。
でも抗がん剤や放射線治療をしても体力が落ちて、結果一番大事な免疫力が落ちるだけだし、
手術は、手術することによって転移することがよくあるからしたくない、
手術して全摘しているのに再発している人の話しがネットにいっぱい出ていると言います。
前の病院で知り合いになった人や、おばさんの友人の親御さんで癌にかかった人で、
腫瘍マーカーが発見されたからと抗がん剤を増やして、
どんどん衰弱していく人がたくさんおられるそうです。
その人達に抗がん剤を使うのをやめるように忠告しているのに誰も言うことを聞かない、
みんな医師の言いなりになってるだけだ、
もっと私のようにいっぱい本やビデオを取り寄せて読んだり見たり、
ネットで多くの癌患者さんの情報を見て比較したりして勉強すればいいのに、
みんな努力が足らない、と言います。と言うかそういう人達のことを笑います。
世間の、奥さんが乳癌になった旦那さんはみな、かっこなんかどうでもいいから
悪い所は全部取ってやってくださいなんて、お医者さんに泣きつく人が多いらしいけど、
胸が片一方なくなったら、いくら同重量の詰め物をしたって、
姿勢が悪くなって骨や腰に無理がきてトシとってから
それが元で寿命が縮むのに、そんな事もわからないのかしら、
手術なんてしないで抗がん剤を打つのをやめたら癌はなおるって言ってるのに、
本やビデオを貸してあげるから勉強してって、いくら言ってもわからないのと言っています。
僕はもうなんだか訳がわからなくなってきています。
本当に手術をする方が転移する確率が高いのでしょうか?
48歳で癌と共存する生き方というのが本当に可能なのでしょうか?
叔母の言うように健康食品で癌の増殖が本当に抑えられるのでしょうか?
僕は叔母に会って話すまではそのようには思いませんでしたが、
現実に自分が癌になっている人からそのように話されると、
何だか訳がわからなくなってきたのです。
「病は気から」と言うし、叔母が自分の信じたやり方でなおしていくのが
一番悔いのないやり方なのかなとも思ってしまいますが、
でもそれなら普通の病院でやっている治療はいったい何なんだろうと思います。
どのように考えたらいいのでしょうか?
少なからず、同様の誤解をしている患者さんも少なくないと思います。
9月12日の「外科医と内科の考え方」
で、ガンを、一人一人のガン患者としてではなく、
マスとして診ているとしか思えない腫瘍内科医もいることを書きましたが、
それとは逆に、
ガンという病気を、大局的に見ることができなくなっているのです。
「叔母の計画では今飲んでいるアビキノシランで癌の増殖を抑えながら、
温浴療法や爪もみ療法で癌が死滅するのを待つそうです。」
ガンが死滅する前に、
ご本人が死滅してしまうと思います。
多くのガン患者さんを一つの「マス」としてとらえ、
個性は完全に無視して、
すべての患者さんを十把一絡げにして標準的抗癌剤治療だけ行うよりは、
爪モミの方が、マシな場合もあるかもしれません。
しかし、その場合、
爪モミ、アラビノキシラン、温浴療法(?)の
治療効果(?)は、シッカリと経時的に観察されなければなりません。
1000人の乳ガン患者さんという集団の中にあれば、
もしかすると、一人くらい、
爪モミが奏功する患者さんも存在するかも知れません。
また、10000人に一人くらいは
アラビノキシランでガンが消滅する患者さんもいると思います。
しかし、ガンの経時的観察を怠り、
それらの代替療法による、
一般的な経過である「ガンの自然増殖」を見逃したならば、
間違いなく、ガンの消滅より先に、
人間の消滅が訪れます。
乳ガンの場合、死に至る前に、
「患部が腐る」
という恐ろしい経過を辿ります。
これは、診る方が気の毒になるほど、
悲惨な状態です。
「腐った肉」がご自身の鼻先にぶら下がるのです。
耐え難い悪臭を放ちながら・・・・
そのときには、何もできなくなっている場合も少なくありません。
臭いを我慢して、死が訪れるのを待つだけになります。
「胸が片一方なくなったら、いくら同重量の詰め物をしたって、
姿勢が悪くなって骨や腰に無理がきてトシとってから、それが元で寿命が縮むのに、
そんな事もわからないのかしら、手術なんてしないで抗がん剤を打つのをやめたら癌は
なおるって言ってるのに、本やビデオを貸してあげるから勉強してって、
いくら言ってもわからないのと言っています。」
面白い患者さんですね。
恐怖心からの現実逃避行動だと思います。
手術をしなければ、
ほとんどの患者さんでは、
「トシをとる」ことはできません。
インターネットをはじめとした、
氾濫するガン情報は、
「100%虚偽」とまではいえない、
ガンの一局面だけをとらえた、
極めて歪んだ内容のものが無数に見られます。
それら、歪められた情報は、
ガン恐怖、抗癌剤アレルギー状態に陥っている患者さんにとっては、
格好の逃げ場になります。
その逃げて行った所には、
大きなお財布を開けて、
ガンビジネス業者が待っています。
このような極端な患者さんは、
多くはないと思いますが、
このような場合には、
ガン治療を、
腫瘍内科医のように
「マスで見る」ことも必要になります。
以上 文責 梅澤 充