ガン患者さんが満足することができない現在の日本の抗癌剤治療には、幾つか理由があります。
その幾つかについて、2006年1月10日、15日、17日の「癌剤治療は有効に効いても長生きできない」「エビデンス」「情報公開」で書きました。
本日は、もう一つ日本の現在の標準的抗癌剤治療の問題点を提示したいと思います。
後戻りできない(しない)抗癌剤治療
現在の日本の抗癌剤治療のもう一つのとても大きな問題は、治療を始めてしまうと、多くの場合もはや後戻りのきかない(しない)治療法・治療方針にある様に思います。
“後戻りが出来ない”とは、
現在の“標準的抗癌剤治療”を見たとき、
抗癌剤A を○○mg、Bを ○△mgを何日間点滴注射して、別の抗癌剤C をその後何日目に入れて、3週間なり4週間で1コースとして、○○コース繰り返す。
と言うスケヂュールが立てられます。
そしてその予定が立つや、その目標コース回数まで、余程の事がない限り突っ走ります。
余程の事とは、“白血球が減りすぎる”とか“耐え難い副作用が出現する”、あるいは“患者さんが逃げ出す”とかです。
多くの場合、それらがない限り目標回数までいってしまいます。
治療途中で、その抗癌剤治療が有効か否かについての検討は余りなされません。
また途中経過で全然効いていないことが判明しても、そのまま予定終了まで行ってしまうことも珍しくありません。
初めに効かなかったら、それを続けることで効果が出てくる、などということは、殆どありません。その患者さんの為を思えば、すぐにその治療は止めて、他の治療に切り替えるべきでしょう。
または、その場合、以前にも少し書いたとおり「“無治療”という治療」も選択肢の一つになります。
無治療の方が「有害な治療」をするより、確実に長生きできます。
(2006年1月20日「ガンの増殖・増大」で記載)
それも厳しい副作用に苦しめられることなく。
それに、抗癌剤治療は目標回数までいってしまうと、多くの日本人の患者さんでは、
次の治療に移行してゆく体力が、もうすでに殆ど残されていません。
フルコースのお料理を食べさせられたあとに、デザートを食べるだけの胃袋は日本人にはありません。
そのフルコースが、患者さんの身体に合わなかったならば、その患者さんは、おなかが痛くなったり、吐いたり、下痢したりしてしまうだけです。決して栄養にはなりません。
フルコースを一口食べて、口に合わなければ、それは止めて、他のコースに変えるか、あるいはデザートだけ食べる方が、よほど身体のためになります。
また現在の抗癌剤治療では、逆に5コースを予定していて、1コース目で十分に効果があり、ガンは大きく縮小し、そのガンがあるために存在していた患者さんの苦痛が取れたとしても、ここぞとばかりにイケイケドンドンで最終目標の5コースに向って、突っ走ります。患者さんにとっては苦痛が取れれば、あとは長生きすることが最大の目標になるはずです。
しかし、患者さんのその切実な思いは、抗癌剤治療専門医には通じません。
標準的な抗癌剤治療を推奨する抗癌剤治療の手引書のような教科書にも
「○○コース以上行うよう勧められる」と書かれています。
それは、その○○コースで治験が行なわれているからです。
(2006年1月18日及び19日の「緩和医療」「元気なガン患者さんの抗癌剤治療?」で詳しく記載しています)
抗癌剤治療専門医は、その有難い教えに忠実に従います。
それは、その抗癌剤治療による、“治療成績”すなわち“奏効率”を出すためである場合が殆どですが、患者さんにとってはいい迷惑です。
治療の主は、優秀な治療成績(高い奏効率)を得たい医者ではなく患者さんのはずです。
以前、私の元に相談に来られた、切除不能の肺ガンを患った女性の患者さんも、
日本のガン治療の中心病院で、標準的な抗癌剤治療を行い、1回目から治療効果を認め、2回繰り返した時点で、非常に大きな効果が出て、ガンは見事に縮小し、
患者さんが、肺ガンの存在により僅かに感じていた呼吸苦、および首から背中にかけての鈍い痛みも完全に消失しました。
2回目でガンの存在による自覚症状は全て消失していました。
全く普通に生活し仕事ができる状態になりました。
その時点で、私は「その抗癌剤治療は、止めて、その後は、そのガンが大きくならないことだけを考えていこう。」と薦めましたが、その権威ある病院のエラ〜イ主治医の強い薦めを断ることはできず、同じ抗癌剤治療を繰り返すことになりました。
その結果、「レントゲン写真上でのガンの見事な縮小」が得られました。
しかし“ガンの著明な縮小”の代償に、彼女はアットいう間に命を失いました。
まだ小学生の男の子を持つ40歳そこそこの女性でした。
当然彼女は、その病院では、その治療による“輝かしい奏効症例”の1例に加えられています。
