昨晩、一杯飲みながらテレビを見ていたら、
ビックリするアンケート番組?が、
流されていました。
先日の福島の、
産婦人科医の裁判を受けておこなわれたものでしょうが、
携帯電話からのメールでのアンケートでは、
67%の回答者が、
「医療の現場に警察の介入が必要」
と答えていたようです。
その数字にビックリすると同時に、
悲しくなり、
また、日本の医療の完全崩壊がハッキリと見えました。
医療の現場に、
何故、警察が介入しなければならないのでしょうか。
それは、ひとえに医者に信頼が無いからです。
それは、悲しいことですが、
その結果はドウなるでしょうか。
すでに、例の産婦人科医の逮捕で、
明らかになったとおり、
医者が危険?な医療現場から去っていきます。
すでに、外科領域の診療科では、
大学病院でも
入局してくる医者が不足し困っています。
人の身体にメスを入れて、病気を治す。
文字で書けばとても簡単ですが、
病を治すためとはいえ、
神様がくれた肉体を壊して
治療をおこなう外科医には、
常に大きな責任と重圧がのしかかっています。
そのうえに、
当然の確率で起こる医療事故(!?)に見舞われた時に、
警察が介入してくる、
となれば、
逮捕の危険を冒してまで、
手術を行う医者など存在しなくなります。
私も外科医ですが、
「そこまで取れば、
この患者さんのガンは根治する可能性はある、
しかし、術後のトラブルも予想される、
最悪の場合、術中の死もありうる。
一方、取らなければ、数ヶ月か遅くても数年後には、
必ずその患者さんはガンで死ぬ」
というような場面はいくらでもありますし、
何度も経験してきました。
その時、
何処まで積極的な手術を行うかは、
今までは、医者の裁量に任されていました。
しかし、今後、
積極的な手術のために、
患者さんが不幸な機転を辿られた場合、
業務上過失○○などの罪により、
逮捕されることもありうる。
となれば、
我が身に危険を伴う治療をおこなう医者などいません。
ガンが患者さんを殺してくれれば、
誰の責任にもなりません。
今までも、
術前からクレームの多い、
モンスターペイシエントやそのご家族では、
術後経過は極めて良好で、
ノートラブルで早期に退院可能になる、
手抜きのガン手術により、
早期に再発して亡くなられた患者さんも少なくないはずです。
無理をすれば取れる、
という場面はいくらでもありますが、
無理をする医者はいなくなります。
それだけ、患者さんの寿命は短くなります。
これは外科手術に限った問題ではありません。
私が現在治療をおこなっている患者さんでは、
すでに抗癌剤治療の適応外のかたも
少なくありません。
無治療で緩和ケアだけをしていれば、
極めて近い将来死が訪れます。
その時期を少しでも遅らせようという治療は、
公には認められていません。
ガイドラインにはありません。
標準的抗癌剤治療での
治療関連死、
すなわち副作用死は1~2%ありますが、
それは、エビデンスとして認知されていることであり、
標準的抗癌剤治療で患者さんが死んでも誰も責められません。
しかし、
少しでも長く生きていたいと願う患者さんの気持ちに応えるための、
認知されていない治療では、
患者さんが亡くなられたとき、
それをおこなっていた医者は、
警察からどのようなクレームを付けられるのか分かりません。
その治療が上手くいって患者さんが長生きしたとしても、
いずれは最期の時が来ます。
その時、
「お前がガイドラインから外れて使った抗癌剤で死期を早めた」
と言われても、
無治療であったときのその患者さんの
病気の動向は誰も診ていないのですから、
反論できる証拠などありません。
やはり、ガイドラインどおりに、
無治療にして、
緩和ケアで座して死を待っていただくのが一番、
という時代になると思います。
昨日の、
国民の三分の二が、
医療の現場に警察が積極的に介入すべき、
との考えには、
本当に悲しくなりました。
自分で自分たちの首を絞めている現実に、
早く気がついてください。
日本の医療は完全に崩壊してしまいます。
その時に後悔しても、
後の祭りです。
それが、元に戻るには、
何十年も先のことになります。
私自身も、
今後は、ガイドラインはいままで以上に常に意識して、
無理は控えるようにしていこうと思います。
