エビデンス
昨日に続いて、本日もエビデンスについて書きたいと思います。
エビデンスとは、他人様の参考数値!
そもそもエビデンスとはどの様なものなのでしょうか。どの様な証拠なのでしょうか。
分類については、昨日の表にお示ししたとおりです。
この表にあるとおり、エビデンスとは、大小の差こそあれ、全てその治療を行って既に"亡くなられた他人様"の臨床データです。
例えば、Aと言う治療方法を1000人の患者グループに対し厳正な臨床試験という形で行い、350人の患者さんでは、ガンが二分の一以下の大きさに縮小、すなわち奏効した。(奏効率35%)そして1000人の患者グループ全体では、平均生存期間(一般的には、生存期間中央値)は、15ヶ月だった。
副作用の発現頻度は、80%だった。
一方、Bと言う治療方法で同じ種類の、同じ程度のガン患者さん1000人のグループに、やはり、臨床試験を行ったところ、ガンが半分以下の大きさになった、すなわち奏効した患者さんは300人(奏効率30%)。平均生存期間は13ヶ月だった。
副作用の発現頻度は、50%だった。
一方、全く無治療で経過を診ただけの患者1000人のグループでは平均生存期間は10ヶ月だった。当然抗癌剤治療の副作用は全く無かった。
この治療法AもBも共に、症例数も充分ですし、厳密な治験という試験方法を採用していますから信頼度の極めて高いエビデンスを持った治療ということになります。また無治療群も立派な比較対象群になります。
このようなエビデンスが存在する時、一般的には無治療ははじめから無視され、B法よりA法の方が副作用の発現率は高いけれども「奏効率、生存期間で優れているから、A法を選びましょう。」ということになります。
副作用を極度に嫌う患者さんでは、B法が選択されます。(もしも医者がシッカリと説明すれば、の話ですが・・・)
また、もしそのデータを患者さんがしっかり把握していれば無治療を選部患者さんも少なくないと思われます。
一方C法という治療法を5人の患者さんに行ったところ、奏効例は4人で、平均生存期間は50ヶ月だった。しかも副作用は殆ど発現しなかった。
というデータがあったとしても、この治療法は、信頼度3以下であり、一般的にはエビデンスとは、みなされませんから、推奨されることはありません。
患者さんが、それを希望しても、普通は冷徹に苦却下されます。
すなわちC法は、権威のあるガン治療病院などでは、患者さんがそれを望んだとしても、「エビデンスが無い」という理由から行なわれることはありません。
そして50%の患者さんが「確実に15ヶ月以内に死ぬ。」というしっかりとした、有り難いエビデンスのある治療が患者さんの意思とは関係なく進められることになります。
ここで何か違和感を感じないでしょうか。
先ず、A法またはB法で治療を受けた2000人の患者さんのデータは、全て過去に存在した患者さんのものであり、これから治療を受けようという患者さんのデータは、当然含まれていないのです。
全て、既に亡くなられた他人様のデータなのです。
過去の患者さんのデータをもって、将来を予測しようという考え方です。
その考え方自身は、全く間違った思考方法ではありません。
正しい科学的な方法選択論であると思いますし、現状ではある意味それが最善であると言わざるを得ない面も多分にあると思います。
しかし、これから治療をしようとしている患者さんは、この地球上にたった一人しか存在しないのです。今現在ガンを患っている患者さんの可能性については、全く考慮されていません。過去に亡くなられた、患者さんと同等で十羽一絡げです。
今これからガンを治療しようとしている患者さんは、すでに亡くなられた2000人の他人様とは違うのです。
確かに、2000人は全て「同じ種類のガンを患った人間である。」そのことだけは間違いありませんが、これから治療する患者さんとの共通点はそれくらいです。人種も、考え方も生活環境も家族構成も全て違います。
巷では、「健康食品である○○というキノコが、ネズミのガンに対し大きな効果が認められた。」というような"事実"が、大きな宣伝文句になっているのを、しばしば見受けます。それは、"藁をも掴みたい"患者さんを騙すための作為的なものなのかも知れませんが、人間と動物の違いを無視し混同した、人間を余りにもバカにした宣伝であり、その商品を売らんがためのヒッカケ広告みたいなものです。
しかし偉い先生方が提唱するエビデンスとて、レベルの差こそあれ、同じような性格を持っているのではないでしょうか。