逆に、乳ガンのリンパ節と肝臓への再発を来たした患者さんでは、
「はじめから大量の抗癌剤を使うのではなく、少量で効果が有るか無いかの確認をしてから、その抗癌剤を使うように」と口を酸っぱくして説明しましたが、
その同じ大病院の説得には勝てずに、標準的な大量投与を受けてしまいました。
その後どうなったなと気にしている時に、訃報が届きました。
3ヶ月後のことでした。その患者さんの再発は、リンパ腺と小さな肝臓転移でした。
確かに他の抗癌剤は効果がなく、転移病巣は増大してきました。
しかし、リンパ腺に転移したガンや小さな肝臓転移病巣は、簡単には命を奪うことはありません。その患者さんでは、無治療でいた方が、辛い思いもせずに、余程長生きが出来たと考えられます。
お腹が空いていてフルコースのお料理を注文しても、はじめの一皿で、空腹が満たされれば、次のお皿に移るのは、楽しい会話をたくさんするなど、十分に時間を置いて、またお腹が空いてきたら、その時にお皿を運んでもらえばよいのです。
注文したからといって、お腹がいっぱいになっているのに“抗癌剤治療を続けたい医者”により次々に運ばれて来るお皿を、全部平らげていたら、それは食べすぎで、美味しく味わうどころか、逆にお腹を壊してしまいます。
その結果、空腹以上に辛い思いをしなければならなくなります。
多少の空腹では、人間は死にません。しかし食べ過ぎて、胃が破裂すれば即死です。
「ガンを抱いていたって、人間は簡単には死にません。」しかし毒を取りすぎればひとたまりも無く死にます。
私も貧乏性ですが、ここはモッタイナイという日本人特有の気持ちを、グッとこらえて、そのコースは捨てて、またお腹が空いたら、その時は別のお店で、欲張らずに一品だけ注文し、再び空腹をしのぐ方が、長く楽しい食生活を楽しめます。
また、たとえ高い料金を既に払って、お料理を注文してしまっていても、口に合わなければ、それは食べるべきではありません。
空腹をこらえた方が余程健康的です。
美味しい全てのお料理を味わってから、人生を終わるのであれば、結果は残念ですが、まだ諦めもつくのではないでしょうか。
それを、まだ美味しいご馳走が残されている間に、人生の幕を閉じてしまうのでは、大きな後悔を残してしまいます。
また、そのうち、決してお腹が空かなくなる、特別な食事も考案されてきます・・・。
以上 文責 梅澤 充
その幾つかについて、2006年1月10日、15日、17日の「癌剤治療は有効に効いても長生きできない」「エビデンス」「情報公開」で書きました。
本日は、もう一つ日本の現在の標準的抗癌剤治療の問題点を提示したいと思います。
後戻りできない(しない)抗癌剤治療
現在の日本の抗癌剤治療のもう一つのとても大きな問題は、治療を始めてしまうと、多くの場合もはや後戻りのきかない(しない)治療法・治療方針にある様に思います。
“後戻りが出来ない”とは、
現在の“標準的抗癌剤治療”を見たとき、
抗癌剤A を○○mg、Bを ○△mgを何日間点滴注射して、別の抗癌剤C をその後何日目に入れて、3週間なり4週間で1コースとして、○○コース繰り返す。
と言うスケヂュールが立てられます。
そしてその予定が立つや、その目標コース回数まで、余程の事がない限り突っ走ります。
余程の事とは、“白血球が減りすぎる”とか“耐え難い副作用が出現する”、あるいは“患者さんが逃げ出す”とかです。
多くの場合、それらがない限り目標回数までいってしまいます。
治療途中で、その抗癌剤治療が有効か否かについての検討は余りなされません。
また途中経過で全然効いていないことが判明しても、そのまま予定終了まで行ってしまうことも珍しくありません。
初めに効かなかったら、それを続けることで効果が出てくる、などということは、殆どありません。その患者さんの為を思えば、すぐにその治療は止めて、他の治療に切り替えるべきでしょう。
または、その場合、以前にも少し書いたとおり「“無治療”という治療」も選択肢の一つになります。
無治療の方が「有害な治療」をするより、確実に長生きできます。
(2006年1月20日「ガンの増殖・増大」で記載)
それも厳しい副作用に苦しめられることなく。
それに、抗癌剤治療は目標回数までいってしまうと、多くの日本人の患者さんでは、
次の治療に移行してゆく体力が、もうすでに殆ど残されていません。
フルコースのお料理を食べさせられたあとに、デザートを食べるだけの胃袋は日本人にはありません。
そのフルコースが、患者さんの身体に合わなかったならば、その患者さんは、おなかが痛くなったり、吐いたり、下痢したりしてしまうだけです。決して栄養にはなりません。