以上 文責 梅澤 充
ビックリするアンケート番組?が、
流されていました。
先日の福島の、
産婦人科医の裁判を受けておこなわれたものでしょうが、
携帯電話からのメールでのアンケートでは、
67%の回答者が、
「医療の現場に警察の介入が必要」
と答えていたようです。
その数字にビックリすると同時に、
悲しくなり、
また、日本の医療の完全崩壊がハッキリと見えました。
医療の現場に、
何故、警察が介入しなければならないのでしょうか。
それは、ひとえに医者に信頼が無いからです。
それは、悲しいことですが、
その結果はドウなるでしょうか。
すでに、例の産婦人科医の逮捕で、
明らかになったとおり、
医者が危険?な医療現場から去っていきます。
すでに、外科領域の診療科では、
大学病院でも
入局してくる医者が不足し困っています。
人の身体にメスを入れて、病気を治す。
文字で書けばとても簡単ですが、
病を治すためとはいえ、
神様がくれた肉体を壊して
治療をおこなう外科医には、
常に大きな責任と重圧がのしかかっています。
そのうえに、
当然の確率で起こる医療事故(!?)に見舞われた時に、
警察が介入してくる、
となれば、
逮捕の危険を冒してまで、
手術を行う医者など存在しなくなります。
私も外科医ですが、
「そこまで取れば、
この患者さんのガンは根治する可能性はある、
しかし、術後のトラブルも予想される、
最悪の場合、術中の死もありうる。
一方、取らなければ、数ヶ月か遅くても数年後には、
必ずその患者さんはガンで死ぬ」
というような場面はいくらでもありますし、
何度も経験してきました。
その時、
何処まで積極的な手術を行うかは、
今までは、医者の裁量に任されていました。
しかし、今後、
積極的な手術のために、
患者さんが不幸な機転を辿られた場合、
業務上過失○○などの罪により、
逮捕されることもありうる。
となれば、
我が身に危険を伴う治療をおこなう医者などいません。
ガンが患者さんを殺してくれれば、
誰の責任にもなりません。
今までも、
術前からクレームの多い、
モンスターペイシエントやそのご家族では、
術後経過は極めて良好で、
ノートラブルで早期に退院可能になる、
手抜きのガン手術により、
早期に再発して亡くなられた患者さんも少なくないはずです。
無理をすれば取れる、
という場面はいくらでもありますが、
無理をする医者はいなくなります。
それだけ、患者さんの寿命は短くなります。
これは外科手術に限った問題ではありません。
私が現在治療をおこなっている患者さんでは、
すでに抗癌剤治療の適応外のかたも
少なくありません。
無治療で緩和ケアだけをしていれば、
極めて近い将来死が訪れます。
その時期を少しでも遅らせようという治療は、
公には認められていません。
ガイドラインにはありません。
標準的抗癌剤治療での
治療関連死、
すなわち副作用死は1~2%ありますが、
それは、エビデンスとして認知されていることであり、
標準的抗癌剤治療で患者さんが死んでも誰も責められません。
しかし、
少しでも長く生きていたいと願う患者さんの気持ちに応えるための、
認知されていない治療では、
患者さんが亡くなられたとき、
それをおこなっていた医者は、
警察からどのようなクレームを付けられるのか分かりません。
その治療が上手くいって患者さんが長生きしたとしても、
いずれは最期の時が来ます。
その時、
「お前がガイドラインから外れて使った抗癌剤で死期を早めた」
と言われても、
無治療であったときのその患者さんの
病気の動向は誰も診ていないのですから、
反論できる証拠などありません。
やはり、ガイドラインどおりに、
無治療にして、
緩和ケアで座して死を待っていただくのが一番、
という時代になると思います。
昨日の、
国民の三分の二が、
医療の現場に警察が積極的に介入すべき、
との考えには、
本当に悲しくなりました。
自分で自分たちの首を絞めている現実に、
早く気がついてください。
日本の医療は完全に崩壊してしまいます。
その時に後悔しても、
後の祭りです。
それが、元に戻るには、
何十年も先のことになります。
私自身も、
今後は、ガイドラインはいままで以上に常に意識して、
無理は控えるようにしていこうと思います。
以上 文責 梅澤 充