全ての患者さんは、それぞれ他の患者さんとは違う個性を持っていること、同一患者さんなど、一人もいないことを、無視しているのではないでしょうか。
患者さんの個性は、全く無視して、「その他大勢と同一の○×ガンの一患者」とだけにしか扱われていないのではないでしょうか。
一般的に患者さんは、"15ヶ月で半分の患者さんが死ぬ"というエビデンスが出ている治療よりは、C法を希望されるのではないでしょうか。
または、D法という治療を二人の患者さんに、試したら、ガンは全く縮小しなかったけれども、二人とも5年以上元気で生活している。となれば、D法に惹かれる患者さんは少なくないと思います。(もっとも私が見てきたインチキ免疫治療クリニックの主催者ように、存在しない架空の虚偽のデータを提示し、それを宣伝に使っているような悪質な医者もいないとは限りませんので、先ずそれを見抜かなければなりませんが・・・・)
あるいは、全くデータは出ていなくても、もっと長く生きることが出来る"可能性のある治療"を選択されるのではないでしょうか。
それが、死に至る病を患った患者さん、ご家族の本当の気持ちではないでしょうか。
この、"エビデンス至上主義的"な現在のガン治療が、"巷のインチキ代替医療"を助長させているように思えてなりません。
"死ぬことのエビデンス"がはっきりしている治療より、死ぬのか、生きるのか、いずれなのかも判らない、"エビデンスの無い治療"の方が、むしろ患者さんにとって、救いがあるようにも思えます。
エビデンス至上主義で、抗癌剤治療一点張りの先生方は、エビデンスの無い民間療法・代替療法を目の敵にしています。しかし、エビデンスという言葉だけを錦の御旗として振りかざし、その旗に必死にしがみ付いている現在の抗癌剤治療が、患者さんを出鱈目な民間療法・代替療法に走らせるのではないでしょうか。そして、多くのインチキ民間療法の犠牲者を増やしているのではないでしょうか。

上の表にエビデンスの側面をまとめました。
エビデンスなんて不要?
エビデンスについて、目の敵の様に、最悪のモノであるかの様に書いてしまいましたが、
人類の幸福をもたらすために存在する医学という科学の進歩のためには、絶対に必要な"根拠"です。問題は、その極めて重要な治療効果という貴重な"エビデンス"を正確に患者さんに知らせることなく、それを伏せて治療が進められてしまっていることです。
また、そのエビデンスを"錦の御旗""黄門様の印籠"のように高々と掲げ、そのエビデンスが出ている治療だけが正しい治療であると信じ込んでいる医者が考えを改めるべきだと思います。
生活環境、思考過程の違う全ての患者さんにとって、エビデンス ベースド メディスンが金科玉条ではないはずです。
先ず、エビデンスは患者さんのためにあるデータです。そのデータに基づいたエビデンス ベースド メディスンを進めるか否かは、そのエビデンスを患者さんが正確に知った上で、患者さん自身が決定することです。
エビデンス ベースド メディスンが、有り難い治療だと思っているのは一部の医者だけかも知れません。
また、たったの「○○ヶ月」と何度も書きましたが、"たった"でも○○ヶ月延命が可能であることは、それこそエビデンスであり"事実"です。"たった"と書いたのは、私の価値観であり、それを強要するつもりは毛頭ありません。
延命効果が全く認められない時代にも抗癌剤治療が行われていたのは、生存期間を平均すると確かに延命効果は認められないものの、抗癌剤治療で長生きする患者さんも存在したからです。
しかしそれは反面、抗癌剤治療で寿命を短くした患者さんも存在したという事実の裏返しですが・・・。
ガン治療を進める上で、ある程度医者が主導権を握るのは、治療に対する知識・経験の量から考え、やむをえないことかもしれませんが、エビデンスとは、あくまで患者さんのためのデータであり、全てを知り患者さんご自身で治療法を選ぶべきです。医者はそのエビデンスを患者さんに提示する義務を負っています。
重要な、従うべきエビデンス
極めて重要な意味を持っていて、是が非でもそれに従うべきエビデンスもあります。
それは、例えば、乳ガンの手術後の補助化学療法やホルモン治療などで出されている、しっかりしたエビデンスです。
患者さんは、このようなエビデンスに関しては、知らせている場合も多いようです。