フルコースを一口食べて、口に合わなければ、それは止めて、他のコースに変えるか、あるいはデザートだけ食べる方が、よほど身体のためになります。
また現在の抗癌剤治療では、逆に5コースを予定していて、1コース目で十分に効果があり、ガンは大きく縮小し、そのガンがあるために存在していた患者さんの苦痛が取れたとしても、ここぞとばかりにイケイケドンドンで最終目標の5コースに向って、突っ走ります。患者さんにとっては苦痛が取れれば、あとは長生きすることが最大の目標になるはずです。
しかし、患者さんのその切実な思いは、抗癌剤治療専門医には通じません。
標準的な抗癌剤治療を推奨する抗癌剤治療の手引書のような教科書にも
「○○コース以上行うよう勧められる」と書かれています。
それは、その○○コースで治験が行なわれているからです。
(2006年1月18日及び19日の「緩和医療」「元気なガン患者さんの抗癌剤治療?」で詳しく記載しています)
抗癌剤治療専門医は、その有難い教えに忠実に従います。
それは、その抗癌剤治療による、“治療成績”すなわち“奏効率”を出すためである場合が殆どですが、患者さんにとってはいい迷惑です。
治療の主は、優秀な治療成績(高い奏効率)を得たい医者ではなく患者さんのはずです。
以前、私の元に相談に来られた、切除不能の肺ガンを患った女性の患者さんも、
日本のガン治療の中心病院で、標準的な抗癌剤治療を行い、1回目から治療効果を認め、2回繰り返した時点で、非常に大きな効果が出て、ガンは見事に縮小し、
患者さんが、肺ガンの存在により僅かに感じていた呼吸苦、および首から背中にかけての鈍い痛みも完全に消失しました。
2回目でガンの存在による自覚症状は全て消失していました。
全く普通に生活し仕事ができる状態になりました。
その時点で、私は「その抗癌剤治療は、止めて、その後は、そのガンが大きくならないことだけを考えていこう。」と薦めましたが、その権威ある病院のエラ〜イ主治医の強い薦めを断ることはできず、同じ抗癌剤治療を繰り返すことになりました。
その結果、「レントゲン写真上でのガンの見事な縮小」が得られました。
しかし“ガンの著明な縮小”の代償に、彼女はアットいう間に命を失いました。
まだ小学生の男の子を持つ40歳そこそこの女性でした。
当然彼女は、その病院では、その治療による“輝かしい奏効症例”の1例に加えられています。
逆に、乳ガンのリンパ節と肝臓への再発を来たした患者さんでは、
「はじめから大量の抗癌剤を使うのではなく、少量で効果が有るか無いかの確認をしてから、その抗癌剤を使うように」と口を酸っぱくして説明しましたが、
その同じ大病院の説得には勝てずに、標準的な大量投与を受けてしまいました。
その後どうなったなと気にしている時に、訃報が届きました。
3ヶ月後のことでした。その患者さんの再発は、リンパ腺と小さな肝臓転移でした。
確かに他の抗癌剤は効果がなく、転移病巣は増大してきました。
しかし、リンパ腺に転移したガンや小さな肝臓転移病巣は、簡単には命を奪うことはありません。その患者さんでは、無治療でいた方が、辛い思いもせずに、余程長生きが出来たと考えられます。
お腹が空いていてフルコースのお料理を注文しても、はじめの一皿で、空腹が満たされれば、次のお皿に移るのは、楽しい会話をたくさんするなど、十分に時間を置いて、またお腹が空いてきたら、その時にお皿を運んでもらえばよいのです。
注文したからといって、お腹がいっぱいになっているのに“抗癌剤治療を続けたい医者”により次々に運ばれて来るお皿を、全部平らげていたら、それは食べすぎで、美味しく味わうどころか、逆にお腹を壊してしまいます。
その結果、空腹以上に辛い思いをしなければならなくなります。
多少の空腹では、人間は死にません。しかし食べ過ぎて、胃が破裂すれば即死です。
「ガンを抱いていたって、人間は簡単には死にません。」しかし毒を取りすぎればひとたまりも無く死にます。
私も貧乏性ですが、ここはモッタイナイという日本人特有の気持ちを、グッとこらえて、そのコースは捨てて、またお腹が空いたら、その時は別のお店で、欲張らずに一品だけ注文し、再び空腹をしのぐ方が、長く楽しい食生活を楽しめます。
また、たとえ高い料金を既に払って、お料理を注文してしまっていても、口に合わなければ、それは食べるべきではありません。
空腹をこらえた方が余程健康的です。
美味しい全てのお料理を味わってから、人生を終わるのであれば、結果は残念ですが、まだ諦めもつくのではないでしょうか。
それを、まだ美味しいご馳走が残されている間に、人生の幕を閉じてしまうのでは、大きな後悔を残してしまいます。
また、そのうち、決してお腹が空かなくなる、特別な食事も考案されてきます・・・。
以上 文責 梅澤 充