例えば、下の表では、乳癌の根治手術後にCAFという抗癌剤治療を行なったグループでは、9年間再発をしなかった確率が57%。CAFZすなわちCAF治療にZ(ゴセレリン、商品名ゾラデックス)という薬剤を併用した場合は60%。更にCAFZT すなわちCAFZにタモキシフェン(商品名ノルバデックス)という薬剤を更に追加した場合は68%というエビデンスが出ていますので、再発確率を下げるには、CAFという抗癌剤治療だけではなくゾラデックスさらにタモキシフェンも併用した方が良いことになります。
また、下のグラフでは、やはり乳癌根治術後にアナストロゾール(商品名アリミデックス)という薬剤を使ったグループとタモキシフェンを使ったグループで、再発確率を見て行くと、確実にアリミデックスの方が、優れており、再発確率がタモキシフェンより低下していることが判ります。
これらのエビデンスは非常に有用であり、特別な副作用などが出現しない限り、そのエビデンスに従い、是非最善と考えられる治療法を選択されるべきだと考えます。
このエビデンスは、統計学的にAという治療より、Bという治療を行った場合の方が、再発率が低い、すなわち「天寿を全うする確率が高くなる」というエビデンスですから、是非それには従うべきであると考えます。
明らかに再発確率が減っていることが証明されていますので、その治療は受けた方が得策です。たとえ副作用が辛くても、そのご褒美として根治の確率が高くなるのですから、それは我慢するべきだと考えます。
また、白血病や悪性リンパ腫などでは、抗癌剤治療だけでそれらが完治する、すなわちその病気から完全に離脱して、天寿を全うできる可能性が低くありませんから、多少辛い副作用があっても、是非エビデンスに従い、治療を受けるべきだと思います。
また、現在膨大なエビデンスが証明されている高血圧や心臓病などの循環器疾患や、脳卒中などの血管疾患、さらに糖尿病の合併症予防や感染症予防におけるエビデンスは是非利用しなければ大きな損失です。
「タバコを吸う人間に肺ガンが発生しやすい。お酒を飲みすぎれば肝臓機能障害を起こしやすい。肥満者は心臓・血管障害を発症しやすい。」など、全てエビデンスです。これらのエビデンスだけは、誰にでも知らされています。そしてそれに従うか否かは、全て個人の判断にゆだねられています。
抗癌剤治療のエビデンスも、本来患者さんの判断に任せられるべきですが、何故か直接命に結びつく重要なエビデンスは、日本では「お医者様のもの」だけになっています。
あらゆる手段を使い、そのエビデンスの実際を知って、それに従うか否かを、是非とも患者さんご自身でお考えになって下さい。


以上 文責 梅澤 充
昨日に続いて、本日もエビデンスについて書きたいと思います。
エビデンスとは、他人様の参考数値!
そもそもエビデンスとはどの様なものなのでしょうか。どの様な証拠なのでしょうか。
分類については、昨日の表にお示ししたとおりです。
この表にあるとおり、エビデンスとは、大小の差こそあれ、全てその治療を行って既に"亡くなられた他人様"の臨床データです。
例えば、Aと言う治療方法を1000人の患者グループに対し厳正な臨床試験という形で行い、350人の患者さんでは、ガンが二分の一以下の大きさに縮小、すなわち奏効した。(奏効率35%)そして1000人の患者グループ全体では、平均生存期間(一般的には、生存期間中央値)は、15ヶ月だった。
副作用の発現頻度は、80%だった。
一方、Bと言う治療方法で同じ種類の、同じ程度のガン患者さん1000人のグループに、やはり、臨床試験を行ったところ、ガンが半分以下の大きさになった、すなわち奏効した患者さんは300人(奏効率30%)。平均生存期間は13ヶ月だった。
副作用の発現頻度は、50%だった。
一方、全く無治療で経過を診ただけの患者1000人のグループでは平均生存期間は10ヶ月だった。当然抗癌剤治療の副作用は全く無かった。
この治療法AもBも共に、症例数も充分ですし、厳密な治験という試験方法を採用していますから信頼度の極めて高いエビデンスを持った治療ということになります。また無治療群も立派な比較対象群になります。
このようなエビデンスが存在する時、一般的には無治療ははじめから無視され、B法よりA法の方が副作用の発現率は高いけれども「奏効率、生存期間で優れているから、A法を選びましょう。」ということになります。
副作用を極度に嫌う患者さんでは、B法が選択されます。(もしも医者がシッカリと説明すれば、の話ですが・・・)
また、もしそのデータを患者さんがしっかり把握していれば無治療を選部患者さんも少なくないと思われます。
一方C法という治療法を5人の患者さんに行ったところ、奏効例は4人で、平均生存期間は50ヶ月だった。しかも副作用は殆ど発現しなかった。
というデータがあったとしても、この治療法は、信頼度3以下であり、一般的にはエビデンスとは、みなされませんから、推奨されることはありません。
患者さんが、それを希望しても、普通は冷徹に苦却下されます。
すなわちC法は、権威のあるガン治療病院などでは、患者さんがそれを望んだとしても、「エビデンスが無い」という理由から行なわれることはありません。
そして50%の患者さんが「確実に15ヶ月以内に死ぬ。」というしっかりとした、有り難いエビデンスのある治療が患者さんの意思とは関係なく進められることになります。
ここで何か違和感を感じないでしょうか。
先ず、A法またはB法で治療を受けた2000人の患者さんのデータは、全て過去に存在した患者さんのものであり、これから治療を受けようという患者さんのデータは、当然含まれていないのです。
全て、既に亡くなられた他人様のデータなのです。
過去の患者さんのデータをもって、将来を予測しようという考え方です。
その考え方自身は、全く間違った思考方法ではありません。
正しい科学的な方法選択論であると思いますし、現状ではある意味それが最善であると言わざるを得ない面も多分にあると思います。
しかし、これから治療をしようとしている患者さんは、この地球上にたった一人しか存在しないのです。今現在ガンを患っている患者さんの可能性については、全く考慮されていません。過去に亡くなられた、患者さんと同等で十羽一絡げです。
今これからガンを治療しようとしている患者さんは、すでに亡くなられた2000人の他人様とは違うのです。
確かに、2000人は全て「同じ種類のガンを患った人間である。」そのことだけは間違いありませんが、これから治療する患者さんとの共通点はそれくらいです。人種も、考え方も生活環境も家族構成も全て違います。
巷では、「健康食品である○○というキノコが、ネズミのガンに対し大きな効果が認められた。」というような"事実"が、大きな宣伝文句になっているのを、しばしば見受けます。それは、"藁をも掴みたい"患者さんを騙すための作為的なものなのかも知れませんが、人間と動物の違いを無視し混同した、人間を余りにもバカにした宣伝であり、その商品を売らんがためのヒッカケ広告みたいなものです。
しかし偉い先生方が提唱するエビデンスとて、レベルの差こそあれ、同じような性格を持っているのではないでしょうか。
全ての患者さんは、それぞれ他の患者さんとは違う個性を持っていること、同一患者さんなど、一人もいないことを、無視しているのではないでしょうか。
患者さんの個性は、全く無視して、「その他大勢と同一の○×ガンの一患者」とだけにしか扱われていないのではないでしょうか。
一般的に患者さんは、"15ヶ月で半分の患者さんが死ぬ"というエビデンスが出ている治療よりは、C法を希望されるのではないでしょうか。
または、D法という治療を二人の患者さんに、試したら、ガンは全く縮小しなかったけれども、二人とも5年以上元気で生活している。となれば、D法に惹かれる患者さんは少なくないと思います。(もっとも私が見てきたインチキ免疫治療クリニックの主催者ように、存在しない架空の虚偽のデータを提示し、それを宣伝に使っているような悪質な医者もいないとは限りませんので、先ずそれを見抜かなければなりませんが・・・・)
あるいは、全くデータは出ていなくても、もっと長く生きることが出来る"可能性のある治療"を選択されるのではないでしょうか。
それが、死に至る病を患った患者さん、ご家族の本当の気持ちではないでしょうか。
この、"エビデンス至上主義的"な現在のガン治療が、"巷のインチキ代替医療"を助長させているように思えてなりません。
"死ぬことのエビデンス"がはっきりしている治療より、死ぬのか、生きるのか、いずれなのかも判らない、"エビデンスの無い治療"の方が、むしろ患者さんにとって、救いがあるようにも思えます。
エビデンス至上主義で、抗癌剤治療一点張りの先生方は、エビデンスの無い民間療法・代替療法を目の敵にしています。しかし、エビデンスという言葉だけを錦の御旗として振りかざし、その旗に必死にしがみ付いている現在の抗癌剤治療が、患者さんを出鱈目な民間療法・代替療法に走らせるのではないでしょうか。そして、多くのインチキ民間療法の犠牲者を増やしているのではないでしょうか。

上の表にエビデンスの側面をまとめました。
エビデンスなんて不要?
エビデンスについて、目の敵の様に、最悪のモノであるかの様に書いてしまいましたが、
人類の幸福をもたらすために存在する医学という科学の進歩のためには、絶対に必要な"根拠"です。問題は、その極めて重要な治療効果という貴重な"エビデンス"を正確に患者さんに知らせることなく、それを伏せて治療が進められてしまっていることです。
また、そのエビデンスを"錦の御旗""黄門様の印籠"のように高々と掲げ、そのエビデンスが出ている治療だけが正しい治療であると信じ込んでいる医者が考えを改めるべきだと思います。
生活環境、思考過程の違う全ての患者さんにとって、エビデンス ベースド メディスンが金科玉条ではないはずです。
先ず、エビデンスは患者さんのためにあるデータです。そのデータに基づいたエビデンス ベースド メディスンを進めるか否かは、そのエビデンスを患者さんが正確に知った上で、患者さん自身が決定することです。
エビデンス ベースド メディスンが、有り難い治療だと思っているのは一部の医者だけかも知れません。
また、たったの「○○ヶ月」と何度も書きましたが、"たった"でも○○ヶ月延命が可能であることは、それこそエビデンスであり"事実"です。"たった"と書いたのは、私の価値観であり、それを強要するつもりは毛頭ありません。
延命効果が全く認められない時代にも抗癌剤治療が行われていたのは、生存期間を平均すると確かに延命効果は認められないものの、抗癌剤治療で長生きする患者さんも存在したからです。
しかしそれは反面、抗癌剤治療で寿命を短くした患者さんも存在したという事実の裏返しですが・・・。
ガン治療を進める上で、ある程度医者が主導権を握るのは、治療に対する知識・経験の量から考え、やむをえないことかもしれませんが、エビデンスとは、あくまで患者さんのためのデータであり、全てを知り患者さんご自身で治療法を選ぶべきです。医者はそのエビデンスを患者さんに提示する義務を負っています。
重要な、従うべきエビデンス
極めて重要な意味を持っていて、是が非でもそれに従うべきエビデンスもあります。
それは、例えば、乳ガンの手術後の補助化学療法やホルモン治療などで出されている、しっかりしたエビデンスです。
患者さんは、このようなエビデンスに関しては、知らせている場合も多いようです。
例えば、下の表では、乳癌の根治手術後にCAFという抗癌剤治療を行なったグループでは、9年間再発をしなかった確率が57%。CAFZすなわちCAF治療にZ(ゴセレリン、商品名ゾラデックス)という薬剤を併用した場合は60%。更にCAFZT すなわちCAFZにタモキシフェン(商品名ノルバデックス)という薬剤を更に追加した場合は68%というエビデンスが出ていますので、再発確率を下げるには、CAFという抗癌剤治療だけではなくゾラデックスさらにタモキシフェンも併用した方が良いことになります。
また、下のグラフでは、やはり乳癌根治術後にアナストロゾール(商品名アリミデックス)という薬剤を使ったグループとタモキシフェンを使ったグループで、再発確率を見て行くと、確実にアリミデックスの方が、優れており、再発確率がタモキシフェンより低下していることが判ります。
これらのエビデンスは非常に有用であり、特別な副作用などが出現しない限り、そのエビデンスに従い、是非最善と考えられる治療法を選択されるべきだと考えます。
このエビデンスは、統計学的にAという治療より、Bという治療を行った場合の方が、再発率が低い、すなわち「天寿を全うする確率が高くなる」というエビデンスですから、是非それには従うべきであると考えます。
明らかに再発確率が減っていることが証明されていますので、その治療は受けた方が得策です。たとえ副作用が辛くても、そのご褒美として根治の確率が高くなるのですから、それは我慢するべきだと考えます。
また、白血病や悪性リンパ腫などでは、抗癌剤治療だけでそれらが完治する、すなわちその病気から完全に離脱して、天寿を全うできる可能性が低くありませんから、多少辛い副作用があっても、是非エビデンスに従い、治療を受けるべきだと思います。
また、現在膨大なエビデンスが証明されている高血圧や心臓病などの循環器疾患や、脳卒中などの血管疾患、さらに糖尿病の合併症予防や感染症予防におけるエビデンスは是非利用しなければ大きな損失です。
「タバコを吸う人間に肺ガンが発生しやすい。お酒を飲みすぎれば肝臓機能障害を起こしやすい。肥満者は心臓・血管障害を発症しやすい。」など、全てエビデンスです。これらのエビデンスだけは、誰にでも知らされています。そしてそれに従うか否かは、全て個人の判断にゆだねられています。
抗癌剤治療のエビデンスも、本来患者さんの判断に任せられるべきですが、何故か直接命に結びつく重要なエビデンスは、日本では「お医者様のもの」だけになっています。
あらゆる手段を使い、そのエビデンスの実際を知って、それに従うか否かを、是非とも患者さんご自身でお考えになって下さい。


以上 文責 梅澤 充



